ダンジョンでコインを求めるのはマンマ・ミーア!   作:yourphone

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マンマ・ミーア・イン・オラリオ

 小太りの男が居た。ちょっとそこらでは見かけないような赤い服に青いつなぎを着ている。背の低い彼は、ふっさりとした髭を蓄えていて、被っている赤い帽子にはMのマーク。

 

「Oh?」

 

 その男は左右を見回す。そして、首を傾げる。どうやら何か困っているように見える。

 

「Oh yeah」

 

 男は頷き走り出す。その走り方がやけに滑稽で、周囲で見守っていた人たちはつい笑ってしまう。

 

 そして。

 

「Ya!」

 

 唐突なジャンプに驚愕する。右手を高く掲げ、左足もしっかり曲げる。踏み切った右足と左手はゆるく伸ばす。

 

 そんな謎のポーズのまま、人を軽く飛び越える高さまで飛び上がる。

 

 だが、人々の心臓は更に攻撃をくらう。

 

「ho! yeahho!」

 

 着地と同時に両足飛び。一回目のジャンプよりも更に高く飛び。

 そして空中回転しながら三段目のジャンプ。最初のジャンプの二倍の高さまで山なりに宙を舞い、頭から着地。直後最初のジャンプへと派生。

 

 そのまま誰もが見たこともない移動方法―――三段ジャンプにて街を駆けて、いや、跳んでいった。

 

「な、なんて跳躍力なんだ」

「なぁ、あいつ見たことあるか?」

「初めて見たな。ふむ……」

 

 噂は瞬く間にオラリオへと広まった。

 

 

 

 

 

 

「ふぎゃっ!」

 

 男がオラリオに現れた次の日。彼はある女性を踏みつけてしまった。

 ……女性というには背が低いが。

 

「あったたた……いきなりなんなんだい!? 君!」

「uum?」

「そう、君だよ! 人を……いや、神である僕を踏みつけておいて一言も無しとはどういう魂胆だい!」

「Uwaaoh!」

 

 まるで羽のように自らのツインテールを揺らし、怒鳴り付ける女性。身長に不釣り合いに発達した胸が揺れる。

 

 そして、その女性の怒鳴り声に大袈裟に吹き飛ばされる男。

 

「ちょ、なんでそんなに飛んでいくのさ!? 軽すぎないかい、君!?」

「Ooou……」

 

 尻餅をつき、目を回す男。顔の周りに星が(またた)いている。

 

「あーもうっ! とにかく謝って、このじゃが丸君を買うんだ!」

「Uuuum……this?」

 

 男は慌てて立ち上がり、服の中を探る。そして、男の顔ほどもあるコインの形をした巨大な金塊を取り出した。

 

「は、はぁっ!?」

 

 女性だけでなく周りに居た人たちも驚く。

 当然だ。これだけの大きさの金塊、売れば幾らになるか……最低でも店にあるじゃが丸君は全部買える。

 

「or this?」

 

 男は金塊を懐にしまい、何かを取り出す。青い星型の何かだ。

 

「え、え? そ、それはなんだい? ってうわっ!」

 

 驚愕で上手く頭が働いていない女性。すると星型の何かは独りでに動き、女性の頭へと張り付く。

 

「な、何をするんだい! 今すぐ外して―――あいたぁっ!」

 

 何処からか金平糖のような形の何かが飛んできて女性にぶつかる。女性はふっとんだ。

 

「Uwaao! Sorry!」

 

 男は女性に駆け寄る。

 

「…………く…ぐぐぐ……流石のボクも、かなり頭にきたよ……!」

「Awawawawa……!」

 

 女性の後ろに後光が見える。だが、その後光は男には強大な重圧(プレッシャー)となって襲いかかる。

 男がこのような重圧を受けるのはいつぶりだろうか……。

 

「ボクは(かまど)の女神ヘスティア。今なら、謝るだけで許してあげるけど……もしも嫌だと言うのなら。どうなるかうわぁっ」

 

 男は両手を広げその場で回転。手から星屑がこぼれ、男を中心に円を描く。

 その回転を受けた女性――ヘスティアは星屑と共に回転させられる。

 そして男に体当たりされ再び吹き飛び、今度は目を回して倒れた。

 

 男は倒れたヘスティアの横にそっとキノコを置き、その場から立ち去る。

 

 

 

 

 

 彼こそが、後にオラリオを救う英雄となる者。

 

 名は、『マリオ・マリオ』。二つ名は『変幻自在の神回し(レインボーカラー・スピン)』 。

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