ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

3 / 50
 投稿主です。ちょっと遅くなりました。今回はまじでしんどかった(泣)。今回はボス攻略会議ということでレイが会議で大暴れします!どんな風にって?それは読んでからのお楽しみさ(キリッ)………とそんな格好付けは置いといて、第3話をどうぞ。


《第3話》第1層攻略会議

sideレイ

 俺はなんとか思考能力を取り戻し、3人を手招きで呼んだ。

 

「キリト、ユウキ、クライン、3人とも聞いてくれ。キリトは分かっていると思うけど、MMOっていうのは、数少ないリソースを多く取った奴が強くなれる。そして、この世界での死の代償が《命》になった今、強くなる=生き残る可能性が高くなる、という数式が成り立つ。だから…」

 

「他のプレイヤーを出し抜くような方法を取った方が得策ってことだろ、レイ」

 

 キリトが俺の言葉をそう引き取った。

 

「ああ、その方法ってのが…」

 

 俺は未だ大混乱の中にある背後のプレイヤー達をちらりと見てから続けた。

 

「ここにいる俺達以外の全プレイヤーを置いて次の村に向かい、先に装備とかを整える。これが今できる最善の選択だと思う。あくまでも利己主義(エゴイズム)の範囲内で、だがな」

 

「じゃあ、そうしたらいいんじゃない?」

 

 ユウキが不思議そうな顔をして尋ねてきた。

 

「確かにこれは俺達から見たら最善の選択だ。しかし、これには問題がある。5人以上になると、元ベータテスターの俺とキリトの2人でもカバーしきれない、という問題だ……クライン、どうする?」

 

「……オレは他のMMOで知り合ったダチがいるから連いて行くことはできねぇ。だが安心してくれ、きっと生きてまた会うからよぉ」

 

 その言葉を聞き、ふっと笑ってから俺はキリトとユウキの方に向いた。

 

「あぁ、もちろん生きて会うさ……キリト、ユウキ、行くぞ」

 

 小さく頷きフィールドに出る門に駆け出そうとする俺達3人をクラインの声が追いかけた。

 

「おい!レイ、キリト!男2人で女の子1人を守れないなんていうなよ!絶対ユウキちゃんを守ってやれよ!」

 

「分かっているよ!クラインこそ絶対死ぬなよ」

 

 俺はそう言うと、2人と共に門の外に駆け出したー

 

――――――――――

 

 

 開始1ヶ月で二千人が死んだ。デスゲームという状況を理解できずに自殺する者、訳も分からずただ剣をめちやくちゃに振り、モンスターの攻撃で死亡する者。自殺者、戦死者、たった1ヶ月でこれだけの死者を出し、一時アインクラッドに絶望が立ち込めた。一方、プレイヤーの分化が進み、ほぼ3つのグループに分かれた。

 

1.《はじまりの街》に留まり、外部からの救助を待つグループ

2.パーティーを組み、前線で戦おうとする者

3.1人で攻略を進めようとする《ソロ》

 

 というグループである。俺達、つまり俺・ユウキ・キリトの3人はそのどれともいえない、強いて言うなら2と3の間のグループに属していた。

 

 そして今日、もしかするとアインクラッドの命運を決めるかもしれない会議がここ、第1層の攻略前線基地《トールバーナ》で行われる。

 

――――――――

 

「レーイ!今日はここで攻略会議があるんだよね!」

 

「ああ、っていうかこんな状況なのになんでユウキはそんなに元気なんだよ…」

 

 げんなりしながら俺は答えた。なぜユウキはこんなに元気なんだろう。その疑問は《はじまりの街》を出てからずっと思っていた。

 

「えー、じゃあレイは元気ないの?」

 

「いやいや、この会議はデスゲーム化して初めてのボス攻略会議だぜ?普通のモンスターで二千人死んだんだ。ボスになるとどれだけの死者がでるか…」

 

「もうっ!レイは慎重、いや考えすぎだよ。絶対にボク達が勝つって思って笑っていた方が力も出るよ!」

 

