デート・ア・ライブ エボリューション   作:オンリー

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第3話 最後の奥の手

 

 

「進化しただと、馬鹿なっ⁉︎」

 

 堕天使は目の前で起きた光景に目を疑わせた。

 

「ギギモン、いや」

 

 先程、光輝いたポケベルを見る。

 そこにはギギモンの新たな姿が表示されていた。そこに表示されていた名前は––––––ギルモン

 

「ギルモン、爬虫類型の成長期デジモン。必殺技はロックブレイカーとファイアーボール」

 

 初めて見た時は名前だけしか表示されていなかったが、今は新たな情報がこのポケベルに追加されていった。

 そして、それはギルモンだけでなく目の前にいる堕天使の情報も表示される。

 

「デビモン、堕天使型の成熟期デジモン。必殺技はデスクロウ」

 

 相手の情報を得ると士道は目の前にいる敵を見つめる。

 

(成長期とか、成熟期とか今一つ分からないけど。多分、強さの基準だ。名前的に向こうの方がこっちよりも高いレベルだと思う)

 

 姿が変わり前よりも遥かに強くなったと確信するが、やはりまだ敵の方が強い事を知り、この場をどうするか考える。

 危険を冒して戦うか、この場から逃げるか。恐らく後者はギルモンに姿が変わった事で前者よりも可能性がある。

 

「士道、戦おう」

 

「ギルモン?」

 

「あいつを倒さないと町の人が戻らない。何よりあいつは危険だ」

 

「・・・・そうだな。ギルモンの言う通りだ」

 

 このまま逃げ切れたとしても、町の人達が戻る訳ではない。

 寧ろ、ここで奴を倒さなくてはどれだけの被害が及ぶのか想像がつかない。士道は意を決して目の前の敵を見据える。

 

「あいつを倒すぞっ!ギルモン!」

 

「あぁっ!」

 

 ギルモンはデビモンの下に走り出す。

 デビモンもギルモンを近づかせるのを嫌がり、先程と同じ技を繰り出す。伸縮自在に伸びた腕はギルモンを襲う。

 

「その技は、さっき見た!」

 

 襲ってきたデビモンの腕を両手で受け止める。

 

「何だとっ⁉︎」

 

「ロックブレイカーッ!」

 

 受け止めた腕を振り下ろした自身の強靭な前爪で切り落とした。

 

「ぎぃやややややややややややややッ⁉︎」

 

 腕を切り落とされたデビモンは絶叫を上げ、切り落とされた腕をもう片方の手で押さえ込み。地面に膝をつけたデビモンは、自身の腕を切り落としたギルモンを鬼の形相で睨みつける。

 

「ゆ、許さん。よくも、よくも私の腕をッ⁉︎」

 

 羽を羽ばたかせギルモンを空から見下げ、次の瞬間、空中から凄まじい速度で降下してきた。

 

「ロックブレイカーッ!」

 

 こちらに向かって来るデビモンに合わせ、先程と同じ技を繰り出す。だが振り上げた爪はデビモンに軽く躱され、逆にデビモンの爪に切り裂かれる。

 

「がっ⁉︎」

 

「ギルモンっ!」

 

「嬲り殺しだ‼︎」

 

 デジモンは再び空中に飛び立つと、すぐ様にギルモンに襲ってくる。ギルモンはもう一度、デビモンの攻撃に合わせるが躱されてしまう。

 

(不味いっ!パワーはこっちが勝ってても、スピードはあいつの方が上だ。それに加え空に飛ばれたらこっちの攻撃が当たらない)

 

 どうしたら、と悩むと士道は手に持つポケベルに目を向ける。

 

「さっきはこれが光り出して、ギギモンが姿を変えた。なら姿を他にギルモンを助ける何かがあれば」

 

 試しにポケベルをいじると、表示されていたギルモン達に関する情報画面が別のに変わる。

 

「何だこの画面は?エアロウィングに、メガフレイム?」

 

 先程の情報とは違い、今度は必殺技に似た技の名称の物など補助の様な物などが表示された。

 

「よくは分からないけど、今はこれに頼るしかない!」

 

