ソードアートオンライン×比企谷八幡   作:水無月優

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第013話

目が覚めて横を見るとリズがまだ寝息をたてていた。俺はもしここがドラゴンの寝床だったなら金属があるかもしれないと思い、雪をかき分けていると埋まっているものを見つける。ちょうどリズも起きたようで目を擦りながら近づいてきた。

 

「どうしたっての?」

 

「ああ、ほらよ」

 

そう言って今掘り当てたばかりのものを見せる。アイテム名は《クリスタライト・インゴット》。

 

「これって…!」

 

「俺たちが取りに来た金属で間違いないだろうな。ドラゴンは水晶をかじり、腹の中で生成する。見つからないわけだな」

 

「やったね!でも、なんでこんなところに?」

 

「この縦穴はトラップじゃなくてドラゴンの巣だったってことだ」

 

「えぇ!?」

 

「つまり…そのインゴットはドラゴンの排泄物だ。俗に言うウ〇コだ」

 

「ん…?ちょっ!ちょっと!」

 

リズはその正体を知って慌てて放り投げてくる。俺はそれをキャッチしてウインドウを開き、アイテムボックスにしまう。

 

「とりあえず目標達成だな。あとは出る方法だが、そろそろ帰ってくるんじゃないか?」

 

「え…?き、来たぁ!」

 

どうやらドラゴンが帰ってきたみたいだ。ナイスタイミング!

 

「ちょ、ちょっと何!?うわぁ!」

 

俺はリズを肩に担ぐと剣を振り払い、雪を煙幕に見立ててドラゴンの視界から消える。ドラゴンが俺たちを見失ったところで某有名ヒゲおじさんの如く壁キックで宙を舞い、ドラゴンの背中に飛び乗ると剣を突き刺す。

 

「ちゃんと捕まってろよ!」

 

ドラゴンは暴れ回ると急上昇して出口目掛けて飛んでいく。

 

「きゃああああ!」

 

「外だ!」

 

ドラゴンは巣から出ると急停止し、その勢いで剣が抜けてしまい2人共空に投げ出されてる。上空から見る景色は朝日に水晶が照らされ、幻想的な空間が広がっていた。俺はカッコつけて落下しながらリズに手を差し伸べる。リズは手を繋ぎながら口を動かした。

 

「エイトー!あたしね!」

 

「あー?なんだってー?」

 

「あたし!エイトの事!すきー!」

 

「全然聞こえねーよ!」

 

これは難聴系主人公じゃなくても聞き取れないだろ…と思っているとリズが抱きついてきた。

 

「なんでもなーい!」

 

よかった、俺の耳がイカれたわけじゃなかった。そのまま俺たちは落下していった。

 

 

 

 

 

 

 

第四十八層《リンダース》の《リズベット武具店》に帰ってきたあたしたちはさっそく持ち帰った素材で剣を作ることにした。

 

「片手用直剣でいいのよね?」

 

「ああ、よろしく頼む」

 

「了解!言っとくけど、出来上がりはランダム要素に左右されるんだから、あんまり過剰に期待しないでよ」

 

「失敗したらまた取りに行けばいい。今度はロープ持参でな」

 

「うんと長いやつをね!」

 

あたしはインゴットを叩き始める。エイトの手の暖かさ、あたしの気持ち、錯覚なんかじゃない。満足のいく剣が打ち上がったら気持ちを告白しよう。何度とも知れない、多分200回から250回の間、槌音が響いた直後、インゴットが一際まばゆい光を放った。長方形だったインゴットが輝きながらその姿を剣へと変えていく。出来上がったそれは、とても美しい剣だった。インゴットの性質を受け継いでいるかのように、わずかに透き通っているように見える。刃の色はまばゆいほどの白。柄はやや青みを帯びた銀色だ。

 

「えーと、名前は《ダークリパルサー》ね。あたしが初耳ってことは、今のところ情報屋の名鑑には載ってないはずよ。試してみて!」

 

「ああ」

 

エイトは剣を握ると1回、2回と剣を振ってみる。

 

「…どう?」

 

待ちきれずに尋ねる。エイトはしばらく無言で刀身を見つめていたが、フッと少し笑った。エイトの初めて見る表情に不覚にもドキッとしてしまった。そんな表情もできるんだ…

 

「いい剣だ。気に入った」

 

「ほんと!?…やった!」

 

あたしは思わずガッツポーズをしてその手を突き出し、エイトの右拳にこつんと打ち合わせる。そこであたしはふと、ある疑問に気がついた。

 

「…ねぇ」

 

「ん?」

 

「そう言えばあんた最初、この剣と同等の、って言ったわよね。その白いのは確かにいい剣だけど、あんたのそのドロップ品とそんなに違うとも思えないわよ。なんでそんな似たような剣が2本も必要なのよ?」

 

「あー、詳しいことはいえないんだが、それ以上聞かないっていうなら教える」

 

「何なのよ、もったいぶって…」

 

「ちょっと離れてろ」

 

あたしを工房の壁際まで下がらせると、エイトは左手に白い剣を下げたまま、右手で黒い剣を抜き放った。両手に剣を持ってどうするんだろうと思っているとエイトは左手に持っている白い剣を空中に放り投げた。するとなんと、放り投げた剣が落下することなく空中でその動きを止めたのだ。エイトが深呼吸をすると、その剣がまるで意志を持っているかのようにエイトの周りを漂い始めた。そして右手に持っている黒い剣が光を帯び、見慣れたソードスキルを発動する。その後、エイトのスキル後硬直を補うかのように浮遊する白い剣もソードスキルを発動する。

 

「とまあ、こんな感じだ。この剣の鞘がいるな。見繕ってもらっていいか?」

 

「あ…う、うん」

 

エイトはあたしから鞘を受け取ると剣を収め、ウインドウを開いてそれを格納した。背中に2本装備するのかと思ったらそういうわけでもないらしい。

 

「…ナイショなんだ?さっきの」

 

「まあな。黙っててくれよ?」

 

「りょーかい」

 

「さて、これで依頼完了だな。剣の代金払うよ。いくらだ?」

 

あたしは一瞬躊躇ってから、ずっと胸の中で暖めていた答えを口にした。

 

「お金は、いらない」

 

「え…?」

 

「そのかわり、あたしをエイトの専属スミスにして欲しい」

 

「それってどういう…」

 

「攻略が終わったら、ここに来て、装備のメンテをさせて…毎日、これからずっと!」

 

心臓の鼓動が速まっていく。あたしの本当の心臓も、今同じようにドキドキしているんだろうか。

 

「エイト…あたし…」

 

その時、工房のドアが勢いよく開いた。




やっとオリジナルなところを出すことができました!エイトのユニークスキルは《魔法剣》です!キリトの《二刀流》の取得条件が『全ユーザーの中で最も反応速度が速い者』ということで、《魔法剣》の取得条件は『全ユーザーの中で最も精神力が強い者』でエイトが獲得したことにしようと思います!今後も引き続きお楽しみいただけると嬉しいです!
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