ファンタジー世界を現代兵器チートが行く。   作:トマホーク

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幾多の尊い犠牲を払いつつもジズ・リヴァイアサン・ベヒモスの3体の撃滅に成功したパラベラムだったが、その被害の大きさにヴァーミリオン作戦の一時中断を決定。

 

喪失した戦力の補充が最優先事項とされ、消耗した戦力が最低でも以前の規模に戻るまでは作戦再開が見送られる事となった。

 

その為、攻勢を中止したパラベラムと攻勢に出るために必要な余過剰戦力が乏しいエルザス魔法帝国、両国の戦争は自然と小康状態になり各地の戦線は膠着。

 

血みどろの戦場には少しばかりの安息の日々が訪れようとしていた。

 

「それで、帝国の副都市グローリアは落ちたんだな?」

 

「ハッ、遠征艦隊はリヴァイアサンとの戦闘により艦砲射撃を行う戦艦群が大損害を受けたものの、それ以外の被害は無く。上陸準備を整えた海兵隊第1、第2、第3師団が『伊勢』や『日向』、旧式戦艦、LSM(R)-401級、航空機等の火力支援の下、グローリアに上陸。半ば孤立状態にあった第75レンジャー連隊と合流しグローリアを完全制圧致しました」

 

執務室の椅子に腰掛け、パラパラと報告書を流し読みしているカズヤの問い掛けに千歳は手に持っている報告書にチラチラと目を落としながら答えた。

 

カズヤ達がベヒモスと死闘を繰り広げていた裏ではリヴァイアサンを排除した遠征艦隊が一時退避のために遠ざかっていたグローリアに舞い戻り攻略戦を再開していた。

 

舞い戻ってきた遠征艦隊が各々の配置に着くと、グローリアの沿岸に展開した数十隻の強襲揚陸艦のウェルドックに海水が注水され、船内に格納されていたLCAC-1級エア・クッション型揚陸艇や水陸両用強襲輸送車のAAV7A1が一斉に出撃。

 

M1A2エイブラムスを3両搭載した戦車揚陸艦や歩兵を満載した上陸用舟艇等と共に波しぶきをあげながら海上を疾走し、グローリアを侵略者達から守る為にあった防壁や大門、海上要塞の海堡等の残骸を通りすぎ第75レンジャー連隊が確保していた海岸に上陸し橋頭堡の拡大を図る。

 

その間、上陸部隊を援護するために火力支援が行われていたのだが、艦砲射撃の要である戦艦群がほとんど特務艦隊に編入されリヴァイアサンとの直接対決を行った結果、大損害を受けてしまったため火力支援は途中から遠征艦隊に合流した第1独立遊撃艦隊の『伊勢』や『日向』、速力や武装面の問題で特務艦隊には編入されなかった対地攻撃用(上陸支援用)の弩級戦艦、自動装填及びパワードライブ方式のMk.105連装発射機ロケット発射器を甲板に山ほど搭載したLSM(R)-401級、空母群から飛来した航空機が主力となって行っていた。

 

また、上陸1日目の戦闘で第75レンジャー連隊から市街地に残る民間人達が民兵となって襲って来るという報告があったため、遠征艦隊の司令部は市街地に対しても無差別砲撃を許可。

 

それにより遠征艦隊が実施している火力支援は史実でアメリカが沖縄戦で行ったような鉄の嵐を彷彿とさせる――いや、それ以上の壮絶なものになっていた。

 

そうした苛烈な火力支援を受けつつ上陸を敢行した海兵隊三個師団は第75レンジャー連隊が確保していた橋頭堡を拡大し確固たるものにした後、M1A2エイブラムスやM2ブラッドレー歩兵戦闘車からなる機甲部隊を前面に押し出しつつグローリアを蹂躙。

 

市街地でのゲリラ戦闘を繰り返す敵兵達を圧倒的火力と戦力で黙らせ、また歩兵達が特例で配布されたダムダム弾を使用し薬物でラリっているゾンビ兵達を次々と銃殺していったのである。

