魔法少女と異世界の暗殺者   作:繊月紅

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今までで最速の執筆速度が出せたため、一話分投稿します。

誤字脱字・文脈の違和感等あればご報告ください。


─第十四話─[狂う歯車と次元より飛来し物…ですか?]

 

 

 

 

 

 

金髪少女とオレンジ髪の女性との戦闘が始まって二十分程が経過した。

最初に出会った場所からお互い牽制し合いながら離れ、

現在は八束神社付近に広がる森林の中で戦闘を続けていた。

 

この森林で戦闘が本格化した際に金髪少女が持つ武器から音声が発せられ、

以前に真人君が使った封時結界と同じ空間に閉じ込められた。

恐らくは同じ場所の位相をずらして元の場所に被害がでないようにする魔法なのだろう。

真人君に使われた際はそこまで考える余裕はなかったが、

今回は金髪少女達がこちらを傷つける意志がないためか、幾分考える余裕があった。

 

 

 

攻撃を躱し続ける私に痺れを切らした金髪少女から放たれる横薙ぎの一閃を、

その場で伏せる事で回避し無防備になっていた足元に足払いをかける。

私の足払いを受けて金髪少女はよろめき倒れそうになる所に、

無防備になった腹部へ渾身の一撃をお見舞いする。

その私の行動を察知してかオレンジ髪の女性が放った魔力弾に私は狙われ、

魔力弾を避けるために金髪少女への攻撃を中断し大きく距離を取る。

金髪少女は体制を立て直しこちらを睨みつけるように私の姿を凝視し続けた。

 

お互いが小康状態になった事で私はこのままだとジリ貧だなと考える。

オレンジ髪の女性は魔力弾を飛ばしてきたりして完全に金髪少女のサポート体制に入ってる。

金髪少女は未だに魔法らしき魔法は使わずに、手に持った鎌の様な武器を使って、

スピードと手数で私を縛り付ける感じで攻撃してきている。

 

これまでの攻防で私が確信したのは、金髪少女は近接型のスピードタイプの魔法使い、

オレンジ髪の女性は近接型の援護タイプの魔法使いといったところだろう。

もしかするとまだ力を見せてないだけで金髪少女にも魔力弾とか使える可能性はある。

 

故に私は油断せずに金髪少女とオレンジ髪の女性の実力を測り続ける。

 

金髪少女達にも譲れない事があるのだろうが、そんなのは私にも当然ある。

ジュエルシードの暴走阻止、はやてとの無茶をしないという約束、そしてもう負けないという決意。

金髪少女達がなぜジュエルシードを欲しがっているのかは分からないが、

私が持てる力全てを持ってねじ伏せ話し合いの場をなんとしてでも作り上げる。

 

 

 

そしてお互いの睨み合いが暫く続いた後、再び私達は戦闘を再開した…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

母さんの願いのためにこの世界に落ちたジュエルシードを集め母さんに渡す。

その目的のためにこの世界に降り立った私とアルフだったんだけど、

私達が始めに見つけたジュエルシードは封印すらされずに、

無防備に持ち歩いてた女の人が持っているものだった。

 

早く封印しなければいつジュエルシードが暴走して、この女の人を巻き込むか分かったものじゃない。

だからジュエルシードを渡してとその女の人に言ったのだけれど、

この女の人は渡してくれず仕方なく力尽くで奪い取ることにした。

 

本当はちゃんと説明して危険性を教えたかったのだけれども、

悠長にしててその結果ジュエルシードが暴走したら元も子もない。

故に私はこの女の人が痛くないように一瞬で終わらせるつもりでバルディッシュを振り抜いたんだけど、

あろうことかこの女の人はいとも簡単に私の振り抜いたバルディッシュの一撃を躱し、

躱した勢いでバルディッシュを蹴り上げて一気に距離を取った。

その動きに最初は呆然としていた私だったけど、すぐに我に返り女の人を睨みつける。

アルフも女の人の動きに唖然としていたけど私が構えるとすぐに元通りになっていた。

 

そこからは一進一退の攻防が続き、アルフからの提案で近くの森林に封時結界で閉じ込める事にした。

正直、封時結界に閉じ込めでもしないと、この女の人にいつか逃げ切られる気がしたからだ。

デバイスすら持っていないため魔力で身体強化も出来ないはずなのに、

何故かデバイスを持った魔導師と対等に戦うことの出来るこの女の人は何者なのだろうか?

