俺達は街に入ってすぐに数人のプレイヤーに声をかけられた。
どうやらシリカがフリーになったのを聞きつけてパーティーに勧誘するつもりらしい。
「あ、あの…お話はありがたいんですけど…しばらくこの人とパーティーを組むことになったので…」
シリカは嫌味にならないよう一生懸命断っているのだが、なかなか納得してもらえないようだ。
俺がいても仕方ないと思い、その場から離れようとするとシリカを誘っていた男に声をかけられてしまった。
「おい、あんた。見ない顔だけど、抜けがけはやめてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声かけてるんだぜ」
「いや、そんな事言われてもな…」
面倒なことになった。どうしようか悩んでいるとシリカが割って入ってきた。
「あたしから頼んだんです!すみませんっ!」
そういうと俺の服の袖を引っ張りながら歩き出す。プレイヤー達の姿が見えなくなったところでシリカが立ち止まりこちらに振り返った。
「す、すみません…迷惑かけちゃって」
「大丈夫だ、色々大変だな」
「いえ…あ、エイトさんのホームはどこに…」
「いつもは五十層なんだが…面倒だし、今日はここに泊まろうかな」
「ほんとですか!それじゃあ案内しますね!」
また服の袖を引っ張りながらシリカが歩き出そうとしたところで止まる。
何やら向こうから4、5人のパーティーが向かってきた。
「あら、シリカじゃない」
「どうも…」
「へぇ〜森から脱出できたんだ。よかったわね。でも、今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっちゃったわ」
「要らないって言ったはずです!急ぎますから」
シリカはさっさと宿屋に入ろうとするが、赤髪の女はまだシリカを解放する気は無いようだ。
「あら?あのトカゲ、どうしちゃったの?もしかしてぇ…?」
「死にました…でも!ピナは絶対生き返らせます!」
赤髪の女はわずかに目を見開き、小さく口笛を吹く。
「へぇ、てことは、《思い出の丘》に行く気なんだ。でも、あんたのレベルで攻略できるの?」
「できるぞ」
さすがに見ていられなくなった俺はシリカの前に出て続ける。
「そんなに難易度の高いダンジョンじゃない」
「あんたもその子にたらしこまれた口?見たとこそんなに強そうじゃないけど」
シリカが肩を震わせている。これ以上ここにいるのは得策じゃないな。
「行くぞ」
俺はシリカの肩を軽く叩くと宿屋に向かって歩き出す。
「ま、せいぜい頑張ってね」
あの女の笑いを含んだ声が背中を叩いたが、振り返りはしなかった。