プロローグに続いて1話目更新です。
バトルシーンとかきっこよくかけたらいいなーって思ってます。
伝わりにくいことがありましたら気軽に言ってください。
それでは1話目を楽しんでくださーい(^ω^)
2036年4月5日。日の出の眩い光を浴び、俺はゆっくりと目を開けた。時刻は午前5時、場所はとある街中のゲームショップの手前の歩道だ。俺はゆっくりと体を起こし、地面に惹かれたビニールシートに手を置き、そのまま立ち上がる。周りには多くの人が路上で眠っていた。
今日は1ヶ月前に発売を発表された新作VRMMORPG「Everlasting・Online」の発売日だ。ちょうど春休みということもあり、自称ゲーマーである俺は「ELO」を買うべくこうして友達と2日前の夕方から並んでいるのだ。
俺は眠い目をこすりながら周りを見渡した。多くの人はまだ眠りについており、一部の人たちは友人と会話をしたりしている。しばらくそれらを眺めていると、俺のズボンの裾が引っ張られるのを感じた。俺は視線をそっちに移すと、さっきまで寝ていた美咲がこちらを見上げていた。
「おはよう、美咲。」
「んー、おはよう、ソラ。」
俺たちは周りに気を使いながら小さな声で挨拶をした。
言い忘れていたが、俺の名前は「太刀川 空太(たちかわ そらた)」、今年から普通科の高校に通う高校一年生だ。
そして、こちらの女の子は俺の幼馴染で同級生の「吉良 美咲(きら みさき)」だ。美咲も俺と同じ高校に通うことになっている。ちなみに美咲は文武両道で容姿もいい。そのため周りからの人望も厚く、人気者だ。
「今何時?」
美咲はむくりと上半身を起こしながらそう言った。
「朝の5時頃だよ。開店まで2時間ぐらいあるから先にご飯食べようか。」
そう言って俺はあらかじめ持ってきた自分のリュックサックからコンビニで買ったおにぎりとお茶を取り出した。
美咲も自分のバッグから朝食であろうコンビニのパンと飲み物を取り出した。
「それじゃあ、いただきます。」
「いただきます。」
俺たちはそう言って朝ごはんを食べた。いつもより早起きなせいかまだ頭がぼーっとしている。美咲もそのようで、さっきからお互い無言で朝食を食べている。
朝食を終え少し眠気が収まった頃、周りで眠っていた人たちも起きてきたようで、少し騒がしくなってきた。
時刻は午前6時頃、開店まで1時間を切った。
「私、近くの公園で顔洗ってくるからちょっと待ってて。」
美咲はそう言って近くの公園へ駆けて行った。俺はあんまり気にならないので家に帰ってからでもいいやと思っている。
美咲がいなくなって少し寂しい感じもあるが、俺はポケットからスマホを取り出した。ソシャゲのログインボーナスでも貰っておくか。
俺はしばらくスマホをいじっていると、美咲がさっぱりした感じで戻ってきた。
「おかえり。結構さっぱりしたみたいだね。」
「うん。一発で目が覚めた。」
美咲はそう言ってタオルを丁寧に畳んでバッグにしまった。
時刻は午前6時半を切った。開店の時間が近づくにつれて周りが騒がしくなっていく。
「ところで、美咲は高校で部活とかしないの?」
俺は開店までの時間を潰そうと美咲に雑談を持ちかけた。
「いや、特に入る予定はないかな。高校では自分の趣味に没頭したいから。そう言うソラはどうなの?」
「俺も帰宅部かなー?中学で燃え尽きたからなー。」
俺は中学時代はバドミントン部に所属していたが、それでもうやり尽くした感じだ。
「ふーん、そうなんだ。ソラってたまにすごいプレーするから面白かったのに。」
美咲は少し嬉しそうに笑いながらそう言った。
「いやいや、あんなのマグレだって!なかなか思い通りに体が動かないし。」
「マグレなんかじゃないと思うけどな。私は。ソラって他の人よりもなんか体が心に追いついてない感じ?がするのよね。」
「それってどんな感じだよ。」
そんな雑談を繰り返しているとあっという間に時間は過ぎ、時刻は午前7時。開店の時間だ。
美咲と雑談をしていた俺は列が動くのを感じると、荷物をまとめて立ち上がった。
「よし!買ったら早速遊ぼうな。」
「うん。」
俺たちは店の扉へと一歩ずつ進んだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時刻は午前8時頃。俺たちは無事に「ELO」を買うことができ、今はその帰り道だ。
