艦名:古鷹
年齢:
2
彼女は同居人である加古がいない時でも中から話声が聞こえてきたそうだ、まるで仲の良い姉妹と話すように。
「・・・ん、ここ・・・は?」
目覚めるとそこは天井も床もコンクリートの部屋だった、椅子に座らせられていて、手と足も縛られている。
「・・・だめだな、解けそうにもない、くそ、如月の奴どうしちまったんだ・・・」
「どうしちゃったんでしょうかねえ、あんないい子だったのにいきなりあんなことするなんて」
「っ!その声は古鷹か!どこにいる!」
「ここですよー?」
「古鷹・・・いや、お前古鷹じゃねえな」
「何言ってるんですか、私は古鷹ですよ、提督?」
俺の後ろから顔を出す古鷹、その顔は笑顔だったが、部屋で話していたものとは全くの別物だった。
「嘘つけ!古鷹はもっと純粋に笑っていた!だけどお前の笑顔は違う!」
「・・・それだけで私が古鷹じゃないと否定するんですか?」
「ああ否定してやるさ」
「・・・あーあ、やっぱり、あなたが提督だったら良かったのに、そうすればこの子もこうはならなかったのに」
「どういうことだ?」
「んー・・・提督・・・いや、桐ケ崎さん、解離性同一性障害って知ってます?あ、それとも多重人格って言ったほうがわかり易いですかね?」
「強いストレスを受けるともう一つの人格作り出してそれがそのストレスを受けてるものと認識し自己を守るって感じだったっけ?」
「ええ、大体そんな感じの認識で大丈夫だと思います、と言っても私も詳しいわけではないんですけどね」
「で、それがお前だと?」
「はい、私は古鷹ですけど古鷹ではありません、記憶の共有もされていないのであなたが今前の提督さんが私たちを犯したり暴力を振るったりするための部屋にいるってことは知りません」
「へー・・・で、俺はそんな部屋で椅子に縛られていてどうされちゃうのかな?」
「こうしちゃいます♪」
「がっ・・・!」
そう言って彼女は俺の前に立ち腹に蹴りを入れる、その衝撃で椅子が俺ごと倒れてしまう。
「っは・・・動けない相手を痛めつけようなんていい趣味してますねえ古鷹さん?」
「でしょ?褒めてくれてありがとうございます、桐ケ崎さん」
「だが、一つ、いや二つ納得いかねえことがある」
「・・・なんでしょうか」
「まず一つ目、如月をどうやってあんな状態にしたか、あいつは素の状態であんなことするやつじゃないからな」
「ええ、そうでしょうね」
「じゃあどうやって如月をあんな状態にしたんだ」
「んー・・・まあ、特別に教えてあげますよ、簡単なお話です、『私』とただお話しただけですよ」
「話しただけであんなふうになるわけねえだろ!」
「んー・・・そうですね、実演しますか、如月ちゃん、こっちにおいで?」
「・・・」
「如月!」
俺の後ろから更に如月が出てくるが、やはり様子が変だ、まるで意識がない人形のようにふらふらと歩いている。
「ねえ、如月ちゃん、提督さんの事、好き?」
「・・・うん」
「だけど提督さんって優しいよね、私も好きになっちゃいそうかも」
「いや・・・」
「それにあの人って今自分の立ち位置を確立させるためにこうして私たちに声をかけて言ってるんだよね?そのあとはほかの子のカウンセリングして、だけどさ、そうなったらきっとほかの子たちもきっと提督さんの魅力に気づいちゃうと思うの、そうしたら如月ちゃんよりもっと魅力的な子が現れて・・・提督さんが取られちゃうかもよ?」
「いや・・・いや!」
「だけどさ、今ならまだ間に合うよ、まだあの人の魅力は伝わりきってない今なら、提督さんをどこかの部屋に閉じ込めて如月ちゃんだけのものにしてあげればいいんだよ!」
「だけど・・・そんなことしたら嫌われて」
