ソードアート・オンライン~スコープの先にある未来へ~   作:人民の敵

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はい、少しペースが戻ってきたような気がする人民の敵です。

いよいよ本格的にALO編が始まったわけですが、しばらくは柃+木綿季+桧音の3人による独自ルートになると思います(最後の世界樹攻略では流石に合流させますが)

では、お楽しみください!


《第47話》麗しき水の都へ

 どうやら俺たちが降り立ったのはインプ領内ではなく固定の帰属が存在しない領域である《中立域》だったようで、特に他人に襲撃されることなどはなくウンディーネ領内に辿り着いた。領内には検問のようなものがあり、不審な人物が領内に入らないようにチェックしているようだ。

 

「シルフとインプのカップルとは珍しい。それに初期装備とは驚いた。インプの嬢ちゃんはともかくシルフの兄ちゃんはよくここまで来れたな。ここに来るまでの火妖精族(サラマンダー)との国境付近の中立域をよく初期装備で乗り越えられたもんだ」

 

 ウンディーネの門番をしているという若いプレイヤーが俺たちのチェックをして言う。正直この世界の力関係とかよく分からないので、「ええ、まぁ」とぼかしておく。

 

「何か訳アリみたいだな。ま、うちに危害を与えないなら深くは詮索しないでおくよ。ようこそウンディーネ領へ、君たちの旅に幸運があらんことを!」

 

 気前よく地図まで渡してくれた門番の人に軽く礼をしてウンディーネ領内に立ち入った。すると、《この領域では武器攻撃が不可能です》という旨のメッセージが出た、どうやら種族領内ではその種族以外の攻撃は出来ないらしい、つまり安全地帯なわけだ。

 

「いい人だったねー」

 

「あぁ、詳しい地図までもらえたのは僥倖だった」

 

 地図を読みながら言う。しかしキレイな場所だ。水妖精というだけあって湿地と河川を中心とした美しい風景が広がっている。現実世界でのヴェネツィアみたいだ。

 

「取り敢えずカオンに連絡しようか」

 

 俺はそう言ってプライベートメッセージの欄で《Kaon》と打ち込み、メッセージを送る。

 

『ウンディーネ領内に来た、どこに行けばいい?』

 

「これでよし……と。取り敢えずその辺の木陰で待とうか」

 

「そうだね……ねぇレイ」

 

「うん?どうしたんだ」

 

「ここに来たってことは……明日奈を助け出すのが目的なんだよね?」

 

 ユウキに聞かれ、俺は頷く。実際には裏の理由があるのだがやることの過程は変わらない。

 

「だな。キリトから送られてきたあの画像がどこかはまだ分からないけど、そこに辿り着くのが最終目標だ」

 

「カオンちゃんが知ってたらいいけど……というかカオンちゃんもこの旅に巻き込むつもり?」

 

 俺は顔を顰めた。そこら辺はまだ考え中なんだよな……

 

「迷ってる。無関係のカオンを巻き込むのは本意じゃないんだけど、彼女がいないと色々と不自由が出るのも事実だ。本人の意思次第といった感じかな」

 

「ふーん……」

 

「いつかはキリトたちと合流することになるんだろうけどな」

 

 俺は切り株に腰かけながら言う。出し抜くつもりはさらさらないが少なくとも出し抜かれるのは困る。キリトたちだけで事件を解決されると不都合が生じる。期を見て連絡を取るか。

 

「長い旅路になりそうだね」

 

「そうだな。リミットは1ヶ月もあるんだ。少しずつ頑張ろう」

 

「そうだね。ボクらは2年間もずっと戦ってきたし、それに……」

 

「それに?」

 

 ユウキはそこで言葉を切る。俺が聞き返すと、意を決したように口を開いた。

 

「レ、レイと一緒なら、ボクはどこまでも一緒についていけるよ」

 

「ユウキ……。そうだな、俺もユウキと一緒ならどこまでも行ける」

 

 俺はユウキと手を繋ぐ。仮想の手ではあるが、彼女の手は暖かった。しばらく手を繋ぎ、ユウキは満足顔で手を離した。その刹那――

 

ピロン

 

「カオンからの返信だ」

 

 俺はメッセージを開き、返信を見る。

 

