Fate/Grand Order ~隻眼の弓兵~   作:カルパン

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暴走 悲哀

「離せぇぇぇぇ!!!!俺はもうカルデアに帰る!人理修復など知ったことかぁぁぁぁ!!!!」

 

普段から冷静な彼の口からは、普段からでは想像できないほどに荒い口調が飛び出した

 

「ハァ……女性を前にして逃げ出すとは……君には男としてのプライドはないのかね……」

 

「黙れ!!いいからとっとと離せ!離すんだ!この紅茶!ブラウニー!女ったらし!」

 

「おい!最後の言葉は聞き捨てならんぞ!」

 

襟首を捕まれているギャレッドは、エミヤに対して罵言雑踏を浴びせ、エミヤは最後の言葉に心当たりや自覚があるのだろうか、過剰に反応した

 

「全くもう……ギャー君、どうしてあなたはいつも私が近づくと逃げるんですか?」

 

「……自分の約束……守れなかったからよ……」

 

「約……束……?」

 

「ああ、そうだよ。戦争が終わるまで、お前には会わないってな。正直、お前だけはあの村で平和に暮らしていて欲しかった……お前をいつか絶対幸せにしてやるって……ガキん頃言っただろ……」

 

「え、ええ、そうですね……」

 

戸惑うように答えるジャンヌだが、彼女はその言葉を一語一句違うことなく覚えている

 

幼少期に言われたことだが、ギャレッドが戦争に参加したあと、彼女がこの言葉の真意を妙な形で解釈してしまったのである

 

当時の彼女は、それはもう林檎よりもトマトよりも顔を真っ赤にさせた

 

しかし、自分は神に身を捧げ、万人を愛することを誓っているため、その事には応えられない。次に会ったときには伝えようと心の中で誓った

 

しかし、彼は村に帰ってくることはなく、ジャンヌが戦場に加わり始めた頃、彼女はギャレッドを見る度に、彼を追いかけ、そして彼は逃げる。その無限ループだった

 

繰り返す内に、彼女はイングランドに捕らえられ、人間としての扱いもされなかった

 

そして強姦されそうになったその時、颯爽と助けに入ったのがギャレッドである

 

所謂お姫様抱っこをされて備え付けの窓から飛び降り、馬が引く荷車に積まれた藁に飛び降り、その場を脱出した

 

彼女は抗議した。何故自分を助けに来たのかと。彼の答えは、助けたいと思ったから助けた。である

 

彼にはもっと別の理由があるが、その場しのぎの嘘半分、本音半分である

 

なんと本能的な行動であろうか。再び抗議しようとした時、彼は安堵の表情を浮かべ、穏やかな笑みでこう言った。本当に無事でよかった

 

その笑みと言葉を聞き、彼女はすっかりと彼に惚れてしまった

 

「だから約束とか守れなかったから会話するのも烏滸がましいんじゃないかと……」

 

「えっと……ギャー君……その件なのですが……私はいつでもいい……ですよ……?」

 

「へ……?何が?」

 

何故か話が徐々に噛み合わなくなってきた

 

「で、ですから!その……絶対に幸せにするって、つまり……プロポーズ……なのでしょう……?」

 

「は?何言って……あぁ、別にそういう意味で言ったわけではないぞ?ガキの戯れ言を鵜呑みにするな」

 

「えぇ……ってことは……」

 

ジャンヌは妙な勘違いをずっとしていたことに、顔を真っ赤にした

 

「えっと……もういいですか……?」

 

「……すまん、完全に皆を蚊帳の外にしていたな……えっと、皆に紹介するが、こいつはジャンヌ・ダルク、主の導きとやらでフランス軍に勢いを付けた偉大なる救国の聖女サマだよ。マスターも名前くらいなら知ってるいだろう?」

 

「救国の英雄と呼ばれた者が何を言うか……」

 

「……その名で呼ぶな……反吐が出る……!」

 

わざとらしく紹介するギャレッドを見て、エミヤがボソッと言葉を溢すと、彼は呼ばれた名に嫌悪感を漏らしていた

 

「えー、俺は藤丸立香。ここにいる人達のマスターをしてるんだ。よろしく、ジャンヌさん」

 

「エミヤだ。名も無い、マイナーという言葉にすら届かぬ知名度の英霊だ」

 

「ヤッホー!ボクはアストルフォ!どっかで会った気がするけどそれは置いとくとしてよろしくね!」

 

「デミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトです。よろしくお願いしますね、ジャンヌさん」

 

「デミ・サーヴァント……?」

 

「あ、えっと……まずはそこからの説明でしたね……」

 