「そうだぞレイ、ユウキの言う通りだ。俺達が勝つって思いながら戦うしかないだろ」

 

 ユウキに加え、キリトにもそう言われると、俺は言い返せない。

 

「分かったって……こうでいいか?」

 

 俺はニッと笑うと、ユウキに向き直る。

 

「うんうん、レイは笑った顔の方が似合っているよ!」

 

 現実でも美少女であろうユウキにそういわれ、嬉しくないことはなかったが、あえてそのことは言わなかった。

 

――――――――――

 

 攻略会議が始まった。

 壇上で話をしているのは鮮やかな青に染められた髪を持つ青年だ。どこかで見たような

気がするが、多分気のせいだろう。

 

「今日は、オレの呼びかけに応えてくれてありがとう!一応自己紹介しとこけどオレは《ディアベル》、職業は気分的に《ナイト》やってます!」

 

 その言葉を聞いた攻略部隊の隊員(?)の顔が一斉にほころんだ。その後も会議は順調に進み、会議が本題に入りそうになったその時ー

 

「ちょお待ってくれ、ナイトはん」

 

 俺はその発言者を目線を動かしてちらりと見た。小柄ながらがっちりした体格、サボテンのような頭をしている。

 

 1歩踏み出し、サボテン頭は唸った。

 

「この1ヶ月で情報を秘匿することで二千人を死なせたベータテスターの連中、ここにいるなら出てこいやぁ!今まで死んだ二千人に謝罪して懺悔するまで、連中には攻略に参加させへん」

 

 その言葉を聞き、ベータテスターである俺は激しい動悸を感じた。多分それは、隣にいるキリトも一緒だろう。

 

「レイ、大丈夫?ボクはレイの味方だよ」

 

 ユウキがそういってくれたおかげで、俺はなんとかメンタルが崩れるのを防いだ。

 

 この場で糾弾を食らう可能性も―と俺が考えた瞬間、豊かなバリトンが響いた。

 

「発言、いいか」

 

 広場にいる四十数名のプレイヤーが、一斉に発言者に目を向ける。

 

 大きい。身長は190cm程あるだろうか。風貌は、魁偉そのものだった。異国人風の顔立ちに、肌の色はチョコレート色で、頭は完全なスキンヘッド、そのカスタマイズが容姿によくあっている。

 

「オレの名前はエギルだ。キバオウさん、あんたが言いたいことはつまり、元ベータテスターの情報秘匿のせいでたくさんのビギナーが死んだ。その責任を取って謝罪・賠償しろ、ということだな?」

 

「そ…そうや」

 

 自分よりはるかに身長が高いエギルに一瞬気圧されそうになったキバオウは、しかしすぐに前傾姿勢に戻ると、眼を爛々と光らせながらエギルと名乗る斧使いを睨み付け、叫んだ。

 

「あいつらが見捨てなかったら死なずに済んだ二千人や!しかもただの二千ちゃうで、ほぼ全員が、他のMMOではトップ張ってたベテランやったんやぞ!アホテスター連中が、ちゃんと情報やらアイテムやら分け合うてたら、今頃ここにはこの十倍の人数が……ちゃう、今頃二層どころか三層まで突破できとったに違いないんや!!」

 

 俺はキバオウというその男が《アホテスター》という言葉を口にした瞬間、リミットが外れた。

 

「レイ……」

 

 と止めるユウキを手で制し、キバオウの言葉が切れた瞬間、手を上げ、発言を求めた。

 

「……何かな?」

 

 とディアベルが俺の方に向いてそういったので、俺は静かに立ち上がった。

 

「キバオウさん、率直に言わしてもらう。今その話をして、何の得がある?」

 

 という俺の言葉にプチッと来たらしいキバオウは

 

「はぁ?ジブン、何いうてんねん?今まで死んだ奴らを追い込んだアホテスター連中の責任を追及するのが意味のないことやってジブンは言うてるんか!?」

 

 とブチギレ寸前のような声で吠えた。

 

 俺はため息をついた。このような感情型の人間は論理で潰すしか手立てがない。

 

