俺達はヒーローになれなかった。   作:名は体を表す

9 / 15
とあるヒロアカ二次見てたらふと思いついてしまった。
「お前ここ書きたかっただけだろ」って言うつっこみは聞かないふりをして効くから止めてね。


ヒーローとは選ばれし者でなければならない。

 国立雄英高等学校一年F組サポート科。そこに俺は所属している。ヒーロー科に()()()サポート科に居るのは珍しい、などという言葉は聞き飽きた。

 まあ、確かにサポート科ってのはある意味専門職だ。大抵の場合プロヒーロー向けのアイテムやコスチュームを作るのは当然その才能が必要だ。性格が向いているかどうかも必須事項であろう。そして、得てしてそういう()()()()()()()ってのはヒーロー向き……いや、ハッキリ言って表に出る人間向きでは無い。何故ならヒーローとは高潔な存在でなければならない。時に『マッド』と呼ばれるようなイカレ集団の一員が成れるようなものでは無い。ましてや近年のヒーローとは人気商売であるところが大きい。なおの事『マッド』では爪弾きになるだけだ。

 

 そう。今のヒーローとは人気商売なのだ。顔が良ければ。愛嬌があれば。個性が格好良ければ。……もはやそんな生易しいレベルの話ではない。

 顔が()()()()()()。愛嬌が()()()()。個性が()()()()()()()()。まともなヒーローとして扱われることは無い。ヒーローの本質はそこではないというのに。

 俺はまず間違いなく、この世界の中で下から数えたほうが早い程に顔の出来が良くない。いや、自分の事だからこそハッキリ言って、不細工だ。子供が粘土を捏ねて作った方がマシだとも評される程に。

 そして不細工だ不細工だと幼少の頃からずっと周囲から煙たがられ、排除され、親からもマトモな愛情を注がれずに成長した俺は性格も不細工になった。自分自身これは良くないと思うだけまだマシなのかもしれない。だが自身の性格、こればかりはもはや手の付けようがない程に悪くなり、常に人が嫌う事を思う様になってしまった。

 そんな俺の個性は自身の両腕で抱えられる程度の物体をコンパクトにすることが出来る個性だ。これまたハッキリ言って地味である。便利は便利なのだが。

 そう、以上の要素から俺がヒーローとして()()()要素など何一つ無い。不細工な顔は仮面で隠しても不細工な性格は隠せるものでは無い。そもそも喧嘩に強い訳でもなく、この不細工な性格が誰かを助けたいと心底思う事も無い故にヒーローには向いてないと言わざるを得ない。

 

 だが、それでも。そんな、俺でも。

 真のヒーローとして、笑顔で人を救けるその()()()に憧れてしまったのだから。

 

 だが、現実は憧れた理想とはどこまでもかけ離れていた。

 ヒーローに憧れた幼年の俺は、自身の見た目由来の周囲からの悪意で歪んで育っていった。

 折れて、凹んで、捻じ曲がって、それでも伸びようとした苗は気高い天に届くことなく、歪んだ理想に届いてしまった。

 決定的な瞬間となった出来事は鮮明に覚えている。俺が中学二年生だった時の夏。俺よりも頭が悪く、だが個性が強く派手だった男が率いる集団にリンチされた。切っ掛けは俺のしょうも無い一言だった。

 

「ヒーロー志望が弱い者イジメなんて大した逸話じゃねえか」

 

 その一言がその男の逆鱗に触れ、俺はただでさえ不細工な顔を更に不細工に歪める事になった。その男が『ヴィラン退治』と称した行為は二人から三人、四人、五人と増えていき、最終的に八人程になった時位に教師がのこのこと現れ、その集団を散らすまで続いた。そして実に愉快な事だが、この教師には上記の行為が一般的な()()に見えていたらしい。『喧嘩両成敗』と同義の事を言い、その八人と俺に対して謹慎処分を下した。なんて素晴らしい美談なんだろうか。