「そんなの時間が経てばどうにでもなるよ!最初のうちは嫌がるかもしれないけどきっといつかは如月ちゃんの選択を褒めてくれる日が来るよ、だからさ、提督さんを、閉じ込めちゃお?」
「・・・うん」
「ふふ、いい子いい子、って感じでね、勿論これは誰にでもできるわけじゃないよ?まず精神状態を不安定にさせる必要があったからねー、仲がいいと思ってたお姉さんから暴力を受けたらその精神状態は不安定になる、そっから一気に
「お前自分が狂ってるってこと理解してるか?」
「狂ってなくてこんなことできるわけないじゃん、だけどさ、実際こっちのほうが楽だと思うんだよ、苦しいのは他人に押し付けちゃったほうがいいでしょ?だけど他人に押し付けたら迷惑になっちゃう、だから自分の中でもうひとりの他人を生み出してその子に押し付けちゃえばみんな幸せになれると思うんだよね、実際、古鷹ちゃんはとっても幸せそうだったでしょ?」
「そんなんで幸せになれるわけねえだろ」
「幸せなんて他人が決め付けるものじゃないんだよ?桐ケ崎さん、それで、もう一つの聞きたいことって?」
「・・・お前の出現条件についてだよ」
「?」
「俺は結構長いあいだ古鷹と話していたつもりだ、だがその間は確かにお前の気配は感じ取れなかった、だが、俺が提督と明かした瞬間にあいつの態度は少しおかしくなった・・・多分、あの時だろ?お前が俺の目の前で初めて出てきたのは」
「うん、その通りだよ、やっぱり桐ケ崎さんはすごいね、だからこそ邪魔なんだけど、だから私は、あなたを排除することに決めたんだ、桐ケ崎さん」
「・・・どういうことだ?」
「ここにあなたが監禁されていることを加古ちゃんに頼んで今吹雪ちゃんたちに伝えに行ってもらいました、多分後十分もすれば来るんじゃないかな」
「そうかよ」
「あれ、意外と落ち着いてるね、もっと取り乱すかなって思ったんだけど」
「今取り乱したってどうすんだよ、というかもうそろそろ椅子起こしてくれ、この体制結構辛いんだよ」
「い・や」
「クソが」
古鷹から目線を外しながら話を続ける。
「・・・そうだね、じゃあつまりここから出るにはお前を説得しなきゃいけないってことか」
「できるわけないでしょ?」
「やってみなきゃわかんないだろ?」
「無理だよ、私はね、古鷹ちゃんが提督からされた仕打ちで出来た人格なんだよ?、説得されるわけなんてないでしょ?あなたが提督だって明かしたときに私が出てきたのがいい証拠だよ、古鷹ちゃんはまだ提督に恐怖を覚えているんだ」
「どうかな、俺はそいつってわけでもないからな、案外いけるかもしれないぜ?」
「・・・言ってなよ、まあいいよ、どうせ吹雪ちゃんたちが来るまで私はあなたを痛めつけてようって思ってたんだ、話ぐらい聞いてあげるよ」
「そうか・・・後、やっぱり起こしてくれない?」
「やだって言ってるじゃん」
「いやな・・・こっからだとさ、お前のパンツが見えてしょうがないんだよ、だからお願いだから起こして、ごふっ!?お前今俺の話聞くって言ったじゃねえか!」
「~~~!やっぱり痛めつけてやる!徹底的に!」
「落ち着け!冗談だ!冗談だから!」
「こんな状況で冗談を言うなんて提督さん漫才溶かしてる方が向いてるんじゃない?」
「ああ、検討させてもらうよ」
「・・・ふん」
その場で座り込む古鷹、勿論俺にパンツを見られないように警戒しながら。
「それで、説得って具体的にはどうするつもり?」
「そうだな・・・君の必要性のなさとかどうだ?」
「ねえ、するのは挑発じゃなくて説得なんじゃないの?」
「お前さ、今のままで本当に古鷹が幸せになれると思ってんのか?」
「聞いてるの?」
「確かに今のままなら古鷹はきっと傷つくことがないだろうな、なんせ頼もしいボディーガードさんがついてるからな」
