ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

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 別作品の投稿が続いていましたが、あくまで、こっちがメインなので(重要)
 ついに、2人が!?
 では、お楽しみください!!


《第35話》想いは繋がった

「…………何人死んだ」

 

 俺はクラインに訊いた。

 

「コーバッツと《軍》のメンバーが2人だ」

 

「そうか…………うぐっ………」

 

 俺はそう答えた瞬間、バタンッと倒れた。

 

「レイッ!?」

 

 ユウキがそう言うのを薄れていく意識の中で訊いた気がした。

 

 

―――――――――――

 

 

「………イ!レイッ!!」

 

 俺はその声で目覚めた。そうか、あれは反動の……

 

「ユウキ………か」

 

 俺が目を開けた瞬間――――

 

ギュッ

 

 ユウキに抱き締められた。涙ぐみながら彼女は言う。

 

「ボクが斬られそうになって、レイが庇ってくれた時、怖かった。もしかしたらレイが死んじゃうかもって」

 

「……ユウキを守るためなら、死んでもいいさ」

 

 俺は起き上がった。

 

「そりゃあそうと、キリト、何だよさっきのは!?」

 

「言わなきゃダメか?」

 

「ったりめえだ! 見たことねえぞあんなの!」

 

 周りを見渡してみると俺とユウキを除いた、部屋にいる全員が沈黙してキリトの言葉を待っていた。

 

「エクストラスキルだよ。“二刀流”」

 

 おお………という感嘆の息が軍の生き残りやクラインの仲間達から漏れる。そして、クラインの目線がキッとこちらに向く。

 

「レイ、お前ぇもだ!!」

 

「別に俺はもう公開してるから………」

 

「じゃああの銃で斬りかかっていたあれはなんだよ!」

 

 クラインに言われ、渋々言う。

 

「エキストラスキル”狙撃”の上位スキル”狙剣一体”。効果は、専用ソードスキルの追加と、二挺の銃または銃と片手武器が同時に使えるようになる」

 

 同じく感嘆の声が上がる。

 

「しゅ、出現条件は……?」

 

「分かってたら公開している」

 

 キリトがそう素っ気なく言い、クラインが「そうだよな……」と言った。

 

 キリトの”二刀流”、俺の”狙撃”や”狙剣一体”、ユウキの”紫憐剣”もそうだが――――は十種類以上ある《エキストラスキル》、つまり出現条件が詳しく判明していない武器スキルに一応は分類される。ただし、他のエキストラスキルが10人以上のプレイヤーが習得しているのに対してこの3人のスキルと、元笑う棺桶(ラフィン・コフィン)副リーダーであり、現在は更生処分を施されて攻略組に復帰している《煌剣》ディスペアの”暗黒剣”、血盟騎士団団長《聖騎士》ヒースクリフの”神聖剣”はただ一人しか習得していないスキル、通称《ユニークスキル》と呼ばれるスキルだ。

 

 効果的にもゲームバランスを崩壊させかねない強力なものであり、当然与えられたものには相応の実力があるものとされる。キリトの”二刀流”はその名の通り二本の剣を装備することによって圧倒的な手数を実現し、俺の”狙撃”は他の武器では実現し得ない射程からの一方的な攻撃を、”狙剣一体”は遠近両方での変幻自在な攻撃を実現し、ユウキの”紫憐剣”は圧倒的な高火力と機動力による電撃的な攻撃を実現し、ディスペアの”暗黒剣”は対人戦における超高火力や麻痺のバフによる一方的な蹂躙を実現し、ヒースクリフの”神聖剣”はその鉄壁とも言える防御力によって無敗伝説を実現した。

 

「全く水臭ぇなぁキリトにレイよ。そんな裏技隠してるなんてよぉ」

 

 クラインが言う。俺は肩を竦めて応えた。

 

「仕方ないさ、万が一のための”奥義”なんだからな。こいつはユウキとキリトにしか見せてないさ」

 