「早く並んだ甲斐があったな。意外と早く買えた。」
「そうだね。とりあえずこの後どうする?」
「身支度とかあるから、10時にゲーム内のどこかで集合で。」
「わかった。それじゃあ、始まりの街の噴水の前で。」
そう言って俺たちはそれぞれの家に向かった。言い忘れていたが、美咲は数少ないβテストの被験者の1人だ。しかも、ある程度の狩場などをすでに把握済みとのこと。まじありがたいっす。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「ただいまー。」
俺は自分家の扉を開け、中へと入る。
「あ、兄ちゃんおかえり。どうだった?ゲーム買えた?」
俺を出迎えてくれたのは3つ下の妹の木葉だ。親は仕事の都合で家にいない時が多い。と言っても3日に一度は家にいるからそんなに顔を見ないわけではない。
「ああ。バッチリ買えたぞー。これから美咲と遊ぶから兄ちゃんはしばらく部屋にこもってるけど、大丈夫か?」
俺がゲームにフルダイブしている間、木葉が寂しくないか心配なのだ。
「大丈夫だよー。これから友達の家に遊びにいくからー。お弁当も作ったから友達と一緒に食べるの。」
そんなことなかったようだ。ちなみに木葉は大体の家事ならこなせる優秀な妹なのだ。とは言っても(兄としての威厳を保つために)基本晩御飯とかは俺が作ってるけどな。
それじゃあ、とりあえずシャワー浴びて、歯磨いてからにするか。
俺は荷物を二階の自分の部屋に置いてから浴室へと向かった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
シャワーを浴び、歯を磨いて準備万端な俺は早速自室に入り、VRマシンにソフトをセットし、マシンを首につけた。そして、ベッドに横になり、マシンのツイッチを押した。どんどん意識が暗くなっていくのを感じながら、俺はそっと目を閉じた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
目を開けると、そこは何もないただ白い空間が広がっているだけだった。おそらくゲーム開始前のチュートリアル的なやつだろう。俺はそう思いながらしばらく待っているとどこからか女性の声が聞こえた。
『ようこそ【ELO】の世界へ。まずはじめにキャラクターメイキングを行ってもらいます。』
なるほど、まずはキャラメイキングか。これもMMORPGの醍醐味の1つだよな。
目の前にパネルが出現し、俺は書いてある文字を読む。
【名前を教えてください】という文字の下に名前を入力するための空欄がある。
名前か………。普通にリアルの名前だとまずいから、『ソラ』でいいや。
俺は空欄をタップし、名前を入力し、【次へ】のボタンをタップした。
『続いて髪型を選択してください。』
そう聞こえると、再びパネルが出現し、そこには髪型のカタログがあった。俺はそれを一通り見て悩んだが、現実の俺の髪は昔から少し癖のあるツンツンヘアーで、サラサラヘアーに多少の憧れを持っていたのかもしれない。
俺はサラッとしたツヤのある短めのストレートヘアーを選んだ。
続いてヘアーカラーだが……。まあ、名前にちなんで青色にしておこう。俺は選択を終えて【次へ】のところをタップした。
『それでは次に顔のパーツの設定をしてください。』
今度は鏡が出現し、各パーツの横には細かく設定できるようにコマンドが表示されていた。
まあ、美形とはいかないが、ブサイクではないと思うのでこのままでいいか。美咲に見られたらなんか言われそうだしな。
俺はそう思い、特に顔の変更はしないで次へ進んだ。
『それでは、キャラクターメイキングを終了します。ELOの世界を楽しんでください。』
どうやらキャラメイキングが終わったらしく、俺は白い光に包まれてその場から消えた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
しばらくして視界がひらけたかと思うと、目の前には中世のヨーロッパのような街並みと多くの人影が映った。どこからか冒険心をくすぐるような軽快なBGMが流れている。
俺はしばらく辺りを見渡してから、メニューを開こうと思った。すると、目の前にパネルが発生し、文字が書かれていく。内容はこうだ。
