ソードアートオンライン×比企谷八幡   作:水無月優

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第012話

俺たちは五十五層の西の山にドラゴンを探しに来ている。しばらく歩いていると後ろでくしゃみをする音が聞こえた。

 

「寒ぅ…」

 

「余分な服とか持ってないのか?」

 

「五十五層が氷雪地帯だなんて知らなかったのよ…うぅ…」

 

ったく、世話が焼けるな。俺はコートを実体化させるとリズベットに被せてやる。

 

「あんたは大丈夫なの?」

 

「人生は寒いからな…このくらいの寒さどうってことない」

 

決まったぁ…!ドン引きされてる気がしないでもないが我ながらいいセリフだと思う。

 

「なんかむかつくわね…でも、暖かい…」(こんな男と2人きりで出かけることになるなんて…妙なことになったなぁ)

 

「どうしたリズベット…もう限界か?」

 

「まだ余裕よ!ていうかどうせ呼び捨てにされるならリズでいいわよ」

 

「わかったよリズ…これでいいか?」

 

「調子に乗るなぁ!」

 

奥へと進んでいくと水晶の密集地帯に到着する。俺は何度か攻略で来ているがリズは初めてだからか子どものようにはしゃいでいる。

 

「綺麗…!」

 

リズが奥に向かって走り出そうとしたのでフードを掴んで止める。

 

「何すんのよ!?」

 

「転移結晶の準備しとけ」

 

「わかったわよ…」

 

「ここからは俺1人でやる。リズはドラゴンが出たらその辺の水晶の陰に隠れろ。絶対に顔出すなよ?」

 

「何よ!あたしだって素人じゃないんだから手伝うわよ」

 

「駄目だ!!」

 

「っ!」

 

珍しく大きい声を出してしまった、俺だって好きでこんなに厳しくしてるわけじゃない。この世界はゲームであっても遊びではないのだから。リズは真剣な表情で頷く。

 

「よし、急に怒鳴って悪かったな。じゃあ行こうぜ」

 

俺はリズの頭をポンポンと軽く叩くと再び歩き出す。するとドラゴンの咆哮が聞こえた。

 

「リズ!その陰に隠れてろ!」

 

「うんっ!」

 

ドラゴンは近くまで降りてくると口を大きく開け、口元が光出す。

 

「ブレスよ!避けて!」

 

ドラゴンはブレスを吐き出してくるが、避けずにソードスキルで相殺する。

 

「すごい…あんな細い武器で…一体何者なの…?」

 

その後も確実にドラゴンの攻撃を捌きながらダメージを与えていく。ドラゴンの右手を部位破壊したところでリズが陰から出てきて声をあげる。

 

「ほら!さっさとカタをつけちゃいなさいよ!」

 

「馬鹿!まだ出てくるな!」

 

「何よ…もう終わりじゃな…」

 

ドラゴンはリズに気づくと翼を大きく羽ばたかせると吹雪を起こし、それはリズを覆い隠すように迫っていく。

 

「きゃあああ!」

 

「リズ!くそ!」

 

リズは吹雪に飛ばされ、大きな穴に飛ばされてしまった。

 

「嘘ぉ…!嘘…!?」

 

俺は穴に勢いよく飛び込むと空中でリズの手を掴み、たぐり寄せる。少しでも落下速度を落とすために持っていた剣を逆手に持ち替え、壁に突き刺す。しかし、途中で剣から手が離れてしまった。

 

「しまっ…!」

 

そのまま俺たちは穴の最深部まで落下してしまう。目を開けると俺のHPゲージはレッドゾーン、リズのHPはイエローゾーンまで削れてしまっていた。

 

「生きてた…みたいだな…」

 

「うん…生きてた…」

 

「とりあえず飲んどけ」

 

俺はリズに回復ポーションを渡し、自分も口にする。

 

「あの、ありがとう…助けくれて…」

 

「おう、でも礼を言うのは早いぞ。どうやって抜け出したもんかな…」

 

「え…?テレポートすればいいじゃない。転移、リンダース!」

 

しかし何も起こらなかった。

 

「そんな…」

 

「転移結晶が使えないってことは別の手段があるばすだ」

 

「そんなのわかんないじゃない!落ちた人が100%死ぬって想定したトラップかもよ!」

 

「いや、茅場晶彦に限ってそんな仕様にはしないはずだが…そういうパターンもあるかもな」

 

「あんたねぇ…!もうちょっと元気づけなさいよ!」

 

「アイデアがあるにはある…」

 

「ほんと!?」

 

「ああ、壁を…走って登る…」

 

「…馬鹿…?」

 

「言ったな?じゃあ試してみるか?」

 

俺は助走をつけると壁に向かって走り出した。思い切りジャンプし、壁を走ろうとするが、数歩進んだところで滑って落下した。

 

「何やってんのよ…」

 

「俺はキリトと違って敏捷特化じゃないから無理だったか…」

 

 

 

 

 

 

結局大した策も思い浮かばないまま夜になった。仕方なく今日はここで寝ることにする。寝袋2つとランタンを取り出してリズと横になる。

 

「なーんか変な感じ。現実じゃ有り得ないよ…こんな初めて来る場所で、初めて会った人と、並んで寝るなんてさ。しかも壁とか走り出すし、ほんと変な奴だね!」

 

「悪かったな…」

 

「ふっふふ…ねえ、エイト聞いていい?」

 

「どうした?」

 

「なんであの時、あたしを助けたの?」

 

「誰かを見殺しにするくらいなら一緒に死んだ方がマシだ…それがリズみたいな女の子なら余計に…な」

 

「馬鹿だねほんと…そんなやつ他にいないわよ……ねえ…手、握って」

 

ボッチにそれはハードル高すぎません?とも思ったが、ここでノーと言えるほどの度胸があるわけでもなかった。

 

「あぁ」

 

俺はリズの手を握る。

 

「暖かい…あたしもエイトも…仮想世界のデータなのに…」

 

「リズ…でも俺たちは今、ここで生きてる」

 

「そうだね…」

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