 事実そうなのだ。俺はユニークスキルの性質上公表せざるを得なかったが、本来ならユニークスキル保持者であることは余程のことがない限り隠しておくべきなのだ。このSAOはリソースの奪い合いによって成り立っているゲームだ。それに関して言うとユニークスキルは人命に次ぐ最重要リソースだ。そんなものを保持していると知られた日には、妬み嫉みを向けられたり情報屋に追われる日々を送らざるを得なくならなくなる(実体験済)ので、極力隠しているものだ。しかし、こんな衆人環境で晒してしまえば隠しおおせることは無理だろう。

 

「ネットゲーマーは妬みや嫉みが凄いからなぁ。俺は人間ができているからともかく………」

 

 クラインがしみじみと言い、そして俺とキリトに向けて意味深な目線を向けてきた。

 

「まぁ……苦労も修行の内だと思って頑張りたまえ、少年よ」

 

 全くもって何が言いたいのかがよく分からない。クラインは生き残った軍のメンバーに向き直った。

 

「お前達、本部まで戻れるか?」

 

 クラインの言葉にまだ10代とおぼしきプレイヤーが頷く。

 

「はい……あ、あの………ありがとうございました」

 

「礼ならあいつらに言え」

 

 こちらに向けて親指を振ってくる。軍のプレイヤーは回廊に出て、こちらに一礼してから転移結晶で転移していった。

 

「俺達はこのまま第75層の転移門を開通(アクティベート)させてくるけど、お前らはどうする」

 

「俺達はもう帰るよ」

 

[そうか……気ぃ付けてな」

 

 上層へと続く階段を登りかけた刀使いは、俺たちの方に振り替えって言った。

 

「その……キリト、それにレイよぉ………お前らが軍の連中を助けに飛び込んでいった時な…」

 

「なんつぅか、すげぇ嬉しかった。それだけだ」

 

 ほんとに意味不明だ。クラインは俺たちに親指をつき出すと、仲間とともに上層への階段を上がっていった。

 

 ボス部屋には4人と増援の5人が残された。

 

「終わったんだな………」

 

 俺は改めて呟いた。

 

「兄さん………」

 

 後ろには、アズサ達RSPのメンバーが来ていた。

 

「ありがとうな、助けてくれて」

 

 俺は言った。その後、こうなってしまった経緯を所々かいつまんで話す。

 

「そうだったのか………」

 

 最初の声を出したのはスメラギだった。

 

「でも、何でわざわざ軍が攻略に乗り出したのかしら」

 

 セブンが言う。俺はその答えを口にした。

 

「軍内部では今実権を握っている派閥に対する反感が高まっている。その派閥は人気を回復するために近々最前線近くで軍の最精鋭部隊による遠征を行うと噂されていた。まさか、ボスの攻略を強行するとは思わなかったが………」

 

「そして、兄さん。1つ聞きたいことがあるんだけど?」

 

「何だ?」

 

「どうして、”狙剣一体”のことをわざわざ僕達に隠していたの?」

 

 アズサの顔が今まで見たことがないくらい清々しい怒りに染まっている。

 

「いやだから保身のため………」

 

「だから、どんだけ兄さんは僕達のことを信用してないのって言ってるんだよ。そろそろ日本的な考え方に戻ってもらえない?」

 

 うわぁ、今まで笑顔しか見せなかった弟が、すっごい怒ってる。これはまずい。

 

「善処します………」

 

 ややご機嫌斜めの状態でアズサ以下のRSPメンバーが帰り、アスナもヒースクリフへ報告してくると言って帰り、キリトもアルゴに報告するために主街区に転移し、俺とユウキだけが残された。

 

「一緒に帰ろうか」

 

「うん」

 

 俺とユウキは、部屋を出た。

 

 

―――――――――

 

 

 俺はホームに戻ると、ユウキに来てほしいところがあると言って第59層《ダナク》へ彼女を連れ出した。

 

 俺は今日、心に決めたことがあった。それは、プロポーズだった。

 

 前々からいつかは、と思っていたし、ユウキに内緒でセブンやレイン、アスナと言った女性陣に相談して、結婚指輪まで準備していた。

 

 しかし、いざプロポーズしようとすると、もう1人の自分が問い掛けてくるのだ。

 

