やはり面倒臭い私と捻くれ者の彼とはあまりにも共通点が多すぎ…… 作:無念の非リア
ひとまず様子見なので、いけそうなら6月18日・3月3日と増やしていくつもりです。
特別棟まで来たことでさすがに逃げる心配はしなくなったのか、先生から私達はようやく解放されました。
それでも、去り際に「逃げたらわかってるだろうな」と言う殺意を込めた目でちらちらとこちらを見て来てましたが⋯⋯。
私と
特別棟の一角はとても静かで、冷たい空気がながれていました。
他にも活動をしてる部活はあるのにも関わらず、その喧騒はどうもここまで届かないようで、それが立地条件によるものなのか⋯⋯はたまた他に理由があるのかは分かりかねませんでしたが⋯⋯。
そして扉の前で比企谷さんが、扉を開けようと手をかけます。重い空気がながれるなか、だからといって帰るかと言えばここまで来てと思うと引き下がれず。
まぁ⋯⋯私としては二人の喧嘩とか気にしなければ問題ないでしょう⋯⋯正直、雪ノ下さんは少し苦手意識があるのですが⋯⋯三人でなく一人と一人と一人に考えれば問題ないでしょう、赤の他人であれば気不味くもならないでしょうし、問題はないはずです。
今日から始める、一人でも怖くない対策その1、「他人を見ても認識しない」です。ちなみにその2はありませんが⋯⋯。
まぁ要するに他に人がいるから「何かしないと」「仲良くならないと」と強迫観念に囚われるから問題なのであって⋯⋯本屋で漫画やラノベを物色中に隣に人がいるから、「やばい、気まずいからなにか話さないと」と思う人はいないのと同じというわけです。
そう考えれば答えは簡単、それこそ実にシンプル、黙ってそのまま読書でもしてれば問題ない訳です。
そして、
うわぁこれが美人と言うものでしょうか⋯⋯実に絵になるなぁとばかりに、女性の私ですら思わず見とれてしまう光景⋯⋯。
とはいえ、何をどうしたらいいか分からない。そんな中、気付けば
そんな中、雪ノ下さんは一瞬だけこちらを見ると、次の瞬間、読書を再開し始めます。
「「この距離、この空間でシカト《ですか》かよ⋯⋯」」
すがすがしいまでに圧倒的! 圧倒的なまでの無視に、一瞬自分がRPGゲーム等のモブキャラどころか背景にでもなったのかと思いました。いや教室での何時もの私ですね。
「⋯⋯随分息のあった変わった挨拶ね。と言うかあなた達、本当に双子の
「⋯⋯コンニチワ⋯⋯いやだからなんなんですか? 何ですか? 私にはマイエンジェルの葛がいても、流石にこんな私みたいな兄や弟はいませんよ! てかこれ前にも言った気がするんですが」
デジャブを感じる雪ノ下さんの嫌味に私は思わずツッコミを入れる中、雪ノ下さんはニッコリと微笑みました。てか笑うと口元に笑窪が出来たり、少し八重歯が覗く感じに笑うんですね⋯⋯どうでもいい事を知っちゃいましたよ⋯⋯。
「こんにちは。もう来ないのかと思ったわ」
てか、やはり腐っても美人⋯⋯憎らしいほどに女の私ですらドキッとなりそうな程に反則なまでの、愛らしい笑顔ですよこんちくしょう!