『メニューを開くには、メニューと口に出してください。』
俺は指示通り声を出した。
「メニュー。」
すると目の前に少し大きめのパネルが出現した。どうやらこれがメニュー画面のようだ。俺はメニュー画面を確認する。
所持金:500G(ゴールド)
アイテムボックス
HP回復薬×5
MP回復薬×5
武器
初心者の剣
装備
頭 無し
体 旅人の服
手 無し
脚 旅人のズボン
靴 無し
アクセ 無し
とまあ、持ち物はこんな感じだ。続いてステータスを確認する。
Lv.1
HP 100
MP 20
筋力 0
耐久0
俊敏 0
魔力 0
運 0
SP残量 50
どうやら初期ステータスは全部0からで50ポイントのSPから振り分けることになっているようだ。
これは慎重に決めた方が良さそうだからβテスターの美咲にでも聞いてからにするか。
時刻は午前10時前、家での身支度とチュートリアルのおかげでちょうど待ち合わせの時間になっていた。
俺は待ち合わせ場所の噴水へと向かった。
噴水へと向かっていると結構の人とすれ違った。と言ってもソフトが発売されて間もないのでほとんどの人が俺と同じ初期装備でたまに少し上の装備をしている人を数人見かける程度だ。
周りの人の観察をしていると、あっという間に噴水に到着した。やっぱり噴水なだけあって他にも待ち合わせをしているらしき人が何人かいた。
俺は違うが、他の人は顔を変えている可能性があるので人探しは苦労しそうだ。実際この中に美咲が混じってるかどうかもわからないし。俺はとりあえず噴水の周りを回ることにした。
少し歩いて、俺が元いた場所の反対側の辺りで後ろから突然声を掛けらてた。
「ソラ……だよね?」
俺は聞き慣れた声に振り向くと、そこには見慣れた顔立ちに見慣れない銀色で少し毛先のはねたミディアムストレート的な髪型の女性が立っていた。プレイヤー名は「キラ」と書いてある。
「もしかして、美咲?全然印象が違くて一瞬わからなかったよ。」
俺は美咲の方へ体を向けなおして苦笑しながらそう言った。改めて見ると、凛とした顔立ちは美咲の顔そのものだ。
「それはこっちのセリフよ。随分派手な頭にしたのね。それにしても名前が安直すぎない?」
美咲は鼻で笑いながらそう言った。
「そう言う美咲だって苗字そのまんまじゃないか。俺より安直なんじゃないのか?」
「私のはそのままでも違和感ないし大丈夫よ。」
美咲はどこか誇らしげにそう言った。
「ていうかこっちの世界ではリアルの名前で呼ばないでね。なんかあったら嫌だし。」
美咲は少し真面目な顔でそう言った。
「わかったよ、キラ。」
いつも下の名前で呼んでいるので多少の違和感を覚えながら俺はそう言った。
「わかればよろしい。」
みさ…キラは悪戯っぽく笑いながらそう言った。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
ゲーム内で無事に会うことができた俺たちは場所を変えて広場のベンチに座っていた。
「それじゃあ、βテスターである私がソラに最も適正なステータスの振り方を伝授してあげるわ。」
「ありがたいっす、先輩。」
今俺はβテスターであるキラにステータスの振り方について教わっているところだ。
「まあ、ステータスは本人の好きなように振ればいいんだけど、ステータスによって戦い方が異なるんだよね。例えるなら、筋力重視でステータスを振れば攻撃メインの前衛として、魔力重視でステータスを上げれば魔法攻撃メインの後衛として戦う感じかな?」
キラは顎に人差し指を添えながらそう言った。美咲が考え込む時の癖だ。
「極振りっていう1つのステータスだけをあげる手もあるんだけど、それだとかなり癖が出るから私は最低でも2つのステータスをバランスよくあげるのがいいと思うかな。」
「なるほど。それじゃあ、まずどういう戦い方をするかから決めた方がいいかな。」
だとしたら、大きく分けて近接型の前衛か遠距離型の後衛に別れるわけだが、俺としては前衛がいいかな。
「あ、私ソラにやってほしいステ振りがあるんだけど。」
キラは何か思い出したかのようにそう言った。
「お、どんなステ振りだ?まさかの運に極振りするとかか?」
俺は冗談半分で笑いながらそう言った。
「いや、俊敏に極振りで。」
なんだ、そっちかー。て
