ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

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 更新遅れました…すいません。


《第18話》温泉行楽

2024年3月18日AM9:00第49層《ミュージェン》《虹紫館》

sideレイ

 

 今日はギルド全体で休暇を取り、久々の休日だ。もちろん、攻略だけで無くUCSFも休むので、今日限りは指揮権が副司令たるアスナにあるが、そんなことを気にしているメンバーは1人もいない。

 

「さーて、取りあえずユウキを起こしに行くか…」

 

 俺は自室で目覚めると、ユウキの部屋に行く。コンコンとノックをすると、「入っていいよ」というユウキの声がした。俺は部屋に入る。

 

「…おはよう、レイ」

 

「おはよう、ユウキ…眠そうだな」

 

 俺がそう言うと、ユウキはこくこくと頷いた。

 

「うん、昨日寝たのが3時だからね」

 

「それ、昨日じゃなくて今日だろ」

 

 なんて会話を5分ほど繰り返した後、1階のミーティングルームに行く。そこには、セブンとレイン、スメラギ、アズサ、フィリアの5人がいた。

 

「おはよ、皆。他の3人は?」

 

「ランとルクスはご飯作ってるよー。ファルスはまだ起きてないと思うよ」

 

 セブンが言う。

 

「…まあ、今日は久し振りの休日だしな。ゆっくりと過ごすか」

 

「何して過ごすのー?」

 

 ユウキが聞いてくる。

 

「取りあえず朝御飯食べてから考えようよ」

 

 レインが言う。と、そうこうしている内にランとルクスが料理が出来たと俺達を呼んだ。

 

「俺はファルスを起こしてくるよ。先に行っててくれ」

 

 俺が2階に行くと、ようやく起きたらしいファルスが廊下に出てくる所だった。

 

「寝坊だな、ファルス」

 

「勘弁して下さいよ、リーダー。今日は諜報班の仕事もオフなんですから」

 

「仕方ないな。今日は特別に無しにしてやるよ。じゃ、他の奴らが待ってるから早く行くぞ」

 

 食事を済ませ、10人全員がミーティングルームに集った。

 

「さて…今日は全員が一日オフな訳だが…何をする?」

 

 俺が問い掛けると、ユウキが勢いよく手を上げる。

 

「はーい!!ボクは皆でピクニックに行きたい!!」

 

 すると、フィリアが一言。

 

「ユウキは発想が子供っぽいね」

 

「確かに」

 

「まあ、分からなくもない」

 

「昔っからユウキはあんな感じですから…」

 

「でも、アイデアとしては悪くないと僕は思いますが…」

 

 レイン、セブン、ファルス、ラン、アズサがそれに続く。

 

「うーん、アズサの言う通りアイデアは悪くないと思うんだけどな…たださ、どこに行くのかという問題と……」

 

「「問題と?」」

 

「俺たち全員が人前に行くと物凄く目立つという問題が…特にユウキとかが。後、武装したままピクニックする訳にはいかないから安全面での問題が…」

 

「あ、確かに」

 

 ユウキが言う。

 

「それなら、主街区に行くんじゃなくて他の圏内村に転移すればいいんじゃない?それなら大丈夫でしょ」

 

 セブンが言った。確かに最前線以外の主街区ではない圏内村は基本的に人口が少ないため、目立つことは無い。

 

「それもそうだな。でも、どこに行く?後武装は…」

 

「そのままでいいと思うよ。えっと、ボク的には22層とかいいと思うんだけど…」

 

 22層はアインクラッドで最も人口が少ない過疎フロアの1つで、フィールドにモンスターが出現せず、迷宮区のレベルも相当低かったので、僅か3日で攻略され、ほとんど記憶にない。

 

「何かあったっけ?22層って」

 

 レインが聞く。確かに、22層はただ草原が広がるフロアで、特に観光スポットがあるという話は聞かない。

 

「えっと、これはアスナから聞いた話なんだけど……温泉があるんだって」

 

「温泉…か」

 

