艦名:利根
年齢:
2
鎮守府内では提督と気があったのかよく一緒にいるのを目撃されたらしい。
「姉さん!」
「ど、どうしましょう司令官さん!け、警察に通報ですか!?」
「でもそうしてる間に利根さんが無事とは限りませんよ!」
「だけど私たちだけじゃどうしようもないわ」
「利根さん・・・」
「・・・ええいお前ら落ち着け!とりあえず、筑摩」
「は、はい」
「お前、利根が何か恨まられるようなことをしたことがあるかとか覚えがあるか?」
「姉さんがそんなことするわけ!」
「わかってる、ただ逆恨みって場合もある、何でもいいなにかないか?」
「・・・そういえば、この作戦を建てるにあたって、姉さんが前に提督とデートしたときのことを参考にしたんです?」
「前っていうと・・・前任か?」
「はい、とても楽しかったと言っていたのでその時の喜びを思い出してくれればと・・・ただ、その時にちょっとトラブルがあったらしくて」
「トラブル?」
「何でもちょっとガラの悪い人たちに絡まれたらしくて・・・その時は提督さんが助けてくれたらしいんですけど・・・」
「その時に艦娘だと相手にバレたりしたか?」
「・・・確か、姉さんの話によるとうちの艦娘に手を出すな!とか提督が言ったらしくて・・・」
「じゃあそれだ、間違いない」
「なんで断言できるんですか?司令官さん」
「普通、ブラック鎮守府による艦娘が死ぬ、行方不明になる原因は轟沈、自殺、死にはしなかったが仲間からはぐれる、などがあるが・・・その中に、売られる、ということが希にある、艦娘の体は今でも不思議に包まれているし、なにより艦娘は若い女性がなる場合が多い、だから単純に娯楽として買う金持ちもいれば実験のためと称して買うサイコパスもいる、おそらく利根は売るために攫われたんだろうよ、艦娘だと分かっても手を出す理由はそれぐらいしかない、なんせ海軍に喧嘩売るんだからな」
「それじゃあ早くしないと姉さんが!」
「落ち着け、話はこっからだ、さっきも言ったとおり、艦娘の誘拐は海軍に喧嘩を売るようなものだ、だからこそ捕まらないように相手も・・・そして、取引相手も慎重にならざるを得ない、勿論、足が付いたらまずいから自宅とかはまず使わんだろうし、何より犯人は近くに潜伏することが多いそうだ、引き渡しちまうならさっさとやったほうがいいからな、だから警察に連絡してる暇があるかどうか・・・」
「ですが兄様、私たちだけでは流石に・・・」
「おいおい何言ってんだ?ここに一人いるじゃないか」
「・・・兄様、今はふざけている時では」
「これでも俺はオヤジに探偵の技術、頭脳は全て受け継がれてきたつもりだ、認めんのは癪だが、あいつは探偵としては優秀だったからな、それについては保証してもいい」
「・・・では、どうするというんですか?」
「そこでだが・・・妖精さん」
『何だよ、まさか私に気配を追え、なんて言うなよ、流石にあんだけ離れてたら無理だ』
「知ってる・・・だから、お前の頭脳に頼るとする、ここらへんの誰も住んでいなくて近寄らなさそうな場所はどのくらいある?」
『・・・ちょっと待ってろ、誰もこなさそうというのはそんな話題になってない建物ということだな?』
「ああ」
『・・・・・・三軒だ、廃工場、森の近くに有るボロ小屋、後はここに来る途中にあった廃ビル、こんぐらいだ』
「十分だ、おそらく利根はそこのうちのどれかにいる」
「だけどそんなこと確定したわけじゃ・・・!」
「じゃあどうする?警察に連絡したところでその時点で利根が攫われてるかもしれない、確かに確証はない、だが、0%ではない・・・、頼む、信じてくれ」
「それは・・・」
「・・・分かりました、提督さん」
「筑摩!?」
「信じて、いいんですよね?」
「ああ、信じていいぞ、じゃあ、古鷹、如月、妖精さんは廃工場、加賀、比叡、筑摩は廃ビルへ、俺はボロ小屋に行く」
「司令は一人なんですか?」
「お前らはともかく、俺は戦い方とかもオヤジから習ったからな、多少ぐらいならやれる、だけどお前らは陸での戦闘は慣れてねえんだから見つけたら連絡しろよ、それじゃあ行くぞ!」
はい!そういって元気に走り出す、無事でいてくれよ、利根・・・!
