北海道 大雪山上空付近
「こちら、イーグル号。大雪山上空に到着。山の中腹から噴煙が上がっています。研究所どうぞ。」
イーグル号の後部座席で箒が報告する。
『はい、こちら早乙女研究所。情報局のデータで大雪山は、記録によるとここ数日、大噴火の前触れは確認されていません。』
通信相手はクロエのようだ。しかし、確かに大雪山の中腹は煙を上げている。
『イーグル号へ、こちら早乙女研究所。噴火の原因を突き止められたし。』
「了解、一夏。」
「おう!」
イーグル号は大雪山へと近づいて行く。
「しっかし、すげえ噴火だな・・・。」
「一夏!あれ!」
箒は噴煙の方を指さす。濃い噴煙で確認はしづらいが何か人工物のような物が見えた。イーグル号は火口から離れる。
「こちら、イーグル号!噴煙の中に何か人工物のような物を確認!」
「あと、周辺の温度がすごく上がっているぜ!」
早乙女研究所
「やっぱりね・・・・・・ハチュウ人類の基地かもしれないから気をつけて!」
『了解!』
研究所側で一通りの交信を終えると束の後ろに簪と本音が来た。
「博士~例のおサルさんが速達で届いたよ~。」
「はいはい。クーちゃん、ここをよろしく。」
「かしこまりました。」
その場をクロエに任せ、束はミユキが掴まっているのを気にしないで原人が運ばれた部屋へと向かう。
「っで、その原人はどうだったの?」
「はい、届いてからさっきまで片言を話していたんですけど今は全く喋らなくなりました。」
「ふんふん。」
「正直言いますと博士、アレは人間じゃありません。早く何とかした方が・・・・・」
「まずは見ないとね。束さんは直に見ないと信じない方なのだ。」
束は早速部屋の前に到着するとドアを開ける。
部屋の中では、二人の所員と拘束されたまま眠っている原人の姿があった。
「あっ、博士。」
「これが例の原人?」
「はい、先ほどまで暴れていたのですが麻酔でようやく大人しくなりました。」
「見ての通り、まさに原始人です。」
所員が緊張した顔で言う中、興味が移ったのかミユキは束から離れて原人の方に近づく。
「わあぁ~!大きいおサルさんだ~!!」
「こらこら、ミユキちゃん。それに触っちゃダメ。」
束はすぐさまミユキを抱き上げると本音に回す。そして、すぐに確認を始める。
「ふむ・・・・・」
「歯並びなどは化石で見る北京原人そっくりです。時間が経つにつれてだんだん退化していきます。」
「時間が経つにつれて?」
束は所員の方を見る。
「ええ、そうなんです。目撃者の証言ではもっと人間に近かったようなんです。人間の服も着ていましたし。」
「服と一緒に身分証明書まで所持していました。これがその身分証明書です。」
「・・・・・・・」
所員の証拠品の数々を見て束は思わず黙る。
生物が退化するというのは自然界においてもあることだが、それは飽くまでその環境に適応するために起こることでこんな短期間で起こることではない。現にこの目の前で眠っている原人は数時間前までは自分たちと同じ人間だった可能性があるのだ。
「・・・・博士、はっきりとしたことはわかりませんがこれは伝染病が原因ではないかと思います。」
「この原人を国立病院で精密検査を徹底的にやるべきです。伝染病だとしたら早く対策を立てねば・・・・・・・」
「・・・・・・・かんちゃん、のほほんちゃん、すぐに解剖の用意を始めて。」
「はい。」
「ミユキちゃんはどうします~?」
「そろそろミチルちゃんが戻ってくるから回しておいて。」
「は~い~。」
束の一言に所員たちは思わず動揺した。
「解剖ですって!?無茶です!人間かどうかわかってもいないのに解剖するなんて・・・・・」
