阪神コンビナート 住宅街
「「「うわあぁぁあああ!?」」」
侵攻を続けるメカザウルス ゲラに対して住宅街はパニック状態へ陥っていた。頭部を失い、体のみとなったクラゲの怪物はそこの住民を見境なく触手に取り込み、溶かして自分の栄養源としてその体を徐々に大きくしていく。
「何故だ束さん!?」
その様子をゲッター1のコックピットから見ている一夏は束の命令に驚愕しながらも聞いた。それはサブパイロットの箒も同意見だった。
「どうしてなんだ姉さん?今、目の前で次々と街の人たちがあの怪物に喰われているんだぞ!」
『博士、訳を聞かせてください。』
簪の言葉に束はいつもの飄々とした態度をとる様子はなく、返答する。
『・・・・・ダメなんだよ。今回ばかりはゲッターロボで戦える相手じゃない・・・・・いや、地球上のあらゆる兵器をもってしても奴を倒すことはできないんだよ・・・・・・・・』
『お姉さん・・・・・』
『ママ?』
束の近くにいるミチルとミユキが心配そうに見ている。
「何故なんだ!?まだ戦ってもいないのにどうして勝ち目がないって言えるんだ!?」
「姉さん、姉さんは言ってたじゃないか?『私にできないことは可能にする!』って。何時もの姉さんらしくないぞ。」
『・・・・・・いっくん。箒ちゃん。あのクラゲの化け物をよく見て。さっきよりも大きくなったとは思わない?』
「「えっ?」」
一夏と箒はゲラをもう一度見て見る。確かにトマホークで頭部を切断した時と比べて見ると明らかに巨大化していた。
「そう言えば最初に見た時よりも明らかにデカくなって・・・・・・!?ま、まさか!?」
『私が言いたいことが分かった?』
「そんな・・・・・そんなことが!?」
『どうしたの一夏!?』
束との会話で何かを悟った一夏に簪は聞く。
「・・・・・こいつは・・・・・こいつは人間を取り込んでエネルギーに変えてどんどん大きくなっているんだ!!」
早乙女研究所
「人間だけじゃないよ・・・・ゲッター線は愚か、核エネルギーだろうが何だろうがあらゆるものをエネルギーに変換して自分のものにしちゃうんだよ。」
束はミユキを抱きしめながら怯えるように言った。
「束さんが小学生の頃、ちーちゃんと一緒にテレビでアメリカの光を高エネルギーに変換する超高速ロケットの研究実験の話を見たことがある。その時の映像も奴と同じく青白い光を放っていた・・・・・・奴が青白い光を発した時もしやと思ったけど・・・・まさにその通りだよ・・・・・。」
『それじゃあ・・・・・・ゲッターのあらゆる攻撃も奴にとっては単なる食事にしかならないのか?』
「・・・・うん。」
『でも、博士。このまま攻撃しないで奴を放置すれば・・・・・・』
「おそらくあのクラゲの化け物はエネルギーの供給源・・・・・つまり、私たち人間は愚か生物・物質がなくなるまで大きくなり続けるだろうね・・・・そして、その途方もなく大きくなった体はやがて日本、いや、世界までも包み込むことになっちゃう!」
マシーンランド 恐竜帝国
「フハッハッハッハッハッハッハッ!!見たか!愚かなるサル共め!!」
一方、マシーンランド 恐竜帝国ではゴールがゲラの暴れっぷりに爆笑していた。
「フッフフフ・・・・おぬしらが抵抗すればするほど、己の首を絞めるわ、ワッハハハハハ!!」
笑うゴールの隣では満足そうな顔をしているガリレイといまいち納得できないような顔をした幹部であるバット将軍がいる。
「フッフフ、我々は見ているだけで、地上の人間どもは消滅されて行きます。貴君が放った者共は無駄だったようですな、バット将軍。」
「・・・・・フン!」
冷やかすように言うガリレイに対してバット将軍は不満そうにそっぽを向いた。
「ハッハッハッハッ・・・・・・バット将軍。そうがっかりするな。あの兵共は呼び戻せばよい。クッククク・・・・・気持ちが良いぞ。こんな気分は初めてじゃ。まさに、見世物としては最高の代物じゃ!ハッハッハッハッハッハッ!ハ~ハッハッハッハッ~!!」
阪神コンビナート
「トマホォオク、ブーメランン!!!」
ゲラを何とかしようと一夏はゲッタートマホークをゲラに向かって投げる。しかし、頭部を切断するほどの切れ味を持ったゲッタートマホークでもゲラの体内に入った瞬間、みるみる内に溶かされていった。
「ダメだぁ・・・・・・・トマホークも溶かされてしまった・・・・・」
「科学的な武器もダメ。トマホークのような原始的な武器も役に立たねえ・・・・いったいどう戦えばいいんだ?」