『早かったね。じゃあ首都まで来てもらえるかな。着いたらまた連絡してね。軽く案内するよ』

 

「首都まで来てくれ、とのことだ」

 

「もうちょっとゆっくりしていたいけど、仕方ないか。あっ、そうだレイ」

 

「ん、どうしたんだ?」

 

「このゲームは空を飛べるらしいから、やってみない?」

 

 ユウキがウキウキしながら言う。

 

「そういえばそんなことも出来たな。確か仮想の羽があってそれで飛べるんだって?」

 

「そうそう。SAOは地面に足を付けた戦いしかできなかったけど、ここだと立体的な戦い方が出来ると思うと、ちょっとわくわくしてきたね」

 

「既にもう習得するつもりでいるの怖いな」

 

「どうせやるならとことんやり尽くすのがボクのやり方だからね!」

 

 ユウキはふんすと胸を張る。実際彼女の戦闘センスならやりかねなさそうなのが何とも言えない。

 

「じゃ、試してみようか」

 

「まぁ何も試さずにあれこれ言うのもおかしいしな、取り敢えずやってみるか」

 

 俺たちの背中の後ろに生えている羽を動かすことで随意飛行が出来るらしい。人間というのはよく出来ているもので、五体に備わった器官はうまく動かせるがそうじゃないものは往々にして動かしにくいものだが……

 

「おおー!」

 

 ユウキの声がしたのでそっちを向いてみると、もう既に随意飛行出来ていた。いやいやVRの天才児ですかあなた。

 

「そんなにすぐに出来るもんなのかそれ!?」

 

 俺は呆れるように言う。が、その次の瞬間。

 

「お、おおおおお!?」

 

 俺は空に浮かんでいた。背中辺りの筋肉を想像しながら動かし、何とか空中でバランスを取ることに成功する。しかしまだ動きはぎこちない。一方ユウキは既に習得したらしく楽しそうにヒュンヒュン飛び回ってる。

 

「楽しいねレイ、空を飛べるなんて嘘みたいだよ」

 

「楽しんでくれるみたいで何より。というかどうやってそんなヒュンヒュン動いてるんだよ……こちとらバランス取るので精一杯だぞ」

 

「そこまで難しくないよー」

 

「出来る人間が出来ない人間にそれを言うのは卑怯だぞ」

 

 俺は浮遊しながら言う。何とか姿勢を保つのは慣れたがユウキのようにヒュンヒュン飛び回るのは無理だ。

 

「あはは、ボクはちょっと適性みたいなものがあるのかな?もしレイがうまく飛べないならボクが連れていってあげようか?」

 

「……頼んだ」

 

 俺は若干敗北感を味わいながら頷く。するとユウキはニッコリしながら俺の手をつかみ飛び始めた。いきなり持っていかれ少しパニックに陥ったが、数秒後には落ち着き、彼女に身をゆだねるようになった。……この光景ずっげぇ恥かしいな。

 

「取り敢えずこのまま直進かな。このスピードならそこまで時間はかからないだろう」

 

 前で飛ぶユウキに方向を示しながら俺は心地よい風の感覚を味わっていた。SAOではまるで味わえなかった爽快感。調査のためにログインしたとはいえ、これは続けてもよさそうな世界だ。

 

「オッケー。じゃあ後ちょっとで着くね」

 

 俺は彼女の手を掴みながら頷く。全く、飛行というのは便利だ。現実世界では機械を装着した人間だけでの飛行ですら現在実現していないというのに……

 

「あ、レイ、そろそろ降りるね」

 

 首都が目前になって、ユウキはいきなり降下を始めた。

 

「え?このまま行かないのか」

 

「飛行制限があって、背中の羽が薄くなってそれが切れちゃうと飛べなくなるんだって」

 

「あーそりゃそうだよな……」

 

 俺は納得して呟く。無制限飛行は流石にゲーム性が壊れるから制限時間があるのか。

 

「じゃぁ、行くよー」

 

 言いながらユウキは風の流れに身を任せ一気に滑空する。もちろん俺も一緒に持っていかれるわけで、ものすごい加速をした後、ユウキは俺ごと地面に叩きつけられた。

 

 

――――――――――

 

 

「全く……」

 