 

そうして海兵隊三個師団は広大な面積を誇るグローリア全域を僅か8時間で、然したる被害を受けることもなく作戦初日の苦戦が嘘のようにあっさりと攻略してみせたのであった。

 

「遠征艦隊の被害は?」

 

「総計で大破18、中破19、小破22、撃沈28となっております。なお、撃沈された艦艇は幸いな事に、その殆どが駆逐艦や軽巡洋艦の類いだったのですが、重巡洋艦や戦艦は沈むまではいかなくともいずれも被害が大きく戦線に復帰するには時間がかかるかと。またリヴァイアサンと一番始めに遭遇した第7潜水戦隊の3隻の潜水艦の内『バージニア』の生存が深度230メートルの海底で確認され、潜水艦救難母艦の深海救難艇(DSRV)や人員輸送カプセル(PTC)により全乗員を回収しました」

 

「そうか、それは何よりだ。しかし、遠征艦隊がこれだけ被害を受けているとなると次の帝都攻略戦に支障が出るな……」

 

「その通りかと。――今現在、損傷を受けた艦艇には工作艦による応急修理を行っておりますが、特に被害の大きかった『霧島』以下多数の艦艇は設備の充実したドック――すなわち、本国に戻し本格的な修理を行わないと戦線への復帰は無理だという報告が来ています」

 

「うーん。損傷艦をわざわざ本土に回すとなるとロスタイムが嵩んで復帰するまで更に時間がかかるな……よし、グローリアに俺が行って工廠やドックを召喚してこよう。そうすれば損傷艦を本土に回す手間も省けるし、また戦地に移動する手間も省ける」

 

「……ご主人様、それは良いお考えとだとは思いますが、ご存知のようにグローリアを制圧してからまだ時間が経っていません。ですから仮に実行するとしても治安が落ち着くまではお待ちください」

 

カズヤの提案に千歳は安全面を鑑み時間を置くように提案するのだが結局の所、この後すぐにカズヤは千歳と共に航空機を乗り継ぎながらグローリアへと出向き工廠やドック、物資を召喚。

 

戦闘が終了してから間もない占領地に僅か数時間で一大軍港を造り上げ、損傷艦の戦線復帰を大幅に早める事となる。

 

 

 

グローリアでの召喚を終え本土に帰還したカズヤは休憩の合間に自身の能力の確認を行っていた。

 

 

[兵器の召喚]

2015年までに計画・開発・製造されたことのある兵器が召喚可能となっています。

 

[召喚可能量及び部隊編成]

現在のレベルは72です。

 

歩兵

・50万人

 

火砲

・6万5000

 

車両

・6万5000

 

航空機

・4万

 

艦艇

・2万5000

 

※火砲・車両・航空機・艦艇などを運用するために必要な人員はこれらの兵器を召喚する際に一緒に召喚されます。

 

※後方支援の人員(工兵・整備兵・通信兵・補給兵・衛生兵等)は歩兵に含まれておらず別途召喚可能となっており現在召喚できる後方支援の人員は『総軍』規模までとなっています。

 

※歩兵が運用できる範囲の重火器・小火器の召喚の制限はありません。

 

[ヘルプ]

・[能力の注意事項]

メニュー画面を使わずとも声や思考で召喚は可能です。

 

1度召喚した軍需品・資源・施設は消すことが出来ますが、人(兵士)は消すことが出来ません。

(死亡した兵士の死体も消すことは不可能。また死亡した兵士と同じ人物を再度召喚することは出来ません)

 

『戦闘中』は召喚能力が使えません

 

後方支援要員の積極的な自衛戦闘が可能になりました。

 

 

[お知らせ]

トリッパー・大田正一を殺害した事により能力を1つ獲得しました。

 

 

[特典]

精神強化(強)

身体強化(強)

共通言語

幸運(中)

 

 

[能力]

完全治癒能力

・対象が死んでいなければどんな病気・ケガでも治せる。

 

※自分には効果がありません。

 

絶倫

・精力が今の10倍になる。

(抱いた相手を従属させることが出来る)

 

NEW

鑑定眼

・ありとあらゆる物の価値や能力を見抜く事が出来る。

 

 

 

かなりの数の敵を倒したはずだが……レベルアップのスピードが落ちてきたな。

 

まぁ召喚出来る歩兵、兵器の上限がかなり増えたから問題はないか。

 

で、大田正一を殺害ってなんだ?

