近畿地方、面積33.112.42㎢、現代では、首都の東京のある関東についで、日本第二の都市圏、経済圏。
近畿北部は日本海側気候、南部は太平洋側気候、中部は瀬戸内海式気候に区分され、北部は豪雪地帯が広がっている。弥生時代前後までには目立った政治勢力は現れておらず、だが邪馬台国の有力な候補地という歴史を備えている。
なぜこんなことを言うのかはご察しの通り。
はい、近畿地方、それどころか畿内とーちゃーく、それどころか大和国とーちゃーく!
いやぁ、短かった、ここまで徒歩とは思えないほど早かった。
なんたって、野生の走破力で山道をぶっちぎってきたからなぁ。
ヤマタノオロチとイナバノシロウサギが喧嘩し、それから約3日。
野山を丸ごとめくり上がらせるレベルの速さで約三日間。様々な出来事があったね。
ん?例えば?そうだなぁ。
ショウジョウがお酒を飲んだら、姉御肌な雰囲気になって、ヤマタノオロチと飲み比べをしたり。
イナバノシロウサギを襲いにきたカマイタチは、実はイナバノシロウサギが騙したワニ(鮫のこと)の依頼を受けていたこと。
そのカマイタチは悪さを懲らしめる、正義の……えー、服装からニンジャ?そんなのまだこの時代にないのでややこしい設定にしないでほしい。
ライジュウは男勝りな性格だけど、意外にも絨毯の上でゴロゴロするのが好きらしい。雷は氷の粒がぶつかることによる摩擦による静電気が原因なので、絨毯が擦れるのがいいのだろうか?因みにそのあと、一緒にゴロゴロしていたサーバルが肩をぶつけた瞬間に大放電し、みんな軽くパニックに陥った。
みんなに共通して言えたのは、服(みんな毛皮と言っていたが)は脱げることに驚いていたこと。
その過程でもちろん新しい仲間だって増えた。
例えばネコマタ。
野山に住み着いているものや、人家の猫が化けるものの2つの種類があり、今回は野山に住み着いたもの。
身長148cm、当然体重は晒さない。
赤と黒が織り混ざったツインテール、右目が黄と左目が青、特徴的な2つの尻尾に関しては両方黒です。猫の方の耳は黒。
ミニ丈、即ち膝上程度の丈のスカートの黒を基調としたドレス。オーバーニーレングス、要するにニーハイは黒と赤を基調にして、しかも左右で配色が反対になっている。サンドスターは二種類に拘ったらしい。
お嬢様気質だが、頭は弱い。てか、そこからくる我儘が高次元すぎる。いきなりシャンデリアに乗り、『今日からここがアタクシの寝床なんだぞー!』。サーバルは聞き分けがよく素直だったが、いかんせんこっちは精神年齢が幼すぎた。それも含めて彼女の個性だから尊重するが。
あと中々濃いのは、テンコか……
身長164cm、当然体重(以下略
癖のない勿忘草色のスーパーロングの髪は、先端に行くにつれて白に近づいている。出るところは出ている理想的な体型。耳はてっぺんの一部が青く、それ以外は白だ。切れ長の目の瞳の色は朱色に近い黄色。
服装は長襦袢に紅の袴。生地の薄い、白一色のロンググローブ。青の生地に赤い花の模様が入った鼻緒が特徴的な草履、足にはきちんと足袋が穿かれてある。
ヤマタノオロチに続いて二人目の和な雰囲気の服である。
そして性格はといえば、んー、現代風にいうと『エロカッコイイ』かな?例を挙げるとすればベヨ○ッタみたいな感じ。軽口に軽口で返し、ユーモアを解し、目つきがセクシーな感じの。
もともと、性に奔放な妖怪だったようで、しかも千歳以上の大先輩だ。本人曰く、五百歳までは色々やってたが、それ以降は必要最低限度ぐらいだったらしい。お陰で秘めたるセクシーさがヤヴァイ。女の私でもあてられそう。
その他にも、人面魚、髪魚、アオサギノヒ、キュウソ、カナヅチボウ他。
さて、紹介も終わったところで、今現在私たちは真昼間なのにもかかわらず、屋敷にこもっている。いや、こもっているというよりは移動する必要がないのだ。というかここから動くわけにもいかない。
なぜなら、先ほどどこからともなくこんな手紙が舞い降りて来たからである。
『Howdy!こちらアマテラスでーす!数日で因幡から大和に到達するなんてやっぱりすごいね!あ、それより、明日みんなでそこに行くからよろしくー!』
……一瞬本人かどうかわかんなかったよね。
軽すぎやしませんかな?この時代にそぐわない英語使ってもいいの?神様だっていうのに時間軸とか気にしないの?