 本題は、ここ。この謹慎中に自宅で某動画サイトを見ていた時の事だった。

 動画タイトルは『英雄回帰』内容は、とある男が街頭演説を行っている所を隠し撮りしたのか、荒い画像にブレブレの画面。ハッキリ言って『動画』と称するには不出来すぎる物だったが、街頭演説の内容はほぼ聞き取れた。

 俺はその演説に感銘を受けた。惹かれたと言い換えても良い。それは内容に、というよりもその考え方に、だ。

 

 『ヒーローとは称号でなければならない』

 

 成程、確かにそう在るべきなのだろう。ヒーローとは偉大な称号であり、ヒーローと言う名のパフォーマーは確かに()()と呼ぶに相応しいのかもしれない。

 俺が憧れた英雄(ヒーロー)はオールマイトだった。決して偽物(ヒーロー)ではない、確かな輝きに憧れたのだ。

 そんな英雄(ヒーロー)も生きるためには金が必要だろう。だが、金の為にヒーロー活動をする意味とはいったい何なんだろうか。

 

 テレビを付けてみる、丁度CMが流れている所だ。有名な蛇髪のヒーローがトリートメントのCMに出演している。俺はテレビの電源を落とした。

 目を閉じて思案にふける。先のCMに有名ヒーローを起用する必要など無いだろう。勿論有名人を使う事による広告効果はあるだろう。だが、その有名人が英雄(ヒーロー)である必要は無い。

 オールマイトもよくCMに出演している。むしろCM出演本数はプロヒーローの中でも随一だった。今はだいぶ少なくなっているが。

 オールマイトが本物の英雄(ヒーロー)である事は疑いようもない事実だ。だが他のプロヒーローはどうだろうか。思案にふける。

 オールマイトが何故疑いようもない英雄(ヒーロー)なのか。それはオールマイトが『正義の象徴』だからだ。オールマイトは、その存在だけでヴィランによる犯罪発生率が低下する程に影響力が強い。つまりそこには確かな実績と威光がある。

 つまり、オールマイト程ではないにせよ、その存在がその地域の犯罪発生率の低下に繋がっているヒーローは英雄と言うに相応しいのではないか?

 ヴィランによる犯罪が発生し、現場に駆け付けるヒーローも必要と言えば必要なのだろう。だが、その場合の『ヒーロー』とは、別にヴィランを鎮圧出来るのなら警察でも、自衛隊でも、一般人でも構わないのではないか?思案にふける。

 つまり、英雄(ヒーロー)とは正に『象徴』として輝ける存在にこそ相応しい称号である。ならば、どうすれば偽物(ヒーロー)を排除できるか。仮にこの偽物を殺したとする。ただ殺しただけでは、その偽物が居た地域にヴィランが出没した場合に対応できる人間が減り、徒に被害が拡大するだけだ。思案する。

 思案する。

 思案する。

 

 ……ならば、社会のシステムを利用するのはどうだろうか。

 

 それが、俺が雄英のサポート科に居る理由だ。余りにも不純な動機だろう。

 

「親がサポート会社に勤めてて……」

 

 跡継ぎか、偉いね。

 

「モノづくりに興味があって……」

 

 趣味の延長か、良いんじゃないかな。

 

「好きなヒーローのコスチュームが作りたいから……」

 

 好きこそものの……と言うだろう。

 

 どいつもこいつも、希望で生きて来れて大変宜しい。

 

 だから、どうした。

 

 俺は醜く、歪んで、折れて、捻じ曲がって。それでも抱いた理想は綺麗なものでは無かった。

 

 だから、なんだ。

 

 『英雄回帰』なるほど素晴らしい。ヒーローとは、英雄とは、気高く、強く、美しくなければならない。それは少なくとも、俺の様な無様で醜い者が成ってよいものでは無いのだから。

 

 それは、執念。いびつに捻じ曲がった俺が、正しき社会の為に奉仕する活動。

 

