ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

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 また結構遅れてしまいました………(_ _(--;(_ _(--;
 さて、今回からレイが復帰し、原作沿いのストーリーとなっていきます!!
 お楽しみください!!

 あ、番外編………すっかり忘れてました(´・ω・`)/~~
 すぐに書きますので、お許し下さい( ノ;_ _)ノ


《第31話》終息と再起

 事態は余りにも急速に終息していった。ディスペアに対する殺害未遂やラフコフ討伐戦でのメンバー殺害に関しては正当防衛として処理され、その他俺が関わった犯罪者の大量殺戮は、一連の事件によって死亡していた攻略組所属プレイヤーの犯行だとされた。俺が失踪していた間に《狙撃》スキルにバグが生じ、スキル保持者以外のプレイヤーも射撃が出来る状態になっており、またその間にUCSFの保管庫から拳銃とマガジン数丁、地雷や手榴弾が盗まれていた。ディスペアが逮捕される2日前に死亡したこのプレイヤーの遺品からこれらが発見され、またマガジン内の消費された弾丸の数が()()された犯罪者と民間人の数と一致していたため、彼の犯行だとされた。ディスペアが逮捕時に保有していた手榴弾も彼を通じてディスペアに渡ったと見られ、ラフコフのリーダーであったPoh(プー)の命令で火器を盗み出し、対立する犯罪者ギルドや民間人の殺害を実行、その後口封じのために殺害されたと見られている。

 

 ユウキ達と帰還した俺は、UCSF司令部に向かい、そこで待っていた鬼のような形相のUCSF副司令、アスナの尋問を受けた。道中、ヒースクリフによって殺戮が犯罪者ギルドと繋がっていた攻略組プレイヤーによるものだと断定されていることを知った俺は、アスナに対し、失踪の直接のきっかけは犯罪者とはいえ人を殺害した事のショックで、その直後にアルゴから攻略組プレイヤーが殺戮を繰り返しているのを聞き、また確保できなかったディスペアを追っていたと説明した。勿論虚偽の説明であり、ディスペアを追っていたのは嘘ではなかったが、殺戮を行ったのは俺だし、それを打ち明けたい気持ちは山々だったが、ヒースクリフによる配慮を壊さないように虚偽の説明を行った。

 

 アスナは半分納得していないようだったが、何とか誤魔化す事ができ、2時間ほどで尋問は終了した。その後俺は血盟騎士団本部に向かいヒースクリフと面会。失踪期間の攻略遅滞を詫び、寛大な処置に感謝の意を述べて、以後は攻略に復帰する旨と、この事案は下層プレイヤーには公開しないことを確認した。

 

 それが終わるとレインボー・スピリッツ本部に帰還し、メンバーに迎えられた。全員が俺の帰還を祝ってくれ、やや後ろめたい罪悪感があった。

 

 一晩ゆっくりと休息をとった俺は聖竜連合並びに天穹師団本部に向かいリンド・グヴァイスの両リーダーと会談し、ヒースクリフと同様に遅滞を詫び、攻略に復帰する旨を伝えた。その後、ラフコフの組織的戦闘能力の喪失並びに大半の犯罪者ギルドの壊滅により、機能を終えたUCSFの事実上の解散をUCSF本部で宣言した。

 

 

 こうして一連の事件は終息した。

 

 

そして――――

 

「レイ、スイッチ!!」

 

 ユウキの声に応じて俺はティルウィングを抜き、レベル81モンスター『デモニッシュ・サーバント』に斬りかかる。片手直剣7連撃技『デッドリー・シンズ』を放つ。斬撃は面白いように当たり、デモニッシュ・サーバントの体力を削り取る。デモニッシュ・サーバントが曲刀(シミター)を取り出した瞬間、俺は後ろに飛び退き腰から自動小銃を抜き、数発撃ち込む。『狙剣一体』のお陰で、銃と剣を同時に持てるためいちいち剣を抜いてから銃を取り出さなくても良い。

