姉貴が実家に帰って来てから数日が経った、縁日に行って以来姉貴は毎晩の様に妖怪の調査だと言ってで歩いている、元から気ままな人なので余り気にしては居ない。
ちなみに両親に姉貴が帰って来たことを伝えると帰国を延期した、一体その旅費はどこから来るのだろうか。
俺はと言うと特にすることもなく家でのんびりと過ごしていた時刻は深夜1時くらい、そろそろ寝ようかと思っていると部屋に姉貴が入って来た。
「ヤッホー弟くん!私は今から妖怪調査に行くけど一緒に来る?」
「行かないよ馬鹿らしい、俺はもう寝るから」
「そうかい、そうかい、ではおやすみ」
そう告げると楽しげな足跡と共に出かけて行った。
「はぁ〜寝よう…」
翌日俺は電話の音で起こされた時刻はまだ早朝寝起きの頭に電話の着信音がズキズキ響く。
「全く、こんな朝から誰だよ…はい多岡です」
少し不機嫌になりつつ電話に出る
「もしもし、こちら総合病院です、昨晩そちらの娘さんが救急搬送されましたので一度病院の方へいらして下さい」
娘さん?俺に娘は居ない、と言うことはこの娘さんと言うのは姉貴の事か、姉貴が救急搬送ね。
「救急搬送⁉︎姉がですか⁉︎大丈夫なんですか⁉︎」
「落ち着いて下さい、詳しくは病院で説明します、ご両親はいらっしゃいますか?」
「い、いえ、今は旅行中で海外に…」
「そうですかではひとまず病院にいらして下さい」
「はい、分かりました」
静かに受話器を下ろす、思考がまとまらない、どうして姉貴が病院に?昨晩何があった?姉貴死ぬかもしれない。
不安になり急いで家を飛び出す総合病院まではそう遠く無い、全速力で走り病院にたどり着いた、受付に駆け込み事情を伝えると姉貴の居る病室に案内された、そこには酸素マスクを付け機会に囲まれたベットで横たわる姉貴の姿があった。
しばらくすると医者がやって来た。
「多岡さんの弟さんですね」
「あ、あの姉は大丈夫なんでしょうか?」
「まぁ落ち着いて下さい命に別条はありません、治療もうまくいきました、しばらくすれば目を覚ますでしょう」
「そうですか、姉に何があったんですか?」
「それが、今日の明け方神社で人が血を流して倒れていると通報があり救急車が向かうとお姉さんが倒れて居たらしいのです」
「神社で?」
「はい、それとどうやらお姉さんは事件に巻き込まれた可能性があるのです」
「事件?」
「詳しくは警察の方から説明があると思いますが、お姉さんの傷は鋭利な刃物の様な物で切りつけられた様な傷なのです」
「刃物で…」
「はい、私は仕事に戻ります、何か会ったらナースコールして下さい」
「はい、分かりました」
医者が居なくなってから俺はずっと病室に留まっていた、時刻は夕方5時、そろそろ帰ろうと思っていた時姉貴が目を開けた。
「う、うぅ、弟くんか…」
「姉貴?大丈夫か?何があったんだ⁉︎」
「朗報だよ、紅葉は本当に存在するんだ…」
「おい、こんな時までふざけないでくれよ、昨日何があったか話してくれ」
「ふざけてないよ、でも後一つだけ聞いてくれ…」
「何だ?」
「彼女は、き、けん、な存在…だ…」
姉貴はまた気を失ってしまった、所々聞き取れなかったが「彼女は危険な存在」と言った様に聞こえた。
彼女、そしてもみじと言う単語に心当たりは一つしか無かった、きっと姉貴をこんな風にしたのは…
急いで病院を出る、行く宛など分からなかったが足は自然と動いた。
気づくと俺は以前肝試しをした寺に来ていた、夕日で赤く染まった境内に入るとそこには見覚えのある少女の後ろ姿があった。
「晴天目」
「た、多岡くん…」
境内にいたのは晴天目香夜だ腕に包帯を巻いている。
「よう、その怪我どうしたんだ?」
「えっと、これは、また転んじゃって…」
「なぁ、お前は何者なんだ?」
何も考えて居なかったのに言葉はスラスラと出てきた。
「何者って…」
「どうせ近くにいるんだろ?もみじって奴」
「い、いませんよ」
口ごもった。
「嘘だ」
「嘘じゃ、無い、です…」
晴天目は下を向く。
「嘘を付くな!」
大きな声を挙げた途端境内に生暖かい風が吹いた、一瞬目を伏せ再度彼女を睨み付ける。
するとそこには、瞳を紅くした晴天目が立っていた、夕日で赤くなっているわけでは無い、先ほどと明らかに違う瞳を見て言葉が出ない、すると彼女から言葉を発した。
「望み通り妾が出て来てやったぞ、小僧」