ダンジョンでコインを求めるのはマンマ・ミーア! 作:yourphone
乗るしかない
このビックウェーブに
「なに! マリオを見失っただと!」
「ひいっ!」
宇宙の端、大量の宇宙戦艦に囲まれた要塞にて、大魔王は地団駄をふんでいた。
「えぇい、マリオが来そうな星には残らずクリボーたちを派遣したというのに! 何処に行ったというのだ!」
「それはただ今調査中です!」
比較的エリートなノコノコが敬礼をしながら答える。だが、それはクッパにとって聞きたい返事ではなかった。
「それは分かっている! お前も探してこい!」
「はいぃ!」
怒鳴り付けられ、転がりそうになりながら走って部屋を出るノコノコ。そうしてようやく部屋に一人だけとなったクッパは、頭を抱える。
「あいつはいつもいつも寄り道ばかりしおって……クリボーやノコノコたちを派遣するのに何枚のコインが飛んでいったか……ピーチ姫と結婚式を挙げようにも力が強くて扉を緩めたとたんに脱走をしかけるし……それを止められないクリボーたちも悪いのだがな!」
今は脱走をしない代わりに手紙を送るということで妥協してもらっているが、それもいつまで続くものか。
「クッパ様! クッパ様!」
「む? なんだ?」
「マリオの居場所が判明しました!」
「なんだと! 何処だ!」
「我々の居るこの場所から、ちょうど反対側です!」
「何の反対側だ?」
「我々の故郷の反対側です!」
ふむ、とクッパは場所を理解しようとする。ここは宇宙でもかなり端の方だ。そして故郷……それはつまり元々クッパやマリオたちが住んでいた星だろう。その反対側ということは―――
「なんでそんなとこに居るのだ!?」
「分かりません!」
流石のクッパも、まるで見当違いの方向にはクリボーたちを配置していない。となると、場合によってはその周辺でパワースターを楽々回収してそのままここまで直行してくる。
そうなると……せっかく派遣したクリボーたちが手持ちぶさたのまま。そしてこの広大な宇宙に何も出来ず取り残される可能性が―――
「そんなの許さ~ん!」
「うわわっ」
「その星へ行く! いますぐ用意しろ!」
「えっ、クッパ様自ら!?」
「そうだ!」
おどおどと混乱しているノコノコたちを押し退けどしどしと移動。宇宙戦艦に乗り込むクッパ。
「発進だ!」
堂々と宣言し、宇宙戦艦も動き出す。
「いえいえ、少々お待ちくださいクッパ様」
「む? カメックか。なんだ?」
「ワタシも観たのですが、どうにもマリオのいる星はマリオやピーチ姫のような見た目の者が多くてですね。しかも我々と似たような見た目の者をかなり容赦なく攻撃しているようなのです」
「……つまりどういうことなのだ?」
「このまま行くとクッパ様はともかく我々が危険かと」
カメックはうやうやしく申し上げ、そっとあるものを差し出す。
それにしてもこのカメック、話が長い。
「なんなのだこれは。王冠?」
「はい。これは試作品のパワーアップアイテムでして、我々のような見た目の者がピーチ姫のような……機動力を身に付ける事が出来るのです。これを使って、心苦しいですがクッパ様お一人で行ってもらえると」
「お前たちは働かないというのか!」
クッパは有り得ないと怒鳴り付ける。この大魔王が働くというのにその部下が働かないとはおかしい。
それに慌ててカメックは言い訳を始める。
「いえいえいえいえクッパ様がおでかけになっている間我々はこのパワーアップアイテム―――取り敢えず“スーパークラウン”としますか―――をどうにかして量産出来るように致します。これはまだ一つしか有りませんから。も、勿論クッパ様のお付きは星のすぐ近くに待機させますので! ではこれで!」
「あ!」
カメックはお得意の魔法で何処かへテレポートしてしまった。
怒鳴ろうとしたクッパだが流石に喉が渇いてしまいぐっと我慢する。
「むぐぐ……ふん、まあわがはいにピッタリのかっこいい王冠だしな……スーパークラウンだったか。かぶってやるか」
クッパは普段身に付けている王冠を取り、スーパークラウンをかぶる。
すると、なんということでしょう。
あれほど大きく筋肉隆々だったクッパの体が、みるみると小さくなっていくではないですか。
チャームポイントの甲羅と角はそのままに、赤いたてがみは綺麗な金色となりどんどんと伸びていき、体表を覆うように黒いドレスが現れました。
胸元は大きく盛り上がり、赤いペンダントが挟まっています。
獣といって相応しかった顔は小顔となり、鋭い目付きとサメのようなギザ歯が
こうして、スーパークラウンクッパ……もといクッパ姫は誕生したのです。
さて、クッパ姫がオラリオに降り立つのはいつになるのやら。