俺達はヒーローになれなかった。 作:名は体を表す
長い事コミック原作とジャンプを読めない生活に囚われ(現在進行形)やる気が焼失してました。
書きたい事書きます。
『YEAHHH!!!まさかまさかの組み合わせ!第一競技ではとんでもねえ準備の良さで一年全生徒を抑え圧倒的トップに立ち、第二競技でも遺憾無くアイテムの力を発揮した執念の男!誰がこの舞台に立つと予想した!?孤独なサポート科『魂魄 毒模之』!!』
『相対するは一年きっての実力者&お騒がせ男!喧嘩最強は伊達じゃねえコミカルボーイ!『逆撃反打』!!』
「よおサポート科、まさか本選で当たるなんてな。第一競技での借りはのろし付けて返してやる」
「……それを言うなら熨斗だろうが」
「…………そうとも言う!」
「そうとしか言わねえよ」
『改めてルールを確認するぜ!勝負はこのスタジアム中央に陣取るコンクリートジャングル!!障害物だらけのステージでのタイマンバトルだ!相手をブッ倒すか場外に叩き出せば勝ち!無論人死にが出るような攻撃はご法度!クソな試合はNGだぜ!!』
『クソな試合はセメントスとミッドナイトの判断で止めさせてもらう』
『なおこの競技もサポート科は自身が作ったアイテムに限り持ち込み可能だ!実践的なアイテム達に如何に立ち回れるかが鍵だぜAreYouReady!?』
「YHEAAAAAA!!」
「……今発音おかしくなかったか?」
『逆撃の気合は十分の様だ!!いくぜリスナー!試合、開始ィィィ!!!』
「はっはぁ!先手は貰うぜサポート科ァ!」
「……はっ、お前は
『魂魄、早速ポケットから沢山のサポートアイテムを取り出し装着していく!そうはさせるかと逆撃飛び出し突っ込んだぁ!!』
「もしこのステージが平坦で何の障害物も無ければ装備を整える時間も無かっただろうな」
「どぁっ!?クソなんだこのステージちょっと足場わるっすぎねえ!?」
『逆撃無策に突っ込んでボコボコの地面に足を取られて転びかける!まだ何もしてないうちからまさかのピーンチ!』
『馬鹿かアイツ……』
「準備完了だ。障害物走で見ただろ?大抵のヴィランなら拘束できる、『ラバメントボンド』を撃ち出す『特殊グルーガン』。射程距離50m、連射可能、射撃補正付き。都市部なら十分な性能だろう」
『魂魄、容赦なく転びかけの逆撃を狙ってSHOT!SHOT!SHOT!!!当たればそれで勝負ありか!?』
『捕獲系の個性は、大抵の相手であれば当たればそれで終わりの事も多い。誰でも使える捕獲アイテムはヒーロー事務所に必要になる物だ』
「うわちょ!?」
逆撃の右手にラバメントボンドが着弾する。
「射撃補正付きだから腕、脚といった四肢だけを狙って拘束することも可能。地面に倒れれば手脚が地面と一体化して逃げられなくなる」
「何だお前急に饒舌になりよってからに!?」
だが、ラバメントボンドが着弾した事で逆撃の個性が発動する。
着弾した右手で残りのラバメントボンド弾を撃ち返す。
『逆撃!まさかまさかの反撃ィ!!弾丸撃ち返すとか意味分かんねえな!!』
『これは相手が悪かったとしか言えないな魂魄。逆撃反打の個性はあらゆる攻撃に対してカウンターを入れる事が出来る。銃撃だろうが投げ技だろうがな』
『なんだその無茶苦茶な個性は!!?』
「……チッ、恵まれた顔に恵まれた個性、さぞ誰もが持て囃すんだろうな。『お前こそヒーローになるに相応しい』ってな」
「あぁ!?何だ僻みかデブ!ファンサービスの一つも出来ねえ僕がヒーロー向きな訳ねえだろう……が!」
ラバメントボンドを、まるでボクシンググローブの様に右手で握り込む。そして移動の邪魔になっているコンクリートの柱を破壊しながらパルクールの様な動きで魂魄に迫る。
「……そして恵まれた体格に、優れた身のこなし。羨ましい限りだ……だがな」
どんどん迫りくる逆撃に対し、無感動に口を動かす魂魄。そしてポケットから小さな球体を逆撃に向かって投げる。
「蔓延るヴィランも、凡百の偽ヒーローも、お前より優れた体格だろう」
「ん?なんやこれ」
突然放り投げられた球体に対し、思わず両手でキャッチしてしまった逆撃。そしてその瞬間視界が真っ白に染まった。
『なんだぁ!?何が起こったァ!!?』
「『電撃玉』乾電池一本で強力な電気ショックを放つ、特殊グルーガンの効かない相手用の捕獲アイt!?」
逆撃が電撃によって発生した、意図しない筋肉の動きが
