ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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1度カズヤと戦ってみたいというアミラの希望によるカズヤVSアミラの親善試合や両国首脳会談が予定より長引き夜になってしまったため魔王城の来賓室に一泊することになったカズヤと千歳。

 

「――ですので、これ以上の譲歩を行えば我が国はカナリア、妖魔の両国以外の周辺国から強気に出れば必ず譲歩する外交の下手な国と認識され侮られてしまいます」

 

「……ふむ。面子は割りとどうでもいいが、勝手に格下に見られるのもいい気分じゃないからな。しょうがない、千歳の案で押し通せ」

 

「ハッ、畏まりました」

 

2人が先程まで行われていた会議の問題点を洗い出し最終的な方針を決めている時だった。

 

――コンコン。

 

「夜分遅くに失礼致します。チトセ様、魔王様が個人的に貴女様とお話したいことがあるとの事でして、申し訳ありませんが付いて来て頂けますでしょうか」

 

「私に?今からか?」

 

千歳は自分がアミラに呼び出された事に疑問を抱く。

 

「はい。誠に申し訳ありませんが、お願い致します」

 

鬼人族のメイドが腰を折り深々と頭を下げて千歳に頼みこむ。

 

「ご主人様……」

 

カズヤの側を離れることに迷う千歳がカズヤに伺うような視線を送った。

 

「ん?俺の事は構わんから行ってこい」

 

「分かりました。お前たちご主人様の事を頼んだぞ」

 

「「「「「はい」」」」」

 

「「「「ハッ!!」」」」

 

カズヤの許可が降りると千歳は後の事をメイド衆と護衛の親衛隊に任せ、呼びに来たメイドに付いて部屋を出ていった。

 

 

「おい、どこまで行くつもりだ。本当に魔王がこんな所にいるのか?」

 

メイドに従い付いて来たはいいものの、どんどん人気のない方に進んでいくメイドに千歳が苛立ちを露にする。

 

「もうすぐ到着致しますのでご辛抱を……」

 

「むぅ……」

 

そう言われてしまえばどうしようもない千歳は小さく唸り、怪訝な視線をメイドに突き刺す。

 

「こちらです」

 

頑丈な鉄製の重々しい扉を押し開き、メイドがその薄暗い部屋の中へと千歳を誘う。

 

「……暗いな。おい、魔王は――……何故、扉に閂を掛ける」

 

……チッ、囲まれたか。

 

周りを階段状の観覧席に囲まれた、まるで闘技場のようなだだっ広い部屋――屋内練兵場の中に案内された千歳は暗闇に潜む有象無象の気配を感じ取り、メイドにそう問い掛けつつも腰の日本刀に手を伸ばし戦闘態勢に入った。

 

「……騙したことについては謝罪します。ですが、すべては魔王様や姫様方の想いを成就させるため……貴女にはしばらくここに居てもらいます」

 

「っ!?貴様っ!!」

 

クソッ、ご主人様が狙いか!?

 

メイドの言葉を合図にしたかのようにパッ、と部屋の中の照明が点灯されると観覧席の上には武器を手にした大勢の妖魔達が控えていた。

 

そして千歳がここを無理にでも出ていこうとするなら武力を持ってして止めると言わんばかりのオーラを放っている。

 

「……貴様ら自分達が一体何をしているのか理解しているのか?これは重大な外交問題だぞ!!」

 

「えぇ、すべて承知の上です。あぁ、それとご心配なさらずとも総統閣下に危害を加えるつもりはありません。ただ……あの方達の想いが叶うまで――ッ!?」

 

しばらくここで大人しく待っていて欲しい。とメイドが続けようとした瞬間、白刃が煌めき殺意みなぎる刃がメイドに向かって振り下ろされた。

 

「ぐっ!?」

 

お、重いっ!!鬼人族の私が力負けするなんて……ッ!!