「ねえ」
「だけど、人間守れてばっかじゃダメになっちまうんだよ、人間は傷つきながらも経験を身につけていきそっからどんどん成長していくんだよ」
「ねえったら」
「だけどお前はどうだ?古鷹を過保護に守り、成長を妨げている、確かに前の提督からの経験じゃあ成長もできない、だけどな、今はもうお前は必要ないんだよ、自分では本当は理解してるんじゃないのか?」
「ねえ!聞いてんのかよ!」
「今の古鷹には守る盾は必要ねえんだよ!今の古鷹に必要なのは成長を促す経験だ!例え傷つきながらでもそれは自分で手に入れなくちゃいけないんだ!」
「うるさい!お前に古鷹ちゃんの何がわかるんだ!古鷹ちゃんは私が守ってあげなきゃダメなんだ!古鷹ちゃんは重巡の代表として頑張っているから代わりに私が守ってあげなきゃだめなんだよ!大体成長を促す経験なんて、そんなのが必要だっていう証拠があんのかよ!」
「ある!」
「なっ」
まさか断言されるとは思っていなかったのか言葉に詰まる。
「あいつはな!俺と重巡の奴らの話を楽しそうにしてくれたよ!」
「じゃあいいじゃない!」
「だけど!その話の中であいつは出てこなかった!」
「え?・・・」
「確かにあいつは仲間との触れ合いで心が癒されて言ってるかもしれない、だけどそれはあくまで第三者としてだ!自分のことは一切語らずただただ仲間たちが楽しそうに過ごしているのを遠くで見てるだけなんだよ!」
「そんなわけ・・・」
「お前はいちゃいけないんだ!そんぐらいお前ならわかってるだろ!」
「うるさい・・・うるさい!」
駄々っ子のように騒ぎながら装備を展開する古鷹、そのまま俺の方に蹴りを入れてくる、そして俺は・・・
『お前の方に注意を向けさせろとは言ったけど挑発しろとは言ってねえよまぬけ』
「うるせえな、結果的にこっちに注意向けさせられたんだからいいだろっと・・・」
「なっ!?」
そのまま立ち上がり、古鷹の攻撃を去なす。
「ど、どうやって縄を!?」
「頼もしい・・・いや、小賢しい相棒がいるんでね、ていうかお前力すげえな、素手で切るとか」
『ぶち殺がすぞ、素手で切れるわけねえだろ、ナイフで切ったんだよ』
「お前の小さい体で持ってると怖いんですけど・・・預かっておくから貸せ」
『えー・・・』
「えーじゃない」
『わがままなやつめ、ほらよ』
「投げんな!たく、大体お前どうやってあの状況から生還したんだよ」
『どうも何も見たまんまだろ、消えたんだよ、私たち妖精は姿を消すことで物をすり抜けることができるんだよ、本来は壁をすり抜けるとかが主な用途なんだけどな、てかこれも聞いただろ』
「しぶといやつめ」
「何一人で喋ってんのさ・・・だけど、褒めてあげるよ、いくら縄を解かれたからってあんなに素早く動けるなんて、だけど、所詮は艦娘と人間じゃ身体能力が違うんだよ!」
そういって突進してくる古鷹。
「あのな・・・ただ突進してくるだけで当たるわけねえだろ」
「え」
「後な、お前散々俺のこと蹴ってきたけどさ、蹴りっていうのはもっと」
また俺に突進でもするつもりなのか古鷹がこちらに振り向いた瞬間。
「こうやるんだよ!」
「がっ!?」
思いっきり腹に蹴りを入れる。
「たく、俺が女を蹴らねえフェミニストでも見えたか」
『うっわ・・・ていうかお前それなら吹雪型のやつらとも戦ってれば良かったんじゃ』
「幼女は蹴らねえ、それにあいつら動きが洗練されてた上に数も多かったからな、まともに戦ってたら死んでるわぼけ」
『うるせえハゲ』
「禿げてねえよ!」
『それで、如月はどうするんだ?』
「おっと、忘れてた」
如月に近づく、目には光がなく、ただただ濁っている。