「ああ、その通りだ。じゃあ聞くが、黒鉄宮の《生命の碑》にベータテスターのせいで死亡と書いているか?」

 

「そ……それは」

 

 キバオウが言い淀んだのを見逃さず、俺は更に追撃する。

 

「しかも、俺達は《命》を人質にされて戦っているんだ。普通のMMOなら《あの時こうしていれば》は次への糧になるだろうからいくらでも議題に挙げてもらって結構だ。でもこのデスゲームではそんなIfは通用しないんだよ!だからそんな感傷的な議題はこの世界ではただの無駄なんだよ」

 

「じゃあジブンは今まで死んだ二千人は無駄だったっちゅうんか」

 

 まだ黙らせられないか。俺は心の中で舌打ちしながらさらに続けた。

 

「そうとも……とは言わないが、その全部が全部必要な死だとも言えない。というかあんたはもしベータテスターが情報を公開していたらこの二千人が生きていたって断言できるのか?……できないよな、なぜなら死者の15%はベータテスターなのだから」

 

「……!」

 

 ざわめく背後のプレイヤー達を意に介さず、俺はとどめを刺すべく口を開いた。

 

「ちなみに全ベータテスターの中の死亡率は約35%、ビギナーのそれは約18%。つまり人数あたりで見るとベータテスターの方が倍に近い人数が死んでいる。知識を独占し、死ぬ確率の低いはずのベータテスターでも1ヶ月で3分の1が死んでいるんだ。もし情報が行き渡っていたとしても半分の千人は死んでいたと思う」

 

「それは、ジブンの勝手な憶測やろ!それとも何かどっちにしても千人死んでたっていう証拠があるんかぁ!」

 

 キバオウが最後の抵抗といわんばかりに叫んだ。

 

「あるさ」

 

「は……?」

 

 この返答はキバオウのみならず、他のプレイヤーも予想外だったようで、皆驚愕の表情を浮かべている。

 

「その証拠って……」

 

 とそばにいるユウキが尋ねてくる。俺はユウキをちらっと見てからキバオウに向け、その証拠を口にした。

 

「証拠とはすなわち、自殺者の存在さ」

 

「なっ……」

 

「率直に言うよ、死者の半分は、この《ソードアート・オンライン》がデスゲームになったから死んだ。つまり、デスゲーム化したことへの絶望、そして混乱が彼らの死を誘発したと俺は思う。だから、俺は全てがベータテスターの責任、という訳ではないと思う」

 

 と言いたいことを全部言うと、そそくさと席に着く。相手に反論の時間を与えない。これが俺流の論破術だ。

 

「レイ、大丈夫?」

 

 とユウキが声を掛けてくれる。

 

「ああ、大丈夫だ……」

 

 といいつつ、俺はかなり危ないことをしたのだな、と気付いた。

 

 キバオウはまだこちらを憎しげに見ていたが、事態が終息したと考えたらしいディアベルが会議を元の議題に戻すと、顔を前に戻した。

 

「じゃ、早速仲間や近くにいる人とパーティーを組んでくれ!」

 

 というディアベルの言葉に、横にいるキリトとユウキを見ながらささっと計算する。SAOでは1パーティー6人、攻略隊の上限が8パーティーで今いるのが46人だから……

 

「7あまり4、か」

 

「ねぇ、レイ。もう皆パーティー作っちゃって、残っているのボク達だけだよ」

 

 というユウキの声で我に返ると、ディアベルと発言からわずか1分ほどで、6人パーティーが7個出来上がっている。

 

「はぁ!?じゃあ余りは俺らだ……ん?」

 

 俺はそこで言葉を切ると、もう一度考えた。ここにいるのは46人、で6人パーティーが

7つできて残りは4人、そこから俺・ユウキ・キリトを引くと残りは1人…つまり俺達の他にパーティーからあぶれた奴がいる。そいつはどこに……

 

「あっ!あそこっ!」

 

 とユウキが指した場所を見ると、フーデッドケープで顔を覆っているプレイヤーがい

る。顔は見えないが、体のラインからすると女性だろう。

 

