不撓不屈の神装突破   作:ハラショー・トリニティ

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決闘に顔突っ込むたぁ生意気な!!

カミナside

 

 

決闘当日。寮から少し離れた演習場に俺とルクス、そしてリーズシャルテがそれぞれ入場する。演習場の数箇所に障壁展開を目的とした機竜が配置に着く。

『各機、障壁展開』

会場のアナウンスが配置に着いた機竜に障壁を展開するよう命令を下す。その直後、会場に機竜による障壁が展開される。

『それでは、新王国第一王女リーズシャルテ様対旧帝国元第七王子ルクス及びカミナの機竜対抗試合をこれより執り行う!』

試合のアナウンスが流れると、観客席から大きい歓声が上がる。隣でルクスが「ちょっと...みんな暇過ぎない?」という呟きがなんとか聞こえるくらいだ。すると前からはっきりとした声で呼びかけられる。その正体は対戦相手のリーズシャルテだ。リーズシャルテは腰に手を当て偉そうに言ってくる。

「ルクス・アーカディア、私が何故お前に勝負を挑んだと思う?」

その質問にルクスはこう答えた。

「...僕が旧帝国の王子だから?」

しかし違ったのか、リーズシャルテは「私に勝ったら教えてやる」と言って俺に目を向ける。

「貴様もよく逃げなかったな?私はてっきり尻尾でも撒いて逃げるかと思ってたぞ?山猿クン?」

リーズシャルテが挑発してきたからこちらも負けじと言い返す。

「そっちこそ、逃げなかったことは褒めてやるぜ、女王気取りのヘッポコ女!」

そしてルクスの方を見るが、ルクスは顔を真っ青にしていた。再びリーズシャルテを見ると、その顔は言葉では表現出来ない形相になっていた。

『両者、準備を!』

準備のアナウンスを合図にお互いに距離をとる。そしてルクスとリーズシャルテが腰のソードデバイスを引き抜き、機竜展開用のパスコードを唱える。

「来たれ、力の象徴たる紋章の翼竜!我が剣に従い飛翔せよ!《ワイバーン》!」

「目覚めろ、開闢の祖。一個にて軍を為す神々の王竜よ。《ティアマト》!」

ルクスは青色の装甲を、リーズシャルテは赤色の装甲を身につけていた。

「なんだ、ただの《ワイバーン》か。ルクス・アーカディア?」

どうやら今ルクスが身につけているのが《ワイバーン》という汎用機竜、つまり量産型らしい。逆にリーズシャルテが身につけているのが《ティアマト》という神装機竜、つまり専用機とのこと。ついでに俺の今の姿はというと...

「...おい貴様、さっさと機竜を展開しろ。それとも何か、今更怖じけづいたのか?」

察しの通り、いつものズボンにマント、そしてサングラスに刀を背負っているだけの普段の格好である。そして刀を抜刀しながら言う。

「おいおいおいおい、誰が怖じけづいただって?俺を誰だと思っていやがる!大グレン団のリーダー、カミナ様だぞ!敵に背中は見せないぜ!」

ルクスが俺に機竜を展開するように呼びかけてくるが、持っていないと答えると、あきらめたようにため息をついた。

 

 

 

 

 

ルクスside

 

 

試合時間の鐘が鳴ったと同時にアナウンスが入る。

『バトル・スタート!』

「踊りは得意か?ルクス・アーカディア、そして山猿!」

すぐさまリーズシャルテ様がライフルをマシンガンモードで撃ってくる。僕はワイバーンの機動性を活かしながら弾丸の雨をくぐり抜ける。カミナさんは刀で自分に当たる弾だけを斬っていた。

「私のダンスは少々荒っぽい。楽しませてくれよ、王子様!」

今度はライフルのチャージショットで狙ってくる。僕はとっさに銃口が向いていないほうに回避するが、《ティアマト》の特殊武装《空挺要塞(レギオン)》の突進を回避したところにチャージショットがとんでくる。

「...っく!」

回避は不可能だと判断し、剣で防御する。なんとか防ぐことに成功したものの、刀身は半ばから折れていた。カミナさんは《空挺要塞》を剣で捌き、チャージショットをバックステップでかわしていた。

「剣捌きだけで私の攻撃をかわすとは...」

「一つお願いがあるんですけど?」

リーズシャルテ様は「何だ?」と言って話しを少し聞いてくれるようだ。

「もしこのまま、引き分けになったらこの件は手打ちにしてくれない?お、お風呂のことは...ゴメン、謝るから」

するとカミナさんが僕の言葉に食いついた。

「何ィ!?ルクスお前そのヘッポコ女の裸を見たのか!?やるなルクス!」

するとリーズシャルテ様は更に怒りを増したようだった。

「なるほど、ただの馬鹿ではないようだな...この大馬鹿者共め!」

やらかした!?僕なんかした!?カミナさんはともかく、僕謝ったじゃん!

