前世で見れなかった物語の続きを   作:マジンガーD

4 / 28
今回のサブタイトルは意味がわからないと思いますが、読んでいただけたら解ります。



くまだもん

秋の気配がする10月半ば、最近の俺は子供の教育方針の事で毎日、頭を悩ませていた。

もちろん子供というのは、いろはちゃんの事である。

何を悩んでいるのかというと彼女のコミュニケーション能力に関してだ。

俺との関係については良くなっているというか、良くなり過ぎているのだが、他の子達との関係は決して良いとは言えない。

 

このままの状態で高校生になってしまうと、この物語は“ボッチのボッチによるボッチのための高校生活”と、比企谷君といろはちゃんの2大ボッチによるボッチ主義の基礎を作るためのボッチ物語になってしまう。

 

それに物語の続きを見るという俺のルーツがこのままでは達成出来なくなってしまうのだ。

 

ただ『最近のお前は目的の事忘れていただろう!』と言われると、それを否定する事はできない。

だって、いろはちゃんがカワイイんだもん!

 

おい、そこー!ロリコンじゃないからね!!

 

 

そうやって、彼女の事で頭を悩ませる日々を過ごしていると、ある事件が起きてしまう。

 

その日は日曜日で、俺は日課になったトレーニングと素振りをするためにマンションの前で準備運動をしていた。

 

「おにいちゃん、おはよぅ」

 

「おはよう、いろはちゃん」

 

熊のぬいぐるみを抱いたいろはちゃんが、マンションから出てきた。

 

彼女が抱いている熊のぬいぐるみは、夏休みに帰省した際に彼女へのお土産として俺が買ってきた物だ。

この熊のキャラクターは福岡県の隣の県のゆるキャラで、名前を“くまだもん”いう人気のキャラクターだ。

 

「きょうも、おにいちゃんのすぶり、みてていぃ?」

 

「良いけど、見ててもつまんないでしょ?」

 

「つまんなくないよ、おにいちゃんといっしょにいれるから♪」

 

(ズキューン)

 

「なんですか口説いてるんですか、ごめんなさい。ボクシングなら失神KOなんですが、落ちたら法律的に負けなんで、無理です。」

 

「もぉ!また、へんてこなこといってるぅー」

 

「ごめん、ごめん。素振りはトレーニングをした後にするから家の中で待ってて、迎えにいくから。」

 

「うん、わかった」

 

彼女と別れ、トレーニングを開始した。

 

 

~2時間後~

 

マンションに戻り、家の中から竹刀を持ち出して、いろはちゃんの家のドアの前までやって来た。

 

〈ピンポーン〉

 

チャイムを鳴らすと、いろはママがドアを開けてくれた。

 

「おはようございます、いろはちゃんを迎えに来ました。」

 

「おはよう、録くん。いろはちゃんは、待ちきれなくって20分ぐらい前に公園に出かけちゃったのよ。」

 

「わかりました、急いで行ってみます。」

 

「録くん、いろはちゃんの事よろしくね。」

 

「はい、任せて下さい」

 

そう言って、マンション近くの公園までの道程を駆けて行く。

 

 

「うぇーーーん!」

 

公園の入り口付近まで来ていた俺の耳に、女の子の泣き声が聞こえてきた。

 

慌てて公園の中に入って行くと、そこには頭が転がっていた。

 

“くまだもん”の頭が転がっていたのだ。

 

 

その先に目を向けると、いろはちゃんが高学年ぐらいの男子4人と向かい合って泣いている。

 

急いで彼女のもとに走る。

 

「うぇーーーん、おにぃちゃーーん。」

 

「いろはちゃん、大丈夫!?」

 

俺は怪我が無いかを確認していくが彼女自身は無事なようだ。

 

「”くまだもん“が・・・、おにぃちゃんがくれた“くまだもん”が・・・。」

 

「よしよし・・・、大丈夫だから。」

 

彼女の頭に右手を置き、撫でた後、竹刀を持った左手を使って優しく抱きしめる。

 

そうしていると後ろから声が掛けられた。

 

「“くまだもん”を渡さなかった、こいつが悪いんだ。」

 

「「「そうだ」」」

 

「せっかく貰ってやるって言っ、グハァ。」

 

持っていた竹刀を横に投げて、俺はリーダー格の少年を殴った。

 

「テ、テメェ、何しや、ガハァ」

 

彼女の泣き顔を見た俺は、怒っていた。

 

彼女の泣いた声を聞いた俺は、我慢が出来なかった。

 

彼女の震える体に触れた瞬間、この女の子を守るんだと、心に誓った。

 

 

リーダー格の少年だけに執拗に挑んでいた俺に他の3人が殴りかかってきた。

4対1の不利な戦いになったのだが、俺は折れる事なくリーダー格の少年だけに挑み続ける。

彼が泣き顔になり戦線を離脱したくらいからは、よく覚えていない。

気付くと仰向けに倒れ、視界一杯に空が広がっていた。

 

「さすがにこの体では、上級生4人は無理だったか、転生特典に身体チートでも貰っておけばよかったな。」

 

と乾いた笑みを浮かべ呟く。

 

「おにぃちゃん、・・・グスン。」

 

涙声のする方に視線を送るといろはちゃんが心配そうにこちらを見ていた。

 

「心配かけてごめんね、いろはちゃんは大丈夫?」

 

「うん。・・・でも、“くまだもん”が」

 

「そうだね。“くまだもん”を早く治してあげないとね。」

 

「なおるの?」

 

「治るから安心していいよ。それじゃあ、お家に帰ろう。」

 

俺は左手を差し出す。

 

(ギュッ)

 

彼女の温もりが俺の冷えた心を暖めてくれる。

 

彼女の温もりが俺の傷んだ体を癒してくれる。

 

彼女の温もりが・・・・・。

 

 

最近の俺は子供の教育方針で毎日、頭を悩ませている。

 

子供というのは、一色いろはの事である。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。