兎が織り成す英雄譚お楽しみください❗
「はぁはぁはぁ」
僕は諦めない もう逃げないって決めたんだ。
連戦に次ぐ連戦、体力はなくなり気力も削られる。
額から汗が流れ落ちる、それでも僕は諦めない。
「オーダー追加でーす!!兎印20個追加で!!」
「やっぱりもう嫌ーーー!?」
なぜこんなことになっているのか、数時間遡る……
「ニャニャニャ!?」
「どうやったらこんなにも美味しくじゃが丸くんが出来るのでしょうクラネルさん」
「ベルさん料理本当に上手だったんですね……」
ベルが持ってきたアップルパイとじゃが丸くんを食べた皆さん。
絶賛と言うより驚愕の色の方が大きかったらしい。
「ほんとだよベル、アップルパイもじゃが丸くんも昔から作ってたのかい?」
「アップルパイは祖父がよく頼んできたので作ってたのですが、じゃが丸くんはほんと最近初めて作りました」
褒めすぎてにやけながら説明をする
「ほんとうかい?正直アップルパイもかなりの質だか、じゃが丸くんに関しては領域が違うよ」
「そこまでですかね?……そうえばうちの神様が『至高の一品』って言ってました」
「神が認めたら至高の一品かい……ベル提案があるんだけどいいかい?」
「提案?」
「昨日の罪滅ぼししたいかい?」
ベルは実際ここに来たときから、なにかお願いされたらなんでもやるつもりでいた。
「はい!!ぜひやらせてください!」
ミアさんは少し悪巧みをするような笑みを浮かべ
「よし!言質は取ったよ!!」
「手先が器用なやつはベルの寸法計って、余ってる服で男用の服を仕立てな!」
「「「はい!!」」」
「後は残ってる数名はありったけじゃがいも買ってきな!!」
「「「はい(ニャ)!!」」」
「???」
ベルは急な出来事に対応できない
「あ、あのミアお母さん?」
「なに、罪滅ぼしとして今日うちで働いてもらうんだよ」
「えぇ!?」
こうしてベルが臨時コックとして『豊饒の女主人』で働くに至った訳である。
基本的な料理のサポート、そして限定で出すメニュー『兎印のじゃが丸くん』をベルが担当することとなった。
「とりあえず服の仕上げに時間かかるだろうから、昼時にまた来な!」
「わ、わかりましたミアお母さん」
「そっからしっかり働いてもらうから覚悟しな!」
「はい!!」
元気よく返事をし、一旦ホームに帰るベル。
「さて、今日はどのぐらい稼ぎ出るか楽しみだね」
息子の後ろ姿を見ながら、楽しみにしているの母親であった。
「神様今戻りました!」
時間は既に9時を回っていたが、ヘスティアはぐーすか寝ていた。
「神様疲れてるんだろうな……でも用意した朝ごはんはしっかり食べてる」
出る前に用意した朝ごはんは綺麗に食べられている、しかもおかわりの分まで。
「それでも起きたらお腹空いてるだろうしスープでも作るかな!」
ヘスティアのためにスープを作り始める。
「……うーん……いい匂いがする」
「神様起きました?」
ヘスティアはもぞもぞとベットの上で寝返りする。
「まだねみゅい……」
「一応スープ作ってますけど、食べたらまた寝ますか?」
昨日迷惑をかけた分甘やかすベル。
「……そうしようかな~」
のそのそとベットから降り、ソファーに座る。
「またご飯食べて寝たら、昼寝になっちゃいますね」
ベルはスープとパンを机に置く。
「なにをいってるんだいベル君?まだ昼寝には早い時間いじゃないか?」
「えっ?もう11時回ってますよ?」
ヘスティアは壊れたブリキの様にゆっくりと壁掛けの時計を見る。
「…………遅刻だ」
「えっ」
「今日バイト」
「…………」
「ベル君!!急いでお弁当を用意してくれ!!」
「は、はい!」
「恐らくおばちゃんは機嫌が悪いから残業させられるからね!」
「夜ご飯用に頼むぜベル君!」
「えっと……全然準備してないので、すぐに用意出来るのは……アップルパイとじゃが丸くんです」
「なんとも異色の組み合わせだねベル君……」
「す、すみません」
「とりあえず両方ともお弁当によろくし!!」
ドタバタと準備を始めるヘスティア
「あっ神様、僕この後もう一度お店に戻ります!」
髪をとかしながらベルの方を見る。
「お店って謝りに行ったお店かい?」
「はい!昨日の罪滅ぼしとして、今日お店を手伝うことになりました!」
「なぬ!?もしかして制服とか着るのかい?」
「今制服作ってもらってる最中になります!」