「・・・行ったみたいだな」
桐ケ崎たちがそれぞれの場所に向かったあと、近くの路地裏から男たちが出てくる、そして、その男たちの集団の中に意識がないと思われる少女が先頭の男に抱えられている。
「いやー、うまくいきやしたね!あの人の作戦通り!」
「そうだな、後は指示を待つだけ「やっぱりな」なっ!?」
声が聞こえた方を見ると、そこには光が当たらないこの道にとっては目立つ白い服を着た男が立っていた。
「犯人は現場に戻ってくる・・・いや、戻ってすらいねえな、だってずっとお前らは犯行現場にずっといたんだから」
「・・・いつから気付いてやがった」
「最初から」
「は?」
「そもそも車の発進タイミングがおかしかった、俺たちが向かうまででもエンジン音は微かに聞こえていたのに俺たちが着いたと同時に車は発進した、まるで俺たちのことを待っていたように、漫画やドラマじゃねえんだ、さっさと出て行ったほうがいいにきまってる、じゃあ何故そんなことしたか?簡単な話だ、車で利根が攫われた、そう俺たちに思わせたかったからだ」
「っは、屁理屈言ってんじゃねえよ、だったらなんであいつらを行かせたんだ?」
「念のためだ、それに、お前らがここにいたままだったらあいつらは邪魔なだけだ」
「ほーん・・・」
「で、どうする?このまま逃げるか?絶対に捕まえて警察に突き出してやるよ」
「・・・くく、ひゃはっはっは!」
「狂ったか?」
「ああ、あの人の言ったとおりだ、本当に一人で残りやがった」
「何の話だ、そもそもあの人って誰だ」
「それは教えられねえな、おいお前ら、獲物は釣ったぞ、後は捕まえるだけだ」
そう目の前の男が言うと、周りからどこから現れたのか角材、ナイフなどを持った男たちが現れた。
「・・・おいおい、なんでこんなにいんだよ」
「まだ気付かねえのか?俺たちの目的はこいつじゃねえ、お前だ!」
「は?」
「お前は貴重な存在らしいからな、てめえを捕まえろって言われたんだよ、まあどっちみちこいつも売るしな、勿論楽しんだ後で、だが」
「てめえ・・・」
「この人数で勝てると思ってんのか?諦めろ、ここに残った時点でお前の負けだ」
「・・・このぐらいの人数、別にどうってことねえさ、全員ぶっ倒して利根を絶対に連れて帰る!」
「っは、やってみろよ、提督さん?」
さてと、こんな大人数との戦いは初めてだが・・・まあ、どうってことねえさ
「おらあ!」
目の前の男の顔を殴り飛ばし、吹っ飛んだ男を踏む、くそ、何人目だこれで・・・流石に数が多すぎるだろ、一人捕まえるためにどんだけ人数いんだよ・・・そもそもこんな人数いたら騒ぎになって気づかれるはずじゃ・・・
「よそ見してんじゃねえぞごらぁ!」
「ぐっ、らあ!」
「なっ!?」
そんなことを考えていると背後から男に角材で頭を殴りつけられる、意識を手放しそうになったが耐え、そのまま男の腕を掴み地面に叩きつける。
「おーおー元気なこって、だけど、まだまだ俺の部下は残ってんだぜ?」
「くそが・・・一人に対して人数注ぎ込み過ぎじゃねえか?こんな上司を持ってこいつらは不幸せもんですねえ?」
「悪いが、んな挑発はきかねえよ、それに、ここにいる奴らは人生がめちゃくちゃになってどうしようもなくなったところを俺が拾ってやったやつらばっかだ、不幸せかもしれねえけど、不自由はさせてねえぜ?っしかし俺たちはラッキーだったねえ、こんなカモを偶然見つけるなんて、一年経ったとは言え中々の収穫だ」
「ああそうかい!」
「ま、だけどもうそろそろ終わりにするか・・・おい、てめえら、どけ、後は俺がやる、コイツ持ってろ」
「分かりました」
そう言って利根をさっきまで抱えていた男はこちらに向かってくる。
「どういうつもりだ・・・」
「これ以上気絶もしねえまま痛めつけても商品をダメにする一方なんでね、俺が直々に相手してやるよ」
「なめやがって・・・」
「舐めてるぜ?」
ニヤリと不気味な笑みを浮かべ、男がこちらに突進してくる。
「はやっ!?」
男が俺の目の前にまで来るまで反応することができなかった。このやろうこのままタックルしてくる気か!?なんとか横に飛ぶ。
「おお、いい反応速度してるぅ、だけど、反応するだけじゃダメだぜ?」