「《ティアマト》よ、本性を顕せ!《セブンス・ヘッズ》!」

すると次の瞬間、巨大な砲身が、《ティアマト》の右腕と右肩に連結された。特殊武装を追加したようだった。

「忠告してやる、ルクス・アーカディア。その壊れかけた《ワイバーン》を解除して、もう一本のソードデバイスを使うがいい。山猿クンも、今のうちなら棄権することを許してやってもいいぞ?」

しかし、このソードデバイスは使うわけにはいかないので断る。

「悪いけど、こっちの剣は使うわけにはいかないんだ」

「一度故郷を離れたからにゃあ負けねぇ引かねぇ悔やまねぇ、前しか向かねぇ振り向かねぇ!ねぇねぇ尽くしの男意地!カミナ様がそう簡単に逃げっかよ!」

するとリーズシャルテ様は意を決したように言った。

「ならこの場で果てろ!旧帝国の誇りと男意地と共にな!」

先程より多くの《レギオン》が一斉に襲い掛かってくる。かわしたり折れているが、剣で弾いたりしながらバックに観客席がない上空に逃げる。するとリーズシャルテ様はそれを詠んでいたようで「そこ!」と言って最大出力で撃ってきた。なんとかかわしたが、今の攻撃で障壁が破壊された。

「し、死んじゃうんですけど、僕...」

こんなのまともに喰らったら戦闘不能どころか下手すれば死に至ってしまう。

『障壁再展開!』

アナウンスにより障壁が再展開される。カミナさんは《レギオン》の猛攻を防いでいる。攻撃に出たくても、カミナさんは生身。空中にいるリーズシャルテ様に攻撃ができるはずもない。こちらにも数機の《レギオン》が襲い掛かってくるがその動きは単調でかわすのも簡単だった。多分心の中でこのままでは時間切れで引き分けになってしまうと考えているのだろう。顔に焦りが出てきている。するとリーズシャルテ様は腰のソードデバイスを引き抜いて言った。

「いいだろう。お前の腕に敬意を表して拝ませてやる!我が《ティアマト》の神装をな!」

まさか神装まで使ってくると思っていなかった僕は、一瞬硬直する。

「神の名の下にひれ伏せ!《天声(スプレッシャー)》!」

それと同時に全身に物凄い重力がかかる。重力に耐え切れず、地上に落下した。カミナさんも重力で押しつぶされそうになっている。

「何もたついてやがるカミナ...気合いが足りねぇぞ...!」

いや、気合いでなんとかなるもんじゃ...と思っているとリーズシャルテ様の《セブンス・ヘッズ》の銃口がこちらを向いていた。

「終わりだな!没落王z「俺を誰だと思っていやがるキィーック!」...何!?」

しかしそのリーズシャルテ様の装甲をカミナさんが蹴りつけていた。どうやら刀を地面に突き刺して、その柄を踏み台にしてリーズシャルテ様のところまで飛び上がったようだった。そして今の不意の一撃で集中が途切れたのか、宙を飛んでいた《レギオン》が互いにぶつかり合って落下していく。特殊武装と神装を同時に使い、最後に不意の一撃だ。集中が途切れるのも仕方がない。しかも《ティアマト》が制御不能に陥っている。どうやら暴走しかけているようだ。

「危ない!早く機竜から降りて!」

危険と判断した僕はリーズシャルテ様に降りるように指示をする。

「こんなことで、私が負けるかあぁぁぁ!!」

その叫びと同時に《ティアマト》が制御下に戻った。すると笛の音が聞こえた。カミナさんや観客のみんなは気付いていないようで、どうやら機竜に乗っている僕とリーズシャルテ様だけ聞こえているようだった。次の瞬間、演習場に張られていた障壁が消えた。

 

ギィィィエエエエェェェェェエアアアアアッ!

