この素晴らしい世界に史上最強の弟子と風を斬る羽を!   作:1人多国籍軍

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第2話

「……そうですか。やっぱり僕達は……」

 

「……」

 

 

 暫くの間、2人は己の未熟さに肩を震わせ、もう二度と家族や師匠、友に会えないのだという事実に涙を流した。

 

 

「……すいません、取り乱してしまいまして」

 

「大丈夫ですよ。それが当然の反応ですから」

 

「ありがとうございます。えっと、貴女は一体……?」

 

「私はエリス。貴方達を導く女神です」

 

 

 エリスと名乗った女性は、自らを女神と言った。普通なら信じ難い話だが、2人は自分の死をハッキリと記憶しているのですんなりと事実として受け入れることができた。

 

 

 

「女神様ですか……」

 

「はい。……さて、若くして亡くなった貴方達には、幾つかの選択肢を選んでいただかなければなりません」

 

「選択肢ですか?」

 

「はい。まず一つは元いた世界……日本ですね。日本に記憶を失って転生する。二つ目は天国に行く。最後は、元いた世界とは全く違う世界に記憶と肉体はそのままに転生する。選択肢はこの三つです」

 

 

 エリスが提示した選択肢を聴いて、2人は顔を見合わせる。

 

 

「美羽さん、三つ目にしましょう」

 

「兼一さん……」

 

「確かに皆にもう会えないのは悲しいです。でも、記憶を失って日本に生まれ変わったら、今まで師匠達から授かった武も、僕達の繋がりも無くなってしまうんですよ!」

 

「それは……絶対に嫌ですわ……」

 

「決まったようですね」

 

「はい」

 

 

 2人の息が合った返事を聞き、エリスは満足そうに優しく微笑んだ。

 

 

「ありがとうございます。ではその世界について詳しく説明させていただきます。その世界は簡潔に言うと剣と魔法の世界です。モンスターや亜人が普通に存在し、人々は魔王率いる魔王軍との戦争で現在劣勢です。魔王は世界征服を目論み、人々を蹂躙しています。魔王軍によって殺されてしまった人々の殆どが、もうあんな死に方は嫌だとその世界への転生を拒否してしまうんです。このままでは、その世界に子供が産まれなくなり、遠からず人類は滅びてしまいます」

 

「酷い……」

 

「許せませんわ!」

 

「そこで、別の世界で亡くなってしまった人達をその世界に転生させるのはどうか。という事になったのです」

 

 

 2人は人を生かし、守る『活人拳』の武術家だ。そして力を持つ者の責務として、長老と同じ世直しの旅を行っていた。

 

 

「是非、その世界に転生させてください」

 

「そうですわ。異界の地にて人助けをする……これこそが先に逝ってしまった私達ができる償いですわ!」

 

「はい!」

 

「ふふっ……貴方達ならばそう言ってくれると信じていました。では、転生するにあたって、その世界の言語と文字は自動的に習得されます。更に、何でも一つだけ持っていける権利を差し上げます。本当に何でも構いません。膨大な魔力でも、途轍もない才能を持っていくことも可能です」

 

「えっ!?」

 

 

 師匠にも敵にも、様々な人から『才能が無い』と言われ続けたまま達人になった兼一。駄目だとは分かっていても、才能が手に入ると聞いて少しだけ心が揺らいだ。

 

 

「兼一さん?」

 

「うっ……すいません何でもないです」

 

「武人の誇りですね……素晴らしいです。では、通常の修行では引き出すことのできない『潜在能力』を限界以上に引き出すというのはどうでしょう?」

 

「まあ、それなら……お爺様も許して下さると思いますわ」

 

「ですね!」

 

「では……準備は整いました」

 

 

 2人の足元に魔法陣が出現する。

 

 

「さあ、勇者よ!願わくば、数多の勇者候補達の中から、貴方達が魔王を打ち倒すことを祈っています!魔王を倒した暁には、貴方達の望みを一つだけ叶えて差し上げます!……さあ、今こそ旅立ちなさい!」

 

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