「!?」
避けたところに蹴りを入れてやろうとしたが、男は俺の蹴りのギリギリ手前で急停止し、再度こちらに向かって突進してくる、まずい、この距離じゃ・・・
「お返しだぜ!」
「がっ・・・!」
男は今度は急停止せずにそのままの速度でタックルしてくる。俺はその一撃をまともに食らってしまい、後ろに突き飛ばされそのまま地面に激突する。
「が・・・あ・・・」
「ふう、たく、こんなに俺の部下を痛めつけてくれちゃってまあ・・・おい、てめえら、そいつを運べ、連れてくぞ」
「はい」
ダメだ・・・体が動かねえ、男たちが俺の体を持つのを抵抗もできずにいる、せめて如月たちを遠ざけられたのが唯一の救いか、すまん利根、お前を救えそうにもない・・・そんなことを思いながら意識を手放し・・・
「司令官さん!」
「提督!?」
たはずだったが、聞き慣れた声がしそちらを向くと、戻ってきたであろう如月と古鷹が立っていた。
「あ?おお何だなんだ、今日は大量だねえ、飛んで火にいる夏の虫ってやつだ、おいてめえら、そいつらも連れて帰れ」
『おいおい、私たちがいない間に随分と楽しいことになってんじゃないか』
「な、何ですかあなたたちは!よくも提督を・・・!」
「怖い顔しなさんなって、大丈夫死んではねえから」
「ん・・・あ、れ・・・ここは・・・っ、な、何で如月と古鷹が・・・って、桐ケ崎も!?」
「っち、起きちまったじゃねえかめんどくせえ、おい、またそいつ黙らせろ」
「な、やめ・・・やめて、いや、離して!」
「利根!」
「いやあああああ!!」
「黙れ!」
「くそ、さっさとそいつら引っ捕まえろ!早くしないと流石に人が来る!」
「分かりました!」
「させるかあああああ!」
「な、てめえまだ動くのか!?」
「探偵なめんな!こんぐらい七階から受け身取れずに落ちた時よりマシだ!」
「死ぬだろそれは!」
「如月、古鷹!逃げろ!ここは俺が時間を稼ぐから早く誰か連れてこい!」
「し、司令官さん・・・」
「早く!」
「・・・行くよ、如月ちゃん」
「で、でも司令官さんが」
「提督なら大丈夫、私たちの提督なんだからね」
『それに、あいつは殺しても死なねえよ、それは初日で確認済みだろ』
「・・・分かりました、司令官さん、待っててください!絶対に戻ってきます!」
「あ、待て!、くそ、あいつらを追え!早くしろ!」
「は、はい!」
そう言って如月たちを男たちが追いかけていく、後は俺がここを食い止めるだけだが・・・流石にあいつらが来るまで時間を稼げるかどうか・・・くそ、どうする・・・
「ぐあっ!?」
「え?」
「今度はなんだ!?」
なにか策がないかと考えていると突然俺を掴んでいた男が崩れ去る、何事かと男の方を見ると、男はその場にうつ伏せで倒れていて、血だまりを作っている。
「くそが、あれもてめえの艦娘か!?あんなのがいるなんて聞いてねえぞ!」
男が見ている方を見てみると、そこには黒いフードをかぶっていて顔はおろか性別すら判別つかないがその手には薙刀のようなものを持っており、その刃にはまだ血がついている。そしてその黒フードは先ほどの男よりも速い動きで周りの男たちを次々と切り捨てていく、中には腕などを切り飛ばされているものもいて一方的に蹂躙している。
「このやろう・・・よくも俺の部下を・・・」
「いやー、こんな雑魚たちが部下なんて笑わせちゃうよねー」
「次はなん!?」
男が振り向くと、そこには腰にまで伸びている黒い髪をした男が立っていて、その瞬間に顔を掴まれ宙に浮く。
「んー、次と言われましても・・・強いて言えば通りすがりの正義の味方?なーんちゃって」
今の今まで俺たちを攫おうとしていた男を倒そうとしている、そういえば正義の味方にしか見えないが、ここに来るまでもっていたものが明らかに正義の味方など到底言えないようなものだった。それは、先程まで如月たちを追っていた男と思われる死体だった、思われるというのは、その首から上は存在せず、首なし死体が二体あるだけだった。
「てめえ・・・よくもそいつらを!」
「こんなんで怒られてもなー、どうせ君ら全員殺すんだし、関係ないじゃん?」
「何言って・・・」
「後ろ見てみ、って、これじゃ見れないか、ほら」