 

……あぁ、グローリアで亡命を希望した渡り人の事か。

 

確か報告書が上がってきていたな……これか。

 

[殲滅対象第3の報告書]

以下の文章は亡命を希望した対象を保護した工作員が本人から聞き出した情報である。

 

名前は大田正一。

 

殲滅対象第1――牟田口廉也とは以前からの知り合いであり、この世界へは2人一緒に帝国の召喚の儀により召喚された間柄である。

 

召喚後、帝国から提示された対価で帝国の配下となることを承諾。

 

殲滅対象第3は創造系の能力を持ち、帝国の新兵器開発に従事。

 

魔導兵器や自動人形等を開発。

 

しかし、戦局が悪くなるにつれて立場が悪くなり、また以前とは性格が変わってしまった殲滅対象第1の嫌がらせや裏切り等を受けた結果、帝国からの離反を決意。

 

我が国への亡命を希望するが亡命前に死亡。

 

なお、殲滅対象第3の遺体は現地での完全焼却の後、遺灰をコンクリートに混ぜ深海に放棄。

 

 

……中々に悲惨な目にあってるなコイツ。

 

――コンコン。

 

「失礼します、ご主人様。そろそろ会議の時間になりますのでお迎えに上がりました」

 

「っ、あ、あぁ、分かった。今……行くっ」

 

ドアの外から聞こえてきた千歳の呼び掛けに答えたカズヤは、読んでいた報告書を執務机の上に乱雑に置き身震いした後、立ち上がり背後に控えていたレイナとライナから恭しく手渡された上着を受け取る。

 

そして手渡された上着を羽織り身支度を整えたカズヤは執務机の下から口元を拭いつつ這い出して来たエルの頭を労るように撫でてやると廊下で待っている千歳の元へと向かった。

 

 

 

 

パラベラムが受けた被害の最終的な報告を主とし、また生産された武器兵器やカズヤが召喚した補充及び増強分の戦力の配置先を決める会議が終わり会議室に集まった面々が席を立とうとした時だった。

 

「あぁ、皆ちょっと待ってくれ」

 

カズヤが待ったを掛けた。

 

カズヤの呼び掛けに椅子から腰を浮かしかけていた面々は、何事かと疑問に思いつつ腰を再び下ろす。

 

そして再び椅子に座った面々の顔を見渡しつつ、待ったを掛けた当人が重い口を開いた。

 

「――戦力の配置についての議題が出たから、この機会に軍内部での派閥問題に類する問題を解決しておきたい」

 

「ッ!?」

 

「「「「……」」」」

 

カズヤの口から飛び出した言葉に、会議室の中にいる面子で一番不味いという顔をしたのは千歳であった。

 

「で、だな。俺が聞いた所では人種や以前の国籍、宗教、思想の違い等が原因で多々問題が発生しているとのことだが……それについては千歳、どうなっている?」

 

「は……ハッ、その点につきましてはご主人様のご指示通り軍内部の人員編成を出来る限り単一化し対応しております。ですがそれにより派閥が形成しやすくなったため派閥間の問題が新たに発生しているのも、また事実です」

 

「ふむ……。まぁ、こんな問題が発生するのは俺としても当初から予想していたが……何よりこの世界の人間を初めとして、獣人や妖魔を軍に組み込んだ時点で問題が出ることは必然的だと覚悟していた。しかしだな。目に余る問題もチラホラと耳にしているから、さりとて放置も出来ん」

