200X年
篠ノ之束は宇宙空間での活動を想定し、開発されたマルチフォーム・スーツ、「IS」正式名称『インフィニット・ストラトス』を学会で発表。その一月後、第一世代型IS「白騎士」が日本に向けて発射された2341発以上のミサイルを撃墜するという驚異的な性能を披露する。
本来の歴史ではここでISは兵器としての価値を見出され、社会は女尊男卑へと移り変わるはずだった。
だが、事件終結間もなくして、篠ノ之束は突然、謎の自殺を遂げた。ISに関してのデータを全て抹消した上に全てが謎に満ちていた。。
既存の兵器全てを上回る超兵器になりえると考えられたISは闇に葬られた。
そして、10年後
とある空手道場
「オラオラ!もうこんなもんか!?」
一人の少年が道場で多数の相手を捻じ伏せていた。
「この野郎!!」
一人の大柄な男が少年の顔に向かって思いっきり殴りつける。
「ハッハハハ!どうだ?たった一人のくせに道場破りになんて来るから・・・・・何!?」
大柄な男は、自分に殴られても全く動じない少年の反応を見て驚く。少年は、男の腕を掴むと曲げて関節を固定させる。
「いでででででで!!!」
「どうしたよ?もう泣きわめいてやがんのか?こんなんでよく空手なんかやっていられるもんだな?」
少年はニヤリと笑いながら言う。
「わ、わ、わ、悪かった!俺が悪かったから手を離してくれ!」
「手を離してくれだぁ!?」
少年は腕に力を入れて関節を外そうとする。
「だ、だだぁ!?」
「今更許してくれだぁ!?ふざけるんじゃねぇ!!てめえら遊びで空手やっていやがったのか!恥を知りやがれ!」
少年は男を思いっきり蹴り飛ばす。男は道場の壁に激突し、それを見て他の門弟は恐怖に震える。
「へっ!つまんねえな!これが空手だって!?生温いぜ!これじゃあ、ダンスだ!!・・・・・おい、次俺を相手にする奴はいねえのか?」
少年は、周りを見て言う。無論、答える者はいない。
「なあんだ、全員で飛び掛かってくればいいのによ・・・・・・肝っ玉のちいせえ奴らだな・・・・・」
「一夏!!」
「あぁ?」
少年は後ろを振り向く。そこにはポニーテールの同じぐらいの年の少女が息を切らせながら入ってきた。
「なんだ、箒じゃねえか。」
一夏と呼ばれた少年は、鼻から出ている血を手で拭いながら言う。そんな一夏に対して、箒はさっさとハンカチを取り出して鼻血をふき取る。
「なんだ、じゃないだろ!あれほど道場破りとかするなって言ったのに!!」
「それはお前が勝手に決めた約束だろ?俺が知ったこっちゃねえ。」
「とにかく!道場の人に謝れ!勝手に上がってきたうえにこんなに暴れて・・・・・・・・もう、何でいっつもこんなことしかしないんだぁ・・・・・うぅ・・・・いつもいつも・・・・・・・」
箒は泣き始める。
「お、おい!?な、泣くなよ!?」
「だって・・・何回言ってもやめないし、学校ではいつも無視するし!家では構ってくれるのになんで私のことを見てくれないんだあぁ!!私のこと嫌いなんだろ!!そうなんだろ!?わあぁぁ~!!!」
「なんで急にそんな話になるんだよ!?・・・・・っておい、てめえら!そんな哀れそうな目で俺たちを見るんじゃねえ!!」
泣いている箒を泣き止ませようとする一夏は慌てて彼女を引っ張りながら道場から逃げるように出て行った。
「ほら、もう泣くなよ。俺が悪かったからさ。なあ?もう、やらねえからよ・・・・・・泣き止んでくれよ・・・・・」
「うぅ・・・・・」
一夏は、箒に語り掛けながら歩いて行く。その様子を何者かが付けて観察しているというのに気付かないまま。
『・・・・・・・目標を確認しました。』
???