 

アルフが女の人の周囲に魔力弾を撃ち動きを止めた隙に、

私は今出せるトップスピードで駆け出し下段に構えたバルディッシュを一気に振り上げる。

が、動きを制限されているのにも関わらずこの女の人は私の一撃を最小限の動きで躱し、

振り上げた事によって出来た横腹の隙に強烈な蹴りを繰り出してきた。

アルフの魔力弾によるサポートは間に合わず、私はその一撃をまともに受けてしまった。

私に追撃を入れようとする女の人にアルフは打撃で応戦し、

私はその隙に女の人と距離を大きく離し息を整える。

 

先程からこんな感じでずっと戦闘、小康状態、戦闘の繰り返しだ。

 

最初のうちは女の人からの攻撃を躱せていたのだが、今はそれすら叶わなくなってきている。

徐々にだが女の人の動きが鋭くなってきているのだ。

まるで今まで忘れていた…いや馴染んでいなかった行動が、

ようやく馴染み始めたと言った方が正しいかもしれない。

 

 

『フェイト! こいつ最初の時より手強くなってるよ!?』

 

『うん…、私も射撃魔法を入れながら応戦するのがいいかもしれない。

 少なくともこの人はデバイスを持っていない民間人みたいだし、

 射撃魔法を使い始めればさっきまでのようにはいかない…はず』

 

『オッケー…、じゃあ私も魔力弾を撃ちつつ接近戦で動きを制限するよ!』

 

 

お互いの行動方針が決まり再び女の人との戦闘が始まった。

さっきまでは空中戦をしなかったけど、今からは違う。

デバイスを持っていないあの女の人は空中戦が出来ないだろうから、

そのアドバンテージを使い射撃魔法を織り交ぜた近接戦闘で戦闘不能にまで持ち込む!

 

 

「…っ!? 空中からの重弾幕攻撃とか…! もはや形振り構ってられなくなったのかな…!?」

 

「なるべく傷つけないようにするつもりだったけど…、貴女はすごく強い…。

 だから少し痛いかもしれないけど…これで無力化させてもらいます…!」

 

「恨むんなら半端に力を持った自分を恨みな!」

 

 

フォトンスフィアを周囲に展開しつつ、空中からあの女の人がいる場所まで急滑降する。

ある程度の距離まで近づいたと同時にフォトンスフィアから私が得意とする魔法を放つ。

 

 

「フォトンランサー…、ファイアー!」

 

「…クッ! 真人君のと似た魔法!? でもこっちの方がはや…!?」

 

 

あの女の人が誰かの名前を言って回避行動を取ろうとするが、

それを阻止しようとアルフからの魔力弾が女の人に殺到する。

思うように動けない女の人は一発のフォトンランサーを受けその場で動けなくなる。

フォトンランサーは私の魔力変換資質により電気を帯びているため、

一度でも喰らえば数秒ほど体が痺れて動けなくなる…。

 

 

「あ…がっ!? 身体が…痺れ…!?」

 

「これで終わりです…! バルディッシュ、サイズスラッシュ!」

 

《かしこまりました、…サイズスラッシュ》

 

 

確実に意識を奪うため、一時的に魔力刃の強化をするサイズスラッシュを発動させる。

サイズスラッシュで強化された魔力刃を痺れて動けない女の人に向って振り下ろした。

女の人はそのまま私の攻撃を喰らい地面に倒れる…はずだった。

 

 

「…え? きゃ…!?」

 

「フェイトーーーー!?」

 

 

最初は何が起きたか分からなかったけど、暫くして女の人を見て理解した。

女の人はどこかに隠し持っていたであろう、小さなナイフが腕に突き刺さっていた…。

恐らく痺れをより強い痛みで打ち消して、向かってくる私を迎撃したんだと思う。

腕から止めど無く流れる血を見て、私もアルフも無言で女の人を見る。

女の人も無言でこちらを睨みつけたまま動こうとしなかった。

 

 

「…なぜそこまでするんですか?