 

上を見るとガーゴイル型のアビスが障壁を展開していた機竜を破壊していた。既に観客席では《三和音(トライアド)》の三人による避難誘導が始まっていた。アビスが攻撃を飛ばしてくる。その対象はリーズシャルテ様だった。とっさに僕はリーズシャルテ様の前に立ち、《機竜咆哮(ハウリングロア)》で攻撃を相殺する。するとアビスの動きが止まった。どうやらこちらの様子を伺っているようだ。この隙に僕はリーズシャルテ様に作戦を提案する。

「リーズシャルテ様、一つお願いしてもいいですか?」

 

 

 

 

 

アイリside

観客席にノクトと二人でいると、シャリス先輩とティルファー先輩に声をかけられた。

「君達!なんでまだ退避しない!?」

「ノクトも《トライアド》なのに何してんのさ?」

するとノクトが上空を見ながら、「アイリのお兄さんが...」と言った。二人が顔を上に上げると、アビスに対して汎用機竜で戦う兄さんの姿があった。

「上官達が助けに来るまで下手に手出ししない方がいい」とシャリス先輩が言ったのを私は「いいえ」と言って否定した。

「どうやらアビスは一体だけのようですね。なら負けませんよ。それよりも...」

そう言って演習場の下を見ると兄さんとタッグを組んでいたカミナさんが突っ立っていた。

「あいつ...!早くそこから逃げろ!死にたいのか!?」

シャリス先輩が声をかけるがカミナさんは断った。

「嫌だ!俺は逃げねぇ!」

そう言って言うことを聞かなかった。

 

 

 

 

 

リーズシャルテside

 

 

「《ティアマト》はどうにか落ち着いたが...このままじゃ...」

上空では未だにルクスとアビスが戦っている。そしてさっきルクスに言われたことを思い出す。

『リーズシャルテ様、一つお願いしてもいいですか?僕の《ワイバーン》ではあのアビスは破壊出来ません。だから、地上に降りてあなたが敵を狙ってください。攻撃の合図は僕が出します。その合図は、剣を振りかぶった直後です!』

私は《セブンス・ヘッズ》を構えてアビスに狙いを定める。あの折れた剣で何をするつもりか知らんが、《セブンス・ヘッズ》が撃てる余力も、後一撃...

「あてにさせてもらうぞ、没落王子!」

するとルクスがライフルをマシンガンモードで牽制する。アビスはそれを避けてルクスに殴りかかるがルクスもそれを避ける。アビスがルクスの脇を通り抜けこちらに近づいて来る。ルクスがそれを追って剣を振りかぶった時、アビスの全力を挙げた一撃がルクスを襲った。

「そこだぁぁぁ!!」

アビスに出来た一瞬の隙を突いて、《セブンス・ヘッズ》を撃ち込んだ。その一撃はアビスに直撃し、粉砕した。

「守りが堅い者が隙を晒したら、全力をかけて一撃で仕留める。セオリーだな、バケモノ...私も同じだよ」

その直後、少し離れた所にルクスが落下した。私はそれに気付き、《ティアマト》を解除してから救助に向かった。

「おい!大丈夫か!?おい!」

呼びかけても返事がないが一応呼吸はある。どうやら気絶しているようだった。

 

ギィィィエエエエェェェェェエアアアアアッ!

 

先程と同じ咆哮が聞こえ上空を見るとアビスがもう一体いた。どうやら最初から二体いたらしい。しかし、ルクスは気絶して、私も《ティアマト》がもう使えない。どうするか迷っていると、目の前に誰かが立ち塞がった。その正体は一瞬でわかった。

「山猿?何をしている!?さっさと退避しろ!」

しかしカミナは逃げようとせずに刀を抜刀した。

「おうおうおうおうおうおう!人の決闘に顔突っ込むたぁ生意気な野郎だ!だがな、そんな悪行をお天道様が許しても、この俺様が許さねぇ!」

その時だった。カミナの刀が光り輝き、手の平サイズのドリルになったのだ。カミナはそれを天に掲げて言った。

「無茶で無謀と笑われようと、意地が支えの喧嘩道!壁があるなら殴って壊す、道が無ければこの手で創る!心のマグマが炎と燃える!超絶合体!《グレンラガン》!」

するとカミナは頭には兜、そして赤色の装甲を身につけていた。

アビスがカミナに殴りかかるがカミナもアビスに殴りかかる。しかしその手首の部分から二本のドリルが飛び出していた。アビスの拳とカミナの拳がぶつかる瞬間、カミナのドリルによってアビスの腕が粉々に砕かれていく。それは腕だけにおさまらず、ついにはアビスの胴体も粉砕した。アビスは断末魔を挙げて爆発四散した。そこには、傷一つ付いていないカミナの姿があった。

 

 

 

 

 