 俺は呟いた。この世界では入浴というのは必要な行為ではなく、ある種の娯楽のような意味合いを持つ。所々《秘湯》などと呼ばれる隠れ湯的なものがある。俺は現実(あっち)では結構温泉とか好きだったので一回行ってみたいとか思っていたが、攻略やUCSFの日々の任務が忙しく、中々機会を取れずにいた。

 

「いいと思うけど…その温泉って男女で分かれてるの?」

 

 セブンがユウキに聞く。

 

「確か、そうだったと思うよ」

 

 その言葉を聞いて、男性陣と女性陣が別の意味で安堵していた。

 

「確かに、温泉なら日頃の疲れも取れるな……よし!皆、22層に行こう!!」

 

「「「賛成!!」」

 

 

第22層圏内村《ヘルシンゲル》

 

「ここ、どれ位来てなかった?」

 

 俺はヘルシンゲルに着くとユウキに訊いた。

 

「えっと、前に来たのが攻略の時だから1年以上前かな」

 

「そんなにか…その頃は皆と会ってはいなかったな」

 

「確かにね。今思うとあの時レイ君とユウキちゃんと出会っていたのは結構ラッキーな事

だったのかもね」

 

 セブンが言う。その通りだと俺はしみじみと思った。

 

「さて、これからどうする?一旦休憩するか?」

 

 俺がそう言うと他のメンバーが全員頷いた。そのため、他の9人は村内のカフェ(的な何か)に行き、俺はちょろっと武器屋などを覗くことにした。すると、そこで、意外な人物と遭遇した。

 

「レイさん、お久しぶりです」

 

 その声に振り返ると、ギルド《レジェンド・ブレイブズ(LBS)》のリーダー、オルランドがいた。

 

「オルランド、どうしてここに?」

 

「今回はDDAからの依頼を受けて。この層に高効率の回転狩場(ファーミング・ス

ポット)が無いか調べてくれとリンドさんから言われまして」

 

 彼は第2層で起きた《強化詐欺》事件の責を取って一旦攻略組から退いたが、第18層で仲間と共に返り咲き、今ではKoBやDDA、俺達RSPやUCSFの《依頼》を受けて活動する傭兵部隊として名が知られている。リーダーのオルランドは片手剣使いとしても一流と呼ばれている腕を持っており、ギルド全体としての戦力も高く、ボス攻略戦に人員を出すほどだ。

 

「ああ、なるほどな。じゃあ、クフーリンたちは…」

 

「ええ、今はフィールドで探索をしています」

 

「そうか、じゃ、また依頼があったら頼むよ」

 

「ええ、その時はぜひ」

 

 オルランドと別れ、武器屋を出ると、外ではユウキ達が待っていた。

 

「遅いよ、レイ」

 

「ごめん、オルランドと会ってさ、ちょっと遅れた」

 

 俺がそう言うと、ユウキは「全く…」と一瞬ため息をついたが、すぐにいつもの表情に戻った。

 

「じゃ、行こう!!皆、準備はいいよね?」

 

 そのユウキの言葉に全員が頷いた。

 

 

第22層奥地ダンジョン《秘樹の淵林》

 

「ユウキ、後どれくらいで着くんだ?」

 

 俺はユウキに尋ねた。ヘルシンゲルを出てから2時間近く経つが、まだ件の温泉とやらはまだ見えない。

 

「後2kmぐらいかな?多分」

 

「2キロって…」

 

 セブンがため息をつく。もう多分5kmは歩いている気がする。

 

「もう走りましょうよ…」

 

 ファルスが言う。今までピクニックの雰囲気を壊さないためにあえて歩いていたが、もうここまで来ると全員で敏捷力の限界近くの速度ですっ飛んで行きたくなりたくなる。

 

「だめですよ。一応ピクニックですから」

 

 アズサがファルスに言う。

 

「じゃあせめて早歩きで…」

 

「まあまあ、時間はまだたっぷりありますから」

 

 ランも言う。確かに、まだ14時だ。

 

「はあ、ってことは後1時間位歩いたら着くから……」

 

 まだまだ一行の旅路は続くのだった……

 

――――――――――

 