というツッコミたちが一瞬で生まれて、
『だって神様じゃん?』
という万能文句に沈められた。
なので、今日と明日はここを動くわけにはいかないのである。
………退屈だ。サーバルたちと遊んでみようかな?あれ?そういえば今どこにいるんだろうか?ま、何かあったらすぐくるだろうし大丈夫だろう。
そうだ、神々からの動物捕獲依頼書の整理でもしようか。てか、それしないとまずいし。
基本的に依頼書は私の事務室の机の引き出しに自動ワープしてくる仕組みになっている。
他の引き出しにも様々なものが入っているが、話すと長くなるので割愛。長い旅になるからそのうち使うだろう。
「〜〜〜〜♪〜♪〜〜♪ーーーーーなんだこりゃ!?」
鼻歌を歌いながら、右の一番下の引き出しをオープンしてみると、そこにはギッシリと、修学旅行の帰りのカバンのようにギッシリと詰まった紙の集合体を目にする。
「……空間拡張。」
これは、下手に取り出すと紙がビリビリに破けてしまいそうなので、無茶苦茶な話だが引き出し内部の空間を拡張してキャパシティをあげといた。
「んーと、どれどれ〜?」
ざっと手前から数10枚程度の羊皮紙などを手に取り、目を通す。
しかし、そのどれもが常識外で、しかも無理難題を突きつけるものだった。
「『サラマンダーの捕獲』『コカトリスの捕獲及び厳重保管』『オピオネウスゲットだぜ!』『鴆の捕獲及び土地回復』『フェンリルの懐柔、捕獲』………」
………もしかして、おとなしく死んだいた方が良かったのかな?火の精霊に死の魔眼持ちに、宇宙の創始者?猛毒の鳥に
いちいち驚いててもしょうがない、か?
……取り敢えず、整理始めますか。
少女整理中…………
キングクリムゾンッ‼︎
(ちゃっちゃかちゃーちゃちゃーん!)タイムワープリール!
now loading…………
二時間後
「フゥ〜……よし、これくらいでいいかな?」
目の前にはいくつかに分けられた書類の小山が積まれていた。それぞれの書類の束は、天井に着くのではないかというような高さになっている。百や千では足りないかもなぁ……と、書類を見上げてぼんやりとそんなことを思う。
しかも、それぞれの神話を改変しないように介入タイミングなども支持されていて、途中から気が遠くなっていった。
書類の分類の順番もきちんと考えて組んだ。
まず各神話、民間伝承、UMAなどに分類、次に時間軸的優先順位に分類している。
ただ、ぶっちゃけ言うとこれも能力でパパッと片付けられる案件ではあったのだろう。
それをしないのは、ただ単にこういうのが好きだったからとか、私の普通の人間であったことを忘れることのないようにとか様々な理由がある。
まあ、次からは絶対に能力を使うが。流石にきつすぎ。
しかし、作業が終わったということは、することもなくなったということだ。
ん〜〜、どこ行こっかなぁ?別に任天堂switchをセルフ生産して、ネットワーク回線などを元の時代の現在に繋げばできるんだろうけど、それじゃつまんないし。
「あー……取り敢えず屋敷の探索をしようっと。」
そういえば、まだどこの部屋が未探索なんだっけか。
あ、そうだ、試してみたいことがあったんだ。
あの、
流石に再現できるとは思わない……わけではないけど、取り敢えず試しにやってみよう。
「
左手を前にかざして、カッコつけてそんなことを言ってみる。
そしてその直後ーーーーーボウゥンというそれらしき音を出して、薄く光る青いスクリーンが表示される。
……………………えっ?