「キラさん。さっき極振りはやめた方がいいって言ってませんでした?」
俺はさっきキラが言ったことを思い出しながらそう言った。
「あ、ごめん。言い方が悪かったね。とりあえず初期のSP50は全部俊敏に降るってことで、そのあとは違うよ。」
キラは慌てて訂正した。
「ちなみに、そのあとはどうするんですか?」
なぜか俺は敬語のままでそう言った。
「そのあとは1レベ上がるごとに5ポイント貰えるから筋力と俊敏に2:3の割合で振ってく感じで。」
すごく危ないステ振りな気がするんだが。
「素早さだけ上げて中途半端な攻撃力で攻撃しても、あんまり意味ないんじゃないの?敵の攻撃全部買わせるわけないし。」
このステ振りだと敵の攻撃をかわしつつ、敵に早い攻撃を繰り出す戦い方になるのだが、万が一敵の攻撃が当たった時がとても怖いんだが。
「大丈夫。ソラなら全部かわせるから。」
キラはなんの躊躇もなく、まるで自分のことのようにそう言った。
「いやいや、大丈夫って。俺はそんな自身全くないんだが。」
体操選手でもない限りそんな器用なことはできそうにない。
「百聞は一見にしかず。とりあえず私を信じてみて。」
その使い方は間違っている気がするのだが、たまに抜けてるとこあるよな。キラがそこまでいうので仕方なく俺は信じることにした。
「わかったよ。とりあえずキラを信じてやって見るけど、もし上手くいかなかったらどうするんだ?」
「そのことは大丈夫。ステータスをリセットするアイテムがあるから。」
そのアイテムは結構後にならないと入手できない気がするのだが。
「じゃあ、俊敏に50ポイント振ってっと。」
俺はあらかじめ開いておいたステータス画面で俊敏に50ポイントを振って、少し気が引けたが決定のボタンを押した。
と言っても体になんの変化もない。
「一応全部振ったけどなんの変化もないんだけど。」
俺はキラに向かってそう言った。
「動いてみればわかるよ。とりあえず走ってみたら?」
キラはそう言って自分のステ振りを始めていた。
俺はその場で踏み込んで走る前の体制になった。そして、思いっきり踏み込んで全力で走った。
すると、俺はは引っ張られるように勢いよく前に進み、しばらく走ったところでバランスを崩して派手に転んだ。
俺が今出した速度は明らかに現実世界の俺より速かった。
俺は立ち上がり服の誇りをはらうと今度はしゃがんで思いっきりジャンプした。すると、俺は勢いよく空中に飛ばされ、自分の身長と同じくらいの高さまでジャンプしていた。
俺は着地した後元いたベンチに戻った。
結論、めっちゃ身軽になってた。
しかも初期ステータスの50ポイントだけでこんなに身軽になっているのだ。もっとレベルが上がればめっちゃやばい気がする。
「どうだった?すごい身軽になってたでしょ。」
自分のステ振りが終わったらしくキラは戻ってきた俺にそう言った。
「ああ、なんか自分の体じゃないって感じだな。」
俺は少し興奮気味でそう言った。
「てかこれ慣れるまでに時間がかかりそうなんだけど。」
走ってバランス崩すくらいなのだ。これで戦うにはかなり危ない気がする。
「まあ、βテストの時他の人が同じことをしてたんだけど、上手く体が使えなくてね、ある程度動けてたんだけど、やっぱり動きに無駄ができてたんだよね。」
キラは苦笑して右手の人差し指でほおをかきながらそう言った。
「それって俺もそうなるんじゃね?不安になってきたんだけど。」
正直前からずっと不安だったのだが、ここで一気に不安が大きくなってきた。
「いや、ソラなら大丈夫よ。むしろソラならこっちの方が戦いやすいと思うから。」
一体この自身はどこから湧いてくるのだろうか。
「とりあえずなんか狩ろうか。装備も整えたいしね。」
相変わらずキラは気にせずにそう言った。
「そうだな。迷ってても仕方ないしとりあえずどんなものか試してみるか。」
俺はそう言ってベンチから立ち上がった。
「その意気その意気。それじゃあ、オススメの狩場に案内するからついて来て。」
キラも立ち上がるとそう言って街の出入り口へと向かった。
キラの俺に対する自信がどこから湧いてくるのかはまだわからないが、あいつが大丈夫って言うとなんだか大丈夫な気がしてくる。
俺はそんなことを思いながら駆け足でキラについて行った。
MMORPGについてはそこまで詳しくないです。
フゥーー(^O^)