 そして、ようやく温泉に辿り着いた一行…なのだが、1つ問題があった。

 

「なんで個室風呂なんだ…」

 

 俺は呟いた。その温泉は個室風呂だったのだ。いや、そこまでは問題ない。問題は風呂が9個しか用意されていないのだ。つまり、8人は1人で入れるが、残った2人は仲良く入浴、ということになるのだ。

 

「もちろん2人で入るのはレイ君とユウキちゃんだよねー」

 

「「ええっ!?」」

 

 そのセブンの言葉に俺とユウキは同時に叫んだ。普通に考えたらそういうのは同性にすべきだと思う。

 

「いやいやいやいや!おかしいだろ色々と!」

 

「別にいいでしょ恋人同士なんだし」

 

「確かに」

 

 女性陣がそう言うのを男性陣はニヤニヤしながら見ていた。

 

「あ、でもレイ君お風呂でユウキちゃんの事襲ったりしたら駄目だからねー」

 

 セブンがさらに言う。いや、もう一緒に入るのが前提になっている件について。

 

「いや、待て待て待て!!なんで俺とユウキが一緒に入るのが前提なんだよ!?」

 

「えー、いいじゃん、別にユウキちゃんはいいんでしょ?」

 

 セブンがユウキをちらりと見る。

 

「ボ、ボクは、べ、別にいいけど/////」

 

 ユウキはメチャクチャ顔を赤くしている。あれ?これ断れないパターンじゃね?

 

「じゃ、もうユウキちゃんがいいって言ってるからもう決定で!あ、ちなみにレイ君には拒否権ないからね?」

 

 セブンとレインの顔に小悪魔的な笑みが浮かぶ。こいつら確信犯だ、絶対。

 

「じゃあ、楽しんできてねー」

 

 セブン&レイン姉妹のその声にはっとすると、もうそこには誰もいなかった。

 

 

部屋内にて

 

「……入っていいか?」

 

 俺はユウキに声をかけた。正直に言おう。今俺の心臓、すっごくバクバクしてる。いや、現実では違うんだろうけど少なくともこの世界では絶対そうなってる。というか今までの15年間で異性と一緒に入浴なんて経験が一切ない俺に何故こんなことをさせた、あの小悪魔姉妹は。

 

「…いいよ」

 

 ユウキの声がする。心なしかいつもとトーンが違う感じがするが、多分気のせいではないだろう。

 

「じゃ、失礼して……」

 

ガチャ!

 

「…いや、せめてタオルぐらい着けろよ。羞恥心というものがないのか?」

 

 ドアを開けて見えたのはちょっとしたプールぐらいの広さがありそうな温泉と………一糸

纏わぬ姿のユウキだった。

 

「え、えーと、レイはボクの恋人だしいいかなって思って……ダメ?」

 

「いや、ダメだとは言わないが俺も男だから襲っちまうかも知れないぜ?」

 

「レイはそんなことしないでしょ?でも…やっぱり付き合っていても裸は恥ずかしいな…」

 

 と言いながらユウキは傍らからタオルを取ると、自らの体に巻き付けた。

 

「これでいい?」

 

「あ、ああ」

 

 ヤバい、メチャクチャ可愛い。俺は返事をしながらそう思った。うん、普通に美少女だ。

 

「ねえレイ、背中流して」

 

「うん?」

 

 俺は最初、言われた意味を理解していなかった。俺が怪訝そうな顔をすると、ユウキは再び言う。

 

「だから、レイに背中流してほしいって言ったの」

 

「え…えええええええええ!!??」

 

 まさかのユウキの言葉に俺は茫然とする。

 

「ちょっと待て、そんなことしたら俺が倫理コードに抵触して黒鉄宮送りになる気がするんですが…」

 

 俺はユウキに言った。この世界(アインクラッド)では女性プレイヤーに対し長時間の身体接触やいわゆるセクハラ行為が横行するのを防止するために《倫理コード》というシステムが常時働いており、もちろんシステムはそのプレイヤー同士の関係性などは一切考慮しないため、もし俺がユウキの背中に長時間触れたら即コードに引っかかって黒鉄宮送り確定である。

