俺達はヒーローになれなかった。 作:名は体を表す
「祈っても神は救けに来てはくれません」
「願っても悪魔は救済してくれません」
「地に這いつくばっても敵は容赦などしてくれません」
「だから、貴方が立ち上がって貴方の世界を救うしかないのです」
「へへへ、へへへ、へへへへへ。ねえ、どう思うこの状況」
「不快、実に不快。小道具に頼り切りで、自らの力を過信した者だらけ。ヒーローってモノを勘違いしてやがる。ああ本当に……反吐が出る」
「そうだねえ、こんな遊び半分で来るような奴等なんて勘違いしてるんだろう。自分は特別だって。やれば出来る、なんて言葉を鵜呑みにしちゃったんだろうね」
「弱い、弱い弱い弱い!!!ヒーローとは、勝つ者。相手を打ち倒し、平和を作り上げる者!お前達はヒーローでは無い。お前達は只の弱者だ!弱者なら弱者なりに、家の中で蹲って死ね!!」
瓦礫を持ち上げ、投げる。それだけで人は死んだ。
だが、つい先ほどまで横に居た人間が死んだというのにもかかわらず我武者羅に突っ込んで来る者、手に持った銃を乱射する者、小型の機械を投げる者。その場にいたほとんどの者は怯まず戦いを続けていた。
「不快、不愉快だッ!!力が足りない!!速さが足りない!!知恵が足りない!!何もかもが足りないッ!!!なのに何故立ち向かう!何故生き急ぐ!!」
「へへへ、命を賭ければ勝てる?馬鹿々々しい、そういうのはさぁ……賭ける程に命の価値を高めたヤツだけの特権だよ!」
近づいてきた男を殴る。男は粉々に潰れ死んだ。
遠くで銃を撃つ者に向けて道路標識を投げる。豪速で飛び、そのパワードスーツごと心臓を貫き死んだ。
一瞬で二人死んだにも関わらず、尚戦いを続ける
「こんな世界に生きていたってしょうがない」
それは、あらゆる物を失ってしまった者の声。
「死ぬのは怖い、でも生きていく意味も無い」
それは、自身の意志すら奪われた者の声。
「どうせ死ぬなら、せめて憧れたヒーローらしく死のう」
それは、未来を諦めた者の声。
「へへ、ふざけてる。ふざけてるよなあ?」
「馬鹿にしているのか?ヒーローを、ヒーローの生き様を」
真の英雄は、未来を諦めない。真の英雄は、自らの意志で悪を切り裂く。
それは、決して恐怖によって狂った存在ではない。
そう。真の英雄とは、闇に染まった世界に光を灯す者なのだから。
「……へ、なんだ?空が暗く……?」
「馬鹿な、今は昼間だぞ」
闇に染まった世界に、一条の光が降り注ぐ。
その光は、悪意を切り裂く希望の光。
その光は、恐怖を打ち砕く神秘の光。
そして、その光は、勝利を刻む英雄の光だった。
「ぎ、ぐああああ!!!?」
「が、あああああ!!!?」
一条の光が光線となり、闇に染まった怪物『
「俺は……オールマイトにはなれない。オールマイトの様な、絶対的なヒーローにはなれない」
「あああ、腕が……腕が
「落ち着け……『闇』は再補填できる、腕はすぐに戻せる!」
「俺は平和の象徴にはなれない。俺は、世界を平和にすることが出来ない」
「く……「誰だお前は!!」」
「
真昼だと言うのに薄闇が広がる中、唯一太陽光を浴びてきらきらと輝いている男が其処に居た。
彼の名は、『スポットライト』。
世界を覆う残酷な絶望という闇に、光を灯す
* * * * *
「くはは、おいおい……随分久しぶりじゃないか。なあ『ジャガーノート』」
「……」
「なんだ、昔は事あるごとにギャーギャー騒いでいた口も静かになると、随分と寂しいじゃないか、ええ?暴力しか振るえない様な能無しが、まーまー随分とおとなしくなったもんだよ」
「……黙れ」
「あぁ~ん?」
「口を開くな、加齢臭が臭いんだよ年増。いつ見てもお前の厚化粧は醜いなババア」
「ほ、ほぉ”~う……随分と舐めたクチ聞いてくれるじゃないか……ええ?」
「図星だからってキレんじゃねえよクソババア。お前俺が生まれる前くらいまでは『美魔女』とか自分で名乗ってたんだって?痛々しい事この上ないな。今のお前は誰がどう見ても『白い枯れ木』だ。あー臭い臭い。加齢臭を隠すためにドギツイ香水振り撒いて、何食ってんだか知らないが口を開くたびにドブより臭い汁飛ばしやがって、そんなんで表出て恥ずかしいとは思わないのかね。シワ一本隠すために何時間かけてんだか、無駄な化粧なんぞに時間掛けるよりもっと他の事に時間使った方が有意義だぞ梅干しババア」
「……ああ、分かった。成程成程。そんなにも無様に死にたいのか」
「ここで死ぬのはお前だ要介護ババア。そんな事も理解出来ない程に頭が回ってないのか?それ老化っていうんだぞ知らなかったのか耄碌ババア」
「殺す」
「死ぬのはお前だ。『魔神』」
* * * * *
「んっ……んく……んく……ゲフッ、はぁ……で?まさかとは思うが、お前一人で俺等を相手取るつもりか?」
「WOW!ベリーベリーおバカなヒーロー気取りデース!」
