早乙女研究所 食堂
「なあ。頼む、一夏。お前の力で、なんとかその・・・・・ゲッターの乗組員に混ぜてくれ~!お願い!」
武蔵は束に言われてもなおゲッターのパイロットになることが諦めきれず、食事をしている一夏たちのところにまで上がりこんでいた。
「頼む、一夏!簪!箒!俺を男にしてくれ!」
「私からもお願いします!どうか先輩をパイロットに加えてあげてください!」
蘭も一緒に頭を下げながら頼み込む。
「武蔵、蘭。お前たちの気持ちがわからんでもないがな。ゲッターの操縦は、頭で考えるほど生易しくはないんだ。」
「貴方の運動神経だと無理があると思う。体つきもいいんだし、田舎に帰って別のことをした方がいいよ。」
「そんな・・・」
一夏と簪に言われて武蔵は若干諦めかけたような顔をする。
「そりゃあ、運動神経じゃお前たち二人どころか箒ちゃんにも劣るけどよ。けどよ・・・・・腕力じゃ誰にも負けやしないぜ!!」
「そうそう!見てくださいよ!この武蔵先輩の太い腕を!」
「・・・・・・腕力でゲッターが乗りこなせるんならパイロットがみんな相撲取りになっちゃう。」
「「!?」」
簪にズバリと言われ二人はショックな表情をする。
(きついな・・・・・・)
武蔵はしょんぼりとした表情で落ち込む。
「ムサシ君、何もゲッター、ゲッターって騒ぐことはないわよ。まだ若いんだし、他に楽しいことたくさんあるわ。」
「そうだよ!ムサシさん、元気出しなよ。」
一同に言われて落ち込んでいる武蔵にミチルと元気が慰める。
「ぐす・・・・・ミチルちゃん、元気ちゃんありがとう。」
「ミチルお義姉さんは、慰めるのがうまいな。」
「武蔵、男は諦めが肝心だぞ。」
「バカ野郎!俺はまだあきらめねえ!!」
「「うわあぁ!?」」
武蔵が勢いよくテーブルを叩いたせいで一夏たちの顔に茶碗に入っていたご飯やみそ汁がかかる。簪はうまく回避したが一夏と箒は失敗し、2人の顔はご飯だらけになった。
「五反田を殺った奴らの息の根を止めるまであきらめてたまるかってんだ!!こうなったら、もう一度博士と直々に談判したる!!」
武蔵は決心すると食堂から出て行こうとした直後、警報が鳴りだした。
「うん!?」
「何だこんな時間に警報だなんて・・・・・・・」
『阪神コンビナートで異常事態発生!!ゲッターチーム、出動願います!!』
「何?」
警報を聞くなり、武蔵は驚く。
「メカザウルスだなぁ!?ゲッター行くぜ!!」
「おい、待てこの野郎!」
飛び出そうとする武蔵に一夏は顔にご飯をつけたまま止める。
「おめえは関係ねえんだ!でしゃばるな!」
「一夏さん!そんな言い方は・・・・・・」
「あっははは・・・・・冗談だよ、冗談。」
今までの態度から急変して武蔵はニコッとして一夏の手を降ろす。
「武蔵?」
「先輩?」
「俺は、ゲッターなんて興味なかったんだよ・・・・。ほんじゃ、田舎に帰るね。蘭ちゃんも早く新しい身寄りが見つかるといいな・・・・・・・ばいばい。」
武蔵は荷物をまとめると出て行ってしまった。蘭は、一夏たちを見て半泣きの顔をする。
「皆さんひどいですよ!武蔵先輩にあんな言い方するなんて!!」
「蘭、俺たちは別にそんなつもりじゃ・・・・・・・・」
「もういいです!私も先輩と一緒に帰ります!!それじゃあお元気で!!」
蘭は、手荷物だった鞄を手にすると武蔵の後を追うようにその場から去って行った。
「・・・・・・なんかちょっとかわいそうね、あの二人。」
「ムサシさん、すねちゃったみたい。」
「こうでも言わないと諦めないからな。もう、第二の千冬姉や弾を作りたくないんだ。せっかく親しくなった奴を・・・・・。」
「・・・・・あれも一夏なりの優しさなんだ。ん?っという事は私がベアー号を?」
「ベアー号のパイロットはクロエさんがやるそうだから。箒はいつも通り一夏のサポートに回って。この間も博士が褒めていたし。」
三人はそう言いながら更衣室に行く。
そして、蘭は、武蔵を追いかけていた。
「先輩!待ってくださいよ!」
武蔵は、自分のことを追ってきた蘭を見るや驚く。
「蘭ちゃん!?なんで俺を追って・・・・・・・・」
「先輩は諦めるんですか!?」
「えっ?」
「先輩言ってたじゃないですか!男は一度決めたことは最後までやり遂げるって!家のお兄ぃや私に言ってたじゃないですか!それなのに諦めるんですか!?」
「・・・・・・・・」