 

「あ、大丈夫だよ。ちゃんと《倫理コード解除設定》で解除しているから」

「……はい?」

 

 倫理コード解除設定?何だそれ?オイシイノ?と言いたげな俺の表情を察したらしいユウキが言った。

 

「あ、えーとね、ウィンドウのすっごく深いところにある物で、率直に言うと……えっちい事が出来るようになるようになるの」

 

 途中から顔を赤めながら言うユウキを、何とも言えない気持ちで俺は見ていた。絶対そんなものはβ(ベータ)版の時には無かった。というか、ユウキはどっからそんな情報を聞いたんだ?

 

「えっとな、ユウキ?お前どこでそんな事知った?」

 

「……アスナが言ってたのを聞いたんだ」

 

 アスナ、こいつにそんな事教えんなよ…絶対誤解して色々アブナイ事になるから!

 

「あ、そうですか…」

 

「これで納得してくれたでしょ?じゃ、背中流して?」

 

「はいはい……」

 

 俺は観念してユウキの背中を流す。ユウキの言ってた通り、倫理コードに引っかかる事は無かった。

 

「これでいいか?」

 

「うん!じゃあ、今度はボクが」

 

「させないからな?」

 

「なんでさ!?」

 

 理不尽だ、と言わんばかりの顔のユウキに言った。

 

「だって俺は解除してないからユウキはひっかか…あっ」

 

 俺はそこまで言って気付いた。男性プレイヤーは倫理コードを適用されないんだった…

 

 そんな俺の思考を見抜いたようにユウキが言った。

 

「へへっ、ボクにはコードは適用されるけどレイには適用されないんだよ。だ・か・ら、ボクがレイの背中を流しても何もならないんだ」

 

 と言いながらユウキは俺の背中に素早く回り込んで来た。

 

「はあ、分かったよ」

 

「やった!じゃ、流すね」

 

 ユウキは俺の背中をスポンジで……ん?違う、これはスポンジの感触じゃない。人の肌の感触だ。ぱっと俺は後ろを見やる。

 

「わっ!?」

 

 ユウキはびっくりしたように一歩後ろに下がる。その手には泡がたっぷりと付いていた。

 

「わ、わあ…びっくりしたぁ……どうしたの?」

 

「いや、感触がスポンジじゃなかったからさ」

 

「えっと…ダメだった?」

 

「いや、ダメとは言わないけどちょっと驚いたからさ」

 

 俺が言うと、ユウキは何故か顔を少し赤らめていた。

 

「ど、どうしたんだ!?」

 

「あ、なんでもないよ!さ、入ろう」

 

 ユウキに背中を押され、湯船に入る。入ってみると、そこは見ていた時よりも広い温泉だった。入った途端、心地よい液体の感触が体を包んだ。さすがに現実そのままではないが。

 

「暖か……」

 

 ユウキが呟いた。

 

「確かに、現実の温泉と大差ないな…ん?」

 

 俺はふと自分のステータスが表示されている場所を見やると、そこにいくつかの支援効果(バフ)アイコンがあるのを見つけた。

 

「へえ、この温泉、入るだけでバフまで付くのか。幸運(ラック)上昇、呪い耐性上昇、被ダメージ減少の3つ…しかも1時間って結構この温泉、効果高いな」

 

「あっホントだ!でも今日はそれ目的じゃないけどね」

 

 俺と同じ場所を見ていたユウキが言った。

 

「まあな、ていうかなんか疲れが取れる感じがするな……」

 

「ボクも。最近ずっとゆっくりなんか出来なかったもんね」

 

「2ヶ月は1日オフとか無かったからな…そう考えたらめっちゃハードな事やってる気が…」

 

 俺が記憶の糸を手繰りながら言うと、ユウキは頷いた。

 

「ホントだよ。そう考えるとUCSFってかなりブラックだよね」

 

「大丈夫だ、《軍》よりは遥かにホワイトだから」

 

「比較にならないよ、それ…」

 

 ユウキが呆れたように言った。

 

「でも、ホントに気持ちいいな」

 