「で、で、で、出来ちゃったぁ!?」
その場で仰天する私の言葉を肯定するように、その科学的な情緒のスクリーンは次々とネットワークのようなものを連立して起動。
スクリーン上に水門のようなものが伝わり、私の居場所を中心に次々と地図が構成されていく。
それは二秒も経たないうちに終了し、困惑を隠しきれない私の前に1.5m×2mくらいの屋敷の見取り図が表示される。
「え、えぇ〜、こうもあっさりできるとありがたみが……普通こういうのって、修行とかしないといけないとかないの?」
無いようだ。
目の前の透明ディスプレイは、私の魔力の制御力不足だとか、魔力の練度がないだとかで消滅しそうなかんじではない。
しかし、改めてみるとかなりカッコいい。SF作品中に出てきそうな近未来テイストだ。
しかし一階から二階、三階から屋根裏までじっくり観察した私は、まだ開けてない部屋が何にも表示されていないことに気づく。
一瞬何かのミスかと思ったが、これはこの屋敷の仕組みを適用し、適切な表現を施したにすぎないことをすぐ悟る。
これは私たちが入ったことのある部屋、即ち部屋の状態が確定しているものをのみを表示している。
なぜならこの館の部屋は、私たちが部屋を開けた瞬間にその状態が確定されるのであり、誰かが決めているわけではないのだ。
量子学の重ね合わせの法則のような話だが、これは0か1かの話ではない。0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、A、B、C、D、E、F、G、『あ』から『ん』まで、ありとあらゆる可能性の中の一つなので限りがある文字で表現するのは気がひけるが、つまりその部屋の中は『全て』なのだ。
よってその部屋の中を誰かが知覚すれば、その部屋の中は確定してしまい、x={AかつBかつC………}だったものがx={A}となるのだ。
何を隠そうこの屋敷の大部分、いや屋敷の中にある無限は無限の姿を取っているのである。
つまり、無限を図解することは不可能!よってそこの地図は生成不可能!ということである。
脳内でこんな理論を展開している時、頭にある考えが過ぎる。
「創作物《クリエーション》-1内部に存在する生命体をマップ上に
これで、みんながどこにいるのか把握できるじゃん!と。
もちろん私にストーカー趣味はないが、この館は無限の広さを持つので、これはこれで重宝しそうなのだ。
すると瞬く間に私の
(おぉっ!本当にできたー!)
さすがに歓喜の舞をせざるを得なかった。
こうも物事がうまくいきすぎるのもどうかと思うが、やってるうちに楽しくなる。
「どれどれ〜?」
見ると、赤い点の隣にはアイコンとネームタグつきでその本人が示されているようだ。
一階図書館にはヤマタノオロチ、そういえばジョジョにハマってたな。
お、カナヅチボウもいる。確か建築について学びたいとか言ってたから、その勉強だろう。髪型がかなりDQNだけど、あの子が一番勤勉なんだよなぁ。リーゼント風ポンパドール、なかなかオシャレだ。
カマイタチ三人組はシアター、何をみているかはわかんないけど。
だけど、その他の点は忙しなく一階から二階、廊下から廊下へと、時には部屋の中に入ったりと激しく動いている。
なんかあったっけー?と思案し、一つだけ思い浮かぶことがあった。
『じゃあ今日は私がみんなに狩りごっこを教えるねー!』
今日の朝、サーバルが今日は移動なしと聞いた時に私に言った言葉である。
サーバルの言葉を聞く限りだと、そんな物騒でもなく、狩る側と狩られる側に分かれて、鬼ごっこをすると言ったそんな感じのものである。ま、幾分か野生成分が多いが。(人工物内で野生成分が多いとはいかにと思った人は、心を冬のナマズみたいに大人しくさせてください)
本当は私も一緒にやりたかったが、神様に報告書的なのを提出しないといけない都合上、やんわりとお断りしたわけである。
みれば、集団行動をしていたりする者や、一人でハンターのタゲを取っている者もいたりなどと、それぞれの特徴を生かして逃げたり、捕まえようとしているようだ。
これは上から見てるだけでも楽しいなぁ。
見てる限りだとハンター側が、イナバノシロウサギ、ライジュウ、キュウソ、人面魚、
逃亡側が、サーバル、アオサギノヒ、ネコマタ、テンコ、髪魚、ショウジョウ、か。
この手の遊びって、交互にやるから勝ち負けなくていいんだよなぁ。
あ、アオサギノヒとキュウソが廊下の角で鉢合わせしちゃった。
アオサギノヒが急いで逃げる!けど、キュウソが一瞬遅れ、そこから尋常じゃないスピードで追い上げる。およそ、三秒ほどでその差は縮まり、アオサギノヒはキュウソに捕まってしまう。
テンコはエントランスホールで人面魚とライジュウ相手に踊るようにかわし続けている。まるで、闘牛士のようにヒラリヒラリと優雅にかわしている。が、おーっと!?ここでライジュウ、雷化して劇的な加速!これにはさすがにテンコも不意を突かれ、かわしきれない!