 偽物は淘汰されるべきであり、淘汰されなかった者それこそが本物である証拠なのだから。

 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 

 雄英体育祭。スポーツの祭典だのなんだの言われているが、結局ソレを楽しむことが出来る者は一握りだ。具体的に言えば、ヒーロー科。

 それ以外はすべからくヒーロー科を立てるための踏み台、背景。経験値にすらならない、顔すら覚えられないモブ以下の役割しか与えられない。与えられない筈だった。

 

「さて、運命の第一種目!!今年は……コレ!障害物競走!!コースはこのスタジアムの外周約4㎞!わが校は自由さが売り文句!ウフフフ……コースさえ守れば何をしたって構わないわ!」

 

 何をしたって……ね。今までの体育祭の傾向から、この手の競争が第一種目である事は予想がついていた。そして、この競争は公平という名の不平等で出来ているのも、また予想がついていた。

 何故ならこれは雄英体育祭。ヒーローの卵こそが主役であり、それ以外の異物が卵を差し置いて目立ってはいけないのだから。

 

 ()()()()()

 

 ここで俺がヒーロー科を差し置いて勝利することが正しき社会への一歩となる。そして……

 

「さあさあ位置に着きまくりなさい……」

 

 正しき社会へ変えるのに自身が正しくある必要などない。

 消灯を始めるスタートランプ。三つ有るうちの一つが消えた。

 

 二つ目が消える直前に駆け出した。

 

「「「な、なぁッッ!!?」」」

 

 先頭で待機していた顔も知らぬヒーロー科の面々が声を上げる。

 

『ちょっ!?待ちなさい!!』

 

 拡声器で声を荒げる主審の先生。だが自身で言ったはずだ。

 

『コースさえ守れば何をしたって構わない!!』

 

 俺もまた隠し持っていた拡声器で返答する。当然、俺の言葉の意味する事を理解できた者が驚愕の表情に変わっていく。

 

「っ、クソッ!よりによってヒーロー科以外に先を越されるとはッ」

 

 髪が紅白に分けられた男子生徒が他の生徒よりも早く動き出した。未だにランプは二つ目が消灯したばかりだ。

 そしてその紅白髪に釣られるように他の生徒も動き出す。

 

『待っ……ああもう!!』

『おぉぉっと!?さあ実況をって思ったところまさかまさかのフライングスタートォ!?流石に前代未聞だぞ!!?』

『なんで俺が実況席に……』

 

 もう、スタートランプを気にする奴は居ない。これで俺の行動は咎められない。咎められるべきではない。何故ならまだスタートランプは全部消えていないのに、既にヒーロー科の面々は全員スタートを切ってしまっているから。故に、咎めるとしたら当然、全員。だが、ルール無用を言い渡したのは他でもない主審。それを逆手に取る事を悪いと言える訳も無い。

 そして、俺の罠はまだ続く。俺を除いた先頭集団は全員俺の背中を見ている。当然だ、秒も無い程度の猶予だが、それでも先んじて駆け出したのだ。当然競争という形から、自身より前を走る人間の事を意識しない訳が無い。それが、付け入る隙。

 駆けながら自身の個性によって縮小されていた自作のアイテムを上に撃ち出す。

 

 ボシュッ。とマヌケな火薬音を出しながら、個性の効果範囲外に出たモノは、作ろうと思えば誰にでも作れる程度のシンプルなモノであり、個人で作るには些か物騒なモノだった。

 ヒュルヒュルと音を立てながら元の大きさに戻っていくモノをつい目で追ってしまうのは仕方ない。知能ある生物の当然な反応だろう。俺の背中を追っていた先頭集団も、未だにスタート姿勢にすら入ってなかった後方集団も、スタジアムで観戦していたプロヒーローも、この学校の教師も。其処に居る全員がソレを見ていた。注視していた。

 

 

ポッ

 

 

 音にするなら、それだけ。たったそれだけで、スタジアムに居た人間全ての目を焼いた。

 スタジアムに響く悲鳴、叫声。阿鼻叫喚の騒ぎ。

 何が起こるか、注意深く観察していた者ほど深いダメージを負った。

 