「うん、ずっと浸かっていたいよ」

 

 俺たちは普段の疲れを癒すために、ぞんぶんに温泉を楽しんだ。

 

 

――――――――――

 

 

「そろそろ上がるか?あんまり長く入ってるとのぼせるぞ?」

 

「そうだね」

 

 俺とユウキは温泉から上がり、部屋に戻ろうとした。そしてドアを開けると―――

 

「わっ!」

 

 セブンとレインがいた。2人ともすっごい気まずそうな表情をしていた…覗き見してたなこいつら。

 

「せ、セブンにレイン!?どうしてここに?」

 

 ユウキは状況を把握できていないらしく怪しむような口調で2人に訊いた。

 

「あ、え、えーと、これは……」

 

 セブンが取り繕うように言い掛けるが、俺がそれを遮った。

 

「覗き見してたんだよな?」

 

「……ハイ」

 

 セブンがうつむく。

 

「の、覗き見!?なんでそんなことを…?」

 

「だ、だって気になるじゃない!レイ君がユウキちゃんの事を襲うかどうか見届けたけたかっただけだよ」

 

「あのなぁ…プライバシー的にどうかと思わないのか?」

 

「ロシアにはКонфиденциальности(コンフィブンザイズリスチーム)なんてものはないから、そんなの知らない」

 

 ロシア語にあるじゃねえか…

 

「ここはアインクラッドだ。()()プライバシーがあるからな」

 

「分かったよー、次からこんな事しないから許して?Извините, пожалуйста(ユズイニティ、マージャラステット)(ごめんなさい)」

 

Прости(プレスティ)(いいよ)」

 

 俺とセブンが少しニヤニヤしながらロシア語で会話をしていると、後ろではレインとユウキが頭を振っていた。

 

「もうボク何言ってるのか分からないよ…」

 

「奇遇だねユウキ…私もだよ」

 

「何より!次からこんなことをしないこと!」

 

「「はーい…」」

 

 2人がしょんぼりしながら部屋から出て行った後、俺ははぁとため息をついた。

 

「ったくあの姉妹は…」

 

「まさか見られたなんて思ってなかったなぁ……」

 

「ホントだよ全く…」

 

 俺は首を振りながら言った。

 

「ていうか、ボク達のギルドって姉妹とか兄弟が多いよね」

 

「確かにな。俺はアズサだけじゃなくて妹もいるしな」

 

「えっ!レイって妹さんがいたの?」

 

 ユウキが驚いたように言う。そう言えば今までユウキに桧音(ひおん)の事を話したことが無かったな。

 

「ああ、1歳下に1人な。性格的には……どっちかといえば俺に近いかな。あいつはアズサと一緒で俺みたいに()()()()()()人間じゃないからな。現実(あっち)では俺の事を嫌いだったみたいだけど…」

 

「特殊…性…?」

 

 ユウキが戸惑ったように聞いてくる。あ、しくったな…こっちに来てしまってから誰にも言ってなかったのに口走っちまった。……もう言っちまうか。

 

「俺はとある病気にかかってるんだ」

 

「えっ?てことはレイは普通の人じゃないってこと………?」

 

「平たく言えばな」

 

 俺が言うと、ユウキの顔は困惑の色に染まっていた。そりゃそうだろう。今まで一緒にいた人が普通の人じゃないと言われれば誰であろうとビビる。

 

「そうだったんだ…」 

 

 ユウキはそう呟いた。俺はふぅと息をついた。いつかは言わないといけないとは思っていたが、こんなに早く言ってしまう事になるとは予想していなかった。でも……俺はユウキに言っていないことが1つある。俺が一生背負う事になる十字架、()()()()()()()()()()()()のことを。

 

 そんな俺の秘めた罪とユウキの困惑をよそに、夜は明けようとしていた。




 今回は色々な要素が混ざっていましたね…
 あと、今回は途中でレイとユウキの混浴というちょっと甘めのシーンを入れたんですが、これ、R-15の範囲に収まっていますよね?
 次回は圏内事件のエピソードに入る予定です。
 次回もお楽しみに!!
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