『候補者・織斑一夏。
年齢16歳。血液型A型。
幼少期、唯一の血縁者である姉に続いて剣道を学び、篠ノ之箒とは幼馴染の関係。200X年に起きた白騎士事件後に姉は事故死。その後、篠ノ之家に引き取られ、以降は居候。
姉との死別後、空手も始め、数年で段位を習得、それだけではなく剣道も怠らずにたしなんでいるため、篠ノ之家道場では稽古をつけることもたまにある模様。
しかし、それとは別に性格がかなり好戦的で道場破りをしに行くなど問題点が多く、かつて中学生の3年の全国大会で対戦相手を大怪我させるという事件を起こしています。これ以降は部活には入らず、現在通っている藍越学園では帰宅部状態。
しかし、篠ノ之箒とその家族といるときは、昔のように接しているようです。』
「はいはい。報告お疲れ様。じゃあ、今夜早速仕掛けて。」
『しかし、よろしいのですか?死んでしまっては・・・・』
「大丈夫大丈夫。こんなことで死ぬようないっくんじゃないから。」
『はあ・・・』
「じゃあ、私もそっちに行くから。」
『博士自らがですか?』
「うん、十年ぶりに妹の顔が見たくなったしね。」
『分かりました。』
暗い部屋で通信を終えると女性は、部屋から出て、格納庫へ行く。
「私の目に狂いがなかったらいっくんがこれに乗ることになるのか・・・・・」
目の前には赤いボディーカラーの鬼のような二本角を持ったロボットの上半身がぶら下がれていた。
「ゴメンね、ちーちゃん。私はいっくんもこの件に巻き込ませることになっちゃったよ・・・・・・でも、どうしても必要なんだよ。十年前、ちーちゃんを殺した奴らを倒すために・・・・・・・」
女性は一枚の写真を見ながらつぶやいた。そこへ黒ずくめの男二人が来る。
「早乙女 束博士、準備が整いました。」
「うん、じゃあ、行こうかな。十年ぶりの実家へ。」
篠ノ之家
「・・・・・・」
一夏は胡坐をかいて目の前にある仏壇を見ていた。
「一夏、夕飯ができたぞ。今日は父さんと母さんは、結婚記念日で家には私たち二人・・・・・また、千冬さんを見ていたのか。」
箒は、一夏の隣に座る。
「千冬姉は、『天才』って呼ばれていた。俺みたいな中途半端な奴じゃなくて勉強もスポーツも何でもできて俺にとっては憧れの存在だった・・・・・・・なのに・・・・あの事件が起きた日から帰ってこなくなって、届いたのは死亡届だけだった。」
「・・・・・一夏。」
「俺はどうしても知りたかった。千冬姉がどうして死んだのか?どうして、遺体すらなかったのか。だから、俺は千冬姉の遺品の中から手がかりになるものを探した・・・・・それで犯人が分かった!」
一夏は拳を強く握りしめ始める。
「千冬姉の日記帳に消える数日前の日に束と接触してあることを計画していたことが分かった!それがあの白騎士事件だった!!そして、千冬姉が白騎士だった!」
力が強くなってきているせいか一夏の拳から血が流れ始める。
「あの日のニュースに白騎士が落ちたとか搭乗者が死んだとかそんな知らせはなかった!!真実を知ろうにも束の奴は証拠を全部消して死にやがった!!アイツが千冬姉を殺しやがったんだ!!」
一夏は悔し涙を流し始める。
「アイツが!アイツが!!」
「一夏、姉さんのことは・・・・・」
「俺はアイツが憎たらしい!!千冬姉を奪って!証拠も残さず死んで逃げて行ったアイツのことが!!」
「もういいからやめてくれ!!」
箒は彼を抱きしめながら叫ぶ。
「姉さんはもういないんだ・・・・・・・・それに何をやっても千冬さんは帰ってこない・・・・・だから・・・・もう、そんなことを言わないでくれ・・・・・」
「ほ、箒・・・・・」
「私は、優しい一夏が好きだ・・・・もう、これ以上・・・・・・これ以上・・・・怖い一夏にならないでくれ・・・・・・」
箒は泣き始めた。一夏は頭が冷えたのか箒の背中をさすりながら落ち着かせようとする。
「俺が悪かった・・・・・・辛いことを思い出させちまったな・・・・・・箒は束・・さんと仲が良かったから、死んだときショックだったもんだよな・・・・・・・悪い。」
一夏は、箒が落ち着くまで抱きしめていた。しばらくすると箒は少し顔を赤くして一夏と顔を見合わせる。
「は、恥ずかしいところを見せてしまったな・・・・・」
「き、気にすんな!俺たちの仲だからな!?そんな細けえことは気にしなくていいんだよっ!」
「そ、そうだな!?もう、夕飯にしよう!」
二人はさっさと部屋を出る。
そのとき丁度玄関からチャイムが鳴った。
「あれ?父さんたちが帰ってくるのにはまだ早いはずなんだが。」
箒は玄関へと向かい戸を開ける。
外には小柄の男と飾りなのか刀を腰に付けた和服の男が立っていた。箒は一瞬、一夏にやられた被害者なのではと思った。
「あの・・・・こんな遅くに家へ何の用に・・・・・」
「逃げろ箒!!」
一夏が叫んだ直後、小柄な男が懐からナイフを無数に取り出し、箒に向かって投げて来た。
「きゃあぁぁぁ!?」
箒は一歩早く姿勢を低くしたため、ナイフを回避することはできた。しかし、引き続いて和服の男が刀を引き抜いて、箒に斬りかかってくる。
「箒!」
