おーるど・ふれんず   作:margarine

3 / 11
書きだめは)まだだ、まだ終わらんよッ!


3話 獅子の背に栗鼠を乗せる方法とは

生き物と大雑把に言っても、ある程度差別化は人間によってなされている。

呼吸方法、繁殖方法、睡眠方法、体毛、爪、鱗に至るまでその動物の種類を見分ける指標となり得る。

しかし、その中で最も原始的で、簡単な分類方法は『食うか食われるか』であろう。

水中の微生物はその物理的に小さなコミュニティの中で小さいものが大きいものに食われる、という関係を保って生きている。そして肥えた大きめの微生物を、小魚などの比較的小さな魚類などがそれを食す。更にはそれを大型の肉食魚が食べ、それを哺乳類や爬虫類などの地上を生業の場とする生き物が食す。また今度は、空を飛ぶ大型の肉食の鳥が食す。そして最終的には生物の亡骸を分解する微生物に行き着き、再び長い循環が行われる。

それは当然の自然の摂理で、崩れることのない絶対の法則である。

しかしそれは神々が考えた計画の中では邪魔なものでしかない。

 

「んー……」

 

そんなトピックスを鼻にシャープペンシルを乗っけた少女ーーーーーーー真栄城 叶華は真剣に考察していた。

約3日をかけてヨーロピアンな巨大豪邸に必要なものを詰め込み、ある程度改造(魔改造)を行なった叶華は早速、お仕事を果たしに行こうとしたが、この問題を思いついてしまい、2日経った今もこうやって考察しているのだ。

が、全然思いつかない。

折角、幻獣や伝説上の動物を連れてきても、その中で食物連鎖が起きてしまっては結局、どうしようもない。

それに連れてくるだけでも一苦労、どうしたものか……

いや、ある程度案は出ているのだが、食物連鎖の件が非常に難しい。

この問題は飢えたネコ科の動物の目の前に鼠を解き放ち、待てをさせるようなものだ。

誰でも本能には逆らえない。

そして、神々のリクエストの不死。

これは私が授けてあげることは直接的にはできない。これは、神々の権能であり特権だ。

間接的にならできるのかと言われるだろうが、その方法を探しているのだ。

何らかの形で魂を安定させる、もしくは補完させることが望ましい。

いやだがしかしそんな物質は………

ありとあらゆる思考が手詰まりとなり、古代生活ははやくも手詰まりとなりそうだ。

それにそれ以外の問題もこの5日の間に浮き彫りとなった問題があるのである。

その1、神々が作ったこの群島は熱帯、乾燥帯、亜熱帯、温帯、高山気候、冷帯など比較的多くの気候帯を持っているものの、それだけ無理して作ったということか、あまり気候が安定しない。

その2、絶海の群島なので地球上などの位置かどうかわからない。

その3、現在は人間の五つの世代のうち三つめの『青銅の種族』、最も好戦的で、戦乱の絶えない時代だ。つまり、現代の様に人と接すると、武器を突きつけられる、といったことがありそうなので、ヨーロッパの方に行くのには細心の注意を挟まなければならない。

幸い、違う文化圏であれば人間の歴史も同じなので、今はそちらの方の動物を重点的に連れてこようという計画だ。

しかし、今はまだ大前提がなされていないのだ。

あ、大昔に絶滅した動物は、神々からDNAのサンプルが家を作った時に送られてきた。それだけした送られてきてないということは、それだけでも容易に作れるということだろう。

 

『捗っていますか、叶華?』

 

「うわぁ!?」

 

ガシャコーン、と唐突に頭に鳴り響く声に驚かされ、椅子と共に後ろに落下。

頭を打った様で、鈍い衝撃が頭を揺らす

 

「いつつ……」

 

『あ、あらごめんなさい。そんなにびっくりするとは思わないで……』

 

またも頭に鳴り響く声は、私を驚かせたことを謝罪してくる。

頭をさすりながら、この不可解な現象の主にいえいえと、

 

「私は大丈夫ですよアテナさん。そんなこともできたんですね。仕事の方は、まぁ、問題が多くて大変ですよ……」

 

