〇〇高校に通う主人公はある日の放課後、急な便意を催してトイレに駆け込む。

しかし、そのトイレにはアレがなくて・・・

(ルート分岐あり)

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皆さんなら、どうします?



後悔系男子の日常話

つくづく、人類は偉大であると思う。

 

獲物を狩る爪も無ければ牙もない、か弱い人類。

 

そんな人類がここまで繁栄することが出来たのは、それは単に道具を作り扱う頭脳を持っていたからにほかならない。

 

人類は様々な道具を作ることで、あらゆる生物を凌駕することが出来たのだ。

 

獲物を狩るために矛を作り、雨風を凌ぐために家を作り、移動するために車を作り・・・

 

人類は実に多くの道具を作ってきた。

 

その中でも、最も革命的な道具がある。

 

それは紙だ。

 

包装材として、緩衝材として、記録媒体として、オムツとして、トイレットペーパーとして。

 

その使用用途は多岐に渡り、また数多くの特徴や製法を持つ。

 

そして、紙の最も偉大な点。

 

それは紙を用いることで、人類が他の生物と大きな差をつけることが出来た点にある。

 

生物は皆、DNAという遺伝的記録媒体を用いて子孫を繁栄させる。

 

これによって、生物は次の世代に自らの特徴や耐性、天敵など、様々な情報を遺伝させるのだ。

 

しかし、そこには記憶が含まれていない。

 

それは知能レベルが、世代ごとにリセットされるという事を意味する。

 

だが人類は紙という別の記録媒体を手に入れることで、記憶の伝達という快挙を成し遂げた。

 

過去という膨大なログを残すことで、我々は故人と未来人とのコミュニケーションを可能にしたのだ。

 

一人の知恵から数万人の知恵へ。

 

百年の知恵から数千年の知恵へ。

 

このことは人類の発展に大きく貢献した。

 

病に対する特効薬を作ったり、空に浮かぶ月に行ってみたり、果ては自然災害までをも正確に予測する事さえ可能になったりと、知識の集積による影響は計り知れない。

 

人類の歴史の全ては紙から始まったと言っても過言ではないのだ。

 

 

 

さて、諸君らも紙の偉大さに気づいたであろうからそろそろ本題に入ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は今、トイレにいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黄金の光が差し込む、夕暮れ時の午後6時。

 

放課後の〇〇高校の男子トイレの個室。

 

ウォシュレット無しの一般的な洋式トイレに座している。

 

ちょうど先程ヘヴンタイムを終えたところなのだが、ここで一つ問題がある。

 

人類の叡智の結晶。

 

歴史の立役者。

 

(かみ)という言葉の語源。

 

そう、紙だ。

 

(かみ)が、トイレットペーパーがないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、どうしたものか。

 

まあ常人であればここで焦るのだろうが、俺は迷いなく次の一手が打てる。

 

そう、この個室にないなら他の個室から拝借すればよいのだ。

 

たとえトイレ掃除によるトイレットペーパーの補充が行われるのが月曜日で、今が金曜日の放課後だとしても、流石に一個はあるはずだ。

 

いや無いと困る。

 

そうと決まればすぐさま行動に移そう。

 

まず聞き耳を立て、足音がないことを確認する。

 

そして鍵を開け、辺りを覗く。

 

周囲に人影なし。

 

姿勢はこのまま。

 

いざっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああああああああああああ!」

 

ないッ!

 

ないだとッ!

 

尻に汚物をつけたまま、前傾姿勢を保って無様にヨイショヨイショと他の個室を回った俺に待っていたのは、絶望だった。

 

何たる仕打ち。

 

俺が何をしたというのだ。

 

当たり前だがトイレットペーパーがない以上、俺は尻の汚物を拭くことが出来ない。

 

くそっ、いったいどうすれば・・・

 

いや、まだだ。

 

まだ諦めるような段階じゃない。

 

冷静に、そうだ、冷静になれ。

 

大丈夫、何とかなる。

 

ひとまず元の個室に戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ。

 

さて、どうするか。

 

選択肢は幾つかある。

 

 

 

 

①そのままトイレを出る。

 

 

いやこれはあり得ない。

 

こんなものを付けたまま教室に戻り、電車に乗って下校するなんて俺には無理だ。

 

それに誰かに近づかれたら匂いでバレるだろう。

 

精神的にも社会的にもダメだ。

 

 

 

 

②トイレットペーパー以外のもので拭く。

 

 

できれば今日帰ってきた赤点のテスト用紙が望ましい。

 

だが、残念ながら通学カバンは教室だ。

 

財布もその中だから、レシートも手元にない。

 

ここにあるもので拭くとなると・・・

 

っ!

 

そうだっ!

 

トイレットペーパーの芯ならば・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 

何故だッ!

 

芯すらないッ!

 

最近流行りの芯なしタイプだとでも言うのか。

 

学校なら大人しく業務用トイレットペーパーでも使っとけよ!

 

くそっ、他に尻を拭けるものと言ったら・・・

 

 

 

 

 

・・・・・・手、か。

 

 

 

 

うん、これは最終手段にしよう。

 

 

 

 

③人を呼ぶ。

 

 

幸いなことに、携帯電話が手元にある。

 

これで人を呼んでペーパーを持ってきてもらえば万事解決なのだが、残念なことに俺は孤高の存在。

 

いわゆるボッチだ。

 

呼べるような仲の良い友達などいない。

 

せいぜい話を合わせる程度だ。

 

まあクラスのLINEグループには一応登録しているので誰かしらに声をかけることは可能である。

 

しかし今は放課後。

 

すでに日は落ちかけ、誰もが部活動やリア充活動に勤しんでいる時間帯だ。

 

必然的に呼ぶことが出来る人は限られてくる。

 

俺が教室を出た時点で教室に居た数人の中から選ぶ必要があるのだ。

 

ここで皆さんにそのラインナップを紹介しよう。

 

 

 

No.1 黒田 染乃(くろだ そめの)

 

黒ギャル金髪女王様。

 

見るからに遊んでそうな見た目だが、意外や意外。

 

なんと成績はクラス1位の優等生。

 

そういえば今日も学校に残って勉強をしていたな。

 

案外頑張り屋さんなのかも知れない。

 

ちなみに取り巻きが居らず、実はボッチかも知れないとの噂も立っている。

 

 

 

 

No.2 雨宮 静香(あめみや しずか)

 

今売り出し中の清楚系アイドル。

 

クラスのアイドルではなく、職業としてのマジもんのアイドルである。

 

かわいい。

 

アイドル活動が忙しいのか、いつもは学校に残ることは無いのだが、今日は残っていたな。

 

珍しい事もあるものだ。

 

 

 

 

 

NO.3 米原 翔子(よねはら しょうこ)

 

アホ毛ドジっ子ロリ巨乳メガネ委員長。

 

とにかくいろんな特性を持ったスーパーちみっこ。

 

当然、我がクラスのマスコット扱いである。

 

アホの子なので、勉強はさっぱり。

 

今日は課題の再提出のために残っていたな。

 

どうやらノートが洗濯機に入ってしまったらしい。

 

清々しいまでのドジっ子である。

 

 

 

 

 

以上3人。

 

お分かりいただけただろうか。

 

そう、全員が女子なのだ。

 

それも、頼むには難易度が非常に高いメンツが勢揃いである。

 

だが、渋っていても結果は変わらない。

 

 

 

 

完全下校まで残り30分。

 

 

 

 

覚悟を決めた俺は、コイツにLINEを送った・・・

 

 

 


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