「さあさあ今夜も始まりました、チキチキ!本当にあった怪談話〜」
夏休み半ば特にすることもない俺はテレビから流れる心霊番組を見ていた、この番組は毎年夏になると放送されるのだが相変わらず妙なタイトルである、なんだよチキチキって…
タイトルはおかしいが内容は面白いのでつい見てしまう、ちなみに俺は幽霊や心霊などの類は信じていない方の人間だ、そんなのいるなら実際見て見たいと思っている、次々と流れていく怪談話の中で俺はある一つの話に耳を向けた。
「長野県にお住まいの視聴者さんからの投稿です」
「これは私が実際に目撃した出来事です、私はある日の夜学習塾からの帰り道にあるお寺の前を通りかかりました、するとお寺の敷地の中から物音が聞こえたのです、その音は何かが争う様な音と少女のうめき声の様でした、私は恐怖心を抑えながら音のする方へ向かいました、音に近づくにつれ心臓が早鐘を打ちました、私が音のしていた場所のすぐそばに来た時には音はもうしていませんでした、私は音のした方を覗き込みました、
するとそこには切り刻まれた大量の何かの死骸と大量の血液、そして死骸の中に立ち紅く虚ろな目をしたセーラー服の少女、少女の服は血で汚れており手には刀の様な物を持っていました、そんな異様な光景に私は思わず逃げ出してしまいました、翌朝、ニュースを見ても昨夜の事の様な事件は報道されませんでした、あれは一体なんだったのでしょうか、私は今だにあのお寺には近づけていません」
「と言う怪談話でした、いや〜怖いですね〜」
確かにそんな光景を目にしたら怖いだろう、しかし何故セーラー服なのどろうか、漫画アニメじゃあるまいし、そんな幽霊いるわけが無い、と思いながらも自分の住んでいる県の話だったので何と無く気になった。
なんだかんだ文句を言いながら心霊番組を見終えた俺は友達を誘って肝試しに行きたくなったので早速友達に連絡を入れる。
「もしもし?多岡だけど明日の夜肝試しいかないか?」
「あー、悪い多岡、俺明日は彼女とデートでな」
「彼女ってお前!夏休み前に告白して振られてただろうが!」
「いや、あの時は振られたんだけど後で連絡来て付き合う事にな…そう言う事だから」
「はいはい、彼女とよろしくやってろ」
「ば、バカそんなんじゃねぇy」
奴が言い訳を言い終わる前にきってやった、ナニをとは言ってないのに分かりやすいやつ、全く典型的若者の性の乱れだね、気をとりなおしてもう一人に電話をかける。
「もしもし?多岡だけど今大丈夫?」
「おぉ多岡っちどしたの?」
「いや、明日の夜暇なら肝試しでもと思ってな」
「ごめん多岡っち、俺明日彼女と…」
「はぁ⁉︎彼女⁉︎お前に⁉︎」
「ちょ、うるさいって」
「だってお前、俺には昔結婚を誓った幼馴染が居た、けど結局そいつ引っ越しちまってさ、だからもう俺は恋愛しない事にしてんだって、言ってたじゃ無いか!」
「いや、それがついこの前その幼馴染と再開してな…結婚はまだ早いから付き合う事になってな…いやー運命ってあるんだね多岡っち‼︎」
「わかった、分かりましたよ、どうぞその運命とやらに導かれていって下さい!」
そう言って電話を切る、その後も次々に電話をかけるが、やれ愛の打ち上げ花火だのやれヤンデレストーカーだのわけのわからない理由で断られてしまった。
翌日の深夜0時俺は一人で寺に来て居た、一人で来ると案外不気味だ
とりあえず持ってきた懐中電灯を点ける、つけ、つ…
「電池、切れてる…」
「まぁふいんきが出て良いよな」
寺から墓地へと歩く、今のところ人魂や幽霊は居ない。
「うわっと‼︎」
しばらく歩いていると何かにつまずいて転んでしまった
「いった〜なんだよ…」
足元に転がっている物に目を向けるとそれは刀だった
「なんだこれ?刀?本物か?」
俺は刀を見つめながら昨日の心霊番組を思い出していた、刀を持ったセーラー服の少女…
「うぅ…」
そんな事を思い出していると前方の頭上からうめき声が聞こえた、恐る恐る顔を上げるとそこには血塗れでボロボロになったセーラー服を着て腕をだらりと垂らし、紅い目でこちらをみつめる少女らしきものが居た、暗いせいで顔は見えないがはっきりとした殺気を感じた。
「う、うわぁぁぁぁぁぁ‼︎」
だらしの無い叫び声を上げ一目散に逃げ出した、息が上がって心臓が早鐘を打つ、気がつくと俺は家の前に居た、部屋に戻り布団に潜り込むまだ恐怖で足が震えている、そんな恐怖に怯えながらも俺は深い眠りに落ちていった。