ソードアートオンライン×比企谷八幡   作:水無月優

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第015話

俺は第七十四層の《迷宮区》でのレベル上げを終え、現在のホームタウンである第五十層《アルゲード》に帰る途中だった。主街区に向けて歩いていると、俺の耳に聞き覚えのない獣の鳴き声が聞こえた。この世界において聞きなれない、あるいは見慣れないものの出現はイレギュラーな幸運か不運のどちらかの訪れを意味する。俺はその声の主を確認するためゆっくりと近づくと、やがてそのモンスターの姿が視界に入ってくる。俺はそのモンスターの名前を見た途端に息を呑んだ。表示されたのは《ラグー・ラビット》、超のつくレアモンスターだった。俺は腰のベルトからそっと投擲用の細いピックを抜き出し、投剣スキルの基本技《シングルシュート》のモーションに入る。投げたピックはドスッという鈍い音と共に命中し、ポリゴンとなって散る。即座にメニュー画面を確認するとそこには《ラグー・ラビットの肉》、しかも2つドロップしている。

 

「まじか…」

 

 

 

 

《ラグー・ラビットの肉》を手に入れた俺は第五十層《アルゲード》にあるエギルの店に来ていた。早速中に入るとキリトもいたので手を振ると振り返してくれる。

 

「よぉキリト、こんな狭い店に何か用か?」

 

「あのなぁエイト…」

 

「あはは…ちょっと掘り出し物でもないかなって思って!」

 

「それならタイミングバッチリな物があるぞ」

 

そう言って俺は今日の戦利品を2人に見せる。

 

「おいおい、S級のレアアイテムじゃねえか…!俺も現物を見るのは初めてだぜ…エイト、お前金には困ってねぇんだろ?自分で食おうとは思わんのか?」

 

「そうだよエイト!せっかくなんだし自分で食べなよ!」

 

「俺も食べようと思ったんだが、こんなアイテム扱えるほど料理スキルを上げてるやつなんて…」

 

「それもそうか…俺たちが焼いても焦がしちまうだけだしな」

 

どうしたものか…と考えていると後ろから肩をつつかれた。

 

「エイトくん」

 

振り返るとアスナが立っていた。俺は思わずアスナの両肩に手を置いて言い放った。

 

「シェフ捕獲」

 

「な…なによ」

 

するとアスナの後ろに長髪でガリガリの血盟騎士団員に睨まれて慌てて手を離す。俺の後ろからも殺気が向けられてる気がするんだけど気のせいだよね?

 

「アスナ久しぶり!」

 

「キリトちゃん!久しぶり〜!」

 

2人はお互いに近づくと熱い抱擁を交わす。なんか女の子同士のこういうところを見ているとソワソワするのは俺だけだろうか…抱擁が終わるとアスナはこっちに向き直って聞いてくる。

 

「それで、何よシェフどうこうって?」

 

「あぁ、そうだった。アスナは今料理スキルどのへんなんだ?」

 

「聞いて驚きなさい!先週にコンプリートしたわ!」

 

「な…なんだと…」

 

「え〜!すごい!私なんて全然戦闘に関係ないスキル取ってないよ!」

 

「なら、その腕を見込んで頼みがある」

 

俺はアイテムウインドウを他人に見える可視モードにしてアスナに見せる。

 

「うわっ!こ…これ、S級食材!?」

 

「取引だ。こいつを料理してくれたら一口食わせてやる」

 

それを聞いたアスナは俺の胸倉をがしっと掴んでそのまま顔を数センチの距離までぐいっと寄せると、

 

「は・ん・ぶ・ん!!」

 

俺は突然の不意打ちにドギマギしながらもコクコクと頷くしかなかった。近い近い、いい匂い…

 

「エイト!私も食べたい!お願い!」

 

キリトはそう言いながら両手を合わせてこちらを上目遣いで見てくる。可愛いな、おい。

 

「わかったよ、キリトも一緒に食べよう」

 

「ありがとう!それでも少し余るしリズとシリカちゃんも呼んだらどうかな?」

 

「キリトちゃんそれいい考え!」

 

なんか俺抜きでどんどん話が進んでいってしまった。まあ、2人が楽しそうだし良しとしますか…俺はエギルの方を向いた。

 

「悪いな、そんな訳で取引は中止だ」

 

「いや、それはいいけどよ…なあ、俺たちダチだよな?な?俺にも味見くらい…」

 

「感想文を八百字以内で書いてきてやるよ」

 

「そ、そりゃあないだろ!?」

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