「花の結界」:オリジナル設定。幻惑の術を応用した隠れ蓑を展開するもの。
「永琳の丸薬」:ある程度の病気を治し、体力回復の効果がある。
飴玉くらいの大きさの為飲み込むのが大変。
「咲夜」:他の作品でも良くある、半分吸血鬼化した状態です。
壁に耳あり 障子にパチュリー
それでは、どうぞ
太陽が少し西へ傾き始めた頃、ようやく紅魔館へと通じる森へたどり着いた。
この森と言えば、かつて魔女っ子に追いかけられたり、空飛ぶ箒に乗せられたり
紅茶を飲みながら超ヘビーな昔話を聞かされた 思い出の場所である。
…ロクな思い出がないわ。
太陽の畑というらしい花畑を過ぎ、
聞けばあの風見幽香という妖怪は本当に危険な人物だったらしく、流石の私も死を覚悟した。
しかしこうして生きていられる事のなんと素晴らしきことか。もう何も怖くない。
前を歩く鬼娘が超不機嫌である事を除けばだが。
「ねぇ萃香ぁ? まだ怒ってるのー?」
やはり返事は無い。
というか問答無用で花畑に放り投げられた身としては、こっちが謝罪を受けるべきではないか。
もちろんそれを問い詰めようものなら、今度こそあの世行きだ。
「そもそも悪いのは私だけど、許してもらえたから良いじゃない」
『…あいつが言った事を真に受けるのならって話だけどな』
「貴女の名前が気に入ったから殺さないであげる─、ってやつ?」
『本気か冗談か判らんから質が悪いんだよ』
風見幽香は私の名前を聞いた途端に態度を急変させた。
さらに実際に書いてみろと言うので、見せてみると─
『名前に
しかも苗字と合わせたらリュウゼツランにもなるって… 私に譲りなさい!』
無茶言うなし。
とにかく警戒を解いてくれた事でようやく事情を説明でき、無事に解放されるに至ったのだ。
この名前を付けてくれた両親に感謝しなければならない。
帰ったらお礼を言おう。
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森に入ってから半刻が過ぎようとした所で、見覚えのある館が見えてきた。
何度見ても景観にそぐわない色合いをしている。
「やっと着いたね」
『思ったよりも早かったな。 随分調子が戻ってきたんじゃないかい?』
「一応出発した時点では多少無理してたわよ。 もう大丈夫だけど」
館を眺めていると、茂みの中から小型の萃香が集まってきた。
と言うのも、この森は妖精も多いらしく事前に周囲の警戒をしてくれたのだ。
やがて元の体に戻ったが、分身体のためまだ若干小さいように見える。
こうして見れば可愛いらしい女の子なのだが。
『邪魔な妖精はあらかた片付けてきた。 しばらくはこの辺りも静かになるだろうさ』
前言撤回。
この幼女はやはり鬼や。
改めて門に近づいてみるが人の気配はなかった。
「美鈴さんがいないね、休憩中かな?」
最初に魔理沙と来た時は見事な仁王立ちを見せていた門番、紅美鈴。
ここに来ればまた会えるだろうと思っていただけに少々残念だ。
『お前が来る事は伝えてあるからね。中で待ってるだろうさ』
「伝えてあるって… 電話でもしたの?」
『でんわ? まぁ何と言うか、念じたって感じかな』
この鬼っ子はテレパシーを使えるのか!