『なぁぁんとまさかまさかの閃光弾んんん~~~!??これには一年生徒どころか観客も教師も全員KO~ッ!!』

 

 例外が居た。普段からずっとサングラスを付けている英語教師だ。だが、それだけ。別に競技の邪魔になる訳でもない。振り向けば、先頭集団も、後方集団も、全員が地面に蹲って呻いている。さあ、仕上げに掛かろう。

 

 

 

 

 

「ぐぅっ、クッソッ!!」

 

 思わず悪態を付く。なんて、無様。あんな見え見えの目潰しに引っかかってしまった事に憤りを覚えるが、それ以上に……

 

(あの、デブ……やりやがったな……)

 

 巨漢、と言うには身長が足りぬ。だが、足りぬ身長以上に横にデカい姿はぽっちゃりと濁す事は出来ない程にデブの姿だった。

 明滅する視界を何とかほぐしながら、ふらふらと立ち上がる。

 

(同じ組の奴ならまだしも、他の……それも、()()()()()()()にいいようにされるとはな……)

 

 サポート科は、自身が開発したアイテムを持ち込むことが出来る。その事を知識としては知っていても、まさかここまで直接的な行動に出るとは思いもよらなかった。

 

(いや、それ以前に……)

 

 あのデブは、スタートの合図が出る前に走り出した。それ自体が良いことか悪い事かは置いて、その決断力に慄く。

 

(結果からすれば、無理が道理となり、俺達を簡単に出し抜いた)

 

 走り出しの速さから、自身が本気で追えばあっという間に追い抜けられる程度の速度だった。

 だが、その『あっ』という間に図られた策で、もうその背も見えない程に遠くに行ってしまった。

 

(……待て、()()()()?)

 

 競技の開始前に見えたスタートゲートの長さとあのデブの走る速さから予測して、まだスタジアム出口付近に居る筈なのにその姿が見えない。まだ視界が回復しきっていない事を鑑みても、異常に思えた。

 いや、その姿だけじゃなかった。

 

「……出口が、無い……?」

 

 スタートゲートと、スタジアムの外を繋ぐ大きな(それでも一度に大勢は通れない程度の大きさの)ゲートは、ゴム質でありながらコンクリートの様な硬さを持つ物質で遮られていた。

 

『なぁぁぁんと!!?サポート科の……あー、誰だ?とにかく、独走状態のサポート科ボーイはコース唯一の出口をなんかよく分かんねえモンで塞いじまったあああああ!!!』

『っ、目が……。奴は……サポート科F組、魂魄(こんぱく) 毒模之(ともの)。ヒーロー科の試験を受けたようだが落ちたようだな。それと……一ヶ月に満たない内に自作のサポートアイテムを何十と作成しているようだ』

『マジかよ!?ってかイレイザーお前なんでンな事知ってんだ!?』

『手元に生徒全員分の資料がある』

『マジかよ!?お前意外とマメだったんだな!』

『(明らかに魂魄のサポートアイテムは競技妨害にぴったりだ。奴は何を狙っている……?)』

『魂魄毒模之!既に最初の関門に差し掛かってるぜ!お前等ぁ!何時までスタジアムでゴロゴロしてるつもりだぁ!?』

 

「っクソ!()()()()()()()()()()()()()()なら、コースの上、客席を通る!」

 

 氷の個性を発動、スタジアムから客席までを氷の橋で繋ぎ、客席の椅子を踏み越えていく。当然、客席に居たヒーロー達はわあわあと叫びながら避けるように押し合っていたが、避けるのを待っている時間すら惜しい。たらたらと動くヒーロー達を飛び越えるように移動し、客席から更に上、スタジアムの屋根まで氷の柱を伸ばし、屋根を飛び越え滑り落ちるようにコースに戻っていく……だが。

 

『オイオイオイ!?魂魄の奴、更にサポートアイテムを取り出したぁ!!?』

『魂魄は両手で抱えられる程度の大きさの物をかなり小さくして持ち運び出来るようだ。便利と言えば便利だが、強い個性かと言われるとそうじゃない。事前の準備がモノを言う個性だな』

