ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

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 今回はスピード更新できた…
 今回から《圏内事件》のエピソードに突入です!!
 では、お楽しみください!!


《第19話》圏内事件

2024年4月23日AM11:00第57層主街区《マーテン》

sideレイ

 

 なんでこんなことになったんだ、と俺は思った。

 

「レイ?どうしたの?」

 

 ユウキが聞いてきた。彼女の隣にはギルド血盟騎士団の副団長、《閃光》アスナが座っている。そして、俺の隣には《黒の剣士》キリトが俺のことをちらりと見ている。

 

「いや、なんでもない」

 

 俺は3人に聞こえないようにため息をついた。

 

「さっ、食べましょう。せっかくレイ君が奢ってくれるというんだから」

 

 アスナが言う。そう、俺は今、3人に超豪華なフルコース料理を奢っている…否、奢らされているのだ。

 

『そう言えば、レイ君1層でいつか私達に食事を御馳走してくれるって言ってたよね?』

 

『あっ…』

 

 そう、俺がつい口走ってしまった約1年半前の口約束を副団長様はしっかり覚えていたのである。

 

「いただきまー『きゃぁぁぁぁぁぁ!!』」

 

 ユウキが料理を口にしようとした瞬間、甲高い悲鳴が響いた。

 

「なんだ!?」

 

「外だな、行くぞ!」

 

「「「分かった(よ)!」」」

 

 俺が言うと、3人は頷き、店の外に駆け出した。

 

 店を出、悲鳴が上がった方向に向かうと、教会から首を吊るす形ぶら下がっている男性プレイヤーだ。彼の胸には短槍(ショートスピア)が刺さっていた。そして、その胸から血にも似た赤いエフェクトが迸っている。

 

「……貫通継続ダメージかっ!」

 

 俺は言った。しかしここは《圏内》だ。何故ダメージが入っている?

 

「早くその槍を抜けっ!」

 

 キリトが叫ぶ。

 

「俺がロープを切る!キリトは下で男を受けてくれ!ユウキとアスナは教会に入って誰かいないかチェックしてくれ!」

 

 俺は言いながら背中から狙撃銃を構える。撃鉄を起こし、斬属性の弾が入ったマガジンをセットする。そして、簡易標準でロープに狙いを定め――

 

 パァァン!!

 

 撃った。ここは圏内だが、破壊可能(アンイモ―タル)なアイテムは武器による攻撃その他の手段で破壊できる。俺が放った.416BARRETT弾を改造した.416斬裂弾は正確にロープに向かい、それを切り裂いた。

 

 が、そのコンマ1秒ほど前に男の体はポリゴンとなって四散した。

 

「…ちぃ!」

 

 圏内で合法的にPKをする方法はたった1つしかない。すなわち、デュエルで《()()()()モード》を相手に受諾させ、攻撃その他の方法でHPを全損させるという手段。なら、ウィナー表示が両者の10m地点、あるいは中間地点に出現するはずだ。

 

「ユウキ!ウィナー表示はっ!」

 

「どこにもないよっ!」

 

 ユウキが教会の2階から叫び返す。俺はリミットが過ぎたのを確認し、舌打ちした。

 

「ダメだ……30秒経った」

 

 30秒。それがウィナー表示が消えるまでの時限だ。つまり、30秒が経ったこの時点で、PKを行った人物を特定するのは不可能になった。

 

「レイ、圏内でHPが減損するのはデュエルだけだったよな?」

 

 キリトが聞いてくる。俺は頷いた。そうしていると、ユウキとアスナが出て来た。

 

「これはデュエルじゃないな……」

 

「「「えっ!?」」」

 

 俺の言葉に3人は驚いたように目を見開いた。

 

「もしデュエルなら、少なくとも最初の一撃の音は俺達に聞こえたはずだ。あのプレイヤーの装甲をこのショートスピアで貫くには相当な金属音が生じるはずだ」

 

「偶然聞こえなかったってことは考えられない?」

 

 アスナが質問してきた。

 

「有り得ない。ここは仮想世界であって、五感に入ってくる情報は全てデジタルデータだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()。もしどこかでなんらかの音が生じたらそれは【SPL_B = SPL_A + 20・log10 ( rA / rB )】という距離減衰の計算式を基にして俺達のナーヴギアを経由して俺達のアバターに届いてるんだよ」

 

「何言ってるのか半分以上分からないが、でも、デュエルじゃなきゃなんだっていうんだ?」

 