『そうですか、具体的に何に困っているのです?』

 

「んー、問題はかなり多いですけど、致命的なのは動物の力関係による食物連鎖の発生が一番な問題ですね。違うところにいて、それでいて気性の荒い幻獣が多いのに、幾つかの島があるといえど近くにいるのはまずいと思うんです。」

 

『なるほど……』

 

「本能をある程度制御させつつも、理性と倫理観があり、他の動物を襲わない様にさせるのが第一目標です。そして次に神様達からの不死性が欲しいという要望ですが、これも難しいですね。魂を何らかの形で補完させさえすれば、もともと生命力の強いものはは姿勢に近いものを手に入れるでしょうが、何たってそんな物質は未だ見たことないですし………」

 

『………』

 

私が話し終わると、アテナさんはしばらく黙っているが、何やら思案していた様だ、それほど時間をおかず開口する。

 

『それならいいモデルがあるじゃないですか。』

 

「?と言うと?」

 

『ある程度野性はありつつも、理性が共存し、そして知性のある生き物、それをモデルにすればいいのではないでしょうか?』

 

アテナさんの言葉に、稲妻に打たれたかの様な衝撃を受ける。

あー、なんでそれを思いつかなかったんだろう?

よく考えればそれぐらいしか良案があるとは思えない。

思った以上に単純で、それでいて今まで架空でしか表現できなかったこと。

 

「動物擬人化ですね!?なるほど……本当にありがとうございます、検討してみます!」

 

『あら、流石に頭の回転は速いですね。ええ、あなたの健闘を祈っていますよ。それでは。』

 

簡潔にそれだけ、どこか嬉しそうな感情をにじませながら、アテナさんは交信を切る。

 

これでアテナさんのお陰で大分、方向性が見えてきた。

鼻と口の間のシャープペンシルを執り、思いついたアイディアを忘れないうちに書き留める。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

動物擬人化計画

 

・作戦の中枢 物質X(未命名)

 

物質Xの性質

・魂の中枢に直接結合。

・結合した相手の魂を直接、人間のものに変化。ある程度の魂の質量を必要とする。

・魂の補完を行い、もともと生命力の強い個体には不死性を与える。

・生命活動維持に必要な熱の生産を行う、イメージとしてはエンジン。

・高エネルギー体。

・魂をコーティングするので、強度はある程度高い。

・動物の頃の身体的特性などはある程度引き継ぐ。

・本来、人間より寿命の短い種族は、大体人間と同じくらいの寿命になる。

・基本的に友好的で楽観的な性格よりに。

・有機物もしくは無機物に反応するかで要検証。

・多種類作り、気候の安定ができるものを作る。

・争いを避けるために肉体の基本的構成、脳などの思考回路は女性のものとする。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

取り敢えず思ったことを書き連ねた。

なので、計画名は適当だし、物質名は未定だ。

しかし創造するものの目星はたった。

あとは作るだけであるが、しかしここでも問題を考えついてしまう。

 

「一体どれだけの数が必要になってくるんだろう?」

 

地球に住むほ乳類の数は1990年〜1999年までの統計資料によれば4629種、ただ絶滅種も含めていないし、鳥類も爬虫類も含めてはいない。

私の能力でバンバン捕獲はできるものの、その物質の生産が間に合わなければ意味がない。

つまり、半自動化した生成ラインが必要、そのために一つ試作品を作り、仕組みを解明しなければならない。

それか私が一度に膨大な量を創造し、どこかにしまっておくかだが………

あ、時間があるし貯金方式で徐々に貯めていくでもいいか。

そうと決まれば、

 

まず目を閉じる。

 

真っ暗、光の差さない意識の中。

 

黒く塗りつぶされた視界に、想像で白いキャンパスを生み出す。

 

その前に私が立つ。実際にはそんなこと一切していないが、創造は想像から成る、とゼウスさんに言われたので忠実にその言葉に従う。

 