サーバルとネコマタはさっきからずーっとイナバノシロウサギに追いかけ回されている。しかし、サーバルとネコマタは機転を利かせ、曲がり角を曲がった途端、他の部屋に入る!
すると、
ーーーーーーサーバルとネコマタの反応が地図から消えた。
「え“っ”!?」
簡単に言うと、消えた。
その場から、まるであたかも最初からいなかったように消えた。
明らかな異常事態に流石の叶華も混乱をきたす。
「え、えぇっ!?ち、地図拡大!?サーバルとネコマタを追跡!」
咄嗟の判断で、二人の場所を表示するようにディスプレイに命令する。
しかし、その情報さえも叶華にさらなる混乱をきたすことになる。
【地下78階、北西に7万光年の地点;!注意!テレポート不推奨。未確定地点過多による空間的不安により座標が狂う恐れあり。】
「はぁ!?」
どうすりゃええねん!
地下の回数は許そうだが、70000、光年テメーはダメだ6.62251e17km………。
あー!大事案はっせー!
サーバルたちと同じドアに入って、私もあっちに?いや、それだと私まで戻れなくなっちゃうし……。だいたいテレポダメってどう言うことなの?
お、おちつけ、落ち着いて素数を数えるんだ……1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89……あれ、これってフィボナッチ数列じゃん。
と、取り敢えず、サーバルとネコマタの動きは監視するとして、何かいい案は無いかな?
取り敢えず処置を取ろう。
「自立志向コンピュータAI【インディゴウィズダム】、
空中に手を動かせ、データベースの処理や、ディスプレイ操作を行い、さらには音声での【インディゴウィズダム】の操作も行う。
【インディゴウィズダム】はこの前、私が作った自立志向コンピュータAIのことである。なんでもできるアドバイザーとか欲しいなぁ、とか思ったので、思いつきで作ってしまった代物である。
こんなのいつかやってみたいとは思っていたけど、こんな非常事態になるとは……。みんなに相談しても理解されない案件だしなぁ、これ。
【周辺へのテレポートは不可能。不確定の部屋を
うわぁー、すごーい、半分以上短縮できるよ!
あはは〜あはは〜……あははぁ……
はいはい面白い面白い。
さすがにこれだけだと私まで戻れなくなるし、他の案はないのか?
「あっちの部屋をこっちに持ってくるって言うのは……」
【不確定エリアに囲まれており、移動不可。】
不確定エリアは即ち無限の可能性を意味しており、つまりそこに距離などなく、広がったりも短くなったりもするのだが、何枚も空間を隔てた奥にある空間の奥にあるため移動不可。
あれ?でもさっき、
「距離は明確に出たけど?」
【直線的に移動した場合、地下78階の階段より北西に七万光年分移動した場合、そこにサーバルとネコマタは存在する。限りなく低い可能性で未確定の部屋がサーバルとネコマタが存在する付近の部屋につながる。】
つまり、どのような道のりでも北西に七万光年進み続ければ、サーバルとネコマタがいるところに着くらしい。
「……えー、で。私はどこまで加速できる?能力を使って光速を超えれるようにしたりして。」
【推定、光速の53万倍。短距離ワープ航法使用時、移動時間4分の一に短縮。周囲への影響は100,000%カット可能。使用魔力試算中………、総魔力量の五分の一。】
「オーケー、最適化された速度での最終的にかかる時間は?」
【体感時間、半日程度に短縮可能。往復で総魔力量の二分の一。時間の流れを極端に遅くすることで、実質的な時間のロスをなくせますが……】
「あー、適用。」
見た目はかなり優良な条件で、救出できそうではあるが、すんごい燃費悪いし、相対性理論全般に喧嘩売ってるような内容だ。光速度不変の原理が働いてくれればいいが、原理超越した場合は正面以外は何も見えない可能性もある。
かなーり危険だ、しかしやるしかないようだ。
「その条件で、最適な術式を自動構築、その後に地下78階への移動。」
【了解………構築中……構築中……構築中………完了、準備オーケー、地下78階に転移。帰ってきたときのために何か飲み物は欲しいですか?】
「んー、コーヒーをお願い。じゃあ行ってくる。あ、砂糖多めでおねがーい。」
【了解しました】