『まるで四次元ポケットみてえだな!!そうこう言ってるうちに魂魄は取り出したサポートアイテムを装着した!!なんだありゃぁ!?』

『脚部に装着するもののようだ。動作を見る限り走る速さをかなり上げる事が出来るようだな』

『パワードスーツって奴だな!それにしてもすげえ速さだ!早過ぎてカメラロボでも捉え切れてねえぞ!!?』

『既に第二関門入口まで来たぞ』

『魂魄ぅ!?ちょっとは他の奴に遠慮してぇ!!!他のヤツまだスタジアムから脱出してねーから!!?』

 

「くっ、早過ぎる……!」

 

 負けるのか?ヒーロー科でもない、サポート科程度に?

 

「っ!」

 

 認められるか、認められるか。俺は右だけで勝つって決めたんだ。あのクソ親父を否定するために!

 

『な、何だぁ!?魂魄のヤツ、飛んだぁ!!?』

『飛んだというか、跳ねたに近いな。脚部のアイテムがジャンプ力を強化しているみたいだな』

『飛んだ上にムササビみてーに滑空してくぞ!?なんだありゃぁ!?』

『どうやらハンググライダーを改造したモノの様だ。エンジンの様な物を付けて無風状態でもある程度飛べるようになってる』

『第二関門、ザ・フォールがほとんど無視されたあああ!!?』

『準備が良い奴だ。コースは守ってる。このままだと魂魄の一人勝ちだぞ?』

 

 負ける、負ける?ふざけるな。ふざけるな!

 

「フザケんじゃねえクソモブがああああああああ!!!」「!?」

 

 後ろから爆音を鳴り響かせながら追いかけてくる。

 

「俺が!完膚なきまでの一位を取るんだよ!誰でもねえ、この俺だあああああ!!!」

 

 そうだ。こんな無様に負けるなんてごめんだ。早く、速く、疾く!!

 

『ここでヒーロー科A組の二人が漸く第一関門!急げお前等!サポート科に負けたらヒーローの名折れだぞ!』

「うらああああああああ!!!」

「っ!こい、つ……!」

 

 爆風で体勢を崩しかける。だがコイツは俺を見ていない。ただ我武者羅に追いつこうと必死になってる。

 

 

 だが、現実は俺等の努力、俺等の思い、俺等の魂を踏みにじっていく。

 

『魂魄!もう最終関門に着いちまった!頼む足止めしてくれ!一面地雷原!怒りのアフガンだあああ!!』

『魂魄の奴また飛んだぞ』

『分かってたよチクショウ!!魂魄お願いだから他の奴に見せ場を残してくれ!!』

 

 嘲笑うように

 

 蔑むように

 

 全てを薙ぎ払うように

 

 

 

 ただ、公平な結果だけが残った。

 

『ああ……。魂魄、普通にゴールしやがった……』

『私情挟み過ぎだろ』

『だけど見てみろよイレイザー!スタジアムには未だにスタートを切れてない生徒だらけだぞ!』

『魂魄一人にいいようにやられ過ぎだ。閉じられたスタートゲートを通らなきゃいけないなんて決まりは無い。通れないと判断したんなら他の出口にすぐに向かえばまだ可能性はあっただろう』

『いや、そりゃそうかもしんないけどよ……『コースさえ守れば』なんて言われてるんだから躊躇するだろ普通』

『魂魄のフライングスタート。そして大声でルールの再確認をすることで他の奴等のフライングを誘発。ほぼ全員の注目を集めてからの閃光弾。そしてトドメの出口封鎖。もはやルールはほぼ機能してない、混沌とした状況の中で自分の中の『普通』ってモノに準じる事に何の意味がある?必要なのは的確な判断を下す決断力だ。少し遅かったが、現に二人スタジアムから脱出してるだろ』

『おおう、愕然としてる生徒達にキツイ一言だぞそれ……』

『ヒーローとして活動するなら状況の把握と決断は一瞬でしろ』

 