一夏は悔しそうな顔でゲラを睨みつける。
『うぅ・・・・・私たちをあざ笑うかのようにエネルギーを放出しているよ。』
簪の言う通りゲラは有り余るエネルギーを放出しながら捕食を続けていた。
「・・・・・・ん?なあ、一夏、奴は確かあらゆるものを取り込んでエネルギーに変えるんだよな?」
「ど、どうした箒?急にわかっていることを聞くなんて。」
「おかしいとは思わないか?熊とかリスとかの動物は冬を越すために冬眠する前に余分な栄養を自分の体に貯めこむだろ?あのクラゲの化け物も自分の体を大きくするためにエネルギーが必要だ。それなのにどうして自分の体に蓄えないで放出しちゃうんだ?」
「い、言われてみれば・・・・・・・」
箒の何気ない疑問に一夏も納得する。その疑問に答えるかのように通信で束が答える。
『その答えがわかったよ!今計算してみたんだけど奴は一定時間ごとに成長しているんだよ!』
「っという事は・・・・・」
『奴の細胞は一定の規則をもって分裂・増殖しているという事なんだよ。つまり、大量のエネルギーを与えたとしてもそのエネルギーの分成長するわけじゃないんだ。だから、余分なものはあぁして空中に放出しているんだろうね・・・・・・まあ、分かったところで奴は確実に成長して少なくともあと60時間も経てば東京を覆いつくして終いには・・・・・・・』
「いや、待ってくれ束さん!」
『ん?』
「確かあの化け物の細胞は一定のエネルギーを受けて規則通り成長して余分なものは放出するんだよな?」
『そうだけど・・・・・・・・』
「じゃあ、奴の体の中でその一定以上のエネルギーを与え続けたらどうなるんだ?」
『う~ん~、実例はないけどSF映画とかを考えれば細胞分裂の活動に乱れが生じて、そこから分解・崩壊して行くかもしれ・・・・・ん!?まさか、いっくん!』
一夏が何を考えたのか見抜いたのか束は表情を変える。
「あぁ・・・・こうなった以上、ゲッターで奴の体内に飛び込んで一定以上のエネルギーを放出するしかない。奴が参るかゲッターが参るか。幸いエネルギーも十分ある。」
『や、やめていっくん!そ、そんなことをしていっくんの身に何か起こったらちーちゃんに会わせる顔がないよ!?それ以前にそんな攻撃でゲッターが勝てる確率なんて極めて0%に近いよ!!』
「ここまで来たらもう確率の問題じゃありません。このまま黙って見ていても日本は終わりなんだ。それに何かすれば地獄に行ったとき閻魔様に言い訳しやすいし、運が良ければ千冬姉や弾にも会えるかもしれねえ。」
『面白いジョークを言うね、一夏。私も閻魔様の顔でも拝ませてもらうかな。』
笑えないジョークでありながら簪は笑いながら言う。
「悪いな箒。お前まで一緒に行くことになるなんて。」
「フッフフ・・・・・これも私とお前の縁なのかもしれないな。でも、一夏が一緒なら怖くない。」
「ハハッハッハ・・・・・」
2人で笑い合うと今度はモニター越しで武蔵と蘭を見る。
「武蔵、蘭。お前たちも運が悪いな。テキトーな嘘をついて乗り込んだのが運の尽きだな。」
『はっはは・・・・いいんだよ。どうせ俺死ぬ気で乗ったんだから。』
「まあ、お前なら死んでも日本の損失にはならないから俺たちも気が楽だよ。」
『言いたいこというね~。畜生。』
「俺にしては蘭を巻き込んだことが許せないけどな。あの世で弾になんて言い訳すればいいのやら・・・・・・・・」
『私も後悔してないから大丈夫ですよ・・・・・グスッ。』
一通りの会話を済ませるとゲッター1はゲラに向かって走り出した。
「ゲッタァア――――――――ウィング!!」
ゲッター1の背部からマントが展開され、勢いよくジャンプしてゲラの真上に飛び立つ。
「うぉぉぉおおおおお!!行くぜ、クラゲ野郎!貴様がゲッターをエネルギーに変えちまうのが先かゲッターが貴様を吹っ飛ばすのが先か勝負だぁ!!!」
ゲッター1は、マントで全身を包み込みゲラに向かって真っ逆さまに飛び込んで行く。
「いっくん!!」
「な、何ッ!?バカな!?奴等、気でも狂ったのか!?」
それぞれの陣営が驚愕の声を挙げる中、ゲッター1はゲラの体内へと突入した。
『「「『『うわああぁぁぁああああ!?』』」」』
ゲッターのコックピットの中で想像をも絶する衝撃が走る。
『一夏!全エネルギーを放出して!!』
「放出はしているんだ・・・・・してはいるが奴のエネルギーの方が強いんだ!!」
『ビームを発射して!!』
「ビームの・・・・・ビームのスイッチは・・・・・・」
