第001話
俺は仮想世界に入って初めて流れ星を見た。いや、現実世界を含めても何年ぶりに見たのだろうか。俺はあの時と同じ感覚に囚われる。なぜ流星というのはこうも儚く、綺麗なのだろうか。実際には流星ではないのだが、目線の先のプレイヤーが放つ細剣で一番最初に習得できる《リニアー》が俺にはそう見えた。モンスターに《リニアー》が命中し、HPが0になりポリゴンとなって砕け散るとそのプレイヤーは力尽きたようにその場に座り込んでしまった。新しくリポップしたモンスターがそのプレイヤーに近づいてることに気づいた俺は隣にいたキリトに声をかける。
「キリト!あの子を頼む!俺はあいつの相手をする!」
「うん!わかった!気をつけてね!」
俺は今にも振り下ろされそうな《ルインコボルド・トルーパー》の斧と座り込んでいるプレイヤーの間に割って入る。斧での攻撃を弾き、片手直剣用の初期スキル《スラント》を発動する。《スラント》はモンスターに直撃し、先程のようにポリゴンとなって砕け散った。俺はキリトの元に駆け寄る。
「どうだ?」
「大丈夫。意識を失っただけみたい」
「とりあえず安置まで運ぶか」
「そうしよ!」
2人で運ぼうとするとそのプレイヤーのフードが脱げ、長い髪がフードから流れ落ちる。
「お、女の子だったのか…」
「ほ、ほんとだ…!女性プレイヤーって少ないから嬉しい!ってエイトは触っちゃダメ!移動中の護衛でもしてて!」
ぷくっと頬を膨らませるキリトにそう言われてしまった。そんなに怒らなくても…やっぱりこの目が悪いんですかね…
とりあえず安置についたので彼女が起きるのを待つ。しばらくすると彼女が目を開いたのだが、予想外の言葉が出てくる。
「余計な…ことを」
「な…!そんな言い方…!」
俺はキリトを制止すると彼女に向かって口を開く。
「お前を助けたわけじゃない。助けたかったのはマッピングデータだ。気を失うほど潜っていたなら未踏破エリアをかなりマッピングしただろう」
「…なら、持っていけば」
そういうとマップデータが記された羊皮紙をアイテム化し、こちらに投げてくる。
「それで、あなた達の目的は達したでしょう?じゃあ、あたしは行くわ」
「待て、お前もゲームをクリアしたいって気持ちは同じだろ?迷宮で死ぬためじゃなく。それなら、《会議》には顔を出してみてもいいんじゃないか?」
「…会議?」
「今日の夕方、迷宮区最寄りの《トールバーナ》の町で、一回目の《第一層フロアボス攻略会議》が開かれるんだ」