魔法少女と異世界の暗殺者   作:繊月紅

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さてさて今回は前半が若干説教じみたお話になります。
一応自分で考えれる範囲内でSEKKYOUにならぬ様書きましたが、
まぁ多分大丈夫だと思います…多分…。

誤字脱字・文脈の不自然な所があればご報告お願いいたします。


─第九話─[高町家の苦悩…ですか?]

 

 

 

 

 

 

────八束神社・境内────

 

 

 

 

 

 

「は? 暫く模擬戦を中止する…?」

 

 

あの夜の出来事以来、私と青年『高町 恭也』『高町 士郎』の三人は、

この八束神社の林の中で一週間に二~三回の割合で模擬戦を繰り返していた。

そんなある日の夜、神社の境内で休憩している所に恭也が来てそう言葉にしたのだ。

彼らと模擬戦をするようになってもう一年程になるが、

こんな事を言われたのは初めてのことで少し戸惑っていた。

 

 

「あぁ…、実は父さんが仕事で大怪我を負って…な。

 俺と美由希で父さんの看病と、暫く母さんの店を手伝う事になった」

 

「ふーん…、あの士郎さんが大怪我…ねぇ。

 ボディーガードの仕事をしてるって聞いてたけど、

 一体全体どうやったら士郎さんが大怪我するほどの事態になるのよ?」

 

 

恭也は士郎が大怪我をした経緯をある程度掻い摘んで話してくれた。

それによるとどうも、ボディーガードの仕事中に爆破テロに巻き込まれてしまったとのこと。

かなり至近距離で爆風を受けたらしく、現在は意識不明で全身に包帯が巻かれているらしい。

 

 

「なるほどね、別に恭也達を狙ったテロじゃないんでしょ?」

 

「あぁ、それはまず無い」

 

「そっか、なら安心かなぁ…」

 

 

恭也の言葉に頷きながら答える私は、ふと前に聞いた高町家の家族について思い出してた。

たしかはやてと同い年の娘がいるんじゃなかったか?

恭也のお母さんはお店がある訳だから面倒みれないだろうし、

美由希さんと言う名前の娘さんと恭也は朝から夕方まで学校に行って、

その後は士郎さんの看病とお店の手伝い…。

 

もしかしてこれ末っ子のその子…家に放置なんじゃないか?

まぁ放置って訳じゃないだろうけど…、一応恭也に確認してみるか。

 

 

「で、それはいいんだけど末っ子はどうするの? たしかなのはちゃんだっけ?」

 

「む…、なのはの事か。 なのはは素直で良い子だから、

 俺たちがいない間の留守番もしっかりできるだろう?」

 

「…いや、いやいやいやいや…恭也それ本気で言ってんの?

 いくらなのはちゃんが素直で良い子だからって一人で留守番とか何考えてんの?

 その歳の子供には家族なり、信頼できる人なりの愛情は必要だよ。

 なのにたった一人で留守番させるとか…、アンタ達は家族の事を何も考えてない!」

 

「…確かにアオイの言う通りだとは思う、だがそれなら俺たちはどうすればいいんだ!

 俺や美由希には学校もありそれが終われば其々看病と店の手伝いがある。

 母さんはようやく軌道に乗った店があるからそこから離れる事はできない…。

 この状況で俺たちは一体どうすればいいと言うんだアオイ!」

 

 

今の恭也達には突然起きた出来事にじっくり考えれるほど余裕なんてないだろう。

実際に私たち八神家も、同じような出来事を経験しているからそれは分かる。

高町家とは状況は違うといえば違うがそれでも…、まずはやるべき事が違うでしょうが。

 

 

「やりようはいくらでもあるでじゃない、暫くの間二人とも学校を休学するとかさ。

 それは出来ないって言うなら…、自分たちが頼りにしてる人、信用できる人を頼りなよ!」

 

 

私の発言に恭也は呆然とし、言葉の意味を理解しようとしている。

 

そう、方法はいくらでもあるのだ…。

私たちがグレアムさんや弁護士の宇喜多さんに助けてもらったみたいに。

 