まずは形状から考える、正四面体、長方形、円錐形、球体、星型まで、ありとあらゆる形を考える。魂を完全に覆えて、内部まで浸透するを選ぶのだ。しかし魂の形なんて………あ、呼び出せばいいじゃんここに。とういうわけで、右掌の上に魂の見本を顕現させる。

 

白光を伴いながら現れたそれは、重力で光を垂らしていたが、確かに正方形をしていた。おぉ、と感心して左右に動かしてみると白い尾を引いて移動する。伝承で人魂に尾のように垂れている部位が存在するのはそういうことか、と納得する。

つまり、この形にベストフィットするであろう形は当然、これと同じ正方形だろう。

次は、というほど工程はそれほど残されてはいない。

私の思い描いた性質、それを無闇にただただ放り込んでいく、それだけの簡単なお仕事だ。紙の内容さえ覚えておぼえていれば子供でもできる。

 

一通り、自分が付与したい性質をキャンパスの余ったところに先ほどと同じように書き込み、次回からショートカットに保存し、暗闇から浮き出てきた『実行』のボタンを押す、目標成就の期待を込めて。

 

現実へと意識が戻ってくる。

ゆっくりと目を開ける。

 

「わぁっ!」

 

目の前のソレに対し、成功したことへの安堵とその美しさに対して感嘆する。

そのフォルムは私が思案したものと全く同じのものだ。しかしソレとは比べ物にならないくらい流麗で綺麗なものだった。

縦、横、高さにおいて数nmの狂いもない完璧な正方形の形状。

クリスタルのような気品のある半透明、それは光の当たり方が変われば、それに同調し、また輝き方を変える。透明度の高い、虹色の輝きだ。

命の形、命の色、命の輝き。

成る程、私の中の命の尊さのイメージを具現化したらしい。

 

砂のように散りばめられても、星のように輝き続ける。

 

命は多数あっても、決してその価値を失わない、下げない。

 

天の川に散りばむ星のようにその命が終わる時まで、その星海で浮かず沈まず。

 

太陽に照らされようが、砂嵐で巻き上がらされようが、その砂海で流れに身を任せ。

 

そんな姿は命を支えるものであっても、命そのものであった。

 

 

ーーーーーーーー決めた。この命の星に相応しい名。

 

 

 

 

砂の星(サンドスター)……」

 

 

名を受諾したように、砂の星(サンドスター)はキラリと青色に輝いてみせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城の縁側にキュッキュッと新しいスニーカーの音が鳴る。

持ち物の最終確認を行っている少女、叶華の格好はやや奇抜だった。

朱色のTシャツにショートパンツ、足には黒いストッキングを穿いており、腰にはポーチ、手には作業用の手袋のようなもの。そこまでは問題ない。そんな服装に腰に帯刀しているのは、まぁまぁ穏やかではない。背中に一対の双槍を佩いているのは相当穏やかじゃない。

その理由は単純明解、いよいよ仕事を始めるからである。

この前のサンドスターの完成を神々に報告したところ、学校のお便り一年分相当の依頼書が来たのだ。まだ増えるだろうからこの依頼をまず完遂しなければならない。せっかく生息地も書かれているので、地方に分け、それぞれ効率よく回っていこうと思うのだ。

そのためにはこの島から一旦脱出しないといけないのだが、

 

「やったことないけど、出来るかなぁ?」

 

そんな方法限られているし、失敗してもなんとかなりそうなのはアレだけだ。

 

「ん、ん、ふんっ!」

 

と、屈伸をして、準備運動のようなものをする。

足首、膝、股関節に負担のかからないように気をつけないと、と体制をいろいろ変えてみるも、実際やってみるのは初めてだからよくわかんない。

 

「よしっーーーーーーーーいくよ!」

 

適度に跼み、足に力を溜める。

そこにギュイギュイと魔力も過剰なまでに込めていく。

あまりの魔力出力に周りの草むらは、波紋を描くように波打つ。

 

「やあぁああぁああぁぁぁぁぁ!」

 