意識が今にも消えそうな中、ゲラの中ではゲラとゲッターの熾烈な戦いが繰り広げられる。
その様子を研究所で心配そうに見る束達。
「お姉さん、ゲッターが溶け始めたわ。」
「ああまでしてあの程度しか溶けないならまだいい方だよ・・・・・・でも、その前にいっくんたちが持たない・・・・・」
束の言う通り一夏の意識は既に朦朧としていた。
「ほ・・・・・箒・・・・・・・ビームのスイッチは・・・・・・・・・・」
「す、すぐそこに・・・・・・・・ダメだ・・・・・私も意識が・・・・・・・・」
箒は意識が消えかける中どうにかゲッタービームの発射スイッチを押す。するとゲッター1の腹部からゲッタービーム砲が展開し、ゲラの体内の中で放出が開始される。
ゲラは一定の基準に戻そうとエネルギーを放出し続けるが体内からの放出のため間に合わず、水風船のように体が膨らんでいく。そして、限界が訪れたのか頭部跡から水しぶきのように体液が溢れ出す。
「何!?」
ゴールが驚いている中、ゲラの体が徐々に崩壊し始める。そしてそこからゲッター1が姿を現す。
「勝ったぁ!勝ったんだ!ゲッターのエネルギーが勝ったんだ!奴の体をバラバラにしたんだ!!」
しかし、喜んだのも束の間。ゲラの足がゲッター1に襲い掛かろうとしていた。
「束姉ちゃん大変だ!まだ足が生きている!」
「ぬわにぃッ!?いっくん早く逃げて!」
しかし一夏からの返事が全く返ってこない。
「大変だ!?エネルギー放出には勝ったけど皆のびちゃってる!!」
もはや止めようがない。
「うぉおおおお!!!」
その直後ゲッター1の足が動きゲラの触手を踏み潰した。
「「「えっ!?」」」
その光景を見ていた束達は思わず唖然とした。
「わははは!!わいじゃ!」
モニターで確認をするとボロボロになった武蔵の姿が写った。そして、何故かその後ろにいる蘭もボロボロでありながらピンピンしていた。
「わははははは!丈夫で長持ちのムサシさんはこの通りまだまだピンピンしとりまっせ!!」
「さあ、先輩!あのクラゲにとどめを刺しちゃってください!!」
「おうよ!こんなろ!こんなろ!!」
とどめと言わんばかりに武蔵はゲッター1でゲラの触手を踏みつける。
そして、その様子を遠くで眺めている者が。
「ものの見事にやられたな。」
「フフフ・・・・・でもいいじゃねえか。これで俺たちが手柄を上げられるチャンスができたんだしよ。」
「そうだな、いよいよ俺たちの出番だ。」
その者たちはハチュウ人類にしてはかなり異形な者たちだった。
「相手がゲッターなら不足はねえ。」
翌日の早乙女研究所 医務室
「ははは!しかし、めでたいな。命は助かるしよ。」
一夏たちはベッドで寝かされながら言う。
「今度は姉さんも巴の力を認め始めているな。」
「お前らも博士からその話が出たら推薦せにゃあならんよ。なんせ俺と蘭ちゃんは命の恩人じゃけんね。」
武蔵は笑いながら言う。その隣で椅子に座っている蘭も満足そうだった。
「しかし、2人ともあの衝撃の中でよく気を失わなかったな。」
「体のつくりがお前たちと違うのよ!!ハッハハハ!!」
「蘭はともかく、武蔵は体のつくりよりも頭のつくりが違うんじゃねえのか?」
「頭?」
「つまり、鈍感ってやつ。」
「あた!?」
三人に言われて武蔵はひっくり返る。
「・・・・・フッ、まあいい。言いたいことほざきなさい。今にわかる時が来る。」
武蔵は立ち上がりながら言う。
「そうさ。僕が本格的にゲッターに乗って合体した時こそ、僕の本当の力がわかる!!それまで君たちの屈辱的な言葉を甘んじて受けようではないか!!!ワッハハハハハ!!!」
武蔵は大笑いしながら言う。その姿を見て蘭も少し嬉しそうだった。
「よかったですね。先輩。」
「ガンガン、ガン!!若い力が真っ赤に燃え~て~」
その様子を研究所の外から何者かが聞いているとも知らずに。
「行くか。」
「ケッケケケケ・・・・奴らの命もこれま・・・・・」
ゲッターゲッター!!
「・・・・・・なんかうぜえな。」
「あぁ。確かにうざい歌だ(汗)。」
メカザウルス ゲラを倒し晴れてゲッターチームに加わった武蔵。
だが、その束の間恐竜帝国からの刺客「地リュウ一族」がゲッターロボを破壊せんと早乙女研究所を狙う。
爬虫類野郎どもめ、これ以上好き勝手にされてたまるかってんだ!!
次回、インフィニット・ゲッターロボ
「刺客 地リュウ一族」
さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!