ソードアート・オンライン 終わりなき世界   作:歌舞伎

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ビーター

第一層攻略会議の朝が訪れた。街の広場にどんどん集まるプレイヤー達。

その中にはコウ達の姿があった。しかし。

 

アネット「うぅ・・・」

 

アネットは顔は隠れて見えないが、明らかにぐったりとしていた。

 

コウ「お前、どうかしたのか?」

 

アネット「何でもないわ。朝はいつもこうなの。」

 

コウ「何でもあるだろう。フラフラじゃないか。」

 

アネット「しばらくしたらよくなるわ。そっとしておいて。」

 

コウ「いや、そうもいってられないだろう。」

 

コウはそう言い、アネットに手を差し出した。

 

アネット「なんのつもり?」

 

コウ「困ってる奴がいれば、手を伸ばすもんだろう。」

 

しかし、アネットは何も言わずそれを拒んだ。

他のプレイヤー達も集まり初め、迷宮区に向かった。

その途中でキリトがスイッチの事を教えているなか、コウはアネットを気にしていた。

 

コウ「おいアネット、大丈夫か?」

 

アネット「やっぱり私じゃ不安よね。」

 

コウ「違うから!なんだが不幸だとか言っていたろ?」

 

アネット「私といると不幸になってしまうから、できるか限り自分だけにしたいわね。」

 

コウ「・・・あのな、」

 

キリト「見えたぞ。」

 

言葉をかけようとしたが、キリトがボス部屋に着いたことを伝え、うやむやに終わってしまった。

ボス部屋の前で装備の確認をし、ディアベルが発言した。

 

ディアベル「いよいよボス戦だ!俺達はボスを倒して、はじまりの街にいる皆に、この終わりのない世界を終わらせることができることを伝えようぜ!最後に、勝とうぜ!」

 

 

その言葉に同意し、咆哮をあげる。そしていよいよボス部屋に突入した。中には巨大な猪の王、イルファング・コボルドロードが待ち構えていた。それと同時にコバルトセンチネルも現れた。各々がそれぞれの役割を担当した。コウ達は取り巻きのセンチネルに向かっていった。

 

攻略が始まり、今のところは計画どおりに進んでいる。そんな中キリトは共に戦う三人に驚いていた。

 

キリト「(すごいな。アスナの剣激はどこか素人さを感じるが俺より速い。コウは会った時は素人だったのに、もう俺に近い実力を感じる。アネットは実力は劣っているが、まるで俺達の動きを先読みしているみたいにフォローしてる。成り行きで組んだがいける!)」

 

一方コボルドロードに挑んでいるパーティーはやっとHPをレッドまで下げることができた。

するとコボルドロードは装備していた斧と盾を捨てた。

 

「武器を捨てたぞ!」

 

キバオウ「情報どおりやな。」

 

情報どおりの展開に一同は戦い方を変えようとする、しかし。

 

ディアベル「下がれ、ここは俺がいく!」

 

ディアベルが不自然に一人で仕掛けていった。

 

アネット「何か変・・・」

 

コウ「え?」

 

アネットが呟いた言葉に反応したコウ。

 

コウ「何が変なんだ?」

 

アネット「タルワールって、あんなに長いの?」

 

アネットはコボルドロードの腰に装備されていた武器を見て思った。それを聞いたコウはよく見てみた。

 

コウ「(あれはタルワールじゃない!?あれは刀だ!)」

 

それに気づいたのは他にもいた。

 

キリト「下がれ!情報と違う!」

 

しかしキリトが叫んだのは遅く、高くジャンプしたコボルドロードはディアベルを切りつけた。更に止めを刺そうとしたが、間にアネットが割って入った。しかし攻撃を防ぎきれず、剣が折れてしまった。

 

アネット「!! やっぱり私は不幸なのね。ごめんね、ルチア」

 

コウ「諦めるな!」

 

攻撃を一時的に防いだことで、隙ができ、コウはアネットを走り抜けながら救いだした。

 

コウ「無事か?」

 