そう言って黒髪の男は掴んだ男を先程まで部下がいた方に向ける、そこには地獄絵図が広がっていた、生きている人間は存在せず、ただそこにはもう誰が誰かも判別できない肉塊しかいなかった。
「・・・」
「あれ、ショックすぎてしゃべるのも忘れちゃった?まあいいや」
そう言って黒髪の男は男をコンクリートに思い切り叩きつける。
「はい、これでもう大丈夫、行っていいよ、あ、立てる?」
「お前ら・・・何者だ?」
「言ってるじゃん、通りすがりの正義の味方だって」
「正義の味方はこんなことしねえよ・・・」
「嘘つけ」
「まあまあ、今はただの正義の味方ってことでいいじゃん」
「・・・一応、助けてくれたことの礼は言っておく、そういえば、如月たちはどうした」
「如月?あああの子達か、なんか目の前でこいつらの顔潰したら寝ちゃった、寝不足なのかな?」
「・・・そうか、それじゃあな」
「結構さっぱりしてるんだね?」
「関わりたくない・・・が、名前だけ聞いておいてやる」
なるべくそいつらの方を見ないようにしながら聞く。
「んー・・・まあそうだね、名前ぐらいは教えてあげる、笹野目戒だよ、これからもよろしくね、桐ケ崎くん、ほら、龍ちゃんもご挨拶して?」
「・・・また会いましょうね、竜也さん?うふふ」
「は?」
聞き覚えがある声が聞こえ、そちらを振り向くが、既に笹野目たちはいなかった。
「・・・とりあえず、利根、大丈夫か?」
「ひっ・・・」
「利根・・・」
利根は誘拐されかけ、目の前でこんな惨状を見せつけられ、俺に対して怯えの目線を向けている。
「お願い・・・お願い・・・もうやめて、お願い・・・」
「・・・利根」
「(びくっ)」
手を伸ばすと、利根はびくりと体を震わせる。
「利根、大丈夫か?俺がわかるか?」
「提督・・・私たちを苦しめて、いっぱいひどいことをして・・・!全部お主らが悪いんじゃ!」
「ぐっ!?」
「全部・・・全部お主が・・・お前たちが悪いんだ・・・!」
利根は急に大きな声を出したかと思うと俺を押し倒し首を絞めてくる。
「お前が・・・お前たちが・・・!」
「ぐっ、利、根・・・」
「汚い口で私の名前を呼ぶな!」
利根を振り払えないのは、振り払う力がないのもあるが抵抗しようと思えば抵抗はできた、だけどしなかった、いや、出来なかった、俺の頬に冷たいものが落ちてくる―――利根は、泣いていた、しかし、その目は俺を見ていないような気がした。
「信じてたのに、嫌いになりたくなかったのに、この人となら頑張れると思ったのに・・・何で裏切ったんじゃ、尾張!」
知らない名前だった、しかし、それが誰を指していたのかは流石にわかった、最初は力を込められていたが、徐々に首を絞める力がなくなっていく。
「・・・利根、俺は尾張なんて名前じゃねえ、桐ケ崎竜也だ」
「知ってる、提督が・・・桐ケ崎が悪くないことだって知ってる、一日過ごしただけだけど、優しい人だってことは分かった、だから、だから怖かった!尾張も最初は優しかった!だけど私たちをやつは裏切った!裏切られるのが怖かった!」
「俺は裏切らねえよ」
「分かんないじゃろそんなの!」
「確かに、証明する手段はねえよ、だから、ほい」
「・・・?」
俺は利根に向かって小指を出す。
「なんだ?知らねえのか、指きりげんまんだよ、針千本飲ます、ってな」
「指きり・・・」
『ん、どうしたの?利根』
『なあ、提督、お主はああならないでくれるよな?』
『ああならないって・・・あの人たちみたいに?』
『ああ・・・』
『なるわけないじゃん、利根は馬鹿だなあ』
『だ、誰が馬鹿じゃ!』
『そんな不安そうな顔して僕を疑うような目して、これを馬鹿だと言わずなんて言えばいいのか僕は知らないなあ、全く、そんなに不安なら、はい』
『な、なんじゃ急に・・・』
『指きりげんまん、あれ、もしかして知らない?』
『し、知ってるわそんぐらい!』
『じゃあはい、小指出して』
『う、うむ・・・』
『はは、何顔赤くしてんだか』
『し、してない!』
「ほれ、はよ指だせ、それとも、やっぱり嫌か?」
「・・・嫌では、ない」
そう言って利根は指を出す。
「へいへい、そいじゃあ」