カミナside

 

 

あの後、ルクスは運ばれて治療を受け、リーズシャルテは汗を流すために風呂に入っていた。俺は治療を受けたルクスの看病をしている。ルクスは今寝ていて、先程からうなされている。どんな夢を見ているのか知らないが、今はあえてそっとしておこう。するといきなりルクスが起き上がった。相当悪い夢でも見てたのだろう、汗をかいている。

「大丈夫か?ルクス」

ルクスはこちらを見て「大丈夫です」と言った。あまりにもひどい汗なのでなんか拭くもん探していると、リーズシャルテが桶に濡れタオルを入れて来た。

「き、傷が痛むのか?」

リーズシャルテの問い掛けにルクスは首を振って否定した。

「あの、看病しに来てくれたんですか?」

するとリーズシャルテは顔を赤く染めて言った。

「い、一応お前には助けられたからな!」

ルクスは謙遜して「いえ、そんな...」と言った。

「全くお前は謙虚なのか傲慢なのかわからん奴だな?旧帝国の王族はみんなそうなのか?」

リーズシャルテが問い掛けると、ルクスは曖昧な返事をした。

「大体どうしてあんなこと...汎用機竜一機でアビスに向かって行くなんて、普通しないぞ?」

「だけど、お前のあの度胸よかったぜ」

ルクスが「ありがとうございます」と言って礼をしてくる。

「まあいい。お前は私を...!私達を守ってくれた。それだけで充分だ」

「サッパリした方ですね?姫様は」

「ああそうだぞ?私は実力あるものには、寛大で鷹揚なお姫様なんだ」

すると二人が声を揃えて「えっ?」という。そして互いに笑い合う。

「よし!私はお前を全面的に信じるぞ?ルクス!そしてカミナ、お前もな!」

「へっ!ありがとよ!リーズシャルテ」

するとルクスが安堵のため息を漏らす。

「お前達に決闘を挑んだ本当の理由を教えないとな」

そう言ってリーズシャルテはまた顔を赤くする。

「あ、あれを見られたからには、そのまま逃がす訳にはいかなかったんだ」

しかし、俺は何も見てないことを言うと、「二人が共犯者って思ってだな」と言った。

「だ、だから...」

ルクスが納得したような声を上げる。

「その、すいません!全部見ちゃって...でも、綺麗でしたよ?」

コイツなんちゅーこと言ってんだ!?見た目に寄らず大胆な野郎だぜ全く...リーズシャルテが羞恥のあまり暴言を吐きながら濡れタオルをルクス目掛け投擲する。

「私が言いたいのは、そ、その、これだ...」

そう言って上着を上げ、パンツを下げると臍の下の部分に変なマークが付いていた。ルクスはそれを見て目を見開いた。

「あの時、風呂場でこれを見られたから...」

「その紋章、もしかして旧帝国の?一体、どうして...?」

旧帝国?ってこたぁこれはまさか!?

「それはまだ教えられない。だけど、この紋章のことは誰にも言わないでくれ。お願いだ」

ルクスはそれに「大丈夫です」と言って答えた。

「誰にも言いませんよ」

「誓えるか?」

「はい、僕のソードデバイスに誓います。カミナさんもいいですよね?」

「当たり前だ!俺を誰だと思っていやがる?」

そういって俺とリーズシャルテは部屋を出ようとする。

「よし!この件は一見落着だ!」

そして部屋を出たところでリーズシャルテがルクスに質問した。

「しかし、頑なにあの黒いソードデバイスを使わなかったな?お前、どうしてだ?」

するとルクスはどう言おうか迷っていた。

「まあ、秘密はお互い様か。明日からお前達には正式にこの学園に来てもらうぞ?」

「ああ、はい...って、お前達?」

ん?なんか気のせいか?ルクスだけじゃなく俺も含まれているような言い方をされたような...

「ああ、学園長の依頼は解約させたからな!士官候補生の生徒として通ってもらう!」

「「えっ?」」

俺だけじゃなくルクスも驚きの声を上げる。どういうことか聞こうとすると、先にリーズシャルテが言った。

「それから、私のことは旧友らしく、リーシャと呼んでくれ♪」

今日一番であろう笑顔でそう言われたのだった。




更新遅れて申し訳ありませんでしたぁぁぁぁ!!
長い間待たせてしまって申し訳ありません!次からはなるべく早く更新しようと思います!ですから、どうぞこれからも応援の程、よろしくお願いします!
感想や評価などドンドンしていって下さい!以上、第二話でした!
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