アネット「何で助けたの?こんな私なんて。」

 

コウ「いい加減にしろ!悲劇のヒロインになったつもりか!?」

 

アネット「あなたにはわからいのよ。私だけならいいけど、私は周りを巻き込みなくない。」

 

コウ「だったら見てみろ!お前が救った命を!」

 

コウが指差す方には、アネットが庇ったことで辛うじて生き抜いたディアベルがいた。

 

コウ「お前は気づかずに不幸に立ち向かったんだよ。」

 

アネット「でも。」

 

コウ「俺は死なない!お前の不幸も払えるくらい強くなる!」

 

コウはウィンドウを操作して、一本の剣をアネットに渡した。

 

コウ「だからお前も強くなれ。その気があるなら一緒だ。」

 

考えるアネットを置いてボスに向かっていく。そこにキリトと合流した。

 

コウ「キリト、ディアベルは?」

 

キリト「何とか大丈夫だ。ただ戦闘には参加できない。」

 

コウ「だったら俺達でやろう。」

 

キリト「ああ、皆を助けるために」

 

アスナ「私もいくわ。」

 

コウ「いくぞ!」

 

コウ達はコボルドロードに向かっていった。アネットは少し考えそして何かを決意したかのように立ち上がり、装備していたマントを解除しながら、駆け出した。

 

アネット「はぁ!」

 

コウ「!?」

 

突然、防御した横から攻撃するアネットに驚くコウ。改めて見ると、腰まである長い白銀の髪、さらに目を見ると左目は赤い目、右目は黄色い目。それを見て思わず。

 

コウ「綺麗・・・」

 

アネット「え?」

 

コウ「あ、いや、大丈夫なのか?」

 

アネット「まだわからない。まだ信じれない。ただ、あなたを信じてみる。」

 

コウ「!! だったらみっともないところは見せれないな。合わせろよ。」

 

アネット「えぇ。」

 

アネットも加わり、アネットがコウを、アスナがキリトをサポートする形になり少しづつ追い詰めていく。更にエギル率いる壁組も加わり更に追い詰めていく。

 

アスナ・アネット「スイッチ!」

 

キリト・コウ「これで決める!」

 

二人の一撃が決まり、コボルドロードは砕け散った。そしてクエストクリアの表示が現れた。

 

コウ「やっ、やったのか?」

 

コウは針詰められた緊張から解放され、どっと力が抜け、腰を落とした。そこにエギルが近づいてきた。

 

エギル「おいおい、大丈夫かよ?」

 

コウ「何だかどっと疲れた感覚だよ。」

 

キリト「俺もだよ。」

 

エギル「だがあんた達がMVPだ。congratulations」

 

コウ「はは。」

 

そこにディアベルもやって来た。

 

ディアベル「俺からも礼を言わせてくれ。ありがとう。それにアネット君も、君が間に入ってくれなかったら、助かった。ありがとう。」

 

アネット「あれは、おもわず動いてしまって。」

 

アスナ「いち早く気づいてくれたからね。」

 

コウ「でも何であんな行動を?」

 

ディアベル「君たちが今得た、ラストアタックボーナスに目が眩んだ、愚かな結果さ。」

 

コウ「ラストアタックボーナス?」

 

キリト「フロアボスにトドメをさしたら手にはいる、特殊なアイテムだ。今回は俺と同時に放ったから、二人にアイテムが贈られてる。こんなことは初めてだ。」

 

アスナ「二人が頑張ったおかげね。」

 

コウ「いや、今回勝てたのは・・・」

 

キバオウ「なんでや!!」

 

突然キバオウが叫び、プレイヤー達が一斉に見た。

 

 

キバオウ「なんで、なんでディアベルはんを見殺しにした。」

 

キリト「見殺し?」

 

キバオウ「そやろがい!お前がボスの情報隠してたから、ディアベルはんが死にかけたやんか!」

 

ディアベル「待て、彼は違う。」

 

キバオウの言葉に一部のプレイヤー達が賛同した。

 

