ソードアートオンライン×比企谷八幡   作:水無月優

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第007話

証拠品であるロープと短槍をストレージに入れて俺とアスナは教会の出入口へと戻った。その場にいた人達はこちらに注目していたので少し大きな声で呼びかける。

 

「さっきの一件を最初から見てた人、いたら話を聞きかせてほしいんだが」

 

数秒後、おずおずという感じで1人の女性プレイヤーが進み出てきた。心外にも俺を見て怯えたような顔をする女の子に代わりにアスナが優しい口調で問いかけた。この腐った目のせいですね、はい。

 

「ごめんね、怖い思いをしたばっかりなのに。あなた名前は?」

 

「あ……あの、私、《ヨルコ》っていいます。私…私、さっき…殺された人と、友達で今日は、一緒にご飯食べにきていたんです。あの人名前は《カインズ》っていって、昔同じギルドにいたことがあって、でも広場ではぐれちゃって。周りを見回したらいきなりこの教会の窓から彼が……」

 

それ以上は言葉にならないというように、両手で口許を覆う。アスナが背中をさすりながら優しく問いかける。

 

「その時、誰かを見なかった?」

 

「一瞬なんですが、カインズの後ろに誰か立っていたような気がしました…」

 

「その人影に見覚えはあった?」

 

ヨルコさんは首を横に振って俯く。

 

「嫌なこと聞くようで悪いんだが、カインズさんが誰かに狙われる理由に心当たりはあるか?」

 

ヨルコさんは少し考えた後、首を横に振る。俺とアスナは一旦ヨルコさんを宿まで送ることにした。

 

「すみません、こんなところまで送ってもらっちゃって…」

 

「気にしないで。それよりまた明日お話を聞かせてくださいね」

 

「はい…」

 

ヨルコさんが宿の中に入るのを見送り、アスナと今後について話すことにした。

 

「さて、どうする?」

 

「手持ちの情報を検証しましょう。あのスピアの出どころが分かればそれから犯人が追えるかもしれない」

 

「となると《鑑定》スキルがいるな。アスナは上げて…るわけないよな」

 

「当然、エイトくんもね?」

 

「だよな…フレンドとかに宛はいるか?」

 

「うーん…友達で武器屋やってる子が持ってるけど、今は1番忙しい時間だし、すぐには頼めないかな…」

 

「じゃあ俺の知り合いの雑貨屋にでも頼むか」

 

てことで第五十層主街区《アルゲード》にあるエギルの店に行くことにした。到着すると丁度店から男性プレイヤーが出てきたと思ったらため息をついて去っていった。

 

「相変わらずあこぎな商売しているみたいだな」

 

「よお、エイトか。安く仕入れて安く提供するのがウチのモットーなんでね」

 

「後半は疑わしいけどな」

 

エギルは拳を突き出してくる。いやいつもそんなことしないじゃん。コミュ力高すぎだろ、と思いながらも拳を突き出してエギルの拳にぶつける。

 

「何を人聞きの悪いことを…って」

 

エギルは後ろにいた珍しい連れに気づいて俺にだけ聞こえるように耳打ちしてくる。

 

「ど、どうしてエイト、ソロのお前が、し、しかもアスナと一緒とはどういうことだ…?お前ら仲悪かったんじゃなかったのか?な、なんか言えって!」

 

ちょっと揺らしすぎだって。ほら、アスナさんが苦笑いしてるから。とまあ挨拶もそこそこに二階の部屋で事件の内容をエギルに話した。

 

「圏内でHPが0になった、だと…!?デュエルじゃないのか?」

 

「ウィナー表示を発見できなかったんだ」

 

「直前までヨルコさんと歩いていたのなら《睡眠PK》の線も無いしね」

 

「突発的デュエルにしてはやり口が複雑すぎる。事前に計画されたPKなのは確実だと思っていい。そこでこいつだ」

 

俺はテーブルに先程回収した短槍を置き、エギルに《鑑定》を頼む。

 

「プレイヤーメイドだ」

 

「マジか」

 

「誰なんですか?作成者は」

 

「《グリムロック》…聞いたことないな。少なくとも一線級の刀匠じゃねえ。それに武器自体も特に変わったことはない」

 

「でも、手がかりにはなるはずよ」

 

「一応固有名も確認してくれるか?」

 

「えっと…《ギルティソーン》となってるな。罪の茨、ってとこか」

 

「罪の茨…」

 

俺はエギルに渡されたそれをしばらく見つめていると刺してみたらどうなるんだろうという純粋な疑問が湧いてきた。まあ死ぬわけあるまいし試してみるか。俺は左手で逆手持ちにし、右手の甲へと切っ先を向ける。刃の先端が刺さる寸前でアスナに左手を捕まれ止めらてしまった。

 

「止めなさい!」

 

「なんだよ……」

 

「なんだよじゃないでしょ!?バカなの!?その武器で実際に死んだ人がいるのよ!」

 

「でも試してみないと何とも言えないだろ?」

 

「そういう無茶はやめなさい!」

 

そういうと《ギルティソーン》はアスナにひったくられ、エギルに差し出された。

 

「これはエギルさんが預かっててください!」

 

おもちゃを取り上げられた子供ってこんな気持ちなのかなと思っていると、アスナは頬をぷくっと膨らませて怒ってますって顔になっていた。ちょっと可愛いじゃねぇか」

 

「なっ……!」

 

アスナさんそんな茹でダコみたいに顔真っ赤にするほど怒ってるんですかって思ってたらエギルがやれやれって顔してた。まさかまた口に出てたのか…これなんてデジャヴ?

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