 キリトが聞いてくる。

 

「……分からない。ただ、これには何らかの仕掛けが施されているはずだ」

 

「でも、手掛かりは……もう無いんだよね」

 

 ユウキが言う。

 

「無いことは無い。このショートスピア、ロープ、この二つは何らかの手掛かりになる……はずだ。でも、このままじゃ情報が少なすぎる」

 

「だからといってこのまま放置する訳には行かない……よね?」

 

 アスナの言葉に俺は頷く。

 

「ああ、ただ…どうやって調べるかという事だ。まだ何も証拠がないのにUCSFの部隊を派遣して調査することは無理だし……4人で出来ることはしてみるか」

 

 俺がそう言うと、キリトは未だ騒然となっている群衆に向かって叫んだ。

 

「すまないが、さっきの一件の一部始終を見ている人がいたら話を聞かせて欲しい!!」

 

 すると、おずおずと1つの手が挙がる。俺達はそのプレイヤーに駆け寄る。

 

「君が一部始終を?」

 

 俺が聞くとその女性プレイヤーは頷いた。

 

「はい…私は《ヨルコ》と言います」

 

「さっきの悲鳴も君が?」

 

 キリトが聞く。

 

「は、はい。私、さっき殺された人と、友達だったんです。今日は一緒にこの層にご飯を食べに来て…でも広場ではぐれてしまって……そしたら……」

 

 ヨルコが俯く。

 

「あのプレイヤーの名前を教えてくれるか?」

 

「あの人…名前は《カインズ》って言います。昔同じギルドに所属していて…。今でもパーティーを組んだり、ご飯を食べに行ったりして…」

 

 ヨルコはそこで一旦言葉を切った。しかし、震える声で続ける。

 

「…でも、あまりに人が多くて、広場で彼を見失ってしまって……周囲を慌てて見回すと、突然教会の窓からカインズが宙づりに………。しかも、胸に槍が…」

 

「その時、誰かいなかったか?」

 

 俺は確認するように聞いた。

 

「一瞬……教会の中に人影が…」

 

「その人影に見覚えは?」

 

 俺はさらに聞いた。

 

「分かりません……」

 

 ヨルコの回答を聞きながら俺は考えた。これがシステム的に可能ななPKだとすれば容疑者はアインクラッド全域のオレンジプレイヤーにまで範囲が拡大する。諜報班の情報によればそのうちレッドプレイヤーだけを絞っても《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》を筆頭に150人以上に上るらしい。その中で人物を特定するのは例えUCSFの全部隊を総動員したとしても不可能だ。とりあえず、ヨルコを1人で帰すのは危険だと判断したため、下層の宿屋まで4人で護衛をすることにした。

 

「すいません、送ってもらって」

 

「気にしないでくれ」

 

 俺が言うと、ヨルコは頭を下げ、宿屋に入っていった。

 

 

――――――――――

 

 

 俺達は第57層に戻った。

 

「さて、どうする?」

 

 宿屋に戻ると、俺は口火を切った。

 

「二手に分かれましょう。私とユウキちゃんは1層の《生命の碑》を確認してくるわ。レイ君とキリト君は証拠品の鑑定をしてきてくれないかしら?」

 

「了解」

 

 俺が言うと、アスナはユウキを伴って宿屋を出て行った。

 

「……さて、鑑定…か。お前上げてる……訳ないな」

 

 俺はキリトに言った。

 

「当たり前だろ……あては、無いこともないか」

 

「誰だよ」 

 

 俺が訊くと、キリトはニヤッとしながら返した。

 

「あのぼったくり雑貨屋だよ」

 

「エギルか……雑貨屋も今は忙しくないんじゃないのか?」

 

 俺が言うが、キリトはあくまで冷たかった。

 

「知らん」

 

 キリトがメッセを飛ばした後しばらくすると、キリトがこちらを向き、親指をグッと立

てた。

 

「今行っても構わないってさ」

 

「はぁ…んじゃ、手掛かりを求めて行きますか」

 

 俺とキリトは50層にあるエギルの雑貨屋に向かうべく、宿屋を出た。

 




 ちょっと原作とは違い、二手に分かれての調査になります(後に合流はさせます)
 次回はこんなスピード更新にはならないと思いますが、気長にお待ちください!
 感想・評価もお待ちしています!!

※大幅に内容を改変しています。具体的にはユウキを出さずにセブンを出しました。
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