「司令官さん・・・司令官さん」
「あ〜・・・ダメだなこれ、完璧に落ちてる」
『良かったな、愛されてるぞ』
「後一歳若かったらな・・・まあいいや、それならこうするしかねえな」
そして俺は腕を振り上げ、如月の頬を叩く。
「っ、いややめて!もういや!もう如月に痛いことしないで!いや!い」
「如月」
そのまま如月を抱きしめる、ちょっとマッチポンプ臭いけど、こうするしかないししょうがない。
「大丈夫、大丈夫だから・・・もうここにお前を傷つける奴はいない」
「あ・・う・・・だけど、だけど提督さんは、如月から離れていって・・・」
「大丈夫だ、死ぬまでとは言えない、ずっととも言えない、だけど、できるだけ一緒にいてやれるから、だから落ち着け」
「あ・・・司令官、さん?」
「大丈夫か?如月、叩いてごめんな」
「ううん、如月こそごめんなさい、司令官さんにひどいことしちゃって・・・」
「大丈夫だ、あいつから受けた傷のほうが大きいから」
「司令官さん・・・」
如月のこちらに向ける視線には、ちゃんと光が点っていた、この様子ならもう大丈夫か、俺はそのまま如月から離れる。
「あっ・・・」
『っけ、いちゃついてんじゃねえよ、っぺ』
「え、あ、よ、妖精さん!?生きてたの!?ていうか今の見てたの!?」
『えーえー見てましたともこのロリコンが』
「年下好きと言ってもらおうか、とりあえず古鷹はダメそうだししょうがないから潜水艦の方に向かうぞ、吹雪たちがこっちに向かってるらしいしな」
「でも、古鷹さんはいいんですか?何か蹲ってますけど」
「あとで謝る」
「はぁ・・・」
「とりあえず今はここから逃げないとやばい、今度こそ捕まっちまう」
「その必要はないですよ」
「なっ!?」
「全く、ここまで逃げるなんて、あなたは本当に往生際が悪い人ですね、さっさと捕まってしまえば良かったのに、でもその逃走劇もおしまいです、私たち五艦会が来たからにはね」
入口には吹雪がたっていて、その横には加賀、長門、そして何か赤い髪した水着着た子がいた、五艦会っつうことはあの水着着た子が潜水艦か?水着は前の提督の趣味か何かだろ、意外といい趣味してるな。
「如月ちゃんだけでも十分罪深いのにとうとう古鷹さんにまで手を出しましたか・・・古鷹さんは重巡の人たちだけじゃなく他の子達にまで気をつかってくれたいい人なのにあなたという人は・・・!」
ギリッ、と歯ぎしりを立てる吹雪、入口の向こうにも何名か艦娘がいるようで、逃走劇は本当に終わりを告げるらしい。
「おいおい、女の子がそんな顔しちゃダメだろ?笑顔笑顔、それに古鷹に関しては何もしてないや、独断専行したのはもうひとりのほうだ」
「もうひとりのほう?何をわけのわからないことを」
ふむ、吹雪は古鷹の多重人格について知らないのか。
「とりあえず、あなたを排除します、これが最終通告です、今すぐここから出て行くなら五体満足で返してあげましょう、ですけど、もしそれでもまだ抵抗するつもりなら私は容赦しません」
装備を展開し、こちらに砲身を向けてくる吹雪、その目は最終通告というのが本気ということを語っている。
「嫌だね、俺はここから出て行かない」
「・・・はぁ、私もできれ戦力を用いてあなたを無理やり追い出すというのは嫌なんですけどね」
「俺と初めて会った時に別れ方がナイフを振るって襲いかかってきたから俺が逃げてきたっていうのによく言うよ」
「うるさいですよ、それでは、あなたの排除を行いますので覚悟はいいですか?」
「いいや、ダメだね」
「・・・はぁ?あなたは一体何を言って」
「だが、ここで宣言することはあるね!」
「だから何言って」
「俺を襲うことに対して反対の人、手をあげなさい!」
「・・・は?」