「……あなたもあぶれたのか?」

 

 と俺がその女性プレイヤーに声を掛けると、そのプレイヤーは俺に冷たい目線を向け、同時に押し殺した声が響いた。

 

「………あぶれてなんかいない。仲間同士で仲良しやるのがいやだったから遠慮しただけ」

 

 屁理屈だなーと思いながら俺はできるだけ感情を削ぎ落とした声で言った。

 

「じゃあ俺達と組まないか?レイドは8パーティーまでだから、4人で1パーティー作れば支援部隊として入れてもらえる」

 

「だから?悪いけど、私のこと憐んで言っているのなら余計なお世話よ」

 

 その言葉に苦笑しつつ俺は続けた。

 

「別に君のことを憐んで言っているじゃなくて、少なくとも俺は論理と効率を考えて言っている。君がボス戦で1人で突っ込んで戦死したらレイド全体の士気が下がり、最悪壊滅の可能性があるし、そうでなくともここで前線プレイヤーを1人でも失えばその後の層の攻略に関わる。君のためじゃなくて、攻略隊全体のことを考えて俺は君にこうして依頼している」

 

 俺のこの言葉に、フーデッドケープのレイピア使いだけでなく、ユウキやキリトまでが絶句していたが、しばらくするとレイピア使いはこう答えた。

 

「そこまで言うのなら……分かったわ、パーティーに参加するから申請するわ」

 

「了解」

 

 といって俺はレイピア使いからの申請をOKすると、視界左側に、やや小さい4本目のHP

ゲージが出現した。

 

 その下にあるアルファベットの羅列を、俺(多分ユウキとキリトも)はじっと見詰め

た。《Asuna》。それがレイピア使いの名前だった。

――――――――――

 その後、俺達4人のパーティーを含めた8パーティーは最小限のプレイヤーが入れ替えられた後目的別の部隊に編成された。重装甲の壁(タンク)部隊が2つ、高機動高火力の攻撃部隊が3つ、槍などの高リーチ武器を装備した支援部隊が2つ、そして俺達4人の遊撃部隊。壁部隊2つはボスのコボルドロードのタゲを交代で受け持つ。攻撃部隊は2つがボス攻撃専門、1つが取り巻きの殲滅を担当。支援部隊は高リーチ武器に多い行動遅延

(ディレイ)スキルを使い、ボスや取り巻きの攻撃をできる限り妨害。そして遊撃部隊は基本的には攻撃部隊の攻撃をサポートするが、壁部隊や支援部隊がボスの攻撃で損壊した際はそのバックアップに回る。

 

 シンプルだが、その分破綻への穴が少ない。ただ1つ不満があるとすれば、俺達遊撃部隊が一番運動量的にキツい、ということくらいか。

 

 第1層の攻略会議は、AからHまでナンバリングされた各部隊長(H部隊長の俺を含む)

の短い挨拶と、ボス戦での注意点、攻略後のドロップアイテムとコルの分配についての説明をして幕を閉じた。斧使いのエギルは壁役であるB部隊長、元ベータテスターに敵意を燃やすキバオウは攻撃役のE部隊長、そして俺は遊撃部隊であるH部隊長だ。

 

 ドロップ分配の方は、コルは攻略レイド46人で自動均分、アイテムはゲットした人のものという単純なものになった。たぶん貢献度で決めるという方法を取ると分配の場が修羅場になりかねないので、原始的な方法を取ったのだろうと俺は推測している。

 

 その後、10分程の各部隊長のミーティングを終わらせ、俺は待ってくれているH部隊のメンバー、すなわちユウキ・キリト・Asunaのもとに急いだ。

 




 どうでしたでしょうか?今回は《クールなレイ》をコンセプトにしましたが、後々違うキャラのレイも出していこうと思います(もちろん起爆剤はユウキで)。あと今回ユウキの出番が非常に少なかったのは書いていたらそうなっていたんです。ホントごめんなさい。次はボス攻略直前まで行こうと思います。ではまた次回、お会いしましょう。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。