「あいつきっとβテスターだ。たがらボスの攻撃が分かってたんだ。他にもいるんだろ、出てこいよ!」

 

その反応にコウはキバオウの前に立った。アスナ達も近づいていった。

 

コウ「お前いい加減なこと言うなよ!キリトは皆の為に戦ったんだぞ!言いがかりつけてんじゃねぇ!」

 

キバオウ「お前かて怪しいわ!それにそこの銀髪もや!」

 

 

アネット「!!」

 

キバオウ「ディアベルはんが、攻撃される前になんかぶつぶついっとったな、なんでもっと早く言わんのや。」

 

アスナ「あなたね!」

 

エギル「言い過ぎだぞ!」

 

その言葉にコウはキバオウの胸ぐらを掴んだ。

 

コウ「お前いい加減にしろよ!キリトだけじゃなくアネットまで!二人は必死で救おうとしたんだぞ!それを!」

 

今にも殴りあいが始まろうという空気で、突然キリトが笑いだした。

 

コウ「キリト?」

 

キリト「βテスターだって?俺をあんな素人連中と一緒にしないでくれるかな。」

 

キバオウ「なんやて!?」

 

キリト「多くのβテスターはレベリングも知らない連中ばかりだった、今のあんた達の方がまだましさ。だが俺は違う、俺はβテスターの時に誰も到達しえなかった層までいってる。刀スキルを知ってたのは上の層でそんなモンスターと戦ったからだ。他にもいろいろ知ってるぜ、情報屋なんか比べられないくらいの。」

 

キバオウ「な、なんやそれ、もうテスターやないやんか、チーターやんか!?」

 

「そうだ!チーター、βテスターのチーターでビーターだ!」

 

キリト「ビーター、いい名前だな。」

 

キリトはラストアタックボーナスで得たアイテムの黒いロングコートのような防具を装備した。

 

キリト「そうだ、俺はビーターだ。これからは他のテスターと一緒にするなよ。」

 

キリトはそう言い残し上層の扉に向かった。それを見てコウ達三人は追いかけた。

 

コウ「待てよキリト!お前、自分一人でしょい込む気かよ!」

 

キリト「アスナ、君は信用できるギルドがあったら入るべきだ。君には力がある。それはアネットにも言えることだ。すごい洞察力だな。それにコウ、いつかまた一緒に戦えたらな。」

 

キリトはそう言い残し扉を潜っていった。

 

コウ「かっこつけやがって相棒。」

 

アスナ「それで、二人はどうする?」

 

アネット「私は一度はじまりの街に戻るわ、安心させたい人がいるから。」

 

アスナ「私も一度街に戻って準備してから2層にいくわ。コウは?」

 

コウ「俺は、このまま行く。あいつだけにしょいこませない。」

 

アネット「なら、ここでお別れね。」

 

コウ「ん~、俺的にはこれっきりは嫌だな。二人とも強いし。」

 

アスナ「ならフレンド登録しておきましょう。それともし彼に会ったら。」

 

コウ「わかってる。無理にでも登録するさ。」

 

アスナ「お願い。」

 

アネット「ねぇ?」

 

コウ「ん?何だ?」

 

アネット「ありがとう。あなたを信じてよかった。」

 

アネットは笑顔で礼を言った。思わずみとれてしまったコウ。だが、顔を隠すように門に顔を向け、

 

コウ「自信を持てよ。お前は強くなれり。またな。」

 

アネット「えぇ。また。」

 

二人と別れ、2層に向かうコウ。

2層につき辺りを見渡す。キリトはもう近くにはいないようだ。ウィンドウを操作し、先ほど手に入れたラストアタックボーナスを具現化したら、

 

コウ「刀か・・・」

 

本来まだ現れない刀だった。それを握りしめ、空をみた。

 

コウ「キリト、お前だけに背負わせない。俺も強くなる。だから負けるなよ。」

 

新たな層をゆっくりと歩きだした。




主人公に早早と刀を持たせてみました。
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