俺は第56層主街区《パニ》で開かれるフィールドボス攻略会議に参加するために会場を訪れていた。少し辺りを見渡すと見覚えのあるバンダナが見えた。クラインはこちらに気づくと手を振って声をかけてきた。
「おー!エイト!元気だったか?」
「クライン、お前は相変わらず元気そうだな」
「まあな!お、あれキリトじゃねぇか?キリトー!こっちこっち!」
キリトはクラインに呼ばれてこちらに気づいたみたいだ。
「エイトもいるから来いよー!」
それを聞いた途端もの凄いスピードでこちらに駆け寄ってきた。な、何か悪いことしましたかね俺…
「クライン久しぶり!エイトと一緒だったんだね!」
そういうとキリトはこっちを見て、にこっと笑った。「なにそれかわいい」
「えっ!?」
キリトがびっくりした顔で頬を赤らめている。これはもしかして口に出ちゃってました?アスナさんには睨まれてる気がするのは気のせいじゃないですね。クラインは呆れた顔でやれやれみたいなジェスチャーをしている。クラインに目で助け舟を求めると話題を変えてくれた。
「エイトとキリトはたまにパーティー組んでるんだっけか」
「まあな」
「でもエイトいっつもあれがあれであれだからって意味わかんないこと言って断ってくるんだよー!クラインからも何か言ってよ!」
「おめぇも相変わらずだなぁ」
なんて雑談をしていると人が揃ってきて会議が始まる。みんながざわざわしているとそれを制するようにアスナの凛とした声が響く。
「フィールドボスを村の中に誘い込みます」
それを聞いたみんなはさっきより大きくざわめきだす。それが効率的で安全な方法であることは確かだ。だが、俺はSAO内では例えNPCであったとしても人が死ぬところは見たくない。怖いからアスナと言い合うのは好きじゃないんだがそうも言ってられないな。
「ちょっと待て、そんなことしたら村の人達が」
俺が言い切る前にアスナが口を挟んでくる。
「それが狙いです。ボスがNPCを殺している間にボスを攻撃、殲滅します」
「NPCは岩や木みたいなオブジェクトとは違う。彼らは」
「生きている…とでも?」
「っ…!」
「あれは単なるオブジェクトです。例え殺されようともリポップするのだから」
「それでも…俺はその考えには従えない」
「今回の作戦は私、《血盟騎士団副団長》アスナが指揮をとることになっています。私の言うことには従ってもらいます」
そう言われては誰も反論することができなくなってしまい、今回の攻略会議は終了となった。俺は内心イライラしてしまっていたので、キリトとクラインには悪いと思いながらもこの気持ちを落ち着けるためにさっさと会場を後にしようとする。
「よお、また揉めたな」
声をかけられ振り返ると、エギルの姿が見えた。
「お前と副団長さんはどうしていつもああなんだ?」
「多分、気が合わないんじゃないか…?」
「ま、仲良くやれとは言わないがもう少し愛想よくしてもいいんじゃないか?」
「ご指摘どうも。まあ、善処する」
そう言ってエギルのもとを去る。しばらく移動するとキリトからメッセージが届いていたので確認する。
『さっきはありがとう!わたしもエイトと同じ考えだったけど言い出す勇気が無くて…アスナに面と向かって言ってくれて嬉しかった!あんまり考えすぎないでね!』
何この子天使すぎない…?