そして、【インディゴウィズダム】の声が届くや否や、転移が起き、その場から叶華の姿は消える。
しかし、【インディゴウィズダム】に、見計らったようなタイミングで、
【何者かの時空間干渉を観測。探知中………探知不可、別次元に逃れたおそれあり。】
side サーバル
「ねぇ、サーバル。アタクシ達、さっきから同じところグルグル回ってるんだぞー?」
「えー?そんなことないと思うけど……」
困ったなぁ。叶華ちゃんに『家の中は割と危険がいっぱいあるから、気をつけて遊んでね〜』って言われたんだけど、いっきなり迷子になっちゃったよぅ……。
狩りごっこをしている時に、曲がり角からシロウサギちゃんの匂いがしたから、咄嗟にそばのお部屋に隠れようとしたんだけど……みたこともないところでビックリしたんだよね。一緒に逃げてたネコマタちゃんも、こんなところは知らない、っていうし。
「た、多分もう一回あっちの方扉に入れば、違うところに出るよ!」
「おお!そうだな!サーバルはきっとテンサイなんだぞー!」
「えっへん!」
ネコマタちゃんに褒められて、ぴーんと胸をはる。なんだか、こそばゆくて、だけど、嬉しい気持ちになった。叶華ちゃんにナデナデされたときもこんな感じだったなぁ。
それにしても、ここって見た目とか、飾りとかはいつものところに似てるけど、みんながいないだけでちょっと怖くなるなぁ。
もしかしたら、私たちはいまみんなからとても遠い場所にいて、もう帰れなくなってる、とか想像しちゃった。
そんな不安を拭うためにも、あのドアの中に入ってみんなに会わないと!
「あれー?」
「みたことないところだぞー?」
出たところはなんてことない普通の部屋。だけど、今までいたお屋敷みたいな雰囲気じゃなくて、なんていうか……もっとわけわかんない使い道のものばっかりの、あまり広くない部屋。本棚が多いけど、図書館みたいな雰囲気じゃない。叶華ちゃんがよく使うような薄い箱型の……パソコン?が置かれた机。本棚の中の本は、文字はわからないけど、私たちが叶華ちゃんと会う前の姿、つまり動物の時の姿が描かれた本や、この前、『ぷらねたりうむ』でみたような星や銀河の本がある。
だけど、この部屋は何か変だった。
なんか、言葉に言い表されないけど、いるだけで胸の中がモヤモヤする。
「ネコマタちゃん……」
「うん、わかってるぞー。この部屋は長くいちゃダメだぞー。何が何だかわかんないけど、アタクシ達には知る必要のないことがたくさんあるぞー。」
それは、ネコマタちゃんも同じだったみたい。
いつもの晴れやかな顔も、今に限っては難しく顰められている。
この部屋は、マズい。
野生の直感すら必要ないぐらいこの部屋の雰囲気は……悲しさ、悲しさで満たされている。
胸の中のモヤモヤが幾許か濃くなる。
「も、もうちょっとだけ、この部屋を見てみよ。何か戻るヒントが見つかるかもしれないし。」
この時のこの言葉は、自分の本音だったかわからない。だけど、なんとなく、そうしなくちゃいけないと思っただけだった。
「……すこしだけだぞー?」
ネコマタちゃんも許してくれた。迷惑をかけてごめんと謝りたいけど、それより先に足が机の方に向かっていく。
床はいつもの柔らかな絨毯というよりは、すこし硬いボソボソした感じのものだった。
机の上を見てみると、ぱそこんの他によくわからないことが書かれた本や、桃色のボールみたいな体に顔の書かれた可愛いお人形がある。
特にかになるようなものはないかな、と思いながら机の上を見回すと、本の下に何かが下敷きになっていたのに気づく。
「……?」
本を退かしてみると、なにか絵のようなものが挟まっていた。
あ、だけど、絵じゃない。
これ、前に叶華ちゃんが見せてくれた、写真に似てる。いや、そのものだ。
二人の幼い子供が肩を組んで、手をブイの字にして突き出し、笑っている。
一人の子は、髪が長くてすこし照れくさそうに笑っている。誰かに似ている気がするけど、心の中で何かが邪魔してきて考えられなくなる。
もう一人の子は、髪は短めに切りそろえられていて、活発そうな笑顔を浮かべている。こっちは見たことがないなー。
んー……、やっぱりどこかで片方の子を見たことがあるような……。
おもいだせそうで、思い出せない。うーー!もどかしいよ!
