やはり面倒臭い私と捻くれ者の彼とはあまりにも共通点が多すぎ…… 作:無念の非リア
雪ノ下さんと
私は軽く挨拶を交わすと、雪ノ下さんと比企谷さんから少し距離を取った、丁度真ん中辺りの場所に椅子を置いて座りました。
それから鞄から数冊ほど本を取り出し読みます。
アレ? 可笑しい⋯⋯これでは奉仕部のはずなのに完全に文芸部の活動だ。
てかよくよく考えたら、この部活何をする部活なのか私全く知らない⋯⋯それ所か平塚先生による圧もあったとはいえ、何気なくなし崩しにズルズルと聞くタイミングを逃して今に至るせいで、滅茶苦茶聞きづらいです。
てか部活内容が分からないと勝負云々もクソもないんですが⋯⋯まさかこのまま読書して帰るだけの部活だと、勝敗が完璧に平塚先生の気分次第になって、平塚先生の好感度上げる戦いになるんですが⋯⋯。
まさか平塚先生は勝負と見せかけて、なあなあで皆が勝負云々を忘れてくれる事を狙ってたりしません? まさか⋯⋯ね⋯⋯。
そんな事を考えていると、弱々しいノック音と共に唐突に来訪者がやって来ました。
「どうぞ」
「し、失礼しまーす」
声は緊張の余りに、少し上ずっていました。
からりと戸が引かれ、少しだけスキマが開きます。そこから滑り込むように彼女は入ってくる。
なんと言うか周囲の視線をかなり警戒して、挙動不審になってるような動きですね。
明らかにキョロキョロと探るような落ち着きの無い視線、肩までの茶髪に緩くウェーブを当てて、歩く度にそれが揺れ、やがて
等の
「な、なんでヒッキーとヒキタンがここにいんのよ!?」
「⋯⋯いや、俺ここの部員だし」
えっなに? ヒッキーもそうですけど⋯⋯ヒキタンってひょっとして私の事でしょうか? まぁ会話からして彼女はどうも比企谷さんや私を知ってる感じですが⋯⋯私には全くと言って身に覚えがありません。
「
「いや⋯⋯俺としてもこんな今時のジョシコウセイって感じの、女子との交流はない⋯⋯正直いってまるで覚えがないまである⋯⋯」
「ちょっ2人とも同じクラスなのに酷いし!」
おっおう⋯⋯そうでしたか⋯⋯てか同じクラスだったんですね⋯⋯となるとつまり彼女が一方的に知ってる感じでしょうか⋯⋯。
明らかに派手目な姿、私には無いソレを見せ付けてるのかと思える様な、ボタンが三つほど空いたブラウス、にその胸元を強調するかのように光るネックレス、ハートのチャーム。短めのスカートに明るめに脱色された茶髪、明らかに校則はゴミ箱にでもかなぐり捨ててきたと言ったカッコウです。
とはいえこういう子と、
普通は同学年の顔を全部覚えてる人の方が稀ですし、同グループでも無い限り、面識は皆無になものでしょうしね。
そんな事を考えていたら、ふと私は彼女の胸元のリボンが赤なのに気付いた。この学校はそれぞれ三学年ごとにリボンが割り当てられており、それで何年生かが分かる。
ちなみに赤は私と同学年である二年生ですから、彼女の言ってる事はおそらく間違いは無いのでしょう。
⋯⋯別に彼女の贅肉の塊に嫉妬して凝視してた訳じゃなくて、偶然目に入っただけですからね? てかけっこうでかいですね。そんなに見せびらかして嫌味ですか?
私が嫉妬に身を焦がしてる中、雪ノ下さんはそんな彼女に視線を合わせる。
「由比ヶ浜結衣さん、ね」
「あ、あたしのこと知ってるんだ」
彼女、由比ヶ浜結衣さんは名前を呼ばれた事で満面の笑みを浮かべる。雪ノ下さんに知られている事は、彼女の中ではある種のステイタスだったりするのでしょうか?