 

「はぁぁ!!」

 

 俺が後ろに引いた瞬間、ユウキがデモニッシュ・サーバントに攻撃を仕掛けた。モンスターの特性として、急に攻撃属性を変えられると、システムの対応が追い付かずに動きが鈍くなる。攻撃属性は片手直剣を代表とする斬属性・細剣を代表とする刺突属性・(メイス)を代表とする打属性・そして剣を突き刺した時に発生する貫通属性、そして俺が使う銃を代表とする弾属性の5つに分類される。

 

 俺は片手直剣と小銃を交互に使う事で、意図的にシステムを混乱させ、そのときに生まれた隙を狙うという戦法を最近取っていた。これはどちらかというとアズサが好んで使っていた戦法だが。

 

「お疲れ様。今日はもう帰るか」

 

「そうだね、マッピングも結構出来たし」

 

 剣を納めたユウキが振り返って言う。今俺たちは第74層の迷宮区にいる。あの事件のあと、事件当時には61層だった最前線は74層にまで上がり、クォーターポイントの75層に迫った。当然敵のレベルも上がり、74・75層あたりで強力なボスが出現すると見られていた。

 

ザッザッ

 

「ん………?」

 

 俺は後ろから近づいてくるその足音に振り返った。

 

「レイ、それにユウキか。久しぶりだな」

 

「キリトか」

 

 相変わらず黒のコートに身を包んでいるキリトは手を挙げて応えた。

 

「お前もマッピングか?」

 

「まぁな」

 

 とその時。

 

「キリトくーん、置いていかないでよ」

 

 後ろからもう1人、プレイヤーが近付いてきた。

 

「アスナもか。今日はギルドはないのか?」

 

 キリトとは対照的な白と紅でビシッと決めた制服に身を包んだ血盟騎士団副団長、アスナだった。

 

「今日はヒースクリフ(団長)キリト(このヒト)の実力を計って来いと言われたの。よくよく考えてみたら、10層以降でキリト君と迷宮区攻略をしたのって片手で数えられるほどだから、今回改めて一緒に攻略して、実力を計り直そうというわけよ」

 

「クォーターポイント前だからか」

 

「多分ね。ついでにレイ君とユウキちゃんも、ね」

 

「アスナ、前から言おうと思ってたんだけど、ボクのことはユウキって呼び捨てでも全然良いよ?」

 

 後ろのユウキがふと思い出したように言った。

 

「そっか。じゃあ、これからはユウキって呼ぶね」

 

「それで、何処までマッピング終わったんだ?」

 

 俺はキリトに訊いた。

 

「ほぼ全部だ。後はボス部屋の手前くらいだな」

 

 ヒュウっと俺は口笛を吹いた。

 

「もうそんなにか。お前、マッピングで商売やったらどうだ?」

 

「生憎、どっかの鼠と違って情報を金にする気はないんでね」

 

「レイなら絶対すると思うけどなぁー」

 

「さすがに情報を金にしようとは思わないさ」

 

 俺はユウキに言った。

 

「それで、お2人さんはいつまで籠る積もりだ?」

 

「後1時間くらいで切り上げようと思っていたとこよ」

 

「そうか。じゃあ、1時間予定を繰り上げて俺らと食事しないか?」

 

 俺は2人にそう聞いた。

 

「別に私は良いけど……キリト君は?」

 

「俺も別に構わないぞ」

 

「よし、決まりだな」

 

 

――――――――――

 

 

「ここだ」

 

 俺たち4人は第59層主街区《ダナク》に来ていた。

 

「ここ?何もないように見えるけど」

 

 アスナが言った。俺たちの前には岩壁しかなく、何かの構造物があるような感じもしない。

 

「まぁ見たら分かるさ。ユウキ、頼んだ」

 

「ほーい。確かここを……」

 

 ユウキが目の前にある岩壁のある場所を押す。すると、岩壁にパズルがせり出てきた。

 