 

「……」

 

濃密な殺気を感じ咄嗟に隠し持っていた棒状の暗器で千歳の日本刀を防いだメイドだったが、千歳の強すぎる押しに負けてすぐに膝立ちの状態にまで押し込まれてしまった。

 

「……貴様ら私を舐めているのか?」

 

徐々に腕の力を増しながら血走った目で千歳はメイドに言葉を掛ける。

 

「うぐぐぐ……っ!!」

 

「理由はどうあれ私のご主人様に手を出すだと?あぁ、ご主人様はお優しい方だからな魔王達の事もお受け入れになるだろうさ。だがな……私がそれを赦すかは別問題だっ!!」

 

「うぐぅっ!?」

 

ダメッ!!もう押さえきれない!!

 

千歳が今まで以上に腕に力を込めると暗器と日本刀の拮抗が崩れ日本刀の刃が鬼人族のメイド――ダリアに食い込もうとした。

 

「ダリア!?このっ!!」

 

それを見逃せなかったダリアの既知であるケンタウロスの男が手にしている長弓の弦を引き千歳に向かって、刺さらぬように先端が丸くなっている矢を放った。

 

――ヒュン!!

 

――パシッ!!

 

「嘘……だろっ!?」

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「そ…んな……っ!?」

 

人外の力によって射られた凄まじい速さの矢を千歳は1度も見ることなく片手で難なく掴み取った。

 

そのことに矢を放ったケンタロウスはもちろん大勢の妖魔や千歳に今にも殺されそうになっているダリアまで驚く。

 

「私にこんな物が届くとでも?」

 

「ガッ!!あ、ぐぁっ……っ!!」

 

掴んだ矢をバキッとへし折り捨てた千歳は、その空いた片手でダリアの首を掴み周りにいる者達に見せ付けるように空中に持ち上げる。

 

「ぐぐっ……あっ……ぁ……」

 

息がっ……出来……ない!!意……識が……もう……ダメ……。

 

苦悶の表情を浮かべバタバタと空中で、もがいているダリア。

 

周りの妖魔達はダリアを助けようとするものの千歳が放つ瘴気のようなオーラに気圧され動けない。

 

だが、そうこうしている間にダリアの瞳から少しずつ光が失われていき、そして体から力が抜け手足がダランと垂れ落ちた。

 

「ふん」

 

「「「「「……」」」」」

 

千歳が手を離し動かなくなったダリアを土が敷かれている床に落とすのを妖魔達はただ茫然と眺めていた。

 

「……安心しろ、死んではいない。だが、これ以上私の前に立ち塞がるというのであれば容赦はしない。全て斬り捨てる――覚悟しろ」

 

「「「「「ヒッ!!」」」」」

 

黒くどこまでも黒く、ゴウゴウと燃え盛る殺気を全身にみなぎらせた千歳の死の宣告に恐れをなした妖魔達が一斉に後ずさった。

 

 

一方、時間を少し巻き戻し千歳がカズヤを残して部屋から出ていった直後。

 

「失礼するよ」

 

「し、失礼……する……うぅ……」

 

「お邪魔しまーす!!」

 

いつにも増して胸やお尻を覆う布地の少ない大胆なチャイナ服もどきを着たアミラ達が艶かしい褐色肌を惜しげもなく晒しながらカズヤのいる部屋に突然入って来た。

 

アミラは堂々とその巨大な胸とムッチリとしたお尻を揺らし、フィーネは羞恥心で真っ赤になり身体を覆う申し訳程度の布地を必死に伸ばして秘部を隠しつつ、リーネは小悪魔のように妖しげに笑い背徳感を誘う身体をカズヤに見せ付ける。

 

「あれ、アミ――ア、アミラ!?なんて格好を!!ってフィ、フィーネとリーネまで……一体どうしたんだ!?」

 

「アハハハッ、カズヤ。分かっているクセにそれを聞くのは野暮ってもんだよ」

 

アミラはその豊満な胸を強調するように腕を組み、豪快に笑う。

 

「……」

 

いや、まぁ……。そんな格好で来たから分かってるけどさ。

 

アミラ達が入って来た瞬間に何をしにここに来たのかを理解していたカズヤは口を閉じたまま内心でこっそりと溜め息をつく。

 

「はぁ……。俺も男だからな、アミラ達のその気持ちは嬉しいが……まだ知り合ってから間もないし、お互いのこともよく知らないだろう。だからもう少し――」

 

「なら、今からベッドの中でじっくりとお互いの事を隅から隅まで教え合えばいいじゃないか」

 