 自分の腕を傷つけてまで…そんなにジュエルシードが大事なんですか?」

 

 

何故かは分からなかったけど、私は何となく女の人に聞いてみた。

そこまでして奪われまいとする女の人の行動が気になったから…。

そんな私の発言に女の人は訝しげな顔をしながらこう返してきた。

 

 

「あー…、取り敢えず私としては話し合いの場を設けたいわけ。

 どっから来たのかは知らないけどジュエルシードなんて宝石がこの街を滅茶苦茶にしてるし、

 私はそれが自分の家族や友達に影響しないように破壊するつもりでいる。

 まぁ…暴走条件が分からないから破壊せずに持ち歩いてるんだけどね」

 

「封印せずに持ち歩くのがどれだけ危険か分かってないのかいアンタは!?」

 

「ジュエルシードは厳重に封印しなければ、ちょっとした切っ掛けで暴走します。

 例えば持っている人の願いを間違った歪んだ方向で叶え、

 それが結果として暴走を引き起こしたりすることもある…」

 

 

私とアルフの言葉に女の人は顔を引き攣らせてポケットからジュエルシードを取り出していた。

顔から大量の汗を流しながらジュエルシードと私達を交互に見て引き攣った笑みを浮かべる。

 

 

「あーうー…、君はその…これを封印する事はできるの?」

 

「はい、デバイスを持つ魔導師なら封印術式をデバイスに覚えさせる事ができます。

 私はジュエルシードを封印しある人の所へ持ち帰るためにここに来ました」

 

 

取り敢えず戦闘再開という空気にはお互いならず、

むしろ女の人の言葉を聞いて少し話し合いをしてもいいかと思ってしまった。

私はアルフに念話を送り話し合いの場を設けることにする。

詳しくジュエルシードについて知ってもらえれば、この女の人は手を引いてくれると思ったから…。

そして私とアルフ、そして女の人の三人でその場でジュエルシードについて話し合うことになった。

 

 

 

しかしそれもどうやら遅すぎたらしい。

女の人が持っていたジュエルシードが怪しく光りだし次の瞬間、目の前が真っ白に染め上げられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

金髪少女からジュエルシードは封印しなければ持ってる人の願いにより暴走する…。

等と聞かされてしまい冷や汗をかいていた私だったが、

ポケットから取り出していたジュエルシードが突然光り輝き、辺り一面を真っ白に染め上げていた。

あまりの眩しさに私は疎か、金髪少女とオレンジ髪女性も目を瞑っている。

 

暫くして光が収まりようやく周囲を確認できると思った私が見たのは、

いつの間にか手から離れ空中で光り輝くジュエルシードと…。

 

 

「…これ、あの時の黒い穴!?」

 

 

私をこの世界に引きずり込んだあの謎の黒い穴がジュエルシードの背後に存在していた…。

呆然とその黒い穴を見つめ続ける私の様子に金髪少女は訝しげに見ていたが、

今はそんな事を気にしている暇は一切無かった。

あの黒い穴を調べれば私がここに飛ばされた原因が分かるかもしれない。

 

ただ本当にこの黒い穴はあの時見たやつと同じなのだろうか…?

ジュエルシードによって現れたと思われるこの黒い穴と、

私がこの世界に飛ばされる事になったあの黒い穴…。

どこかに共通点はないだろうかと考えていると、

金髪少女が持っていたデバイスと呼ばれる鎌の形状を変化させていた。

 

 

「えっと、もしかして封印するの?

 もし封印するならできれば少し待って欲しいんだけど…」

 

「…暴走して被害が広がるのと、封印して被害を抑えるのとどっちがいいですか?」

 

 

金髪少女の言葉に逸る心を落ち着かせる。

確かに黒い穴について調べたい気持ちはあるが、それよりも暴走の被害が広がるのはマズイ。

元の世界に帰れるかもしれない手段が目の前にあるけど…、

そんな事よりも先にしなきゃいけない事があるでしょうに…。

金髪少女に気づかされるとか…、ほんと私焦りすぎでしょう。

 

 

「…ごめん、ちょっとあの黒い穴に色々あってちょっと焦ってた。

 君の言う通り封印しないと被害が広がっちゃうもんね…。

 …うん、もういいよさっさとジュエルシードを封印してあの黒い穴を消しちゃおう」

 