格闘+エスパー。面白い取り合わせだ。
『おぉいっ!』
門を通り抜けたところで、不意に萃香の声が聞こえた。
声の先を見上げると二階のバルコニーからちょうど飛び降りようとしている所だった。
そのまま視線を横へ向けると、もちろんそこにも萃香は居る。
「ド、ドッペルゲンガーだ! 気をつけて萃香っ!」
『んなわけあるかい。ありゃ紅魔館に残していた半身だよ』
こちらの狼狽など何処吹く風。
走ってきた萃香は瞬く間に霧状になり、隣にいた萃香に溶け込んで消えた。
こころなしかさっきよりも身長が伸びている気がする。完全体という事だろう。
『そうか。そうなったか…』
何やら一人で納得したまま、萃香は館の中に入っていった。
その場に留まる必要もないため、すぐ後に続いて玄関を抜けた。
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館は前に来た時と変わらない内装だった。しかし、どこか雰囲気が違っていた。
最初に来た時は、まるで寂れたホテルみたいな感じであったのに
今は開業を明日に控えたホテルみたいな感じだった。
『ホテルは酷いわね』
「うわっ!?」
いつの間にいたのか、すぐそばに咲夜が立っていた。
なんでこうも神出鬼没な人が多いのかしら。
足音がしなかった事から飛んできたのは判るが、見た感じ魔理沙の箒みたいなものはない。
この人も霊夢みたいに自力で飛べる人なのかしら。
銀髪執事風の巫女さんとか、新しすぎる。
『事情は聞いたわ。大変だったみたいね』
「ええ、本当に…。
死にかけることがタンスに足をぶつけるより多いって本当だったみたいね」
『それ魔理沙が言ったの?』
「うん」
『本人は騙すつもりで言ったわけじゃないから、怒らないであげてね』
それはもちろんだ。
あの時はこちらも一杯一杯だったから、和ませようと言った事だとは理解できる。
それで腹を立てる事だってしない。
「魔理沙って嘘が下手そうだものね」
本人がいない事を良いことに、陰口を叩いてみる。この程度ならお咎めも無いだろう。
それを聞いた咲夜はと言うと、笑っていた。
口元に手を添えて控えめに声を漏らす、その仕草がちょっと可愛かった。
館内の廊下を歩いていると、美鈴が角から顔を出した。
どうやら所用で門を離れていたらしく、これから戻る所だという。
『思ったよりも平気そうで安心しましたよ。命あっての物種ですからね!』
「はい…ほんとうにそう思います…」
『何でいきなり落ち込むんですか?!』
『失礼な事を言わないの、美鈴』
『失礼要素が見当たりませんがとりあえずごめんなさい!』
神社で血反吐を巻き散らしたことよりも、花畑で肥料になりかけた事のほうが
よほど精神的に堪えたらしい。
一応、美鈴のせいではない事も含め、事情を説明する。
『呪いで死にかけた挙句に風見幽香に殺されかけるとか…
貴女、不幸を呼ぶ体質なの?』
「否定したいです」
『願望なんですね…』
ほとんど事情を知らない二人でさえこの反応となると、不遇ってレベルじゃなさそうだ。
可能な限り早く
今日はもう出歩く必要がないらしいので、ここで一晩を越すことになった。
それを聞いた瞬間、私のテンションが爆上がりした。
地元の古旅館でさえ利用することがほとんど無かったのだ。貴族風洋館の典型ともいえる紅魔館での一泊とか、テンションが上がらないはずがない。
図書館の一件では醜態をさらしたが、隙を見て屋敷探検に繰り出そう。
『ああ、蘭菊。パチュリー様から伝言を預かっていたわ。
「部屋で大人しくしてないと触手生物の餌にするわよ」 ですって』
そういって咲夜は 部屋に鍵をかけて去っていった。
寝よう…。
◆
仄暗い建物に響く声。
歓声、怒号、悲鳴。
あらゆる感情が渦巻く場所にあって、ひと際目立つ一団があった。
『なんだ お前らもう集まってたのか』
声の主は女性。しかしその体躯は強靭かつ剛健。
鬼特有の圧倒的な雰囲気を纏いながら、鬼の四天王 星熊勇儀は盃を置いた。
対するは彼女よりも巨躯の男たち。
顔つきも肌色も異なる鬼たちは恭しく頭を垂れながら座敷に腰を下ろした。
『鬼のくせに落ち着きの無ぇ奴らだ』