「まぁ、とにかく座って」
「あ、ありがと⋯⋯」
彼女は戸惑いながらも、おそるおそる椅子に腰掛ける。
「⋯⋯あのさ、平塚先生から聞いたんだけど、ここって生徒のお願いを叶えてくれるんだよね?」
由比ヶ浜は比企谷さんが席に戻った所で、おそるおそる私たちを見ながら、そう話を切り出しました。
「「そうなの《です》か?」」
てっきり本を読むだけの部活とかしてたので、この際なのでどういった部活なのか聞こうと考え、そう雪ノ下さんに訪ねました。
なお、被る事はもう気にしない事にしました。ホントだよ? ヤハタウソツカナイ。
雪ノ下さんはそんな私達の疑問を一切無視して由比ヶ浜さんの質問に答える。
それにしても、とんでもないスルースキルですね⋯⋯まるで雪ノ下さんと由比ヶ浜さんしかその場にいなくて、私達がもはや存在しないものと言うレベルだもの⋯⋯。
「少し違うかしら。悪魔で奉仕部は手助けをするだけ。願いが叶うかどうかはあなた次第」
その言葉は何処か棘があり、相手を突き放すようでした。
「どう違うの?」
由比ヶ浜さんは怪訝そうな表示で雪ノ下にそう問います。それはまさに私達の疑問でもありました。
「飢えた人に魚を与えるか、魚の獲り方を教えるかの違いよ。ボランティアとは本来そうした方法論を与えるもので結果のみを与えるものではないわ。自立を促す、というのが一番近いのかしら」
道徳の教科書を読んだような話でした。
どこの学校にもありそうなお題目、協力と自立を実践する為の部活、という位置づけって感じでしょうか? まぁ、先生も奉仕活動とか言ってたし、要は生徒の要望に対してお手伝いする部活ってことなんでしょう。
「な、なんかすごいねっ!」
由比ヶ浜さんは目から鱗で驚いたっ! って顔で雪ノ下さんを見る。
なんだか将来詐欺とか悪い人に引っ掛かりそう⋯⋯いやもしかしたら既に手遅れで、悪い事とか変な事とが吹き込まれてたりしないか心配になってきた。
女子は皆悪口や陰口いやぁ、だいたい会話は成立するもん見たいなやつとか⋯⋯。
あぁいう下を見て愉悦に浸ったりする事で、成立するグループって結構多いんだよねぇ⋯⋯やっぱりグループってクソですね。
あっでも雪ノ下さんは雪ノ下さんで、チョロインだからなぁ⋯⋯案外この二人って気が合うんじゃないかなぁ⋯⋯。
雪ノ下さん×由比ヶ浜さん? いや逆に由比ヶ浜さん×雪ノ下さん⋯⋯ありですね。
「何だか分からないのだけど⋯⋯
「なっなんの事でしょうか?」
怖ぇ⋯⋯なんでこういう時に限って鋭いんですかねぇ⋯⋯私は思わず挙動不審に目を逸らした。
雪ノ下さんはそんな私に呆れたとばかりにため息を吐くと、再び由比ヶ浜を見る。
「必ずしもあなたのお願いが叶う訳ではないけれど、できる限りの手助けはするわ」
その言葉で由比ヶ浜さんはアッと声を上げ、本題を思い出したとばかりに話し始め⋯⋯
「あのあの、あのね、クッキーを⋯⋯」
ようとして
ん? なんでしょうか⋯⋯なんか由比ヶ浜さんのその仕草に少しばかり違和感を感じた。
「
雪ノ下さんが顎でくいっと廊下の方を指し示した。あぁ多分、
そんななか、
「⋯⋯ちょっと『スポルトップ』買ってくるわ」
さりげなく
「私は『野菜生活100いちごヨーグルトミックス』でいいわ」
ナチュラルにパシるとか雪ノ下さん鬼スゲーですね。
00:00分に予約してたはずなのに、何故か機能しなかったのだが⋯⋯ちくせう。