ソードアート・オンライン ~彗星が紡ぐ物語~ 作:ユキノスケ
最近、一週間に一本投稿を心掛けています!(笑)
今回で第四話です。前シリーズよりも字数が少なくなっているのでとても書きやすいですね。
~お知らせ~
・第三話のお金の単位が間違っていましたので、訂正しました。
・ハヤトがドロップしたコートに名前をつけました。
それでは本編、どうぞ!!
「ふ…あぁ…」
俺はカーテンの隙間から降り注ぐ暖かな光で目が覚めた。
現在居る場所は、昨日の洞窟探検の後、キリトが見つけてくれた宿屋だ。他の宿屋よりも少しお得らしい。
部屋の広さは、子ども部屋程の大きさで、大きな窓が一つ、その傍に緑のベッド。部屋の隅には照明もあり、小奇麗な感じだ。
「それにしても…」
違和感無さ過ぎじゃね?気持ち悪いんだけど…
自分が感じていた光、空気、ベッドの感触、全てが現実と酷似していた。
…これに慣れたら絶対だめだ…
もし慣れてしまったら、もう二度と現実を思い出せないかもしれない。
そんなことを考えていると、部屋の扉が開かれ、
「おう、起きたか」
聞き慣れたその声に、俺は一度思考を止め、
「ああ、ありがとう」
キリトに返事をした。
「なにか考え事か?妙に顔が怖かったが…」
キリトが心配そうな表情でこちらを見てくる。
「いや…なんでもないよ」
これ以上キリトに俺に関しての事で負担掛けたくないしな…
「そうか。そういえば」
「ん?」
何だろう…また死にかけるのはごめんなんだが…
「今日の15時、『トールバーナ』でボス攻略会議がある」
「ほう」
たしか…前言ってたやつか…
あんまり人とは話したくないんだがな…
「お前も来いよ」
そんな俺の心を読むようにそこだけ語気を強めてくる。
「わ、分かってるよ!」
「はっはっは!ならいいんだ」
ったく…からかいやがって…
「どうやら、指揮をとってくれる人がいるらしいから、指示に従えばいいぞ」
「ふーん…」
ベータテスターが沢山の情報を持ってるだろうから…
「とーぜんキリトは主催側だよな!?」
「うっ…そ、それは、まあ」
キリトは焦ったように弁明する。
「俺にはそんなことできねーよ…」
「ま、そうだろうな」
お互いに軽口を叩いた後、キリトはドアノブに手をかけた。
「んじゃ、またな」
「おう」
そう言い残して、キリトは去って行った。
「さて、なにするかな…」
俺は一人で今後の予定を考えるのであった。
△▼△▼△▼△
「それじゃあ、今から第一層ボス攻略会議を始める」
時刻は3時ぴったり。広場は小さなスタジアムのようになっていて、そのステージ上に青髪の男性が立っていた。
「俺の名は『ディアベル』職業は、気持ち的にナイトをやってまーす!」
彼のその言葉に、
「ジョブシステムはないだろー」
「何言ってんだー」
と、いったような笑いながらのヤジが飛ばされる。
会議の出だしは上場のようだ。
みんな、随分と明るいな…
この攻略会議が始まるのに時間がかかったのには理由がある。
デスゲームとなってから、早くも一カ月程、既に死者は約2000人にまで上った。戦闘中の判断ミスや、自ら命を手放してしまうのが主な理由だった。
そんな、あまりにも張りつめたゲームに、なかなか攻略をしようと言う人が出なかったからからだ。
俺とキリトで行ってみたりもしたが、ボス部屋にすら届かない始末だ。
なのに、今、こんなにも盛り上がっているのは謎なんだが…
「始まったな」
俺がヤジをボーっと聞いていると、横からキリトが話しかけてきた。
「あ、あぁ…」
突然の言葉に、生返事しかできなかった。
「ちゃんと聞いておけよ。連携は大事だからな」
「わーってるよ」
俺は頭を掻きながら返事をする。
そして、話は進んでいき、
「それじゃあ、パーティーを組んでくれ」
その指示のあと、各自がペアを組み始める。
ま、俺はキリトと組むんだけど
「組むか」
「ああ」
お互い納得するが、キリトがあるプレイヤーに視線を向けていた。
「あの人…一人か…」
「誘うのか?」
だが、キリトが他の人を誘うとは思えないんだが…
「生存率を上げるには、人数を増やした方がいいしな…」
キリトはそう呟くと、深くフードを被ったそのプレイヤーに近づき、
「あぶれたのか?」
「周りがお仲間同士みたいだったから、遠慮しただけ」
「なら、俺たちと組まないか?人数が多い方がいいだろうし」
そのプレイヤーはちらっと後ろにいた俺と、キリトを見た後、
コクン
首を縦に振ってくれた。
いや、よかったよかった。拒否られたら悲しいよね
「じゃあ、よろしくな」
こうして、パーティメンバーの一覧に『Asuna』と追加された。
「決まったかな、それじゃあ――」
「ちょっと待たんかあ!!」
突然、一人の男がステージに上がる
なんだ?あいつ…
その後、男は『キバオウ』と名乗り、
「こん中に、死んでいったプレイヤーに詫びいれやなあかんやつがおるはずや!!」
と、言った。おそらくベータテスターのことだろう。
キバオウが言った不服の内容は、ベータテスターがビギナーを見捨て、狩り場を独占したせいで大勢のプレイヤーが死んだ。そんなことをしたベータテスターがアイテムとコルを差し出さない限り、命を預けるのはご免だというものだった。
冗談じゃない。ボスの攻略をするってのに、何言ってるんだ?