ジャンヌの疑問を始めに、マシュは彼女に自分らのことと、カルデアのこと、そして人理滅却についての説明をした。あとついでにデミ・サーヴァントのことも

 

「ロマン……なるほど!夢見がちな人ということですね!」

 

現在はロマニの紹介が終わったところである

 

「な、なんだろう……この敗北感は……」

 

ロマニの扱いは相変わらずのようだった

 

「そんなことよりロマニ、お前、まさか索敵を怠っていたというわけではないな?」

 

「まさかギャレッド君にまでこんな扱いされるとは僕は思いもしなかったよ!?……でも確かにいくつかの敵性反応がある!皆!注意してくれ!特に立香君はね!」

 

ロマニが全員に注意を促すと同時に、近くの藪から獣人が斧を獲物として立香に飛びかかった

 

「……案外弱いものだな……マスター、君は後ろから指示していてくれ」

 

いつの間にか取り出していた、両手でも片手でも扱いきれる直剣と短剣で獣人を屠ったギャレッドは、立香の前に立った

 

「み、皆は迎撃!マシュは俺に来る攻撃を防御!ギャーさんは皆の撃ち漏らしをお願い!」

 

「「「「「了解!!」」」」」

 

エミヤは黒と白の中華剣を投影し、アストルフォは槍を出現させ、マシュは立香の前で盾を構え、ジャンヌは刃のついた旗を構え、ギャレッドは姿勢を最大限に低くし、走り出した

 

流石敏捷B+と言ったところか、目にも止まらぬ速さで、ギャレッドは獣のように次々と獣人を切り裂く

 

時に足首を切り、倒れふしたところに剣を突き立て、時に斧や棍棒を奪い取り、それを投げて効率的に殺してゆく

 

戦闘が終わる頃には、彼は全身に返り血に塗れている状態で獣人の胸元を突き刺していた

 

「チッ……汚ぇ……マスター、少し体洗ってくる。構わないか」

 

「えっ、う、うん……」

 

少し怯えた声で答えた立香には、ギャレッドがもの哀しげに去っていくように見えた

 

「……やはりマスターはあの反応だったか……まぁ、元が一般人のようだし、仕方ないと言えば仕方ないのだが……」

 

魔力によって編み込まれた服を脱ぎ、マントを近くの木の枝に掛けるべく取り除いた

 

フードからは艶のあるサイドテールの黒髪が溢れ落ち、端整な顔立ちは哀しみに歪んでいた

 

脱ぎ終えると、湖の水に浸かり、頭や顔、腕や手、そして血塗れの服とマントを洗った

 

「……暫くはここで休ませて貰おうか……」

 

赤く濁った湖で、彼はひっそりと誰にも聞こえないような声で呟いた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

結局、ギャレッドが戻ったのは夕暮れ頃。このまま行動していては危険と見なし、その場で野営することとなった

 

食料は獣人達の肉でなんとかし、エミヤとギャレッドが腕を振るったことにより、まずまずの出来となった

 

マスターである立香は人間であるため、睡眠を取ることに。ギャレッドも、精神的に疲れたと言い、そのまま寝た

 

「ギャー君、もう朝ですよ?起きてください」

 

「ん……母さん……もう少し……」

 

「もう、私はレーナおばさんじゃないんですよ?ほら、早く起きてください」

 

そして朝、ジャンヌは膝上にあるギャレッドの頭を優しく撫でながら起こす

 

「……よっと……」

 

「ひぁっ……お早うございます、ギャー君」

 

ギャレッドは起きるべく頭の横に手を置くと、ジャンヌが小さく悶えた

 

「……おはよう……何やってんだお前……」

 

「?何って膝枕ですけれど?」

 

「いや、聞き方が悪かった……なぜ俺は膝枕をされているんだ……」

 

「いえ、地面は硬いだろうなーと思って失礼させていただいたのですが……その……嫌、でしたか……?」

 

「い、嫌というかなんというか……別に嫌ではないんだが……」

 

段々としりすぼみになってゆき、最後には少し顔を赤くさせてゴニョゴニョと言っていた

 

「なら、問題はありませんね。さぁ、もう少し私の膝枕を堪能してくださいね」

 

「……一応聞くが、拒否権は……?」

 

「ありません♪」

 

「ハハハ……だよなー……」

 

ギャレッドは乾いた笑い声を出し、仕方なく、仕方なーくジャンヌの膝枕を堪能することにした

 

パシャっと、どこかでカメラのシャッターを切る音がした

 

To be continued.




現在のギャレッドとジャンヌの好感度

ギャレッド
大切な幼馴染

ジャンヌ
恋い焦がれて止まない想い人
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