「サーバル、早く戻った方がいいんだぞー!」
「むー、もうちょっと待って!もうすーーー」
「違う!この部屋変なんだぞー!アタクシ達は確かドアを開けたまま入ってきたのに、
「え」
未だに出ることを渋る私にネコマタちゃんがいつになく強い口調で異変を伝える。
そんな!と思った私は急いで振り返ってみると、確かにドアが閉まっている。
得体の知れない恐怖が、尻尾を震わせる。
ネコマタちゃんと目を見合わせ、慎重にドアに近づく。
すると、私たちがドアに近づき、扉まで半歩分程度までになると………
ドアがギィッと音を立て、小さく開く。
「う、うみゃーーーーー!?」
「フギャァァァァアァア!?」
なになになに!?勝手に触りもしてないのに扉が開いたよ!?こ、怖いよぅ!た、助けてぇ!?
私たちは驚いて、全力で後退して、ドアを注視するよ!
すぐに扉は全部開け放たれるよ。
だけど、そこに広がっていたのは、元の廊下みたいな感じじゃなくて、ただただ暗いだけの星のない夜のような闇。
それに、底知れない恐怖を抱いた次の瞬間ーーーーーー
ーーーーーーーーーー闇の中から白い手が現れた。
「ウミャァーーーーーーーーーー!!!!?????」
「ぴぃあ0」
そして、私とネコマタちゃんを捕まえて、握り、闇の中に引きずり込もうとする。
もちろん抵抗しようとしたけど、体が動かせないくらいに縮み上がっちゃって逃げ出すどころじゃない。
ネコマタちゃんはあまりの恐怖に白目むいて気を失っちゃってる。
そして、なすすべもなく私たちは闇の中に連れ去られてーーーーーーそこで私も気を失っちゃったみたい。
「さ……る、おき………る」
誰かの声がする。
「おき…………る、……く……きて」
それはだんだんはっきりと聞こえてくる。
「起きてください!サーバルさん!」
「……むにゃ?な、なにシロウサギちゃ……ん?」
目を開けてみると、目の前にはシロウサギちゃんが、周りにはみんなが揃って私のことを見下ろしている。
……何かあったのかな?
「何って、サーバルさん忘れたんですか?みんなで狩りごっこしてたら、サーバルさんとネコマタさんがここに寝てたんですよ。」
「ふぇ?狩りごっこ……あっ!」
いっけない!私ったらみんなと遊んでいたのに、こんなところに寝てたみたい!あーあ、みんなには申し訳ないことしちゃったなぁ。
「ご、ごめん!忘れてた!」
「忘れてたって……ま、サーバルさんらしいと言えばそうか、な……?」
シロウサギちゃんは納得行かなそうに首を傾げているけど、私だってよくわかんない。ほんとにこんなところ来たのか、そもそも私は寝てたのか?
「まぁ、いいんじゃないかしら?寝てたってことで。それより、そろそろ叶華さんが料理を作ってくれる時間よ?イナバ、サーバル、考えても仕方ないことはありますもの。今回のことは、別にいいんじゃないかしら?ネコマタもいるのだし、こんなことも起こり得るのよ。」
「むー、そんなことないのだぞー!」
テンコちゃんが肩をすくめながら、私たちに話しかけてくる。確かに、考えたって何にもわかんないし、狩りごっこをしてたからお腹が減った。あ、今日の晩御飯なんだろー?そんなことを考えてると、私が寝ていた理由なんてどうでもよくなってきた。
「じゃあ、食堂まで一番早くついた子がゆうしょーね!じゃあ、ヨーイドン!」
「あ、ちょっと待ってくださーい!」
「あらあら……勝ち負けがあるのなら負けられないわね。」
「あ、待つのだぞー!」
あはは!たーのしーー!
その頃叶華は、時間を極限まで遅くして、サーバルとネコマタの捜索にあたっていたという。
しかし、マップを確認し、一回廊下にいるのを発見して、考えるのをやめたらしい。
「嘘だろ、サーバル!?」
ついでにこの話、本当は別のネタがあったんですけど、ボツにして書き直したんですよね。あ、これだとオチがつかない、みたいな感じで。