ちらっとキリトの方を見てみると、切羽詰まった顔をしていた。
場の空気がキバオウに傾きつつある時に、
「発言、いいか」
一人の大男が手を上げた。威圧感のある筋肉質の体と、スキンヘッド、背負っていた大斧にキバオウはたじろいだ。
その男は『エギル』と名乗り、こう続けた。
「これは無料配布されていたガイドブックだ。これにはこのゲームの進め方や、モンスターとの戦い方などが、詳しく記載されている」
そして、一呼吸置いて、
「これを配布していたのはベータテスターだった人たちだ」
エギルのその発言に、その場がざわつく。
「情報はあった。が、それでも大勢のプレイヤーが死んだ。その失敗を踏まえて、俺たちはどうやってボスに挑むべきなのか、が論議されると俺は思っていたんだがな」
そのエギルの発言で場の空気が変化したことに気付いたキバオウは、石段の最前列にに不服そうな顔で座った。
そんな一悶着の後、ボスに関しての情報や、作戦が聞かされる。
最終的に、ディアベルを含むパーティがボスである、『ILLfang・the Koboid・Load』を担当し、俺たちのような残りもので、その取り巻きの『Lwin・Kobold・Sentinel』を担当することになった。
俺たちが担当する方は、本体よりも小さく、数も多くないらしいので、倒し終わったらボスへの攻撃に参加してほしいそうだ。
あとは、ボスの体力が減ると、斧から曲刀タルワールに持ち替え、攻撃パターンも変わるらしい。
「よし、明日は十時に出発する。では、解散!」
やっと終わったか…
俺は精神的に疲れた。今まで人が集まる所に行かなかったからだ。
「んじゃ、また明日な」
「おう」
そして、俺とキリトも解散した。
…今日のご飯…どうしよう…また狩りだな…
俺はめんどくさいという感情を必死に振り払い、外へ出た。
△▼△▼△▼△
「ふわあぁぁあ…」
外で適当に取ってきた肉を焼いて食った後、俺は昨日と同じ宿に泊まっていた。
「つ…疲れた…」
なにせ、一体だけ倒すつもりが、群れで襲ってきたからな…20匹くらいはいたんじゃないのか…あれ…
そうやって今日を振り返っていると、心地よい眠気が襲ってくる。
「ふ…あぁ…」
とうとうボス戦か…
実際、かなりこのゲームに慣れてきた。今までできなかったアクションが出来るようになったり、相手の攻撃をタイミング良く弾く『パリィ』も出来てきた。ソードスキルを放つタイミング、間合いも掴めてきた。未だにバーチカルしか使っていないのはダメなんだが…
ボス戦で『バーチカル・アーク』初使用か…
『バーチカル・アーク』。バーチカルからの派生スキルのようなもので、バーチカルによる突きから、好きな方向に斬り進む技だ。
…頑張らないと…な…
そんな事を考えながら、俺は深い眠りに落ちた。
△▼△▼△▼△
~次の日~
「みんな、準備はいいかー!」
「「「おおー!!」」」
薄暗いダンジョン、第一層の『迷宮区』の最奥部。その気味の悪い雰囲気とは逆に、攻略に参加している人たちのほとんどがやる気で満ち溢れていた。
こんなに浮かれて、大丈夫なのかよ…
正直、俺は今、とても怖い。前の中ボスでも死にかけたのに、今度はちゃんとした迷宮区のボスだ。もしかしたら死んでしまうかも知れない、そんな感情が頭をよぎっていると、
「俺たちも行くか」
キリトが声をかけてくる。そのキリトの顔にも一抹の不安が忍んでいる気がして、
「大丈夫…だよな…」
思わず、野暮なことを聞いてしまった。
ったく…なにしてんだか…
しかし、そんな俺の心境を理解したのか、キリトは優しい声音で、
「ああ…生きて帰るぞ、ハヤト」
バンッ、と背中を強く叩かれた。俺はそれで目を覚ます。
「ああ!」
コクン
隣にいたアスナも頷く。
あれ?少し雰囲気が柔らかくなった…かな?
そんなやり取りの後、ディアベルは扉に手を掛け、
「みんな…俺から言うことは一つだ…勝とうぜ!」
そのディアベルの言葉と共についに扉が開かれた。
いかがでしたでしょうか?
ここにきて、ようやくアスナを登場させることができました!(まあ、かなり短めですが…)。実は、キバオウのくだりを入れようかとても迷いました。個人的にはなしでもよかったのですが…
さて、次回からとうとうボス戦が始まるということで、「戦闘描写ができる!」と一人で楽しみにしています(笑)
キリアスを描くかどうかとか、ヒロインをどうするかを考えています。
アドバイス等々、お気軽に書いてください!!
それではまた次回、お会いしましょう~