 表示されている中から一つを選択し、それを押す。

 

「リカバリーA、selectっ!」

 

 ポケベルの画面が輝き、その光がギルモンに注ぎ込まれる。

 光に包まれたギルモンの身体は、次第にデビモンの爪で切り裂かれた箇所を治していく。

 

「な、何だとっ⁉︎」

 

「良し!次はこれだ。エアロウィング、selectっ!」

 

 画面を選択すると再び光はギルモンを包み込み、今度はギルモンの背中から翼が出現する。

 

「これなら空を飛べる、ありがとう士道!」

 

 ギルモンは羽を広げ、羽ばたかせ、空に飛び立つ。

 初めての飛行でぎこちない所はあるが、上手く空を飛ぶ事ができた。そしてデビモンのいる場所に突撃する。

 

「空を飛べる様になったからと言って調子に乗るなよ!幾ら空中戦ができる様になっても私のスピードの方がまだ速い!圧倒的な実力差で貴様を消してやる!」

 

「ロックブレイカーッ!」

 

 デビモンはギルモンの突撃を躱し、背中の切り落とそうと接近する。だがギルモンも身体を回転させ、デビモンの攻撃をいなし、攻撃を仕掛ける。

 

「チッ⁉︎」

 

 デビモンは攻撃の軌道をずらし、ギルモンの攻撃を爪で受け止めた。

 

「駄目だ。空中ができる様になって何とか戦える状態になったけど、まだあいつのスピードの方が速い」

 

 それに空中戦にまだ慣れていないギルモンでは、いつか動きを捕らえられてしまう。

 

「・・・・こうなったら、ギルモン!背中に俺を乗せてくれ!」

 

「でもそれじゃ士道が危険な目に」

 

「頼む!俺に考えがあるんだ」

 

「士道・・・・分かった!」

 

 ギルモンは上空から士道の所に急降下し、すぐ様に士道を背中に乗せ、再び飛行に戻る。

 

「で、僕はどうしたら良いの?」

 

「このまま普通に戦っていても、いつかこっちが負けてしまう。だから俺の考えは・・・・」

 

 ギルモンの耳に顔を近づけ、ひそひそ声で呟く。

 

「えっ⁉︎でもそれって」

 

「あぁ、失敗すれば俺もギルモンも死ぬだろう。でも、勝つにはこの手しかないっ!」

 

 ギルモンに話した作戦は危険極まりない物だった。

 失敗すればほぼ間違いなく死。それに比べて成功する確率も限りなく低い。

 

「・・・・分かった。僕は士道を信じるよ」

 

「ありがとう。そしてごめんな、ギルモン。こんな運任せの賭けしか思いつかなくて」

 

 頭を下げ謝る士道の言葉にギルモンは首を振る。

 

「僕一人で戦っていたら、もう既にあいつに殺られていたよ?でも士道がいたから僕はこうして生きてる。なら僕は士道を信じなくちゃ」

 

 それに、と付け足す。

 

「士道が一緒にいれば僕は怖くない」

 

「ギルモン・・・・あぁ、そうだな。俺もギルモンと一緒にいれば怖くない!」

 

 士道は呼吸を整え、ポケベルの画面に視線を移す。

 

「チャンスは一度きり、行くぞギルモンっ!」

 

「おうっ!ファイアーボールッ!」

 

 ギルモンの口から圧縮された火の玉が吐き出され、無数に放たれた火の玉はデビモンに襲い掛かる。

 

「そんな技が私に効くと思ったか!」

 

 デスクロウを振り払う防御で、ギルモンの放ったファイアーボールを弾き返した。弾き返されたファイアーボールはギルモン達に直撃し、爆煙が舞う。そして爆煙の中からギルモンと士道が地面に落下していく。

 

「ハァッ!たかが成長期のデジモンが私に敵う訳がないのだ。そのまま無惨に死ぬが良い!」

 

 力尽きた姿を見たデビモンは二人を嘲笑う様に高笑いする。

 

「無惨に殺られるのはお前の方だっ!」

 

 どこからか声が聞こえ、周りを見渡すが誰の姿もなかった。

 