「私も同意見です!もし、只の伝染病にかかっているだけだったら人間を殺すことになります!!人権問題になりますよ!?」
「多分、元々は人間だったんだろうね。この原人は。」
所員の言う事に束は否定することなく答える。
「だったら、解剖という無茶はやめてください。」
「今は人間どうこうと言っている場合じゃないですよ。もし、他の第三者がこの人間を原始人に変えたとしたらどう?それこそ第二、第三の同類が現れる危険性があるんですよ?」
簪の一言に所員は黙る。
「これからは、弱い人間は生きる資格がなくなる。生き抜くためには弱い部分を突き止めて刈り取る必要があるんです。」
「うわあぁ~かんちゃん、言う事が怖い~。」
大雪山
「くそ~、煙でよく見えねえ。」
一夏はイーグル号から噴火口を見る。
「もう少し近づいてみたらどうだ?」
「そうだな。」
箒の意見を聞いて一夏はイーグル号を火口まで近づけようとする。
しかし、その直後、火口から顔に複数のチューブを付けたような巨大な怪物が飛び出してきた。
「うわあぁ!!」
一夏たちが驚いている間に怪物はイーグル号を叩きつける。コントロールを失ったイーグル号は落ちていく。
「しまった!うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!」
イーグル号は岩にぶつかりながらも何とか態勢を整えようとしたが結局山下の方へと転がり落ちて行ってしまった。
『クククク・・・・・・・・うまく仕留めたな。後は、あの中の人間を始末するだけだ。』
中には小隊長らしい怪人が乗っていた。
『飛行偵察隊、あの戦闘機が落ちた周辺を確認せよ!見つけ次第殺せ!』
怪人が命令すると火口から四体編成のプテラノドンに人間の下半身を持たせたような怪人たちが飛んでいく。
「了解しました!キャプテン・ランバ!」
イーグル号 墜落現場
イーグル号は、大木と大木との間に挟まれた状態で墜落していた。
「例の戦闘機を確認!」
恐竜帝国飛行偵察隊はイーグル号の中を覗く。しかし、乗っているはずの一夏と箒の姿が見当たらない。
「中の搭乗者がいません!」
「逃げたか・・・・・ん?」
リーダークラスの個体がイーグル号に付着している血に気づく。よく見ると血の後は、茂みの方へと続いていた。
「う、うぅ・・・・・・イーグル号が壊れるとは・・・・・」
一夏は、左腕から血を流しながら箒と一緒に逃げていた。
「うっ!」
あまりの痛みに一夏は跪く。
「一夏!」
「フッ・・・・・肩の関節が外れたようだ。」
一夏は痛みにこらえながら言う。
「箒、俺をおいてできるだけ遠くへ逃げろ。お前の足なら振り切れるはずだ。」
「何を言っているんだ!?私は絶対に一夏を置いていかないぞ!嫌だと言っても一緒に連れて行くからな!!」
箒はそう言うと一夏の肩を貸すようにして移動し始める。
そのとき、少し離れたところに人影が見えた。
「よかった!人がいるぞ!おーい!!」
箒は助けを求めようと声をかけるが、振りむいた顔は人間ではなかった。
原人たちである。
「に、人間じゃない!?さ、サルだ!?」
箒は急いで一夏と一緒にすぐ脇の木の影に隠れる。しかし、原人たちはこちらへと向かってくる。
「まずい・・・・・このままだと・・・・・」
二人がそう思った直後、後ろから四本の手が二人の顔を押さえた。
「!?」
「だ、誰だ!?」
一夏たちは何とか振りほどこうとするが思っていたよりも力が強く振りほどけない。そうしている間にも原人たちはすぐそこまで来ていた。
(くそっ!ダメだ!振りほどけねえ・・・・)
原人は木の棒を持って一夏たちに振り下ろそうとする。
(くっ!こんなことになるんだったら、俺一人で来ればよかった!)