「え、えっと・・・は、はい?」
「あ、如月はいいんだぞ?五艦会の奴らに対してだから、で、反対の人は?」
「あのですね、あなたの味方をする人なんているわけ」
「私は反対よ?」
「は?加賀さん何を言って」
「私も反対だな」
「長門さんまで!?」
「おにいさ・・・提督は前の人とは違うわ、きっと私たちをちゃんと運用してくれるはずよ」
「ああ、どう・・・提督はきっと私たちをいい方向に進ませてくれるはずだ」
「桐ケ崎ぃ!お前加賀さんたちに何をした!」
「別に?ただお話しただけよ?」
「お前・・・!」
「あ、ちなみにゴーヤは賛成だよ?」
「時間がなくてそっちまでは手がまわらなかったからな」
「まあ来たとしても結果は変わらなかった・・・とは言いにくいでちね、加賀さんも長門さんも見事に懐柔されてるし」
「勿論私も賛成です」
「じゃああとは古鷹だけだな」
「し、司令官さん、古鷹さんの説得はまだ・・・」
「ああそうさ、済んでない、そう、済んでないんだよ、だから俺は賭けるのさ、彼女に」
「彼女?」
「古鷹さん、起きてください」
「う・・・ん・・・」
「大丈夫ですか?」
「吹雪ちゃん?・・・ここ、どこ?・・・!やだ、やだ、やああああああああ!」
「古鷹さん!?大丈夫ですか」
「来ないで!」
「っ」
「いや、いや、やだ!やだあああ!」
「・・・」
おそらく、ここは彼女にとって一番近づきたくない部屋だったのだろう、そんな彼女に、俺は近づいていく
「あ・・・う・・・あ、ふ、古鷹さんに近づくな!」
「待ちなさい、吹雪ちゃん」
「なんで!なんで邪魔するんですか加賀さん!古鷹さんを助けなきゃ!」
「大丈夫よ」
「大丈夫じゃないからこうして慌ててるんでしょうが!長門さん!ゴーヤちゃん、あいつを止めて!」
「・・・」
「別にいいんじゃないでちか?」
「何言って・・・!」
「あの提督さんからはなにかしようって感じがしないし、なにかしたらしてからなにかすればいいでち、何もしてないのにこちらからただ怪しいってだけでこっちが攻撃したらこっちが悪者でちよ?」
「何かするに決まってるじゃない!」
「なんででち?」
「あいつが司令官だからよ!」
「理由になってないでちね・・・」
「・・・古鷹」
「あ、提督・・・さ、いや、近づかないで!」
「大丈夫だ、古鷹、何もしないから」
「嘘!嘘よ!あの提督さんだって最初は優しくしてくれたけど結局は私たちに対してたくさんひどいことしたのよ!あなただってするに決まってる!」
「しないよ」
「証拠は!?証拠はあるの!私たちに何もしないって証拠!」
「ないよ」
「じゃあ信じられないよ!私たちの傷を知らない人なんて!」
「じゃあ傷を作れば信じてもらえるのか?」
「え?・・・」
俺はポケットから先ほど妖精さんからもらったナイフを手に取り、腕に突き刺す。
「っ・・・」
「な、何してるの!?」
「心の傷を今すぐとはいかねえからな、だからとりあえず体の傷から知ろうかと思ったけどこれ結構痛い・・・」
「当たり前でしょ!なんでこんなこと・・・」
「お前たちの傷を理解するためだけど?」
「こんなんで理解なんてできるわけないでしょ!」
「じゃあどうすればお前は笑ってくれるんだよ!」
「え・・・」
何を言っているのかわからないって顔をしてこちらを見る古鷹、こういうのは俺のキャラじゃないんだけどな・・・
「お前は俺と話してる時も確かに笑ってたよ!だけど同時にそこには寂しさも混じってた!どうすればお前は純粋に笑ってくれるんだよ!」
「何言って・・・」
「ああもうまどろっこしい!お前はなんで一歩引いてみんなに接するんだ!いいじゃねえか相手を傷つけても!そっから生まれる友情だってあんだよ!やりすぎは勿論注意だけど!」