「こっちだ!デビモン!」

 

 真上を見上げるとそこには力尽き、落下した筈の二人の姿があった。

 

「何だとッ⁉︎」

 

「メガフレイム、selectっ!」

 

「喰らえっ!メガフレイムッ‼︎」

 

 デビモンの真上から先程放った火の玉とは比べ物にならない、火球がデビモンに降り注ぐ。混乱している所に虚をつかれたデビモンはその攻撃を躱す事ができず、火球をその身に受ける。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ⁉︎」

 

 直撃を受けた身体は炎で燃え上がり、皮膚が焼け焦げていった。

 デビモンは絶叫を上げ、地面に落下する。地面に激突した場所はクレーターができる。ギルモンはゆっくりと降下し、デビモンと一定の距離を置く。

 

「上手くいったね士道」

 

「あぁ、まさかこんなに上手く行くなんて思わなかったよ」

 

「な、なぜ貴様達が生きいる」

 

 虫の息デビモンは和気藹々と話す二人に何故生きているのか質問する。確かに二人が地面に落下した姿はこの目で見ていた筈なのにだ。

 

「お前が見たのはこれだ」

 

 士道はポケベルの画面から選択し、押す。すると横に士道とギルモンが出現した。

 

「これはフェイクと言って実体を持った偽物だ。これをあの爆煙の中で使い、俺達が力尽きた様に見せたって訳だ」

 

「なるほど、な。だ、だかさっき言った上手くいった、とは一体なんだ?」

 

「何、至って簡単な事さ。お前に放ったギルモンの技をわざと自分で受けて、お前が隙を見せた所を叩く。なっ?簡単だろ」

 

 デビモンは目を見開かせ、信じられない目で士道を見る。

 

「あ、ありえん。そもそも、お前が言う作戦は、私が技を弾き返す事が前提の物ではないか」

 

「そうだ。この策はお前が技を跳ね返してくれないと始められない。だけどお前なら弾いてくれると信じてた」

 

「どう言う意味だ」

 

「言ってたじゃん。『圧倒的な実力差で貴様を消してやる』って、ならお前は必ずこっちの攻撃を受け止めるなり、弾くなりとする筈だ。俺達はその瞬間を待ったんだけど、まさか初っ端から来てくれるとは思わなかったよ」

 

「そうだね。僕もいきなり来たからビックリしたよ。でも、上手くいって良かったよ!」

 

 うつ伏せに倒れていたデビモンは二人の取った策に戦慄する。

 確かに結果として成功させてはいるが、この策は穴だらけの点が多過ぎる。

 

 まず第一に、自分が放った技を私が跳ね返さなくてはいけないこと。第二に、第一の条件が満たされても跳ね返された技をその身で受け、耐えなくてはいけないこと。でなければ、私を油断させる事など叶う筈がない。ほとんど運否天賦の運任せの策に等しい。

 

(何よりおかしいのは、その運任せの策を平然と実行したこの二人の異常さだっ!)

 

 デビモンは唇を噛み締め、苦悶の表情を浮かべる。

 この運任せの策に嵌り、地に伏せる自分の無様な姿に怒りを覚える。だがデビモンは息を大きく吸い、吐くと苦悶の表情だったのがうって変わり、不敵な笑みを見せる。

 

「何だよその笑み。もう身体も動かせない筈なのに」

 

「くっくっくっくっ、確かに先程受けた攻撃で、もう私には身体を動かせる力は残されていない」

 

 

 ––––––だが

 

 

「あの方に授けられた力はまだ残っている!」

 

 次の瞬間、倒れ伏せるデビモンの身体から黒いオーラの様な物が吹き出す。

 

「貴様達を倒せるなら、この命どうなっても構わん‼︎」

 

 デビモンの絶叫が周りに響くと比例し、黒いオーラも更に増す。

 

「ルインモード、発動ッ⁉︎」

 

 黒いオーラがデビモンの身体を包み込み、爆発する。そして爆風が晴れるとそこにデビモンの姿がなかった。代わりにいたのは死を感じさせられる悪魔がいた。

 

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