蘭の言葉に武蔵は黙り込む。
「私、そう言って前を向いて全力を尽くしていた先輩に憧れていました!だから、ここで諦めないでください!!」
「蘭ちゃん・・・・・・そうだな、確かに俺は一度やりたいと思ったことは諦めたことがねえ!こうなったら意地でもゲッターに乗り込んでやる!!」
「そこで作戦なんですけど・・・・・・」
二人は廊下でひそひそと話をする。少しするとパイロットスーツに着替えたクロエが走ってきた。
「ん?お二人ともお帰りになるのですか?」
「はい。クロエさん、博士に伝えておいてください。僕、もうゲッターに乗るの諦めました・・・・。どうも短い間、お世話さまでしたと。」
「そうですか・・・・諦めましたか。残念ですね、貴方ならゲッターをうまく乗りこなせると思っていましたが。」
「いえ、いいんですよ。僕にはやっぱり才能がなかったんです。」
少し残念そうにするクロエに武蔵たちはにこやかな顔で答える。
「ところで・・・・・・・今後の私たちの身の振り方を人生の先輩であるクロエさんに相談に乗ってもらいたいんです・・・・・。」
「えっ?み、身の振り方・・・・・ですか?」
蘭の言葉にクロエはキョトンとする。
「忙しいのはわかっているんですけど手間は取らせません。どうぞ、こっちへ・・・・・」
「えっ!?」
「さあさあ・・・・こっちへ。」
2人の言われるままにクロエは近くにあった男性用の更衣室へと誘導される。
『そうですか・・・・・・・うんうん・・・・・・あなた方が望むのならそう言うのも悪くないと思いますよ。』
『そうですか?あっははは・・・・・』
少しするとクロエ?と何故かパイロットスーツに着替えた武蔵が出てきた。
「では、蘭さん。ムサシさんをお借りしますよ。」
「あぁ、忙しい忙しい!」
更衣室に向かって言うと二人はゲットマシン格納庫へと走っていく。
ゲットマシン格納庫ではすでに一夏たちが搭乗して待機していた。
「クロエさん、ずいぶん遅かったじゃないですか?」
「えぇ、束様から少しお話があって・・・・・・・」
「あれ?どうして巴を一緒に連れてきているんだ?」
「束様から言うには最後のチャンスだそうです。私と一緒に搭乗して操縦感覚を掴んだ後に最終テストをしてよければ候補生にとどめるとか。」
「へえ・・・・・・博士も意外に甘いんですね。(なんか喋り方がぎごちないように感じるけど・・・・・・)」
「っというわけだ諸君、また少しの間付き合わせてもらうぜ。」
そう言うとクロエ?は、武蔵と共にベアー号に乗り込む。
「よし!箒、各機器異常ないな?」
「全機器、異常なし!いつでもいけるぞ!」
「イーグル号、発進準備完了!発進する!」
「同じくジャガー号、発進!!」
研究所の射出口から二機のゲットマシンが勢いよく発進する。
「ん?」
「どうしたんだ一夏?・・・・・・あれ?」
一夏と箒が研究所の方を見るといつもと違ってベアー号がかなり遅れて発進してきた。
「どうしたんですか?クロエさん。遅れていますよ。」
「大丈夫!大丈夫です!!」
「?」
いつものクロエらしくない態度に一夏は違和感を覚えたものの三機は急いで阪神コンビナートへと急行した。
阪神コンビナート
「ゲエェェェェェエエアアア!!」
コンビナートの方では、メカザウルス ゲラが暴れ放題だった。消火活動に来た消防隊も満足に消火活動ができず、辺りは火の海に包まれていた。
そして、その透明ボディに入っているクラゲ本体は既にボディ一杯になっていた。
そのコンビナートへゲットマシンは到着した。
「見ろ、一夏。メカザウルスだ!!」
「あぁ・・・・これ以上奴らに好きにはさせねえ・・・・・・ゲッター1で叩きのめしてやる!!」
『待って。ここはゲッター2でやる。』
ゲッター1で攻めようとした一夏に簪が反発する。
「ばか言え!ゲッター1の方が炎の中では戦いやすいんだ!」
『地上ならゲッター2の方がいい。』
「だが、ゲッター2の装甲であの炎を耐えられるのか?」
三人の意見でどれに合体するのか迷う。
「仕方ない。ここはクロエさんに聞こう。クロエさん、合体指示をお願いします。」
しかし、クロエは何とも答えない。
「クロエさん!」
『う、うんん・・・・・・』
『早くしてください、クロエさん。こっちは早く敵を倒したくてウズウズしているんですから。』
『う・・・・・・う・・・・・・・』
クロエ?は一瞬戸惑っていたがすぐさま答える。