「「べ、別にっ! 《平塚先生に強制されたから仕方なく、来ただけなんだからね!》逃げたら負けだから来ただけだよ! か、勘違い《しないでよねっ!》するなよなっ!」」
被ってしまった⋯⋯てかよく被るなぁ⋯⋯思考が本当に似通ってるんでしょうか⋯⋯やばい、平塚先生や雪ノ下さんの言ってる事が冗談に思えなくなってきました。
てか普通立ち位置逆でしょ⋯⋯
とはいえ、雪ノ下さんは特に気を悪くした様子はなく、と言うかむしろ無関心なまでに話を続けてきました。
「
「ちげぇよ⋯⋯」
「じゃあストーカー?」
「それも違う。ねぇなんで俺がお前に好意を抱いてる前提で話が進んでんの?」
「「《え? 違うんですか?》違うの?」」
雪ノ下さんと思わず被ってしまいましたが、何でしょうかさっきから
「ちげぇよ! お前らのその自意識過過ぷりには流石にひくぞ」
「いやいやいやいや⋯⋯自意識以前に言うのもアレですけど、雪ノ下さんは女性の私ですら認めざるを得ない位に美人ですし、第一印象だけで好意を抱かない男性は、ホモか熟女好きか幼女好き見たいな、特殊性癖でも拗らせてるまでありますよ?」
私はそう全力で言います、結構人はなやれ中身がどうのとか、やれ心が大切とか言いますが結構、関わるか関わらないかを決めるのは、第一印象つまり外見的特徴でしかない訳ですよ。つまり結構は中身とか言ってる割には結局最終的には、美人か美少女の外見の子こそ正義、はぁ⋯⋯本当に世の中クソですねぇ⋯⋯。
「えぇそうよ。実際に私って可愛いかったから、近づいて来る男子はたいてい私に好意を寄せて来たわ」
おうふぅ⋯⋯自分で言っちゃいましたよ。てか美人な自覚はあるんですね。あとそれ同じ女性からしたら嫌味に聞こえますよ、現に私も少しばかりカチンときましたからね。
「まぁ⋯⋯とはいえそれに反比例して女性からは沢山嫌われてそうですが」
「
雪ノ下さんはウフフと微笑みながら私の方を見てくる。とはいえこの笑顔はどちらかと言うと敵意むき出しの方で怖いです。ですが、その言葉は雪ノ下さんへの特大ブーメランだとは、言わなかっただけ褒めてもらいたいですね。
「正反対に嫌われてる、ねぇ⋯⋯」
私達の話を聞いていた
「お前さ、友達いんの?」
いきなりの爆弾を投下してきました。いやいやいやいや、私は雪ノ下さんとは今日話しただけですが、普通に考えれば、いなさそうなのは分かる事でしょう? 高飛車で性格がキツそうな態度の女性ですよ? 乙女ゲームならヒロインちゃんより、悪役令嬢が似合うレベルですって⋯⋯ほら、雪ノ下さんもふいっと視線を逸らしてるじゃないですか。
「⋯⋯そうね、まず何処から何処までが友達なのか定義してもらっていいかしら」
「あ、もういいわ。そのセリフは友達いない奴のセリフだわ」
多分ソースは
本当に知り合いとう違うか知りたいくらいです。
1度あったら友達で毎日なら姉妹になるんですか? それなら世界中ミンナ姉妹ですね。んなわけないでしょ!?
そもそも知人や友人の差異を表す表現が曖昧と言いますか、特に同性だとかなり顕著ですね。同じクラスでも、クラスメイト、友達、親友あと中心となるリーダーみたいにランク分けしてますよね? じゃあその違いは何処から来てるかって言えば私にも分からないが正解になるわけですよ⋯⋯。
QED証明完了。
「まぁお前には友達いないのなんとなく想像つくからいいんだけどさ」
「いないだなんて言ってないでしょう? もし仮にいないとしてもそれで何か不利益が生じる訳では無いわ」
「あーうん、そうねーはいはい」
ジト目で比企谷さんを見てる雪ノ下さん、
「まぁ⋯⋯確かに雪ノ下さんは、女性に嫌われてそうとは思いましたが⋯⋯」
「⋯⋯あなた達にはわからないわよ、きっと」
心なし頬を膨らませて、そっぽを向く雪ノ下さん。
まぁ私も
聞かせてもらった所でそれを理解出来るかも難しい所ですし。どこまで言った所で結局の所、人と人と言うのは理解し合うなんて出来ないものです。
「まぁお前の言い分は分からなくもないんだ。一人だって楽しい時間は過ごせるし、むしろ一人でいちゃいけないなんて価値観がもう気持ち悪い」
「あーリア充共の集団で遊ぶ方が絶対楽しい見たいなあのノリですねぇ⋯⋯本当、好きで一人でいたい部類の私には全く理解出来ませんし、理解したいとも思えませんしね」
「⋯⋯」
雪ノ下さんは一瞬だけ交互に私達の方を見たあと、すぐに顔を正面に戻して目を瞑りました。何か考えているのでしょうか?