 

「……」

 

カズヤから警告染みた一瞥を受け、額から一筋の冷や汗を流す千歳。

 

何故ならカズヤの言わんとしている事に身に覚えがありすぎるためである。

 

具体的には自分の副総統という地位を狙う敵がいる敵対派閥の弾圧等であるが。

 

まさか、パラベラム内部で行われている熾烈な内部抗争(別名、寵愛の奪い合い)から発展した数々の問題がカズヤの耳に入っているとは思いもよらなかったのだ。

 

「現段階ではまだ様子見だが、これ以上問題が拡大表面化するようであれば手を打たねばならん。各員、それを頭に置いて置いてくれ」

 

「「「「了解」」」」

 

釘を刺し終えたカズヤが解散を告げると、皆敬礼をしてから会議室を出ていった。

 

これで少しくらい裏の問題は下火になるかな?

……そう言えばセリシアにも釘を刺しとかないとな。

 

監獄島の囚人――捕虜となった修道女達を中心としたカルト集団が規模を拡大しているらしいし。

 

そんな事を考えつつもカズヤは千代田や気まずげな顔をしている千歳を伴いつつ、とある場所に向け移動を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

物々しい空気が漂う部屋の中で、裁判官が罪状を読み上げる声だけが朗々と響いていた。

 

 

そう、この部屋では今まさに軍法会議が開かれているのである。

 

「被告人、霧島遥斗元中尉は本件において幾多の命令不服従と独断専行を行い、尚且つスプルート基地を部下達と共に襲撃し輸送機を私的な目的で奪取したものである。間違いはあるかね?」

 

「ありません」

 

千歳の手によって親衛隊の軍籍を抹消されてしまっていた遥斗は、ただの一中尉として軍法会議の被告人席にいた。

 

「では、最後に何か言いたいことは?」

 

「ハッ、では1つだけ」

 

壇上からこちらを見下ろしている裁判官の問い掛けに遥斗はしっかりと答える。

 

「本件における事の発端は私の監督不届きから始まったことであるため、古鷹五十鈴中佐や涼宮明里小尉に対し掛けられている嫌疑、罪科の全てを私が背負うものが妥当であると思われます。また部下達の行動も全て私が指示した命令であり、部下達には一切の責が無いことをここに明言させて頂きます」

 

「……君は自分が今、口にした言葉がどのような結果をもたらすのかを知らぬ訳ではないだろうね?」

 

「全て承知の上で申し上げました」

 

一番高い壇上で重い口を開いた裁判長と被告人席にいる遥斗の視線がぶつかり合う。

 

「よかろう。では古鷹五十鈴中佐と涼宮明里小尉に掛けられている嫌疑及び罪科の全てを霧島遥斗が負うものとする――」

 

「お待ちください!!」

 

「ちょっと待て!!」

 

裁判長の言葉を遮り、異議を申し立てるために隣の待合室から飛び出して来たのは遥斗の後に軍法会議を控えていた古鷹五十鈴中佐と涼宮明里小尉の2人であった。

 

「隊長!!何を勝手な事を言っているんですか!?」

 

「そうだぞ、遥斗!!私達はそんな事を望んではいない!!」

 

「貴様ら、大人しく……グッ!?」

 

「抵抗する……なっ!!さっさと来い!!」

 

「離せ!!隊長!!」

 

「私に触れるな!!遥斗!!」

 

憲兵に取り押さえられ待合室に引き戻されるまでの間、古鷹五十鈴中佐と涼宮明里小尉は遥斗に向かって必死に叫び続けていた。

 

だが、遥斗はそんな2人の姿を1度も見ることは無かった。

 

「……いいのかね?」

 

「続けて下さい」

 

2人の事はいいのか、という問いに遥斗は一瞬瞑目したのち、迷いを振り切るように裁判長に裁判の続行を求めた。

 

「分かった。……では判決を述べる。霧島遥斗を抗命罪により死刑と処する。以上閉廷!!」

 