 負けた。

 

 

 ヒーロー科ですらない

 

 サポート科の、それもあんなデブに

 

 負け……た……。

 

 

 

 

 愕然とした表情の、力の無い無数の瞳が俺を貫く。

 俺は懐から、拡声器を取り出した。

 

 マイクチェック。ワン、ツー。

 

『俺は』

 

 大きな声がスタジアム中に響く。

 

『俺は、ハッキリ言って運動能力に自信は無い』

 

『俺は、ハッキリ言って戦闘能力に自信は無い』

 

『だが、それでも俺はこうして一位を取った』

 

『何故一位を取れたか?決まっている。誰もが解りきった答えだ』

 

『サポートアイテム。俺は只の小道具の力を使っただけでこの競争を勝ち抜いた』

 

『毎日鍛えられ、ヒーローの卵と持て囃されている奴等を抑えて、な』

 

『俺は』

 

 

 一息、ついた。勿体ぶる様に、ついた。

 

 

『俺は、この結果を順当なモノだと思っている』

 

『俺程度の身体能力でも、車並の速さで駆ける事が出来、超人の様に高く飛べる「パワーレッグ」』

 

『ある程度の高さを自在に飛び回れる「エンジングライダー」』

 

『ゴムとセメントの性質を持った、どんな力強い相手でも一瞬で拘束できる「ラバメントボンド」』

 

()()()()のアイテムなら幾らでも量産できる。』

 

()()()()の成果なら俺じゃなくても、他の誰でも、子供でも、誰でもだ』

 

『いいか?良く聞けよ量産型の凡人ヒーロー共』

 

『無能で、うだつの上がらない、クズヒーロー共』

 

 息を、大きく吸い込んだ。次の言葉をハッキリ、大きく、テレビ越しにでもしっかり届くように。

 

 

『偽物のヒーローの時代は、終わりだ』

 

 

 このサポートアイテムが量産され出回れば、あらゆる凡人が個性を使わずとも量産型(にせもの)ヒーロー程度の活躍が出来るようになる。量産型(にせもの)が増えれば増えるほど、量産型(にせもの)同士で活躍の取り合いが起きる。当然だ。何故ならただでさえ雑多なヒーロー社会、既に多くの量産型(にせもの)ヒーローが蔓延り、活躍の場を奪い合っている。既にパイは限界以上に分けられている。それ以上分けることは無理なのだから、当然パイの奪い合いが始まる。

 そして当然、弱い者は淘汰されていく。生きるのには必ず金が必要だが、奪い合って得た僅かなパイ()でヒーロー活動を続けられるだろうか?否、不可能だ。

 

 そんな中、生き延びれるヒーローこそが真の正しき社会に必要な、確かな実力を持った英雄と呼ばれるヒーローになる。

 

 種は撒いた。肥料を撒いたり、水をやったりする必要はあるかもしれないが、もう後は収穫を待つだけなのだから。

 

 せめて、多くの英雄が残る事を祈ろう。少なくとも、今、俺に敵意の目を向けている者の数だけでも。

 

 

 これは、ヒーローが真の英雄になる為の、序章に過ぎない。そんな、物語。

 





 原作キャラ不在とか言うタグ乗せてる癖に平然とキャラ描写している小説があるらしいっすよ。



 私だ。



魂魄(こんぱく) 毒模之(ともの)

15歳 男

個性:コンパクト

 物体を小さくすることが出来る。小さくできる物の大きさ限界は大体両手で抱えられる位の大きさまで。縮小率は1%くらい。
 地頭は良いが、顔が悪い。デブ。ハッキリ言って異形型以上に異形。
 執念で雄英サポート科に入学。ヒーロー科を受けたのは体育祭の対策を練る為。体育祭が基本ヒーロー科基準で行われる以上、ヒーロー科最低限のレベルを測る為に実技試験に挑む。



原作は崩壊させるもの。俺はとある二次小説でそう学んだ(嘘
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。