「っっづあ”あ”ぁ”痛ぇなクソデブ!電撃は普通にくらうんだよ!!」
「ぐっ……ぶっ!」
「っづだっはっはぁ!ただでさえ醜い顔がよりグチャグチャじゃねえか畜生め!」
暴言を吐きながらも追撃の回し蹴りを魂魄の無防備な腹部に向かって放つ逆撃。
ガァン!と明らかに蹴りで発生するはずの無い音がステージに響く。
そして蹴りを入れたはずの逆撃が足を抑えて怯み、入れられた筈の魂魄が立ち直って再度特殊グルーガンを撃ちながら逆撃から距離を取る。
『なんだぁ!?蹴りを入れた逆撃が足を抑えながらピョンピョン跳ねて弾丸を避けているぞ!』
「『対衝スーツ』!生半可な銃撃や斬撃をはじき返す防護服だ!拳銃やサバイバルナイフ程度じゃ防御は突破出来ない!」
『魂魄、ジャージを脱ぎ捨ててクッソ地味な服を見せつける!ダセー!!』
『性能は防弾チョッキ程度、だがあの上からジャージを着られる程度に薄く、防護範囲も中々広い。下手に近接戦を仕掛けるとあの服の防御力に弾かれる訳だ』
『その防御力は鍛えられた逆撃の蹴り足を逆に痛める程!アイツ見た目以上にヤベエんじゃねえか!?』
『サポートアイテムを作る腕は最初の種目で十分に見てただろうが』
「どうした!?お前はこんな
「っはぁ~~~……テンションアゲアゲじゃねえのデブゥ……!」
再度距離を取った魂魄は辺りに電撃玉をばら撒き、更に特殊グルーガンを撃つ。今度は逆撃を直接狙わず、逆撃の足元の地面を狙って。
『逆撃、魂魄の銃撃に対して今度は見事なタップダァァンス!!』
『逆撃は直接自分に被害を受けるような攻撃には強いが、間接的に受ける被害にはめっぽう弱い。上手くそこをついてるな』
「……って、思うじゃん?」
とん、と逆撃が地面を軽く蹴ったかと思えば、脚が超高速で動き魂魄に近づいていく。
グルーガンの弾が炸裂し、ラバメントボンドが飛び散る……前に次の弾に飛び移り、炸裂する前にさらに次の弾に飛び移る。
ラバメントボンドを詰める為に多少デカくなってるとはいえ。
本物の鉛弾よりも飛ぶ速度が遥かに遅いとはいえ。
火薬によって飛んで行く弾丸を渡っていくなんて理不尽な曲芸はオールマイトにだってできやしない。それをいともたやすく行い、理外の動きで魂魄の顎を蹴り抜く逆撃。
「あらゆる
顎を蹴り抜かれた魂魄は一瞬意識を飛ばすが、自身の
『……な、何が起こったんだぁ!!?今逆撃の奴飛ばなかったか!?』
『……飛んだんじゃない、魂魄が撃った弾を足場にして駆け寄ったんだ』
『なおの事意味分かんねえよ!理不尽な動きすぎんだろ!!!』
「……ぐ、ああ、クソ……理不尽過ぎるだろうが……」
「僕もそう思う。だけどな、この世にゃ幾らでも理不尽なヴィランが居るんだ。だから俺は更なる理不尽でヴィランを捕まえる。僕の”個性”は、言葉通り『僕の個性』だから」
「クソ……クソが……お前みたいな奴には分かんねえだろうよ。俺みたいに顔も性格も個性も、何も持たないヤツの気持ちなんてよ」
「分かるさ」
「っ……!嘘つけ!分かったふりなんてするんじゃねえ!下らねえ同情は要らねえんだ!」
「分かるさ。お前も本気で『ヒーロー』を目指したんだろ?」
「っ!!?」
「一度は誰だって『ヒーロー』に憧れるもんだ。だが本気で目指す奴は少ないし、本気の努力をする奴も更に少ない。僕は
「ふざけるな……!勝手に解かった気になるんじゃねえ……!」
「……お前さ、最初の競技で一位になった時に言ってたよな。『偽物のヒーローの時代は、終わりだ』って。つーことはお前の中できっと、『本物』って奴が居るんじゃねえのか?お前の言う『偽物』ってのはどんなのかは知らないが、お前はお前の中での『本物』ってのに近づく為に努力したんだろ?」
「俺を理解した気になるんじゃねえ……!お前に俺の何が解かる……!」
「……お前はデブだけど動けるデブだ、一度は本気で武術を覚えようとしたってのは分かった。さらに言えばお前の作ったサポートアイテムだって、お前の中の『本物』ってのに近づく為に作ったんじゃねえのか?」
「黙れ……!」
「なんで態々
「黙れ……!」
「っ……!」
まるで底冷えするような、あらゆる負の感情が詰まったかの様な絞り出す声に一歩下がる逆撃。
「ムカつくんだよ……
「ムカつくんだよ……
「ヒーローが何だ……ヴィランが何だ……どいつもこいつも……!」
『セメントス!ミッドナイト!試合を止めろ!!!』
スタジアムは爆炎に包まれた。
爆破オチってサイテー。