ソードアートオンライン×比企谷八幡   作:水無月優

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第006話

今日は絶好のお昼寝日和ってわけで第五十九層《ダナク》の主街区広場にある草むらで寝っ転がっている。ただでさえ毎日攻略に勤しんでいるのだからこんな日ぐらい寝てたって誰も文句は言わないだろう、と思っていたら草を踏みしめる音が聞こえたので目を開けるとそこにはアスナが立っていた。

 

「何してるの?」

 

「アスナか…なんか用か?」

 

「攻略組のみんなが必死に迷宮区に挑んでいるのになんでエイトくんはのんびり昼寝なんてしてるのよ。いくらソロだからって、もっと必死に…」

 

「今日はアインクラッドで最高の季節に最高の気象設定だ。むしろこんな日に迷宮に潜っちゃもったいないだろ?」

 

「分かってるの?こうして1日無駄にした分、現実での私たちの時間が失われていくのよ?」

 

「でも今の俺たちはアインクラッドで生きてる。偽物じゃない、本物の世界で。偽物じゃこんな気持ちいい風感じられないだろ」

 

「そうかしら?天気なんていつも一緒じゃない」

 

「アスナもこうして寝っ転がってみればわかる」

 

俺はまた目を閉じる。隣でガサガサと草むらに腰を下ろす音が聞こえた。どうやら説得に成功したらしい。少しの間うたた寝していると隣でアスナの寝息が聞こえるので起き上がる。ちょっと不用心すぎじゃないですかね?とりあえずアスナが起きるまでアイテムの整理でもしますかね。

 

数時間経ったところでアスナがくしゃみとともに目覚めた。

 

「…うにゅ…」

 

アスナは謎の言語で呟いたあと、数回瞬きし、俺を見上げた。その目が徐々に開かれていく。

 

「え…な…どうし…」

 

「よく眠れたか?」

 

アスナは顔を赤くして黙り込んでしまった。何言われるんだろう。怖いなーとか思ってるとアスナが言葉を絞り出す。

 

「……ご飯一回」

 

「ん?」

 

「ご飯、なんでも一回奢る。それでチャラ!わかった?」

 

そう言われた俺に拒否権なんて最初からなかった。

 

「お、おう…」

 

 

 

俺たちは場所を移して第五十七層主街区《マーテン》に来ていた。適当なレストランに入り、席に着く。

 

「ま…なんていうか、今日は…ありがと」

 

「へ?」

 

《閃光》のアスナさんから感謝の言葉が聞けるとは思ってなかったから変な声出ちゃったよ…

 

「ありがとう、って言ったの。ガードしてくれて」

 

「ああ…どういたしまして?」

 

「なんで疑問形なのよ」

 

そう言ったアスナは微笑んで普段クールなイメージの彼女とのギャップで不覚にも可愛いと思ってしまった。少し気まずくなって目を逸らす。

 

「えー…あーっと…なんだ、その、また外で寝たくなったら見といてやらんこともない」

 

「そうね。また同じくらい最高の天候設定の日が来たら、お願いしようかしら」

 

なんて話をしているとどこかから、紛れもない恐怖を感じた悲鳴が聞こえた。

 

「…きゃああああ!!」

 

俺たちはすぐさま外に駆け出し声のした方へとダッシュする。円形の広場に出るとそこで俺は信じられないものを目にした。広場の北側には、協会らしき石造りの建物がそびえている。その二階中央の飾り窓から1本のロープが垂れ、輪になった先端に男が1人、ぶら下がっていた。その男の胸には1本の黒い短槍が刺さっている。

 

「エイトくんは下で受け止めて!」

 

そういうとアスナは教会の建物内へと走っていく。

 

「了解!」

 

アスナにそう返すと俺は男がぶら下がる真下へと走る。しかし、その直後男は無数のグラスが砕け散る音とともにポリゴンとなって消滅する。俺はデュエルで勝利した者に表示されるウィナー表示を探すために辺りを見渡すが、見当たらない。

 

「みんな!デュエルのウィナー表示を探せ!」

 

だが、発見の声は無い。それなら建物の中か。窓からアスナの姿が見える。

 

「アスナ!ウィナー表示あったか!?」

 

「無いわ!システム窓もないし、中には誰もいない!」

 

「なぜだ……?」

 

とりあえずアスナと合流するために教会の二階まで駆け上がる。二階には固定されたロープと男に刺さっていた短槍があった。

 

「どういうことだ…?」

 

「普通に考えれば…あのプレイヤーのデュエルの相手がこのロープを結んで、胸に槍を突き刺したうえで、首に輪を引っ掛けて窓から突き落とした…ってことになるのかしら?」

 

「でもウィナー表示がどこにも出なかった」

 

「有り得ないわ!《圏内》でダメージを与えるには、デュエル以外の方法はないもの。どちらにしてもこのまま放置はできないわ。もし、《圏内PK技》みたいなものを誰かが発見したのだとすれば、早くその仕組みを突き止めて対抗手段を発表しないと大変なことになる」

 

「そうだな」

 

「前線を離れることになっちゃうけど仕方ないか。なら解決までちゃんと協力してもらうわよ。言っとくけど昼寝の時間はありませんから」

 

そう言いながらアスナは右手を差し出してきた。

 

「寝てたのはどっちだか…」

 

俺は悪態をつきながらも手を差し出す。この《圏内事件》に関しては協力するってことで俺たちは握手を交わした。

 

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