二人は目を閉じる。しかし、一夏の方を掴んでいた手が制すと原人たちは攻撃を中断した。
「・・・・・・・・えっ?」
「どういうことなんだ?サルたちが動きを止めやがった。」
「サル共よ、伏せろ!」
一夏のすぐ後ろから声がした。
すると原人たちは命令通りに茂みの中へと身を隠した。
「誰なんだ!?敵か!?それとも・・・・」
「いいからお前等も身を隠せ。ゆっくり、音を立てないようにな・・・・・」
そう言われると一夏たちはそろり、そろりと茂みの中へと引っ張られて行った。
しばらくすると例の飛行偵察隊が武器を構えて歩いてきた。どうやら一夏の血の跡を追って来たらしい。
偵察隊は、一夏の血の跡を見るや、近づいてくる。
(やっぱり、俺の血の跡を追って来やがったか・・・・・)
一夏は緊張しながら、息をのむ。
偵察隊は一歩、一歩と近づいてきた。
「・・・・・・来たな。」
そのとき、反対の茂みから物音がし、偵察隊は全員後ろを向く。そのとき、一夏のすぐ後ろから掛け声が出ると同時に今まで一夏を押さえつけていた人物が飛び出す。
「今だ!やっつけろ!!」
武蔵の指示で原人二人が一斉に茂みの中から飛び出し、偵察隊の頭に向かって木の棒を叩きつける。
突然の奇襲に驚いた偵察隊は倒れた一体を攻撃した原人に向かって武器を発射し、原人の頭をふっ飛ばす。しかし、倒れた一体の武器を奪った蘭が攻撃した一体を倒す。
「ゲッ、ゲッ!?」
「おい、どこ見てんだ?」
「!?」
思わずおじけづいた一体の後ろから一夏が容赦なく肘打ちを喰らわせる。こちらも攻撃で頭部が変形し、倒れた。
「大雪山おろし!!」
武蔵は最後に一体を勢いよく放り投げた。最後に一体もあっけなく木の幹に頭を貫かれて死んだ。
「ワッハハハ、これで全部片付いた!」
武蔵は手をパンパンと合わせながら一夏の方を見る。
「おう、さっきは悪かったな。怪我はねえか?」
「あぁあ・・・・・」
「あれ?一夏さん?」
蘭はようやく一夏に気づく。
「蘭!?蘭なのか?」
「お久しぶりです!まさか、こんなところで会うなんて!」
久しぶりの再会に驚く二人。
「どうしてこんなところに・・・・・」
「おいおい、感動の再会かとは思うけどよ・・・・・ここではまずいぜ。それに怪我しているみたいだしな。」
武蔵は一夏の肩を見て言う。
「俺は柔道やっとるからこういうのは少しはわかるからのう。少し痛いかもしれんが応急処置ぐらいならできそうだ。」
「お前は一体誰なんだよ?蘭とは知り合いみたいだけど・・・・・」
「俺は巴武蔵ちゅうもんだ。蘭ちゃんとはちょっとした付き合いでな。ここで話すのもなんだし、少し場所を変えよう。俺も聞きたいことがたくさんあるし。」
「あぁ、それなら・・・・・・」
四人(と言うよりは五人?)はその場から離れて行った。
“こちら、早乙女研究所”
“こちら北部方面第二航空師団です”
“大雪山山ろくでゲットマシンが遭難した模様。捜索をお願いします。繰り返します、大雪山山ろくでゲットマシンが遭難、捜索を願います”
“了解!”
早乙女研究所
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・ふあぁ~。」
その頃、束、簪、本音の三人は原人を解剖して何が起こっているのかについて調べていた。しばらく体の解剖を続け、三人は手術室から出てくる。
「ふう~。」
束は一息ついてソファに腰を掛ける。
「博士、何かわかりましたか?」
簪は白衣から着替えながら聞く。
「いや、全く手掛かりなしだよ。あったと言えば白血球が少し減っているだけであとは何も異常なし。」
「私はやっぱり脳の方に手がかりがあるんだと思います。」
「そうだね、明日は脳の方を徹底的に調べようかな。」
「え~、また明日もやるの~?」
二人の意見が合致している中、本音一人だけ嫌な顔をする。そこへミチルが慌てて部屋に入ってくる。
「お姉さん、一夏君と箒ちゃんが遭難しました!!」
「わかった、わかったよ・・・・ミユキちゃんのことは・・・・・・ってぬわにぃい!?」
束は思わずひっくり返った。
「なんでもっと早く教えてくれなかったのっ!?」
「だって、お姉さんが解剖中は誰も部屋に入れるなって、言ってたじゃない!!」
「え~らいこっちゃ、え~らいこっちゃ~!今すぐ出動させたいけど、クーちゃんは午後からたっちゃんのところへデータ届けるように言って秘密研究所の方に送っちゃったし・・・・・・・」