裁判長の手によって小さな木槌がバンッと降り下ろされたのと同時に遥斗の死刑が確定したのであった。

 

「行くぞ」

 

そして遥斗は憲兵に連れられて法廷を後にした。

 

 

 

「手を出せ」

 

「……なんだ?」

 

少し先にある最後の曲がり角を曲がれば長い直線の廊下があり、そして裁判所の出口があるという所で付き添っていた憲兵により突然、手錠を外された遥斗は戸惑っていた。

 

「このまま進め、外に迎えの看守がいる」

 

「……分かった」

 

疑問をぶつけた所で答えが返ってきそうに無かったため、遥斗は疑問を抱えたまま憲兵の指示に従う。

 

そして、言われたままに廊下を進み曲がり角を曲がった時であった。

 

「……そういうことでしたか」

 

「直接会うのは久し振りだな」

 

「えぇ、お久し振りです。総統閣下」

 

曲がり角の先、直線の廊下の中程に置かれた椅子に1人ポツンと座っているカズヤの姿を視界に捉えた遥斗は憲兵の謎の行動の全てを理解した。

 

「死者がなぁ……出てなければ、もう少し庇いだてすることも出来たんだが」

 

何処と無く緊張感が漂っている中、まず最初に口火を切ったカズヤが悔いるように言葉を漏らした。

 

「いえ、閣下がお気にすることではないかと。私がもう少し上手く事を運べば良かったんです」

 

自身の独断専行の結果、大事な部下を喪った事に対して遥斗がかなりの負い目を感じていると見て取ったカズヤは話題の転換を図った。

 

「……そうだ、副官には礼を言っとけよ」

 

「は?」

 

「彼女が基地の通信設備に細工を施してお前らの通信内容を全周波数に向けて発信していなかったら、千代田の救援も間に合わなかったし、通信を聞いた他の兵士達からの助命嘆願書や減刑願いも集まらなかったんだからな?もっともお前が他の奴等の分まで罪科を背負ったせいで結局は死刑になってしまったが」

 

全くそのままでいれば功罪の相殺で降格処分で済んだものを。とカズヤは独り言のように呟いた。

 

「あぁ、それで……千代田総統補佐官があの場に駆け付けてくれたのですか」

 

ずっと疑問であった事が氷解し遥斗は納得がいったように頷く。

 

「――おっと、そろそろ時間か」

 

幾つかの、亡国の姫君レミナス・コルトレーン・ジェライアスの処遇や、彼女と遥斗との間に交わされた婚約をどうするか等の会話を交わした後、カズヤが時計を見て腰を上げた。

 

「あんまり時間を取れなくて悪かったな」

 

「いえ、最後にこうしてお話出来て光栄でした」

 

「そうか、まぁ、後の事は任せろ。蛇人族の面倒はしっかり見とくから」

 

「よろしくお願いいたします」

 

カズヤの言葉に遥斗は敬礼ではなく、頭を下げた。

 

「じゃあ、最後にこれを渡しておく。……使い所を間違えるなよ?」

 

「これは……」

 

カズヤから手渡された見覚えのあるものと意味深な言葉に遥斗は戸惑いつつも小さく頷いた。

 

「では、お別れだ。あぁ、ちなみに古鷹五十鈴中佐と涼宮明里小尉は本件の罰として監獄島で2ヵ月間の間、看守をやってもらうことになったから」

 

「…………………………えっ?閣下、それは」

 

「なに、お前の最後の2ヶ月間だ。悔いの無いよう過ごせるように手を回してやっておいた。……自分の修羅場は血ヘドの味〜〜♪他人の修羅場は蜜の味〜〜♪」

 

「ちょ、か、閣下!?閣下ァァーー!?」

 

いかにも愉しそうな声色を醸し出し去っていったカズヤを見送った後、遥斗が観念したように裁判所の出口を通ると、そこには見慣れた元部下と元上官の2人の姿があったのだった。

 


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