 ウンディーネ領首都《フィレカネール》の中に入った俺はため息をついた。ユウキのせいで大分ヒヤッとする経験をした。

 

「ごめんって。でも結構心地よかったでしょ?」

 

「途中まではな。最後の滑空に関しては本当にヒヤッとしたぞ……」

 

 俺はまだ納得してなかったがここでぐちぐち言っても仕方ないと考え気持ちを切り替える。首都に入る直前のカオンからのメッセージには『大広場で待ってて、すぐ行く』と書いてあったので、そこに向かう。地図で確認すると広場は領主の執務する宮殿であろうギリシャ式の建物の前に存在し、街は多くのウンディーネのプレイヤーで賑わっていた。

 

「凄いなこれは。こんな都市が各種族ごとに存在するんだろうから驚きだ」

 

 俺は感嘆しながら言う。どうやらレクト、そしてALO運営主任である須郷伸之という男は想像以上に優秀なようだ。いやあの男にここまでファンタジックな風景は作れないと思うので専門のデザイナーを褒めるべきか。

 

「そうだね、凄くきれいだよ。僕らの種族の首都もこんな感じなのかなぁ?」

 

「どうだろうな。多分種族の首都はその種族の特徴が色濃く出てるんじゃないのか?」

 

 俺は答える。このフィレネカールは水路が多いいかにも水の種族といった感じの都だが、例えば俺が所属する風妖精族(シルフ)だったら多分風がモチーフのデザインがなされているだろうし……ユウキは――

 

「そう考えるとボクの種族はあんまり期待できなさそうだね……だって闇だよ闇。地下の都市とかそんな感じの予想が出来ちゃうよ……」

 

 まぁそうなるわな。一段落したら各種族領巡りでもしてみたいものだ。……もしレクトがこの件の首謀者だったらこのゲームごと吹っ飛ぶ可能性もあるが。

 

「えーと、君はお兄ちゃん、それにユウキちゃんかな?」

 

 そんなことを考えていたら、後ろからいきなり女性の声がする。俺とユウキはそちらに向き直った。そこには水色一色で装備を固めたウンディーネの少女が立っていた。

 

「そうだが……そういう君はカオンか?」

 

 少女、いやカオンは頷く。

 

「早かったね。ユウキちゃんはともかくお兄ちゃんはもう少しかかると思ってたよ」

 

 カオンはウンディーネの門番に言われたことと一緒のことを言う。

 

「まぁ色々と訳があってだな……そこら辺も含めてどこかでゆっくり話したい。3人だけで話せる場所ってどこかないか?」

 

「んー、じゃあ私のホームに行こっか。普段は人を入れないんだけどお兄ちゃんとユウキちゃんならまぁいいや」

 

「助かる。じゃあ行くか」

 

「あ、別にそこまで遠くないからすぐに行けるよ」

 

 そう言うとカオンは指を宮殿に向ける。俺とユウキはその意味を図りかねて首を傾げた。

 

「私のホームはあの領主館のすぐそばにあるの。これでも領主に仕えてるからね」

 

「へ―……カオンちゃんってお偉いさんなんだ」

 

 ユウキが感嘆したように言う。ユウキはそういうの憧れそうではある、偏見だけど。

 

 

――――――――――

 

 

「はい、いらっしゃい。ここが私のホームだよ」

 

 カオンに案内され、彼女のホームに向かうと、そこは守衛までいるそれはそれは立派なホームだった。なんだろう、官邸みたいなホームだった。守衛に俺たちのことを誰何されたが、カオンは『親しい友人です』と言って守衛を黙らせていた。

 

「相当偉いみたいだな?カオン」

 

「この種族が私に合ってただけだよ。このウンディーネは魔法を重視する種族だから、直接戦闘能力が高くて前衛(フォワード)になれるプレイヤーより魔法のスペルをちゃんと記憶して早く詠唱できる後衛(サポーター)が重宝される。その適性がそれなりにあったの」

 

 俺はなるほどと思った。幼少期の頃にカオン、いや桧音と過ごしたことはゼロに等しいがレーナから聞いた限りでは梓に負けず劣らず優秀で本をよく読むこともあって記憶力もよく、中学校では放送部に所属しているらしい。確かにこのゲームでの魔法適性に恵まれてるな。