『ゲッター3で行きま~す!!!』
『「「!?」」』
クロエ?の声が明らかに変だと感じた三人は思わず顔を驚愕させる。
「ゲッ!?そ、その声は!?」
「まさか!?」
『・・・・・五反田さん?』
『ワハハ!諸君、敵は目の前だ!さあ、気張ってチェンジと行こうか!!』
操縦席を交代して武蔵は操縦席に乗り込む。
「何言ってやがる!武蔵、蘭!クロエさんはどうした!?」
『ははは・・・・・・えっと・・・・実は私たちが帰ろうとしたときクロエさんが体調崩して倒れちゃって・・・・』
『それと博士も子供の子守りで動けないからベアー号の操縦を頼まれてね。俺は未熟者だから、いやだって断ったんだけどよ。博士が蘭ちゃんと一緒にどうしてもって言うからさ・・・はっはははは・・・・・』
「「嘘つけっ!!」」
『『ひっ!』』
一夏と箒の両方に画面越しから怒鳴られ、武蔵と蘭はビビる。
その直後、ゲラが爆発した。
『一夏、メカザウルスが爆発したわ!?』
「何!?本当か!?」
一夏は武蔵たちが映っている画面をグリグリしながら外を見る。
しかし、そこにはボディが巨大なクラゲになったゲラが三機に向かって襲い掛かってきていた。
「な、なんなんだアイツは!?まるで体が巨大なクラゲになっているぞ!?」
「武蔵!操縦桿から手を放せ!」
『はいっ!?』
一夏に怒鳴られて武蔵は操縦桿から手を放す。
「簪、ベアー号を自動操縦にして誘導するんだ!」
『分かった!』
簪はジャガー号の誘導電波でベアー号を後部に寄せ、合体させる。
「よし、行くぜ!チェーンジ、ゲッターワンッ!!」
イーグル号を頭部に変形させて合体させるとゲラの目の前にゲッター1が姿を現した。
「よし!行くぜ!クラゲの化け物!!ゲッターキック!!」
ゲッター1は勢いよくジャンプをしてゲラの頭部に強烈なキックをお見舞いする。
「グワァァァアア!!」
「その体をバラバラにして中華クラゲの具材にしてやるぜ!!」
ゲッター1は両腕で頭部をへこませるとすかさずゲッタートマホークを展開する。
「ゲッタートマホォーク!!」
ゲッタートマホークはゲラの頭部を素早く斬り飛ばした。
『やった――――――――!!』
『わはは!見たか!ゲッターの力を!!』
『二人とも、まだ喜ぶのが早いわ!一夏、一気にクラゲを蹴散らして!!』
簪が言うのは尤もだった。確かにゲラは頭部を失ったが本体と思われるクラゲ自体は無傷のままだった。
「言われるまでもねえ!!ゲッタービィィイーム!!」
ゲッター1の腹部からゲッタービームが発射される。
しかし、ゲラに直撃した直後、凄まじいエネルギーがゲッター1を襲った。
「うわああぁぁぁぁああ!?」
ゲッター1は後ろへと転ぶ。
「だ、大丈夫か?箒?」
「私は大丈夫だ。しかし、一体なんなんだあの光は!?」
『私が見た限り、ゲッタービームを跳ね返したように見えたけど・・・・・』
「いや、跳ね返したというより体全体で受け止めて放射したんだ。」
『一夏さん・・・・一夏さん、聞こえますか?』
通信機が反応し、箒が操作して画面を切り替える。
「クロエさん!」
『いけねえ、クロエさんだ!』
『もう気がついちゃったのね・・・』
『あのクラゲにもう一度ゲッタービームを撃ってみてください。』
「しかし、一体どうして・・・・・・」
『いいから、撃ってみてください。』
クロエに言われて一夏はもう一度ゲラに向かってゲッタービームを撃ってみる。
「ゲッタ―――――ビィイ―――――――ムッ!!!」
ゲラは吹き飛ぶどころかむしろ大きくなっているように見えた。
研究所の方でクロエは束と共に苦虫を噛み潰したような顔をする。
「束様・・・・・・」
「やっぱりね・・・・」
『クロエさん、どうするんだ?』
『ゲッタービームがまるで通用しない。どうすればいいんだ?』
『だったらゲッター2で・・・・・』
しかし、束の口から出たのは一夏たちが予想もしなかった言葉だった。
「攻撃中止!すぐに奴から離れて!手を出しちゃダメだよ!!」
『『『『『!?』』』』』
束から突如出た攻撃中止。
ゲラに対してゲッターチームは打開策を考えるもののすべての攻撃が通用しなかった・・・・・
その間にも人や物を取り込んで無限に成長していくゲラを見て一夏はある秘策を思いつく!
ゲラを倒す秘策とは!?
次回、インフィニット・ゲッターロボ
「生か死か!?一か八かの大勝負!!」