学校があるなら休学すればいい、もしくは暫く休むと連絡をいれてもいいはずだ。

そうすればどちらかがなのはちゃんの面倒を見て、もう一人がお店の手伝いができる。

なのはちゃんの面倒を見ながら二人で士郎さんのお見舞いと看病もすればいい。

なんだったらなのはちゃんに看病を少し手伝ってもらうのも出来るはずだ。

 

 

「守るべき人を守るのが御神の剣士だって言うんだったら、

 まずは自分が出来る事を全部考えついてから行動しなよ…。

 士郎さんが大怪我してみんなが冷静じゃないのは分かるけど…、

 少し冷静に考えればいくらでもいい案が出てくるよ?」

 

「…すまなかったアオイ、…どうやら俺たちは自分達が思ったより冷静じゃなかったらしい。

 これじゃ御神の剣士としてまだまだだって父さんにも呆れられる…な」

 

 

冷静に状況を考えれるようになった恭也の言葉に、私も頭に登った血を下げる。

なんで恭也に私はこうも喧嘩腰で話してるんだと反省した…。

 

 

「気にしなくていいよ、私も少し言いすぎた…。

 恭也達が家族の事を大切に思ってるのは知ってるのにあのいい方は無かったね…」

 

「いや、アオイがそうやって忠告してくれなければ、…俺は道を間違えてただろう。

 俺だけじゃない、美由希も母さんもきっと後悔するはずだ…」

 

 

お互いに俯きながらそう呟き、暫くして二人そろって苦笑した。

 

 

「…暫くはアオイの言う通り、学校を休むなりしてやってみようと思う。

 もちろんずっとは学校を休むのは無理だと思うが…、

 その時はアオイ、お前を頼ってもいいか…?」

 

 

恭也の言葉に私は頷きながら言葉を返す。

 

 

「別に構わないよ、なんだったらお店の方でも手伝おうか?」

 

「あぁ、だが暫くは俺たち家族だけでやれるとこまでやってみるさ。

 それでもどうしようもない時だけ…、アオイを頼らせてもらう」

 

「そ…、ならさっさと家に帰って実行に移してきなよ。

 …私は次の模擬戦までに力をつけさせてもらうからさ」

 

 

恭也は私の言葉を聞いた後、顔に笑みを浮かべながら神社から去っていった。

 

 

 

恭也を見送った後一人ポツンと神社に残った私は、青く澄んだ空を眺めながらボーッとしている。

ふと足元に気配を感じてそちらに視線を向けると何時ぞやの子狐がこちらを見つめていたいた。

 

 

「…ん、あの時の子狐かな? 私の顔をみてどした?」

 

「…クゥ?」

 

 

私の言葉に首を傾げる子狐をみて少し苦笑する。

それから子狐が私の座る隣に丸まって日向ぼっこをし始めたのを見て、

私もゴロンと横になって青く澄んだ空を再び見始めながら思考に没頭する。

 

…恭也はきっともう大丈夫だろう。

士郎さんの怪我の完治がどれぐらい時間がかかるか分からないが、

帰る前に見せた恭也のあの顔を見れば大丈夫だと確信する。

 

しかしあの私の態度というか言動は正直ダメだ。

冷静に考えれていない相手に、あんな言動で諭そうとしても普通なら失敗に終わる。

今回は相手が恭也だったので問題はないと言えばないのだが、私自身がもっと冷静になるべきだったな。

 

どうも幼女化して以来、精神が身体に引っ張られているというか、

元の世界よりも微妙に感情的になったりしているのがネックになっている。

故になるべくそういう事がないようにはしているのだが…。

まぁこればかりはどう頑張っても無理なのだろうなと勝手に自己完結する。

 

 

 

その後、恭也達との模擬戦が中止になったためする事がなくなった私は、

空が夕暮れに染まる時間まで、傍に丸まってる子狐と一緒に神社で寝っ転がっていた。

 

 

 

 

 

 

────喫茶『翠屋』店内────

 

 

 

 

 

 

「しかし恭ちゃんや父さんが話してた子が、あの時のアオイちゃんだとは思わなかったよー」

 

「…うん、まぁ私も美由希さんの名前を聞いて似た名前だなとは思ったけど…。

 まさかあの時の人だなんて全然気がつかなかったよ」

 

 