「だよなぁ⋯⋯好きで一人でいたいってのに勝手に憐れまれるのもイラッと来るもんだよな」
「ですねぇ。こっちはほっといて欲しいのに勝手に憐れんでくるんですよねぇ⋯⋯」
「なぜそんなに意気投合してるのかしら⋯⋯。非常に腹ただしいのだけれど」
そう言って苛立ちをごまかすように雪ノ下さんは髪を掻き上げました。
「まぁ、あなた達と私では程度が違うけれど、好きで一人でいる、と言う部分には少なからず共感はあるわ、少しばかり癪ではあるけれども」
最後にそう付け足して雪ノ下さんは自嘲気味に微笑みました。何処か影のある、けれど穏やかな笑みでした。
「程度が違うってどういう意味だ⋯⋯。独りぼっちにかけては俺も一家言ある。ぼっちマイスターと言われてもいいくらいだ。むしろ、お前程度でぼっちを語るとか片腹痛いよ?」
「何なのかしら⋯⋯、この悲壮感漂う頼りがいは⋯⋯」
雪ノ下さんは明らかなに何言ってんだこいつとばかりに呆れに満ちた顔で比企谷さんを見る。対照的に
「はぁ⋯⋯まぁいいわ、大方言わせてもらうと大体は
そう言う雪ノ下さんは何処か陰鬱そうでした。そして最後の部分あたりでは、消え入りそうな小さい声になってましたが⋯⋯私はなんとなくですが分かった気がしました。
「あー⋯⋯なるほど⋯⋯ひょっとして嫌われる所かむしろ敵として排除に走りましたか⋯⋯」
「あら? 分かってるじゃない⋯⋯えぇそうよ理性の無い獣と同じ、いえそれこそ禽獣にも劣る⋯⋯。私がいた学校ではそう言う排除に走る子が大半を占めていたわ。そう言った行為でしか自身の存在意義を確かめられない哀れな人達だったのでしょうけれど」
雪ノ下さんは、ははっと鼻で笑いました。
まぁ⋯⋯男子以上に女性は陰湿な方法で排除に走りますからね⋯⋯多分、話を聞く限りだと状況は四面楚歌と言う状態だったのでしょう⋯⋯そして多分ですがそのやり方も大体は想像できます。
「小学生のころ、六十回ほど上履きを隠された事があるのだけれど、うち50回は同級生の女子にやられたわ」
「あと十回が気になるな」
「男子が隠したのが三回。教師が買い取ったのが二回。犬に隠されたのが五回よ」
「犬率たけぇよ」
いやいやいや、確かに私も思いましたが突っ込む所はそこじゃないと思いますよ?
「驚くポイントはそこではないと思うのだけれど」
「あえて聴き逃したんだよ!」
「おかげで私は毎日上履きを持って帰ったし、リコーダーも持って帰るはめになったわ」
うわぁ⋯⋯私はその言葉に絶句する。特にリコーダーに至っては眉唾と言うか、都市伝説の類いだと思ってましたが⋯⋯まさかやる奴が世の中にはいるんですね。
「「大変だったん《ですね》だな」」
「えぇ、大変よ。私、可愛いから」
そう自嘲気味に笑う雪ノ下さん、私としてもなんというか何も言えないと言った感じでした。
「でも、それも仕方が無いと思うわ。人は皆完璧では無いから。弱くて、心が醜くて、すぐに嫉妬し蹴落とそうとする。不思議な事に優れた人間ほど生きづらいのよ、この世界は。そんなのおかしいじゃない。だから変えるのよ、人ごと、この世界を」
そう言う雪ノ下さんの目は明らかに私は本気よ、とばかりに強い殺意と言うか憎悪のようなものを感じました。
「「努力の方向性が明後日にぶっ飛び過ぎ《でしょ》だろ⋯⋯」」
「そうかしら。まぁそれでも、あなた達のようにぐだぐだ乾いて果てるより随分マシだと思うけれど。それにしても相変わらず息ぴったりね」
そう言って雪ノ下さんはふいっと窓のそとを見ました。
私は
自分を偽って本心をひた隠し周りに合わせる、それ自体は難しくないはずだし、世の中の大半の人間はそうしている。
相手さがこれをやりたいから、自分は他にやりたい事があっても、実は私もそれがやりたかったと言う人がいるように⋯⋯。
相手が中身の無い薄っぺらい事をそれらしく言ってるのに対して、凄いとか自分じゃ思いつかなかったとか、大袈裟に褒め称える人がいるように⋯⋯。
雪ノ下さんはそれをしない。
自らを偽らない。
それはきっととても生きずらいはずです。
現に私がそうなのだから⋯⋯。
でも、いやだからこそ私はそれを少しばかりかっこいいなと思ってしまいました。
対する雪ノ下さんは、話は終わったとばかりに再び文庫本に目を落とします。
それを見ながら私は、不意に妙な気持ちに捉われました。
──きっと彼女は私達と所かにている。柄でもなくそんな事を思ってしまいました。
──今はこの沈黙が、悪くないような気すらします。
──それなら。
──それなら、彼女となら。
そう思う中、私が話しかけるよりも先に
「なぁ、雪ノ下。なら、俺が友」
「ごめんなさい。それは無理」
「えーーまだ最後まで言ってないのにーー」
雪ノ下さんは断固拒否しました。やべぇ⋯⋯思わず
結論、やっぱりボッチに友達とか無理難題ですね。