「じゃあ、のほほんさんがベアー何とかに乗るのだ~。」
「いや、多分無理だと思う。」
「しょぼ~ん。」
四人は硬直状態になる。
「・・・・・・お姉さん、こうなったら私が・・・・・」
「いや、ここは責任を取って束さんが行きましょう!」
束は決心したように言う。
「ミユキちゃんはどうするのよ!?」
「う~ん~・・・・・・・・・引き続きお願い。」
「もう!」
大雪山 イーグル号
「へえ、武蔵は弾と同級生だったのか・・・・・」
一夏たちは、イーグル号の上で会話をしていた。
「まあな、五反田とはこっちに来てから知り合ってよ。柔道はじめたときに稽古の相手とかしてやったもんだぜ。」
「弾が柔道ね・・・・・。」
「前の店は泥棒に入られたせいで燃えちまったから今度は追い返せるようにってよ。でも、中学の地区大会の時に背骨痛めちまって、そのまま引退になっちまったんだ。今じゃ、静かに松葉杖をつきながら店の手伝いだ。たまに飯食いに行く時会うけどよ。元気でやっているぜ。」
武蔵はイーグル号の機器をいじくりながら言う。
「・・・・・そうか。手紙じゃそんなこと書いてなかったからな。」
「手紙?」
「あぁ、弾本人が書いた奴なんだけどな。そんなこと一言も書いてなかったんだよ。う~ん、じゃああの一言も冗談だったのかな?」
「えっ?一体どういう・・・・」
「まあ、今はそんなことは後回しだ。取りあえず整理すると武蔵はこの大雪山へ半年ぐらい前に修行しに来ていて蘭は二日前に近くの登山コースの下調べに来ていた最中にさっきの奴らに襲われたってわけだな?」
蘭は、暗い顔で返事をする。
「はい、近いうちに学校行事で行うハイキングのコースの下調べをしに先生と友達も含めて六人ぐらいで来たんですけど昇り始めてすぐに襲われて・・・・・・・みんな必死に逃げたんです。でも、私だけみんなと離れてしまって・・・・・・一人震えていたところを武蔵先輩に見つけられたんです。」
「・・・・と言う事は、他の生徒はみんな捕まってしまったのか。」
「はい。でも、もしかしたら・・・・・・」
蘭は思わず身震いをする。その姿を見て一夏は厳しい表情へとなる。
「畜生、恐竜帝国め。千冬姉や研究所の所員、簪の仲間に続いて・・・・・」
「恐竜帝国?千冬さんとどういう関係があるんですか?確か事故で亡くなったんじゃ。」
「正確には蘭たちを襲った連中の作った怪物に食い殺されたんだ。」
「・・・・・・・」
一夏の一言を聞いて蘭は唖然とした。
「まあ、仇は取ってやるさ。それにしても奇妙だな。」
一夏は唯一生き残った原人を見る。
「何でこいつは蘭と武蔵には襲わないで言う事を聞くんだ?」
「へへへ・・・・・こいつらはてんで頭が弱いのさ。最初は俺たちにも襲ったけれど、奴らより俺の方が強いとわかったら素直なもんよ。こいつらを支配しているのは力だけらしいや。強い奴には逆らわねえんだ。だから、俺と一緒に居た蘭ちゃんも強いって思ってんのよ!」
「まるでケダモノと同じだな。」
「うん、私もそう思った。」
「こらっ!しっかり見張れよ!」
「ゴホッ!」
武蔵に命令されると原人は素直に返事をした。
「な、素直なもんだろう?」
「ふうん。奴らがお前に従うのがなんとなくわかった気がするよ。」
「た、確かに見た目がゴリラそっくりだもんな。」
「ちょっと!箒さん!武蔵先輩に失礼じゃないですか!」
「えっと・・・・・ここの線とここの線でと。本当に動くのか?この車。」
「ああ、それで動くはずだ。」
武蔵が配線を直しているのを見ながら一夏は言う。
「それにしてもこのくらいの故障で済んでよかったぜ。よっぽど頑丈なんだな、この車!!」
「車じゃねえ、ゲットマシンだ。それよりも早くこっから脱出しねえと・・・・・ん?」
一夏は上から物音がしたため上を見る。よく見ると戦闘機が上を飛んでいた。
「自衛隊機だ!まさか束さんが頼んだのか?」
「まずいな!山の方に行ったら私たちを襲った奴が!」
「武蔵、急いでくれ!」
「分かってるって!これでも急いでるんだ。」
武蔵は作業のスピードを速める。
火口から現れたメカザウルス。
それを迎え撃つべく救援に駆け付けた簪たちと共に一夏はゲッターロボへ合体する。
しかし、帝王ゴールは「北海道灼熱地獄作戦」の阻止を防ぐべく、さらに二体のメカザウルスを送り込む!
ゲッターロボに勝機はあるのか!?
次回、インフィニット・ゲッターロボ
「恐怖!北海道灼熱地獄作戦!!」
さあ、君もチェーンジッ!ゲッター!!