「くぅ~ベル君の制服姿見たかった……」
「神様、冗談言ってる暇ないですよ」
「うわぁ!?はやく出ないとやばい!!」
「神様お弁当出来ましたよ!一応サンドイッチも用意しましたので!」
バッとお弁当を受け取り
「さすがベル君!君は将来いい旦那になるよ!!行ってきます!!」
「なにいってるんですか神様……気を付けていってらっしゃい!」
ヘスティアがいなくなり静かになるホーム。
「よし!!僕もバイトしに行きますか!!」
ベルも気合いを入れホームを後にした。
お店の前に行くとなにやら看板の前で作業をしてるシル。
「シルさんなにしてるんですか?」
「あっベルさんおかえりなさい」
「た、ただいま……」
「ふふっ、そんな照れなくてもいいですよ」
「いや……なんか家族みたいで恥ずかしいですよ///」
「なに二人でイチャイチャしてるニャ」
「す、すみません」
「別にイチャイチャしてないもん///」
「そうえばこの看板は?」
「ミャーのじゃが丸くんをおすすめする看板ニャ」
「な、なるほど……でもじゃが丸くんに兎の耳つけるのはどうかと……」
「えっだめですか?」
「この兎頭!!シルが一生懸命書いた絵を侮辱するのかニャ!?」
「兎頭ってなんですか!?じゃなくて……違いますよ!」
「男にはわからない可愛さなんだろうなって……」
「リュー、兎頭がシルをいじめてるニャー!!」
「ちょっと!?人聞きの悪いこと言わないでくださいよ!?」
このあと木刀を持ち出したリューに恐怖したベルである。
「似合ってるじゃないか!!」
「あ、ありがとうございます///」
皆さんに作って頂いた制服を着る、上は白のYシャツ、下はタイトな黒ズボン、腰巻きの様なエプロンとキッチン用のロングエプロンを2着使い分ける形だ。
靴は革靴を用意してもらい、まさにカフェに似合う男な姿になった。
「さて昼時は混むからさっそくキッチンに入りな!」
「はい!」
ベルはエプロンを身に付けキッチンへと入るのである。
「いや~今日はなにを食うかな!!」
常連客おじちゃんの声が響く店内
「シルちゃん!注文いいかな?」
「はーい、今いきますね!」
パタパタとお客の方へ向かう
「シルちゃん今日のおすすめはあるかい?」
この常連客は必ずと言っていいほどおすすめを聞くのだ。
「そうですね……本日限定の『兎印のじゃが丸くん』はいかがですか?」
「じゃが丸くんって、よく露店とかで出してるやつかい?」
「はい!でもうちのじゃが丸くんは物凄く美味しいんですよ!お酒のつまみに最初食べて見ませんか?」
「なるほどね~しかも限定か……なら酒と『兎印のじゃが丸くん』一つ頼むよ!」
「はい!」
シルはキッチンにオーダー頼む。
「兎印1つお願いします!」
「は、はい!!」
ベルは注文が入ると作り出す。
「シル!上手く注文させたようだね、こっからが忙しくなるよ」
「はい!他の子にも忙しくなるって伝えておきます!」
「お願いするよ、正直アタシの見立てだとかなりの人気メニューになるはず……」
「兎印あがりました!」
「はーい!」
シルが声に反応し兎印を持っていく。
「お待たせしました!お酒と『兎印のじゃが丸くん』です!」
「おぉ!!これは小豆と……半分の白色はなんだ?」
「それは小豆クリームと白あんのハーフになります!白は兎をモチーフにしてますので!」
「へぇ~!思ったより旨そうだな!」
「では、ごゆっくり!」
「さっそく頂きますか……」
バクッ もぐもぐ ゴックン
「………………」
「うっ……」
「旨すぎる!!!!!????」
バタンと椅子から立ちあがり叫び出す常連客
なんだ、なんだと周りの客も興味を示し始めた。
「こ、こんな旨いもの42年生きた中で食べたことねぇ……」
「はっ!?も、もう1つ食べちまった……」
「そこのエルフのお姉ちゃん!!」
「はい、ご注文ですか?」
「ああ!『兎印のじゃが丸くん』……3……いや5個追加で!」
「かしこまりました」
スーっとキッチンの方へ移動しリューがオーダーを頼む。
「クラネルさん、兎印5個追加でお願いします」
「はい!!!」
これをきっかけに、試しに一個頼むお客が増え、取りつかれたように追加を頼む流れになる。
「兎印10追加ニャ!!」
「は、はい!」
「ベルさん追加で15個お願いします!」
「は、はい!!!」
お話は次回へと続きます。
ではでは兎が織り成す英雄譚お楽しみに!!