恭也にもっと考えろと言ったあの日から数ヶ月が経過していた。

私は『たまには外食でもしましょうよ』とのアリスの提案により、

三人で外食できる場所をぶらぶらと探索していた。

その際にふと恭也の母親が経営する『翠屋』の存在を思いだし、

二人を連れて喫茶『翠屋』へと向かったのだ。

 

翠屋は案外すぐ見つかり窓から見える店内の様子を確認すると、

どうやらお昼時のピーク時間を過ぎた後らしく、お客さんはそこまでいないようだった。

それを確認した私は翠屋のドアを開け入店する。

 

 

「いらっしゃいませー、三名様ですね?」

 

「はい、一人車椅子の子がいますが問題ありませんか?」

 

「大丈夫ですよー、じゃあこちらの席に…って…あれ?

 間違ってるかもしれませんが…、もしかして貴女…アオイちゃん?」

 

「…はぁ、確かにアオイは私ですけど…」

 

 

とまぁ入店して席に案内されている時に、その女性にそう尋ねられた後、先ほどの会話に繋がる。

私がこの街の調査をしていた際に出会った美由希さんが、

まさか高町家の美由希さんだとはまったく気がつかなかった…。

まぁ実際に高町家の人は士郎さんと恭也以外に会ったことがないから仕方ないけどね。

 

 

「でも夜に模擬戦してる相手がアオイちゃんだなんてビックリだなぁ…。

 もしかしてアオイちゃんって凄く強かったりする?」

 

「どうだろうね…、私自身はそれなりにやれると思うけど。

 ただ士郎さんには勝ったことはまだないね」

 

 

お客さんが少ないため食事をしつつ雑談する私と美由希。

はやてはお子様ランチを食べるのに必死で、こちらの会話には一切気がついてなかった。

そんなはやてのお世話をしているアリスには感謝しないとね。

 

 

「こう見えて私もお父さん達には鍛えてもらってるんだけど、

 お父さんの怪我がよくなったら私とも模擬戦しない…?」

 

「別に構わないけど…、美由希さんが何かしら武術を学んでるのは、

 初めて会った時から知ってたよ? 身のこなし方とか無意識にしてた警戒の仕方でね」

 

 

目が点になって私を見つめる美由希さんに私は苦笑する。

まぁあの時は外国から来た女の子って感じで接してたし、

私自身が滅茶苦茶警戒してたから気がつかないのも仕方ないか。

そんな話をしながら時間が過ぎていき暫くして、

徐々にお客さんが増えたため美由希さんは接客に戻っていった。

 

 

「アオイ姉ちゃん、今の人と知り合いなん?」

 

 

お子様ランチを食べて満足したのか私に美由希さんの事を訪ねてくるはやて。

その言葉に『色々あって前に知り合った人』だと答える。

デザートタイムのためか店内が混み始めたため、

私たちは席を立ち会計を済ませるためにレジへと向かう。

 

 

「あ、もうアオイちゃん帰るの? なんだったらもう少しぐらいお店に居ても…」

 

「美由希さんの言葉は嬉しいけど、流石に長時間居座るなんてできないよ。

 他にも一杯このお店で食事したい人もいるだろうしね」

 

 

私の言葉に『むぅー…、それもそうだねぇ…』と呟く美由希さん。

お会計を済ませお店を出る際に『また食べに来るから』と伝えてから、

私たち三人は喫茶『翠屋』を後にした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────次元世界・時空管理局本局────

 

 

 

 

 

 

数多の次元世界を管理する時空管理局…。

次元世界での魔導師や犯罪者による様々な事件に対処するために、

時空管理局の本局は次元空間の中にその拠点をかまえていた。

その本局の一室…、階級が高いものに与えられる個室にグレアムはいた。

 

グレアムは目の前に映し出されたウィンドウから得られる情報を見つめ続けていた。

ウィンドウに映し出されているのは、幸せそうに生活をする八神家の様子である。

その様子を見ながらグレアムは深いため息をつく…。

このグレアムの様子に彼の使い魔であるリーゼ姉妹は心配そうな顔で見つめていた。

 

彼がこのようにため息をつくのは今回に限った話ではない。

八神家の生活援助を彼が申し出てから今日までずっと続いている事なのだ。

何故ため息をつき続けるのかと理由を考えれば、その答えはすぐでてくるのだろう。

実際に彼はその理由がわかっているのかふいに独白し始めた。

 