 

「なるほど。それで本題に入るけど、取り敢えず俺たちがこんなに早く来れた理由は何故か普通の転送手順を経ずに2人ともウンディーネとインプの間の中立域に落っこちたからなんだ」

 

「中立域に落っこちた?」

 

「そうなんだよカオンちゃん。カオンちゃんはそういう話聞いたことない?」

 

 ユウキが聞くと、カオンは少し考える仕草をしたのち、首を振った。

 

「ううん、聞いたことはないかな。それなりに知り合い入るけどそういう話は全く聞いたことがないよ」

 

「そうか。ありがとう」

 

 カオンの返答を聞いて、俺はナーヴギアで接続したからという説で納得することに決めた。

 

「それで、さっきカオンや門番のプレイヤーが言ってたことなんだが……俺がサラマンダー国境をよく越えれたねと言われたのは何なんだ?」

 

「確かに言われてたね。ボクはともかく、レイはよくここまで来れたなって」

 

「あーそうか。お兄ちゃんたちはこのゲーム入りたてだもんね。まず、このゲームの目標は、この世界の中心にある"世界樹"っていう木の上に建てられた空中都市にどの種族よりも早く立ち入って、自らの種族を光妖精族(アルフ)にすることなの」

 

 カオンが説明を始める。世界観の説明はありがたい。

 

「アルフ?」

 

「うん。その空中都市、《イグドラシルシティ》に住む妖精王に謁見した種族はアルフになって、無制限飛行を含めた色々な特権が与えられる。他の種族は妖精王の眷属たるアルフの下に置かれ、従属を強いられる……というストーリーみたいね」

 

 なるほど、飛行制限はこのためにあったのか。

 

「でも、このゲームが発売されてから大分時間が経っているよね?もうアルフになった種族もいるんじゃないの?」

 

 ユウキが聞く。確かにそうだ。一般にこの手のゲームはVR以前にも強烈な熱意を以てプレイに集中する『ゲーマー』あるいは『RTA(リアルタイムアタック)勢』と呼ばれる廃人層が一定数いるわけで、彼らの手によれば発売後数日で完全攻略、というのも珍しい話ではない。

 

「確かにそう思われてたんだけどね、未だにどの種族も攻略出来てないの。それこそこのゲームの二巨頭と言ってもいいシルフとサラマンダーがそれぞれ精鋭中の精鋭のレイドを組んで挑戦しても空中都市はおろか世界樹の根本で全滅したって話よ。シルフの友達の話だけど、敵の密度が濃すぎて処理が間に合わないんだって」

 

「なんじゃそりゃ、調整ミスにもほどがあるだろ」

 

「皆そう思っているんだけどね、未だに修正は一切なし、今は各種族が軍備増強や種族間同盟、あるいは見落としている攻略クエストの洗い出しを模索しているみたいだよ」

 

「カオンちゃんたちは?」

 

 ユウキが聞く。確かにそんな状況なら、他種族の俺たちをホームに招いてるとなったら大問題じゃないんだろうか。

 

「各種族と言っても温度差はあってね、攻略最先鋒はさっきも言ったシルフとサラマンダーだけど、私たちウンディーネはそこまで無制限飛行に執着してないの。元々戦闘は苦手だし、だからどっかの種族から同盟の誘いが来たら考えるって程度かな」

 

「そんなもんなのか」

 

「もちろん私だってずっと飛べることには憧れるけどね。……っとちょっと前置きが長かったかな。それで、何度も言ったように今最有力の種族はシルフとサラマンダーなんだけど、この2つの種族は物凄い仲が悪くて、それに中立域を挟んで接しているもんだから国境紛争が絶えなくてね。最近はサラマンダーが全体方針として数人のグループを組んで中立域で活動するシルフプレイヤーを襲撃して金品を奪う"シルフ狩り"なんてものを始めたもんだから収拾がつかなくなってるんだ」

 

 なるほど、だからあんなことを言われたのか。つまりナーヴギアに感謝しなければならないというわけだ。

 

「仲が悪いってなんで?2つで手を組めば攻略出来るんじゃないの?」

 

