ロクでなし魔術講師と禁書目録   作:弥宵

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魔道図書館はかく語りき

 転生した、などと聞けば、きっと諸君は『ああ、またか』と思うことだろう。前世では持ち得なかった特殊能力のおまけ付きだと言われたならば、『テンプレ乙』とでも思うに違いない。それが前世で嗜んでいた漫画やラノベの能力だった場合など尚更だ。俺だってそう思う。

 

 

 

 ―――なにせ、自分が当事者になった今ですらそう思うのだから間違いない。

 

 

 

 俺の場合は神様的なサムシングとの邂逅イベントこそ発生しなかったが、ラノベの能力を持って異世界転生したことは事実だ。

 こんなテンプレかつ非現実的な現象に見舞われたからには、どこかに『綴り手』の類がいるのではないかなどと考えてしまう。だからこそ俺はこんな語り部のような口調で独白しているのであるが、それはともかく。

 

 俺が得た能力は『とある魔術の禁書目録』のメインヒロイン()であるインデックスの能力。原作のインデックスは記憶した十万三千冊の魔道書をフル活用すれば『魔神』の域にすら手が届くとされるラスボス系ヒロイン()である。こんなのが一巻から出てくる禁書ワールドとは一体どんな魔窟なのだろうか。

 

 とは言っても、あくまでこれは推察でしかない。インデックスが持つ能力といえば完全記憶能力と『自動書記(ヨハネのペン)』、それらから派生した『強制詠唱(スペルインターセプト)』などがあるが、このうち確認できるのは完全記憶能力だけだ。『自動書記』はその名の通り自動で発動するものなので確認のしようがない。わざわざ確認のために自殺未遂とかしたくないし。

 

 

 そして推察が正しい場合、この能力には二つの重大な欠点がある。

 

 

 ―――そもそも俺には魔道書の知識がないこと。

 

 

 ―――『自動書記』のせいで普段魔術がろくに使えないこと。

 

 

 いやこれ詰んでるだろ。原作に登場した魔術くらいしか知らない魔道図書館とか劣化にも程がある。十万三千冊どころか十冊前後。本棚一つ分にも満たないだろこれ。

 この世界がどんな世界かは知らないが、転生して数年でなかなか物騒な世界だということはわかっている。実力はあるに越したことはない。

 本当に死にかけたら『自動書記』が発動するんだろうが、魔道書の知識がない以上どの程度役立つのかは心許ない。『強制詠唱』や『魔滅の声(シェオールフィア)』も魔道書の知識を生かした技術だし。『首輪』がなかったのはせめてもの救いだが。

 

 まあそんなわけで、完全記憶能力を確認したことと魔力がほぼ存在しないこと、加えて自分の名前とある一件(・・・・)から自分の能力に当たりをつけたわけだが、ここでまた重要な発見があった。

 すなわち、この世界にも魔術が存在するということ。体系はやや異なるようだが、どうやらルーン魔術をベースにしているようで類似点が多々見受けられた。

 そして、こちらの世界の魔術ならば普段の俺にも多少扱えるということ。理由は不明だが、とりあえず特典のおまけとでも思っておくことにした。

 

 ここまで把握した俺が取った行動は、当然知識を増やすことだ。幸いなことに俺の生まれた家はなかなかの名家であるらしく、魔術関連の蔵書も豊富だった。家族も優秀な魔術師ばかりで、彼らから得た知識も多い。特に我が双子の姉などは、俺達が通う学院でも優秀かつ勤勉と評判であり、接する機会も多いため学ぶことも多い。なお成績は座学では俺の圧勝、実技では姉の圧勝である。

 

 そして現在俺が辿り着いたポジションは、『魔力(マナ)不足さえ解決すれば大抵の魔術は扱える魔術師』である。一番大事な部分が足りてないとか言ってはいけない。封印されてるだけだから!『自動書記(本気モード)』発動すれば無双だから!多分!

 まあ本家に比べると劣化もいいとこではあるが、最低限魔道図書館としての体裁は保てるようになったと言っていいだろう。一般にも知られている知識が主であるため、禁書(・・)目録とは呼び難いが。

 

 さて、ここまでで最低限の力は得たとはいえ、このままでは本家の劣化版でしかない。魔道書の知識はそう簡単に得られるものではない以上、本家にはない能力で補うしかないだろう。

 そこで俺が本家に勝っている部分は何かというと、性別故の身体能力と、微弱ながら普段も魔術が使えることである。

 身体能力を生かすとなると体術でも学べばいいのだろうが、そもそも教わる相手がいないので体力作り程度に留めておく。俺の場合、俄仕込みの体術よりも魔術の知識の方が役立ちそうだし。

 対して魔術はというと、前述の通りこの世界の魔術は基本的にルーン魔術をベースにしているのだが、どちらかというと言霊に近い性質を有している。すなわち、詠唱文を改変することで術式の効果にも変化が見られるということが判明した。よって俺はその法則を徹底的に解析し、効率的な改変方法を模索することにした。

 まだ研究中の内容であるため家族にも詳細は伝えていないが、完成した暁には技量という点では数段上に手が届くのではないだろうか。我が姉君など、これを知れば即効で身につけた挙句あっさり俺を追い抜くような気がしてならない。何とも末恐ろしいことである。

 

 ともあれ、今日も今日とて本家に倣って術式解析の練習でもするとしよう。それがこの俺、インディ=X=フィーベルの日常である。




オリ主の名前はインディアナと迷いました(ジョーンズ並感)
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