『そりゃあ無理もない話だぜ、星熊の』
『何たって四天王の座を貰い受けるんだ。浮足立つってもんだろ』
『ハッ 餓鬼みてぇに騒ぎやがって。心配しなくてもちゃんとくれてやるよ』
勇儀は地底で暮らしながら、他の鬼達をまとめる立場に就いていた。
その中でも特に頭角を現していた者たちを呼びつけ、こうして宴を開いたのには理由があった。
既に形骸化しつつある四天王という座を、新たな時代を築く者たちに譲るためだった。
とはいえ明確な儀式や物の継承があるわけではなく、勇儀自身もその方法を決め
地上に入り浸っている萃香は巫女の世話に追われ、鬼の立場にも頓着しなくなった。
仙人になったアイツとも連絡が取れない。
取り決めや何やらが最も苦手な自分がこの役目を担うのかと、半ば
『これで俺にも箔が付くと思うと酒が進むぜェ』
『おい、判ってるとは思うが─』
『ご心配には及びませんよ星熊殿。 我ら四鬼衆、立場が変わろうと誇りは失わず。
必ずや地底の鬼たちの模範となってみせましょうぞ』
三本角の青鬼が上機嫌に酒を煽るなか、細身の赤鬼は静かにグラスを傾けていた。
四ッ腕の
深紅の
口裂け
三本角の
それぞれが異なる能力を持ちながら、蛇ヶ羅を筆頭に四鬼衆として纏まり始めて早数年。
次の四天王は彼らだと地底内でも頻繁に話題に上がる者たちだった。
個々の力に関しては及第点。
態度の悪さは見受けられるが、そんなものは妖精だってあるものだ。
あとは己の気持ち次第。
『で、どうだい。今日から名乗っても良いって事なのか』
『…いや、まだだ』
『随分渋るじゃねェか。俺たちじゃ役不足だってのか』
今にも掴みかかろうとする牙凶を蛇ヶ羅が制する。
『落ち着けって。先達の考えがあっての事なんだからよ。そうだよな星熊の?』
『まぁな』
『ほォ、聞かせてもらいたいねェ』
『単純な話だ。私と勝負してもらう』
『おィおィ マジかよォ。話が違うぜェ』
『星熊殿、荒事無しに継承を済ますと言ったのは貴殿だと記憶しておりますが』
ここにきて勝負を持ち掛ける勇儀に対し、蛇ヶ羅と牙凶はあからさまに落胆の色を見せた。
真意を問いただす阿倉の言葉に、勇儀は少し考えた素振りを見せた後、ぽつりと漏らした。
『私のケジメって奴だ』
『ケジメ?』
『あぁ… お前らとやり合って、スッキリした気持ちで身を引きたいってな』
『貴殿お一人で我ら全員と手合わせしようと? それとも一人ずつがお望みで』
『おいコラ! 余計な事聞いてンじゃねェぞ阿倉ァ!』
そのやり取りに呆れながらも、笑みをこぼす勇儀。
『全員で構わねぇよ。そこの腰抜けにビービー泣かれちゃ敵わんからな』
『お心遣いに感謝いたします』
『誰が腰抜けだコラァ!』
『おう十角、お前は良いのか。全然喋ってねぇぞ』
『……異論ナシ』
最後に巨漢の黒鬼
勝負の日取りは二日後とし、それぞれの抱負を決めておくように言い含めて勇儀は店を後にした。
博麗の巫女が死に、地上の様子が様変わりしてからも、地底は大きな変化が無かった。
この機会を以て何か新しい事を始めてみても良いかもしれない。
勇儀は久しぶりに晴れ晴れとした気持ちで下駄を転がしていた。
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『阿倉よ、さっきのはワザとだな?』
『何のことです?』
『敢えて
『ああいう手合いは勝負の内容にこだわるもの。結果に興味は無いでしょう。
道化を演じさせた牙凶には悪いと思っています』
『そりゃ別にイイけどよォ、蛇ヶ羅に阿倉 言ってたのは準備できたのかァ?』
『おう当たり前だ』
『私もです。探すのに少々骨は折れましたがね』
『よっしゃァ! 二日後が楽しみだな、十角!』
『……異論ナシ』
『お前そればっかだなァ』
蘭菊 「バイ○ハザードごっことか、サイレント○ルごっこしちゃ駄目ですか?」
パチェ「▲様召喚するわよ」
こあ 「(できるんだ…)」
急にオリジナルキャラを4人も登場させる暴挙。お許しください博士。
彼らについては追々出てくる予定ですが、あまり膨らませるとまた延びる…。
なにとぞ永い目で見て頂ければ幸いです。
(良ければ次もドウゾ。)