「手を組むなんて絶対無理。サラマンダーはシルフの前領主を中立域内でPKしたことがあるからね」

 

「え、えぇ?領主をPKされるのはそりゃ感情悪くするだろうけど、そんな目くじら立てるもんなのか?」

 

 俺は聞いた。もしかしたら領主と知らなかった可能性……はないだろうけどそれくらいで戦争寸前まで行くものなのだろうか。

 

「そうよ、なんたって領主PKっていうのは物凄い重大なことだから。領主を殺された側の首都は陥落状態になって、殺した側は自由に――とはいっても上限はあるけど、一定期間その種族のプレイヤーから税金を徴収できるの。他にもいろいろあるけど、これが一番大きいことかな。これでサラマンダーはシルフからたっぷり資金力を奪って現在の座に来たってわけ」

 

「あーそりゃ怒るわな……そう言えば、世界樹ってどんなところなんだ?」

 

 色々な疑問を解決したところで、俺はカオンに新たな疑問を尋ねる。

 

「普通のものすごく大きな樹だよ。樹齢何千年だってレベルに大きいけど、写真見る?」

 

 カオンは言いながらストレージを検索し、世界樹の写真を呼び出してポップアップした。ホログラムとなった世界樹が部屋に浮かび上がる。その姿に俺とユウキは見覚えがあった。この樹、キリトから送られてきたあの写真に写っていた樹だ。

 

「……あぁ」

 

 俺は思わず呟きが漏れてしまい、慌てて口を覆う。カオンは怪訝そうな顔をしてこちらを見たが、何も言わなかった。

 

「うん、ありがとう。色々聞きたかったことは聞けた、あんまり女の子の部屋に長居するのもアレだし俺はここで失礼するよ」

 

「あっレイが行くならボクも行くよ。今日はありがとうねカオンちゃん」

 

「もう行っちゃうの?」

 

「いや……アイツからアメリカに来いって言われてて、その便がですね……」

 

 俺は少し口をすぼめながら言う。今朝スマホを開くと、既にアメリカに渡って母校に戻っていたらしい人物からアメリカに来て欲しいとのメールを受け取ったのだ。いきなりすぎるが一応本社所有のプライベートジェットが使えるらしいのでその為に新幹線で仙台まで移動することになっており、その時刻が現実世界の時刻であと3時間後なのだ。

 

「アメリカ?ってことはまた七色ちゃんに呼び出されたの」

 

「そんなところだ。取り敢えずどこでログアウトするか考えないとな」

 

「あ、それなら適当な宿屋を取ってベッドの上でログアウトすることを勧めるよ。アバターは抜け殻だから中立域内や他種族領でログアウトすると危険だし、ベッドの上でログアウトすると姿勢が変わらないから酔わないし」

 

 カオンが出ていこうとする俺たちに言う、なるほど、ログアウトをしたことがなかった自分にはない知識だ。

 

「じゃ、また現実(あっち)で。今日はありがとうな」

 

 カオンに礼を言ってから外に出る、するとユウキが俺に詰問してきた。

 

「ちょっとレイ、そんな話してくれなかったじゃないか。ボクに無断でアメリカに行くなんて。ボクもついていくー!」

 

「いやまぁ色々あってだな……別に連れていってもいいけどホテルと空港でずっと待ちぼうけだぞ」

 

「むー……しかも七色ちゃんってセブンちゃんのことでしょ。ボクの知らないところで2人で変なことしないって約束して」

 

 ユウキが妬いた様子で言う。ここで約束しないとすねモード突入なのは間違いないので約束する。

 

「約束するよ」

 

「もし破ったらその時は承知しないからね。じゃ、宿屋に行こうか」

 

 ユウキの目に一瞬何かが光ったような気がしたが、俺は何も見なかったと信じ込んで宿屋に向かった。




木綿季はどんどんヤンデレ属性を身に着けていますね。まぁ婚約者が自分を置いて外国にフライアウェイしたら誰でも怒りそうなもんですが。

取り敢えず次回は七色博士が出そうです。自分もちろんユウキ推しなんですがセブンも大好きなんですよね。どうにかして彼女を活躍させたいと思っている今日この頃でございます。

次回は今週中に出せたらいいなーという感じでございます。次回もお楽しみに!

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