「これってまさか……」

 

 アスナが呟く。勘の良い彼女の事だ、もう気がついただろう。

 

「そのまさか、だ。第5層でさんざん苦労して解いた、パズル問題だ。難易度は格段に上だけどな」

 

 俺はパズルを見ながら言った。パズルは15×15の計225マス。上の2個だけ空きがあって、順番通りに並べなければならない。しかも、単純な数字だけでなく、 順列記号のPやその他諸々高校数学で使うような記号で計算しろみたいなのが多々あった……このゲームって12歳以上対象だったよね?何で高校数学知らなきゃ解けない問題を出すんですかね?

 

「俺はもう訳が分からんのだが……」

 

 キリトがボソッと呟く。

 

「その言い方でお前が少なくとも高校生ではないことがわかったよ……んで、だ。見たら分かるように、この問題は中学数学までの知識だけじゃ解けない問題だ。まぁ、一種の隠しエリアだな」

 

俺はざっと5分でパズル解きを終わらせた。キリトとユウキが「何を言っているの?」と言わんばかりの顔をするなか、パズルのEnterキーを押すと岩壁がずれ、奥に空間が見えた。

 

「へぇー、凝ってるわね」

 

 アスナがその空間を見ながら呟いた。内装は橙色を基調とするもので、それが落ち着いた雰囲気を醸し出している。

 

「さて、久しぶりの食事な訳だが」

 

 俺はそう話を切り出した。少なくとも俺の『失踪』事件後は初めての食事になる。

 

「攻略のことね」

 

「さすが名門ギルドの副団長。どっかの一匹狼と違って話が早くて助かる」

 

「それ俺のことだよな?そうだよな?」

 

 とりあえず煩いソロ(キリト)はほっといて、話を進める。

 

閑話休題(それはともかく)、もうすぐクォーターポイントの75層だ。今までより遥かに強力なボスが出現すると思うが、ヒースクリフ団長はそこら辺はどう思っているんだ?」

 

「そこはレイ君と同意見よ。だからこそ、キリト君の戦力を測っているのよ。25層や50層の危機を繰り返したくはないって」

 

「それはもちろんだ」

 

 俺は25層と50層のボス戦を思い返しながら言った。25層では、今の『軍』、かつてのアインクラッド解放隊が暴走し、死者数名を出す事態になった。50層では多腕型ボスの猛攻に怯んだ攻略隊メンバーが勝手に戦線離脱し、攻略隊全体が壊滅の危機に陥った。俺はRSPとソロプレイヤーからなる救援部隊を率いて応援に向かったが、その時崩壊寸前の戦線をほぼ独力で支えていたのがヒースクリフだ。

 

 ……そういや、あん時もLAB(ラストアタックボーナス)かっさらってたのキリトだったな。人の良いとこ取りばっかしやがって。

 

「それで、キリトの戦力測定の結果は?」

 

「さすがの強さね。ただ、ちょっと気になったのが盾を持ってないことね。私みたいに速度重視で持たなかったり、ユウキみたいに持てなかったり、スタイル重視で持たなかったりする人もいるけど、キリト君はそのどれでもなさそうだし」

 

 俺はユウキと密かに目を合わせた。

 

『ねぇレイ。アスナ、()()()()()に気づいているんじゃない?』

 

『それはないだろ。女子の直感って奴じゃないのか』

 

『そうかなぁ』

 

的な会話が一瞬で流れた。

 

「とりあえず、もうマッピングは終わったから、明日にでも偵察しに行くか?」

 

 キリトが目を逸らせながら言った。逃げやがったこいつ。

 

「別に私は良いわ」

 

「俺達はギルドがあるから、ギルドメンバーが来るけど、良いか?」

「全然OKだ」

 

「んじゃ、明日朝10:00に74層主街区の転移門前で待ち合わせでいいいか?」

 

「了解」

 

 俺達はその後、1時間ほどたわいもない話をした後、解散した。


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