裂帛の気合いとともに足に溜められていたとんでもない量のエネルギーを解放する。

暴力的なまでの魔力は、ただ垂直方向のみに莫大な力を生じる。

それと同時に少女の体はあっという間に、空の彼方へと消えていった。

青よりも蒼い空を突っ切り、どんどん高くどんどん遠くへ、凄まじいGも結界で気にせずにどんどん飛んでいく。

そして暫くし、少女は気づく、青より蒼いそらが、藍色の宇宙(そら)へと変わって来た事に。

 

「ああぁぁぁぁ!?ちょ、飛びすぎ飛びすぎ!?」

 

層雲を突き抜け、空気が急激に薄くなっていくのを感じる。

焦りを感じその場でジタバタもがいてみるも、一向に落下の予感はない。

このままの勢いだとオゾン層や成層圏までも突破し、人類史上初めての宇宙ゴミになってしまう!?

なんとか、なんとかしなければと思案しようとする、が当時の叶華の頭の中はパニック状態。よってあまりにも原始的な方法しか思いつかなかった。

 

「えぇぇぇい!」

 

逆方向に放出。

首がガクンと揺れ、視界が激しく上下する。

普通なら体は破壊されるのは必至だが、どの神のご加護か、強い衝撃はあったものの全くの無傷である。

さすがに気持ち悪くなったが。

また、上向きの強力な力に、それ以上の下向きの力が加わったため、それが功を奏し、慣性無視で地球へ真っ逆さま。

結界があるから大丈夫、だよね?

いや、やっぱ怖い。

 

「つ、翼でろー!」

 

もはや体面なんて気にしてられない。紡がれた幼稚園児並みの言葉にも、その考えは透けて見える。

しかし、その幼稚な言葉とは対照的に、発現したその翼はかなり大きかった。

Tシャツの背中を破って肩甲骨の下あたりから生えてきた一対の翼は、大きく広げれば横に四メートル以上はゆうに超えているだろう。

鷹のような羽毛に包まれた代物で、羽の色は白と青が混ざったかのような美しい色合いだ。芸術品としたら相当な価値があるだろうその翼を、パラシュートのように開き、落下の勢いを落とそうとする。

 

しかし、それでも落下の勢いはなかなか衰えない。

 

そうこうしているうちに眼下に広がる大地が、風と共に近づいてきているのを感じる。

 

狂った鳥のようにバタバタ、バタバタと我武者羅に翼を振り回すも焼け石に水。

 

そんな間にも落下を続け、地上の地形もわかるようになる。

地面が近くなるにつれ、叶華の顔が青ざめていく。

顔の青ざめ具合と一緒に、叶華にまともな判断がくださる確率が下がっていく。

もはや叶華の頭の中には、マズイという文字が高速展開し踊っている。

 

浮かべ、飛べ、飛べ!飛んで!?と心が悲鳴をあげるが無情にも黄金色の草原は近づいてくる。

 

ここそういえばアフリカかぁ……

私が死んだらきっと猛獣かなんかに食べられちゃうだろうなぁ……

あ、あんな高さから落ちたら食べるどころじゃないかぁ……

前世もそういえばまともな死に方してなかったなぁ……

 

と、ネガティヴで諦めかかった思考が連鎖する。

 

だいたいどうしてあんなに高く飛んだんだろ?

少し力、入れすぎちゃったかなぁ……?

 

………ん?力入れ過ぎる?………ゆっくりやればいいじゃん!?

 

漸く、思考がとある局所に到達したところで、まともな判断ができるようになる。

それは今までのパニック状態の合理性を欠いた思考に対する呆れで、急に頭が冷えたからである。

 

叶華は今まで真っ逆さまに落ちていた体勢を、後転の要領で足から落ちるように調節する。

そして、再三足に力を込める。

それは先ほどまでの暴力的なまでに圧縮され、叶華を地球外生物にしかけた魔力ではない。比較的穏やかな(あくまで比較的だが)魔力だ。

そしてそれを、放出。

刹那、体の骨が全て潰れ去ったかのような超強力なGが掛かるが、地球の内側ギリギリで方向転換した時よりはずっとマシ。

翼を使っても下がらなかった落下の勢いは、それだけで格段に落ちる。

地表が近づくよりも先に魔力制御による飛び方を覚え、その勢いを約10秒かけほぼ徐行程度にすることに成功する。

 