 自らのエゴのために政府の作戦だと自分を偽って何十人ものプレイヤーを殺し、あまつさえユウキに銃を向けたお前を、彼女は受け入れてくれると思うか?逆の立場になって考えても見ろ?自分を殺そうとした人間と結婚なんて、出来るか?出来るわけ無いよな。自分でできないことを押し付けるとは、お前はとんだエゴイストだな。

 

 そう考える度に、どうしても言えなかった。自分の弱さを呪った。

 

 でも、今日は違った。ボス戦でユウキを庇うために飛び込んだ時は、もう何も考えられなかった。ユウキを死なせるわけにはいかない。彼女を絶対守らなくてはいけない。そう考えたとき、体が動いた。その時、気づいた。今の自分は、ユウキを愛しているんだと。

 

 そして、決心した。

 

「ユウキ」

 

「どうしたの、レイ?」

 

 俺は覚悟を決めて口を開いた。

 

「俺は、お前の気持ちを裏切った。何度も何度も、悲しい思いにさせてしまったりした。それでも………それでも俺は、お前のことが好きだ。 俺と結婚してくれ。 俺はお前のことを絶対に幸せにする。 だから………結婚してくれないか」

 

「……はい、喜んで」

 

 ユウキは涙を流しながら、俺のプロポーズを受け入れてくれた。

 

 俺はユウキを抱き締め、キスを交わした。長いようで短いキスをし、体を離す。俺は、ずっと前にユウキに内緒で買い、大切に保管していた指輪を持ち、彼女の前に跪いた。

 

「これは、俺からの愛の証だ。受け取ってくれるか?」

 

「そんなの、受け取らないわけないよ……」

 

 俺は、アメジスト色のその指輪をユウキの薬指に嵌めてやる。そして、彼女と同じデザインで色違いの指輪をユウキに渡す。

 

「俺の指輪は、色違いなんだ。……嵌めてくれるか?」

 

 ユウキは頷き、エメラルド色の指輪を俺の薬指に嵌めてくれる。

 

「愛してるよ、ユウキ」

 

「ボクも愛してるよ、レイ」

 

 

―――――――――

 

 

 俺とユウキはこうして結ばれた。その後、2人で相談して一旦ギルドを抜けて2人でいれる時間を多くしようということになり、ギルドに戻り結婚報告をして全員から祝われ、ギルドを抜けて2人でいれる時間が欲しいということを言うとアズサは「おめでとう兄さん。兄さんはせっかく結婚したんだから少しはユウキとゆっくり過ごしてあげて。留守はしっかり預かるから」と快く了承してくれた。

 

 そして俺とユウキの新婚生活が始まる――と思いきや。

 

「な、何だこれ!?」

 

 翌日の新聞の一面は『《神銃》と《絶剣》、ついに結婚か!?』となっており、さらに二面で俺とキリトのユニークスキルのことが話題に上がってたため、一緒に夜を過ごしたユウキの家の前に俺とユウキが出てきた瞬間――

 

 

 

「「「「「《絶剣》と《神銃》が出て来たぞーーーーー」」」」」

 

 

 

「「「「「スキルの出現条件教えろごらーーーーー」」」」」

 

 

 

「「「「「この二人結婚しているらしいぞーーーーー」」」」」

 

 

 

「「「「「けしからん!!殺せー!殺せー!」」」」」

 

 

 

 いやいやちょっと待って?何でユウキの家割れてるの?ていうかどう考えても30人はいるし、めっちゃ物騒なワードが聞こえてきた気が………

 

「………ユウキ、逃げるぞ」

 

「うっうん!!」

 

 俺達はアルゲード市街を突っ切り、転移門に飛び込む。過疎フロアを転移先に設定し何とか逃げることに成功した。

 

「さて、これからどうしたもんですかね………」

 

 俺はため息をついた。しかし、それはいつかの絶望のため息ではなく、希望のため息だった。

 




 ディスペアは更生して今ではユニークスキル使いとして立派に最前線で戦っています。ただ、彼が堕ちた理由を書こう書こうと思って機会がなくて………
 次回は、どうますかねぇ…まぁ、考えがまとまり次第投稿します!!
 次回もお楽しみに!!
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