カズヤの言葉にニヤニヤといやらしく笑うアミラが答えた。

 

居酒屋にいるスケベ親父か、お前は……。

 

アミラの言葉にカズヤはガックリと肩を落とす。

 

「……はぁ、分かった。皆、部屋から出てくれ」

 

いかんな……イリスとカレンを抱いてから“タガ”が外れたみたいだ。

 

イリスとカレンを自分のモノにして以来、徐々にだが自身の欲望に抑えが効かなくなってきた事を自覚し危ぶみながらカズヤはアミラ達の望みを叶えるべく部屋にいたメイド衆と親衛隊に部屋の外へ出るように伝える。

「「「「ハッ」」」」

 

「「分かり……ました」」

 

「……はい」

 

「っ、はい」

 

「……ご命令とあらば」

 

親衛隊はカズヤの命令に眉一つ動かさず従うもののメイド衆はどこか不満気に、そして悔しそうにカズヤの命令に従った。

 

「こっちだ」

 

メイド衆が最後に一礼して部屋から出ていったのを確認しカズヤは隣の寝室にアミラ達を誘った。

 

 

「フフッ、さぁヤろうか!!」

 

「カズヤぁ!!早くおいでよ!!」

 

……ムードもへったくれもないな。

 

部屋に入るなりベッドにダイブしカズヤを手招きをするアミラとリーネにカズヤはやれやれと首を振る。

 

「……っ……あぅ……ひゃあぁぁぁ!?」

 

「大丈夫かフィーネ?」

 

「だ、大丈夫だから!!」

 

カズヤがベッドにダイブした2人のノリに付いていけず、部屋の入り口で1人もじもじと恥じらっていたフィーネの腰に手を回しベッドに誘導しようとするとフィーネは驚いて悲鳴を上げる。

 

「フィーネ……やるね」

 

「お姉ちゃん、策士だね……」

 

「なっ!?わ、私はそんなつもりは……」

 

カズヤの食指がフィーネに向けられたのを機敏に感じ取ったアミラとリーネは、フィーネ恐ろしい子。とばかりに恐れおののいていた。

 

「フフッ、さておふざけもこれぐらいにしておこうかね……んっ」

 

ガラリと纏うオーラを変え獲物を狙う女豹と化したアミラがカズヤの唇を奪う。

 

「あぁーお母さんズルイ!!リーネもカズヤとキスする!!」

 

「え、あ、わ、私は………………ぁ……私もする!!」

 

また、1人置いていかれたフィーネは一瞬の迷いの後、カズヤに向かって突進した。

 

そうして4人の甘く壮絶な時間が始まった。

 

「も、もぅ……許してっ!!はぁ、はぁ、ひぅ!?」

 

「もっと、もっと……あぁ……いぃ……」

 

「カ、カズヤ、もうそんなに入らないよっ!!ダ、ダメッ!!んーーー!!」

 

 

ちなみに何がとは言わないが一番乱れたのは以外にもフィーネだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

「で、なんでいきなりこういうことを?」

 

「はぁ……はぁ……ぅん?あぁ…それは…まぁ……いろいろ……あってね……」

 

戦が終わり甘い空気が充満しているその部屋の中でカズヤは幸悦とした表情で失神しているフィーネとリーネに布団を掛けてやったあとで眠たげに瞼を上下させているアミラに問い掛けた。

 

「まぁ……強いて言えば好いた男が目の前で他の女にかっさらわれるのを黙って眺めていられるほど、あたし達は大人しくないんでね……ふあぁ…それに…もともと……妖魔の女ってのは強い雄に惹かれるのさ……その本能には抗えない……そういうことに……して……おい……て……おく…れ」

 

寝惚けているのを良いことに実はカズヤに一目惚れしていたとは言わずにアミラは深い眠りについた。

 

「……ありゃ、寝ちゃったか……」

 

結局、知りたい事については全て、はぐらかされてしまったカズヤは仕方ないなぁ。という顔でアミラの頭を優しく撫でていた。

 

 

「………………計画に変更――いや、修正が必要だな」

 

寝室の扉の前でそう小さく呟いた人物は火照った身体の責任をカズヤに取ってもらおうと静かに寝室に入って行った。


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