「よかったぁ……、ホントどうなるかと思った。」

 

胸をなでおろしながら、やがてゆっくりと地上に降下する。

叶華はこれほど自分の両の足が地面についていることが、どれほど素晴らしいものか思い知らされた。それと同時に、帰ったら飛行能力の制御を行えるように、練習しようと決意するのだった。

 

「さて………、取り敢えず、歩くか。」

 

感触を思い出すように片一方の足を踏み出す。

長く宙に浮いたり、急降下したりなど宇宙飛行士の訓練のようなことをしていたので、一瞬歩けるか心配になったが杞憂だったらしい。

目の前の広大なサバンナは、アフリカのサハラ砂漠以南である。

生息する種族数も、アマゾンには敵わないだろうが相当多いだろう。

これからへの期待が高まる。もしかしたら絶滅種にも会えるかも!

そんなことを考えて歩いていると、後ろから気配がする。

これは、はやくも遭遇(エンカウント)!?

だが、肉食目かもしれないので、腰を低くし腰の刀を構える。

緊迫するサバンナの一角、一瞬の沈黙、刀を握る手に汗がにじむ。

そして、

 

ガサッ!

 

と草が動く音がする。

それにタイムラグなしで反応した私は、そこにいると思われたものがいないことに気づく。

気配がしたハズ、いや、まさかーーー!?

 

目を2メートルほど上空に見やる。

 

目に映るのは、腹面や四肢の内側は白色だが、全体的には黒斑のある黄色の体毛。

ネコ科の可愛らしい顔には食欲が滲んでいて、顔の上には特徴的な大きな耳。

ほっそりした美しい体躯、その体躯には少し短い尻尾。

そして、一般的なネコ科の動物と比べ、圧倒的なジャンプ力。

叶華は自分の持っている動物の知識とその特徴を当てはめ、一瞬で結論を下す。

 

『ネコ目ネコ科ネコ属 サーバルキャット』

 

ジャンプしたしなやかな体躯は頂点に達し、私めがけて効果を始めている。

しかし、叶華は決して慌てなかった。

刀を地面に落とし、腕を構える。

それは殴ったりするような構えではなく、どちらかといえば砲身を固定するような動作だ。

そして、準備は整ったといった風に高らかに宣言する。

 

「【サンドスター キャノン】!」

 

手元に口寄せされる虹色の立方体(キューブ)

赤、青、黄、緑、紫、桃等の色鮮やかな輝きをたたえるその命の結晶は私の手の中で一瞬収縮し、スグに飛びかかってきたサーバルキャットに直撃する。

するとどうだろうか、サンドスターは寸分の違い無く、サーバルキャットの胸部に直撃する、が決して外傷など与えなかった。どういうことかといえば説明は難しいのだが、()()()()()()()()、サンドスターが。

わたしの創造物だが、その現実離れした光景はわたしの目を疑わせるのには十分だった。

しかし、その次の瞬間、サーバルキャットの体は突如、虹色の膜に閉ざされる。

中途半端に口を開けたまま、そのまま棒立ちになる。

しかしそれは間違いだ。

サンドスターは確かに魂に定着しているが、跳びかかってきているその体の慣性に影響を与えることは決してなかった。

アホヅラ晒しているわたしの体に、正面から

 

「うわぁ!?」

 

ドスンと、サーバルキャットに押し倒され、仰向けに尻餅をついてしまう。

 

ーーーあ、マズイ。

 

死の危険に瀕し、人間としての本能が刺激される。

喉の奥から恐怖がこみ上げてくる。

目を瞑って、人間にするように哀願する。

 

「食べないでくださいぃぃぃ!?」

 

「食べないよーっ!」

 

「へっ?」

 

そんな懇願は、時間差なしで否定されてしまった。誰でもない目の前のサーバルキャットだった少女に。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。