 

「私は本当にこのままでいいのだろうか…。

 確かに闇の書に対し恨みはないとは言えないが…、

 親類からあのような目にあった彼女達を犠牲にしてまで…」

 

 

彼の独白にリーゼ姉妹は黙ってグレアムを見つめる。

リーゼ姉妹も彼と同じように迷っていたのだ。

時々様子見のため八神家に訪れているのはリーゼ姉妹だ。

八神家の子供達に一番接する機会の多い彼女達は、

子供達と話をしたり一緒に時間を過ごすにつれて、

本当に自分達は正しいのかと何度も疑問に思ってきたようだった。

 

だが自分達の主であるグレアムの目的のためであるなら、

全てをやり遂げようと決心していたのだが…。

グレアムから流れてくる彼の感情が彼女達を迷わせる原因でもあった。

 

 

「アリア、ロッテ、前にアオイ君が青年に言った言葉を覚えているか?」

 

 

ふいに声をかけられた二人はその内容を思い出そうとしていた。

それを見たグレアムは苦笑しつつも先ほどの言葉の続きを語り始めた。

 

 

「彼女は青年に対して『自分達に出来る事を全部考えついてから行動しろ』と言っていたかな。

 これを聞いた私は、私自身はどうなのだろうと思い返す事が多くなってね…。

 闇の書を主諸共…、凍結封印する手立ては考えたが…、

 本当に私は出来る事を全部考えついたのだろうか…とね?」

 

 

苦笑を浮かべながらも語ることを止めないグレアムの言葉を聞くリーゼ姉妹…、

その様子を見ながらもグレアムは更に言葉を続ける。

 

 

「もしかすればまだ私が考えついてないだけで他にも闇の書を封印、

 または主を犠牲にせず破壊する手立てはあるのではないかと思うようになったよ…。

 そう考えると私は闇の書について何故こうなったのか詳しく知らなかったな。

 …そこを足がかりにもう一度闇の書について調べあげるのが最善なのかもしれんな」

 

 

最初は普通に話していたグレアムだったが、徐々に独り言のように話し続ける。

闇の書に対しての知識と言えば彼が知り得るのは、無限書庫にある情報ぐらいなものである。

しかも無限書庫にあった情報は比較的最近の物であり、

闇の書が闇の書と言われるようになった出来事や、

闇の書を作り上げた製作者については今のところ一切不明なのである。

ならばとグレアムは無限書庫の情報をもう一度全部洗い流すのがいいと判断したようだった。

 

 

「自分に出来る事を全部考えついてから行動しろ…か。

 まったくもって耳が痛い言葉だよ…、だからこそもう一度…調べ尽くそうじゃないか。

 闇の書の主であるはやて君が覚醒する時までまだ時間はあるのだ。

 ならば最後の最後まで足掻き続け、それでもダメな時は恨まれるのを覚悟で計画を実行しよう…」

 

 

自分の考えが纏まったグレアムはリーゼ姉妹に、

無限書庫内の闇の書に関する情報を念入りに探すよう伝える。

もちろん凍結封印するための専用のデバイスは制作を続けるようだが、

それは本当の最後の手段にするためなのだろうと、今のグレアムの顔から伺えた。

 

 

「アオイ君、私は諦めないぞ。 君達がいつまでも幸せに暮らせるように。

 もう二度と私の時のような地獄を…、君達に味あわせないためにも…」

 

 

 

 

こうしてグレアムは闇の書に関してもう一度調べ始めた。

この行動が後にどう物語に影響するのかは、まだ誰も知り得ることではない。

ただこの場で言える事は一人の暗殺者と、新たな決意を胸に宿した一人の提督により、

闇の書の事件はその物語を大きく変えることだけは確かだった…。

 

 

 

 




ここまでの読了お疲れ様でした。
という訳で今回は色々場面が動きまくりました。
次の話でおそらく序章は終了になると思います…終わればいいなぁ…。

そしてこの話から原作が崩壊し始めてますね。
なのはの孤独フラグなんかもう完全に折っちゃってますし…。
グレアムさんもなんか微妙にフラグが立ってる気がしないでもない。

では本日はここまで。
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