『我々『鬼の四天王』を相手に一人で戦うなんて……それこそオールマイトでも無理な話サ』
「ふふ、こんな世界でやけっぱちになっちゃったかしら?」
「お前達が誰か、なんてそんな事はどうでも良い。ただ僕の目の前でヴィランを名乗った以上、絶対に見逃せないってだけだ。男のお前!明らかにお前僕と同じくらいじゃねえか!未成年飲酒は法律で禁止されています!」
「法律?崩壊した国が決めたルールなんざもう何の意味も無いだろう」
「意味ない事は無い!ルールってのは必要だから有るんだ。秩序無き世界に平和は無い!」
「平和?ならその平和の為に
「不必要だ馬鹿野郎!誰かの犠牲無く、全員が手と手を繋いで世界が回る。困った奴が居るなら、周りの皆が手を差し伸べる。そりゃ中には大変な目にあう奴も居るだろう。だが、そんな奴に皆が進んで助け合えばどうってことは無い!」
「……馬鹿々々しい。理想論ですら無い、子供の空想にも劣る。そんな愚かな考えで俺等の革命を止めると?」
「少し前の世の中は、お前等にとって生き辛い世界だったかもしれない。だからといって全部をブッ壊すようなやり方は間違ってる」
「この世に真の正しさなんて存在しない。なら、俺は俺の中だけの『正義』に則り行動するのみ」
「真の正しさなんて無いかも知れない。だが、真の間違えってのは存在する!」
「それが俺等の行動だとでも?」
「そうだ!世界は可能性に溢れている!世界は無限の未来に満ちている!可能性を、未来を、否定することは間違っている!」
「……はぁ。あー……」
「そうか、成程、理解できた。お前の言葉は、全てが軽い。実感が伴わない。薄っぺらなんだ。だから響かない。だから伝わらない。……だから、守れない」
「軽くて結構!軽ければ、より遠くに言葉が届く!薄くて結構!薄ければ、心の隙間に入り込む!僕は軽くても、薄くても、理想を語り続けよう!」
「……まるで蠅のようにぶんぶんうるさい奴だ。お前等、アレを殺せ」
「理想が響かないってんなら、この拳でダイレクトにハートを震わせる!僕の名を聞けヴィラン共!反撃ヒーロー『フェザーカウンター』が熱いファンサービスを届けてやるよ!」
* * * * *
ひええー……マジで気が付いたら殺し合い上等な世紀末な世界に転生した気分だぜ……辛い。ていうかマジどうなってんの?巨悪さん(仮名称)から逃げるために月面旅行して帰ってきたら日本が……というか世界がブッ壊されてたとか誰が予想できんの?死ぬの?オイラ死ぬの?まだ童貞捨ててないよ?
い、いやおおちおおちちおちおちおちちつけオイラ。まだ、まだチェリーポイチャンスはある筈だ。諦めんなオイラ。そう……この前みたいなリアルダッチワイフ兵士みたいな奴を無力化すればワンチャン……いや、待てよ?あのリアルダッチワイフ兵士は個性産、即ち元の個性を奪えれば……オイラハーレム作れる!?
滾 っ て 来 た 。
ふ、ふふふ。例え数パターンの顔しか作れなくても、オイラの個性に掛かればきっと数億パターンの人形兵団を作る事も……たぶん可能。ならオイラの好みの顔とエロボディの人形兵士数体作ってハーレムも……ありなんじゃな~い!!?
「無し寄りの無しね」
貴様何奴ッ!?
「ようやく見つけたわ。全く……貴方を月面旅行から戻すのに幾つもの運命を犠牲にしたわ」
何だ貴様は、名を名乗れ!
「私の名前は『未知咲 操子』。運命を操る傀儡使い……とでも言っておきましょうか」
こいつはくせえッー!黒歴史のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!こんなイタさには出会ったことがねえほどなァーーーッ!環境で厨二になっただと?ちがうねッ!!こいつは生まれついての闇だッ!
「死にたいのかしら?」
「ごめんなさい。オイラは『小性 昇降』です。撃たないでください」
いいか、人間なぁ……銃には勝てねえ。
いやマジで。個性攻撃なら幾らでもどうとでもなるけど、銃ってお前……。
で、その運命の傀儡使いさんがオイラに何用ですか……銃向けないでお願い。
「そうね……貴方をハーレムの王にする為に来たって言ったら?」
「何でもやります。よろしくお願いいたします」
「変わり身早いわね貴方……」
おま、お前ハーレムの王になれるとかヤバ内?何でもやるわそんなん。
「何でもやる、ね……じゃあやってもらいましょうか。魔王退治を」
「……ひょ?」
魔王退治?え?いつからこの世界はドラ○エになったんすか?
え?マジで?
「祈っても神は救けに来てはくれません」
「願っても悪魔は救済してくれません」
「地に這いつくばっても敵は容赦などしてくれません」
「だから、貴方が立ち上がって貴方の世界を救うしかないのです」
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