「指きりげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った、死んだら御免」
『指きりげんまん、嘘ついたら針千本のーます、指切った、死んだら御免』
「っ!」
『死んだら御免ってなんじゃ・・・』
『あれ、知らない?これ続きらしいよ、ちなみに意味は死んでお詫びするって意味だってさ、だからさ』
「あー・・・もしかして死んだら御免って意味知らなかった?なんかこれ約束破ったら死んでお詫びするって意味なんだと、だから」
『もし俺が裏切ったり』
「俺が暴力を振るったり」
『暴言を言ったり』
「お前らのこと見捨てたりしたら」
「『死んで詫びよう』」
「なーんて、重すぎるか?」
「あ・・・」
「ん?」
「・・・何でもない、なあ、提督」
「なんだ?」
「絶対、私たちを裏切らないでくれ、絶対じゃ」
「おう」
「それと、桐ケ崎、と呼んでいいか?」
「別にいいぞ、やっぱり提督呼びは辛いか?」
「いや・・・ただ、お前と提督は、やっぱりどっちも違うし、提督は私たちのこと裏切ったけど・・・それでも、忘れたくないんじゃ、あいつのことを」
「・・・そうか、じゃあ俺もお願いしていいか?利根」
「なんじゃ?」
「すまないが肩貸してくれ・・・一人じゃ歩けねえ・・・」
「・・・お主は愉快なやつじゃのう、桐ケ崎」
「誰のせいだ誰の」
「それもそうじゃの、ほれ」
「ありがとよ」
そして俺は利根に肩を貸してもらい、道を戻っていく、途中で他の奴らに合流し、鎮守府に戻ったら如月と古鷹と比叡にお説教を受けました、それはいいんだけどガチ泣きされて胸に思いっきりダイブされた加賀の方が個人的に辛かった・・・ちなみに、その後ちゃんと病院に行って医者に見てもらったところ「なんであんた生きてんの?」と言われた、流石にひどくね?・・・」
その後、ちょっと入院してから鎮守府に戻り無事復帰した。
「あ〜・・・久しぶりの業務だぜ・・・」
『ちゃんとやれよ、お前がいないから仕事が溜まりに溜まってんだ・・・』
「へーい、ああめんどくせえ・・・」
『私はちょっと夜風に当たってくるからサボるんじゃないぞ』
「へいへい、いってらー」
今は深夜、俺が入院してた間の仕事をやっている、ちなみに俺がいない間も鎮守府はちゃんと機能していたようで安心だ、まあ俺が来るまであいつら普通にやってたんだし当然か・・・
「・・・しかし、尾張、か」
俺はというと、病院では隙を見て前任提督について調べていた、利根、金剛からだけ聞いた話だけではただ本性を隠していただけだろうと思っていたが、利根の反応を見るとどうもこの鎮守府を作り上げた提督と尾張提督が結びつかない、しかし、やはりブラック鎮守府の提督でも腐っても提督、その個人情報などは簡単には見つからず、見つかったものといえば尾張の名前だけ。
「尾張咲・・・女みてえな名前だな・・・あー、くそ、とりあえず仕事するかって、うお!?」
背もたれに寄りかかったが、力を込めすぎたか背中から落ちてしまう。
「いてて・・・病み上がりだっつうのにこちとら・・・って、やべ、引き出しが取れてる、妖精さんが来る前にさっさと・・・って、あれ、この引き出し、もしかして・・・」
俺は落ちた引き出しを拾い、中を見てみる、そこには資料ぐらいしかないが、よくよく見てみたら外から見たのと中から見るのとでは明らかに底が浅い。
「よっと・・・やっぱり、二重底か・・・中身は、USB?」
そこにあったのは、一つのUSBだった、気になった俺は使っていたパソコンに差して中身を見てみる、そこには。
「尾張提督の鎮守府日記1・・・」
それは、前任の提督の日記だった。
「・・・妖精さん、多分間宮さんに夕食作りに行ってもらってるだろうからもう少しぐらい時間かかりそうだな、ふむ・・・読んでみるか」
そして、俺はそれを読む、もしかするとここに提督が豹変した理由が書かれているかもしれないという淡い希望を心に秘め、そうして夜は更けていく。
本名:尾張咲
年齢:20
0
若い年齢で提督になった男。
作戦や指揮も優秀で、未来を期待されていたが、結果的に彼が作ったものはブラック鎮守府だった。
ちなみに女みたいな名前を気にしていたらしい