「でも・・・」
「でもも何もあるか!大体俺がどうすれば笑ってくれるのかとかいうのは結構珍しいんだぞ!そんぐらいお前の笑顔には価値があんだよ!」
「え?」
「寂しさが交わってなけりゃあ可愛い顔してんのにアホかお前は!」
「かわ!?」
「ああそうだよ!だから笑え!そのための場所は俺がなんとかしてやる、それに、お前の周りにも、中にも頼れるやつはたくさんいるだろ?」
「提督さん・・・気づいてたんですか、私が、もうひとりの私に気づいてたこと」
「え・・・あ、あったりまえよ、全ての負担を持ってた、って割にはお前の怖がり方が異常だったしな」
気づいてたのかよこいつ・・・思わずそのまま押し通しちゃったよ・・・
「えへへ・・・提督さんには隠し事ができないですね
「古鷹さん!騙されちゃダメですよ!」
「勿論、こいつダメだなって思ったら遠慮なく切れ、そんぐらいの覚悟がなくてここの鎮守府にはいられねえだろうからな」
「・・・吹雪ちゃん」
「古鷹さん?」
「確かにこの人はもしかするとダメかもしれない」
「ちょ・・・」
「だけど、この人なら・・・ううん、この人を信じたいの、私は・・・」
「古鷹さん・・・」
「だから私は・・・提督の気持ちに応えるよ!」
「良かった・・・って、え?何?」
「え、提督さんは私に告白したんでしょ?」
「いつ!?」
「だって可愛いって言ってくれたし・・・」
「そんだけで!?」
この子ちょろいってレベルじゃねえぞ!小学生でもそんなちょろくねえぞ!
「えへへ、私、ダメダメだけど頑張るね!」
「えーあーえー・・・そうだな!(思考放棄)あ、ところで古鷹、俺のことを排除するかしないかでいえばどっちだ?」
「しないに決まってるじゃないですか!」
「古鷹さん!?」
「吹雪ちゃん、これで3対2よ、提督の排除は一旦中止にして」
「そんなの・・・そんなの認めれるわけ!」
「吹雪、五艦会を作った目的を忘れたか?ひとりの艦娘に権力が集中しないようにこうして五人の艦娘で管理する、ということにしたんだろう、そのまま強権を発動させれば前の提督と同じことだぞ」
「っく・・・分かりました、一旦、彼への攻撃は中止します・・・ですが、司令官、忘れないでいてくださいね、あなたが少しでもしっぽを出せば、私はすぐにそれを見つけ出し、引っこ抜きますから」
「別に引っ張られて痛いところなんてないからどうでもいいけどな」
「・・・っち」
「今舌打ちしただろお前!」
「してません」
「司令官さーん?」
「っひ、き、如月、またお前目から光がなくなってるぞ!?」
「そんなことはどうでもいいの、それよりさっきのは何かしら?」
「いや何と言われれば説得と言いますかなんと言いますかね・・・」
「提督さーん♪」
「古鷹今は勘弁してくれ!」
「司令官さん?」
「か、加賀、長門、助けて!」
「提督、確かにあなたに味方をしましたが痴話喧嘩には口出ししませんから」
「・・・そのまま死ね」ボソッ
「てめえ聴こえてるからな長門!」
「司令官さーん?」
「提督?」
「も、もう嫌だ!なんで!なんで!俺は幼女ハーレムを築きたいのに・・・これじゃただのハーレムじゃねえかあああ!!」
ちょっとずるいかもしれないけど・・・まあ古鷹への誤解は後々解いていけばいいとして、こうして、俺の長い一日は終わりを告げ、やっと提督の第一歩を踏む準備が整ったのだった、まじで長い道のりだった・・・、まあこっから如月ちゃんとの運命をかけた鬼ごっこをするんですけどね!。
『・・・まあ、いいか、とりあえずはセーフ、ってところだな』
本名:桐ケ崎竜也
年齢:24歳
2
ちなみに、彼は天然の人たらしなので、彼と接する際は十分に注意するべし。