一夏は箒を引っ張り上げ、攻撃を回避させる。
「家の中じゃ不味い!」
一夏は箒を抱いたまま窓から飛び出し、外へと逃げる。外は雨でどしゃ降りになっており、二人は瞬く間にずぶぬれになった。
「俺の手を離すんじゃねえぞ!」
一夏は箒の手を握ったまま道場の方へと行く。道場の中に入ると箒には取りあえず防具を付けさせ、自分は木刀をとる。少し経つと男二人組は道場へと侵入する。
「箒、いざとなったらお前だけは逃げろ!そして、おじさんたちにこのことを知らせるんだぁ!」
「でも、そんなことをしたら一夏が・・・・」
箒が言いかけた直後、後ろの壁がふきとび、二本の腕が一夏の頭を捕らえる。
「なぁにぃ!?」
一夏は木刀を放し、拘束している腕を取り外そうとする。しかし、力は強く、一夏の頭は今にも押し潰されそうだった。
「ぐあぁぁぁぁぁ!?」
「コイツ!一夏を離せ!!」
箒は思いっきり木刀を一夏の頭を握り潰そうとしている大男の股間の間に向かって叩きこむ。
「ぐ、ぐぅう!?」
大男は股間に両手で押さえて倒れ込む。
「助かったぜ、箒!」
一夏は態勢を整え直すと大男へ回し蹴りを喰らわせる。吹き飛ばされた大男は刀を持った男と衝突し、刀の男は自分の剣に突き刺さり倒れる。
「ひっ!?」
ナイフの男は、二人が倒れたことに動揺して、箒に向かってナイフを数本投げる。
「させるか!」
一夏は刀の男の折れた刀の一部をナイフ男に向かって投げると同時に箒の前に立ってナイフを弾き飛ばす。
「ぐっ!?」
しかし、一本返し損ね、ナイフが一夏の腕に刺さる。
「一夏!?」
「ひぃぎゃぁぁ!?」
一方のナイフ男は一夏の投げ飛ばした刀の一部で腕を切断され、出血に混乱しながら倒れた。
「い、一体何だったんだ?」
一夏はナイフを抜きながら言う。すると少し離れた場所から拍手の音が聞こえた。
「「!?」」
「いやぁ~ブラボーブラボー~。やっぱり私の目に狂いはなかったね~。」
一夏は声のした方を見る。そこには黒ずくめの男二人と一人の見覚えのある女性がいた。
「て、てめえは!?」
「ね、姉・・・・・・さん?」
「はあぁい、元気にしていたかな?いっくん、箒ちゃん。」
束(?)は手を振りながら笑う。
「てめえぇぇぇぇぇ!!!生きていやがったのかあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
一夏は、怒りの眼で束(?)に襲い掛かる。黒ずくめの男たちはピストルから銃声を鳴らすが怒りのあまりに一夏は何も気にしていない。
「ば、馬鹿なぁ!?」
「てえぇりゃあぁ!!!」
「ぐわあぁ!?」
「この!!」
「うおぉ!?」
パチンッ!!
「!?」
一夏が黒ずくめの男を攻撃している隙に束(?)は自分の履いていたハイヒールで一夏は頭を叩きつけられた。
「・・・・・・・・」
「もう、大の男の子がそんなに怒っちゃダメ。」
「・・・・・・は、ハイヒール?・・・・って、てめえぇぇ・・え・え・・・えぇ・・・・・」
一夏は力尽きるように倒れた。
「一夏!?」
箒は倒れた一夏の元へと走り、抱き上げる。
「一夏!一夏!!」
「大丈夫だよ、ちょっと眠っただけだから。」
箒は説明する束(?)の方を見る。
「ほ、本当に姉さんなのか?」
「うん、正確には篠ノ之束じゃなくて早乙女束なんだけどね。」
「?それは一体どういう・・・・・」
「悪いけど箒ちゃんも一緒に連れて行くよ。いっくんにとっては大事なキーパーソンだから。」
そう言うと束(?)は懐からピストルを取り出し、箒に向かって発砲した。箒はその場で倒れる。
「君たち~いい加減に起きなよ。」
束が声をかけると一夏に倒された黒ずくめの男二人が起き上がる。
「な、なんて奴なんだ・・・・・・狩猟用麻酔だぞ。」
「普通の人間なら致死量の物だ。」
「まあ、今のいっくんは昔のいっくんと違って普通じゃないからね。」
束はニヤリと笑いながら眠っている一夏を見る。
「しかし、よろしいのですか?妹様にも同じように撃って。」
「大丈夫、少し薄くしているから。」
「全然大丈夫ではないと思いますが・・・・・」
「そんなことよりも二人を研究所に運んで。」
男は一夏と箒を担ぎこんで移動する。
「あと、家に書置きを残して・・・・・修理代は後で渡しますっと。これを家のリビングに置いてきて。」
束からメモを受け取ると残った方の男もその場から離れる。それを確認すると束は携帯をいじる。
「あっ、ミチルちゃん?私なんだけど、帰ってきたら救急箱持ってきて医療室のベッド二つ準備して。すぐ帰るからよろしくね。」
そう言うと束もその場から消えて行った。
かくして、ここから本来の歴史とは異なる物語が始まろうとしていた・・・・・・。
突如、早乙女研究所の拉致された一夏と箒。
しかし、そこで会ったのは自殺したはずの束。
彼女は、十年前の真実と自分たちの敵について語ろうとする。
しかし、そこへ魔の手が!!
次回、インフィニット・ゲッターロボ
「明かされる事実と敵」
さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!