幻想郷では常識に(ry   作:海猿

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 幻想郷の賢者八雲紫。彼女が犯してしまった失敗は幻想郷を大きく変えるものとなる。




















【プロローグ】博麗大結界、破壊

 マズイ。コレは非常にマズイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私、落ち着け。とりあえず素数を数えるのよ。えーっと、1……あ、1は素数じゃないわ。

よしっ、落ち着いてきた。そして目を開ければ結界が――

 

 

 

 

「やっぱり壊れてる!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 事の発端は私の気まぐれだった。

 

「今日は私が結界の管理するわ」

 

 本当の本当に気まぐれ。それ以上でもそれ以下でもない。

それなのに――

 

 

 

 

 

 

「あれ? ここどうやるんだっけ」

「あ、ヒビがっ……」

「まってやばいやばい……」

「あ、ここをこうすればいいのか……え?」

 

「あ」

 

 見事に壊してしまった。

そう言えばもう何百年と結界の管理をしていなかったなぁ……と昔を懐かしむ間もなく私の目の前で博麗大結界はボロボロと音を立てて崩れ去ってゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってお話何だけど。どう?」

「笑えないわね」

 

 ですよねー。

 

 

 ここは、博麗神社。

私は現実逃避をするために霊夢にお茶を貰いに来た。

 

「どうしたらいいと思う?」

 

 冗談交じりに霊夢に聞いてみる。

 

「……アンタはどうなればいいと思っているの?」

 

 そりゃ勿論、結界が直ってくれるのが一番いいのだけれど……

壊れたものは二度と直らない……そして失った信頼はもう取り戻せない。

 

「ふっ。八方塞がりね」

 

 笑ってる暇なんて無いんだろうが、笑うしかない状態で、もうどうしたらいいのかわからない。

あ。

 

「お茶美味しいわね」

「現実逃避するな」

 

 霊夢の無情なツッコミが私の胸を抉る。

私は霊夢をそんな子に育てた覚えはないのに……

 

 

「で? 本当にどうするの?」

 

「……」

 

 実際の所どうすればいいのかわからない。

今すぐ藍に土下座すれば許してくれるかもしれない。

だけど土下座しようが切腹しようが許してもらえる気がしない。

 

どうしよう。

 

「……このままでいっか」

「おい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とは言ったものの、このままじゃ流石に幻想郷が危険なので、結界を張り直そうと全力を尽くす。

 

 

 

はい、無理でした。

 

 

 

 

 

 

「あれって一回ヒビが入ったら何しても無駄なのね。はじめて知ったわー」

「なんで帰ってきてんの?」

 

 神社の掃除をしていた霊夢は私に問を投げかける。

そんな分かりきったこと聞かないでほしいなぁ……

 

「結界が直らない」

「あっそ」

 

 もっと関心を持ってちょうだい! とも思うが、霊夢からどれだけ関心を得ようが喜怒哀楽全ての感情をぶつけられようが結界は元に戻らない。うん不毛なやりとりになるのが目に見えてるわ。

 

 

「うわぁあああ霊夢助けてー!!」

 

 正直もうどうしたらいいかわからない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大体、何が理由で壊れた訳?」

「あ、それは……」

 

 あれ? そういえばなんで壊れたんだっけ……私がただ久しぶりで結界の管理を失敗しただけ……いや、私も最近サボっていたとは言え何百年と結界の管理は行ってきたはず。そんな私が失敗するわけ……無い、わよ、ね。まあそこはいいとして、結界は何十年とかけて強く強く強固に張っている、そんなものがちょっとした衝撃やミスで壊れるとも考えにくい……

つまりこの事件には何か……黒幕がいる?

 

「霊夢……」

「何?」

 

「結界が決壊した!」

「うるさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして博麗神社を追い出された私は、博麗大結界破壊事件の聞き込みと言うかなんというか取り敢えず藍に謝りに行こうと藍を探す。

 

人間の里、いない!

紅魔館、いない!

冥界、いない!

迷いの竹林、いない!

無縁塚、いない!

三途の川と彼岸、いない!

妖怪の山、いない!

天界、いるわけがない!

 

 

 藍がいません……と、まあ茶番はこれぐらいにしておいて。私は結界管理場所へと足を運んだ。

 

 

「藍」

「紫様……」

 

 藍は怪訝そうな顔でこちらに振り向く。どうやら藍もこの事件の不可解さに気がついているようだ。

 

「紫様、この結界……壊れてますけど、どういうことですか?」

 

 と思ったら別にそんなことは無かったようだ。その上すごく怒っている、物凄く怒っている、多分幻想郷で一番怒っている。ここまで言ったら分かると思うが藍は怒ると『呆れる』か『ブチ切れる』かの二つしか無い。怖い。

後ろからゴゴゴゴゴと何か聞える。

 

「い、いや、あのね、藍? 少し落ち着いて……話を聞いて……」

 

 藍の怒りは地底より深く、天界より高い。

いや、地獄と月でたとえた方が適切かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、たしかに考えてみれば不自然な壊れ方でした」

「でっしょぉ!!」

 

 あれから五時間、藍との口論(九割説教)を終え。再考する。

 

「つまり、紫様はこの事件の裏には黒幕がいると?」

「そうそう」

 

 

 

「それじゃあ話を整理しましょう」

 

 何故かシリアス展開へと進みつつあるが、結局藍が壊れている所を直していたし、もうこれは私の責任をどこぞの黒幕になすりつけるためのただの作業と言うにふさわしいだろう。適当なこと言ってさっさと帰ろう。今すぐにでも逃げ出したい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「兎にも角にも、今の情報量で犯人断定は難しいだろうし……観察在るのみって感じかしらね」

 

 適当な予想、感情のこもっていない怒り、その場の雰囲気とテンションで何とか乗り切る

私はこれで自由になったのよ!

 

「そうですね」

 

 藍もそれなりに納得してくれたようだしもうどうでもいいや! これで博麗大結界破壊事件終了。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「幻想郷は、今日も平和であった!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―完―

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