「…何があったのかは聞かない、じゃあジュエルシードを封印する」

 

 

金髪少女はそれだけ言うと封印魔法の準備に入った。

 

 

「ジュエルシードシリアルⅩⅩ…封印!」

 

《シーリングモードスタンバイ…、シーリング、ジュエルシードシリアルⅩⅩ》

 

 

封印術式が完成し金髪少女が放った封印魔法がジュエルシードにぶつかる。

それと同時にジュエルシードの周囲を電撃が迸り、ジュエルシードの魔力を抑えていく。

徐々に魔力が小さくなっていくと同時にジュエルシードの背後に現れた黒い穴も縮小していった…。

 

 

(はぁ…元の世界に帰る手がかりになるかもしれないけど…。

 もしあの時みたいに周辺を飲み込みながら暴走でもされた日には、

 この街だけの被害に留まらなかっただろうし…)

 

 

そんな事を考えているとジュエルシードの封印が終わったのか、

金髪少女の持つデバイスに私が持っていたジュエルシードが格納されたようだった。

しかしジュエルシードは封印したと言うのにあの黒い穴はかなり小さいが未だに残り続けていた。

 

 

「えっと、ジュエルシードを封印できたんだよね?

 だったらあの黒い穴も消えるんだと私は思ってたんだけど…」

 

「…分かりません、ジュエルシードの封印はきちんとできてます。

 暫くすれば消えて無くなるとは思う…」

 

「そもそもアンタがさっさとジュエルシードを渡せばこんな事にならなかったんだよ!」

 

 

オレンジ髪の女性にそう言われるが、こっちだってどこの誰とも知れない人に渡せるはずもない。

ただでさえ暴走した時の結果を知ってるだけに、他人に言われて渡すなんぞ愚の骨頂だ。

まぁそれは兎も角、どうやら金髪少女はこの黒い穴が消えるまでは居てくれるっぽいし、

それならお互いに自己紹介しつつジュエルシードの事を詳しく教えてもらうとしますか。

 

 

「で、一応私の持ってたジュエルシードは君達の手に渡った訳ですが…、

 ジュエルシードについてきちんと聞かせてくれない…か…って何!?」

 

 

私が金髪少女にそう話しかけた瞬間、未だに残り続けていた黒い穴から突然風が吹き始めた。

それに対して私と金髪少女、そしてオレンジ髪の女性は臨戦態勢に入り警戒する。

小さくなった黒い穴からは絶え間なく風が吹き続け、暫くそれが続くと黒い穴から何かが飛び出してきた。

 

飛び出してきた物体を遠目から見るとどうも何処かで見た形をしていたのだが、

流石に少し離れていたため詳しい形状は分からなかった。

まぁ…草むらに吐き出されたから草に隠れて見づらいというのもあるのだけれども…。

 

 

「…アルフ、何が飛んできたか見えた?」

 

「んや、いきなり過ぎて何が飛んできたかまでは分からなかったよフェイト」

 

「取り敢えず生き物じゃないのは確かだよ、何かしらの物だとは思うけど…」

 

 

私達がそう話をしていると黒い穴は更に小さくなり、最後には消えて無くなってしまった。

結局あの黒い穴から帰る手段を調べる事は出来なくなったが…。

まぁ変に暴走されて街に被害が及ぶよりは断然良かった。

取り敢えず飛び出してきた物体の正体でも確かめるとしますか…。

 

 

 

オレンジ髪の女性と私の二人で飛び出してきた物体を確認しにいく。

金髪少女には万が一に備えて後方で待機してもらい、何かあればすぐに行動できるようにしてもらった。

そして飛び出してきた物体を見て私は呆然とする。

 

飛び出してきた物体の正体は…、

私がこの世界に来る前にあの黒い穴に吸い込まれ無くしてしまった…、

私の大事な武器の一つであるダマスカスだったのだ…けれども。

 

 

「…私の武器ではあるけど何か形というか妙にメカメカしくなってる?

 うーん…いや確かにこれは私のダマスカス…だよね?」

 

「なんだい、アンタのデバイスだったのかい?」

 

「いや、デバイスなんて持ってないよ」

 

「はぁ? 何言ってんだい、これはどう見てもデバイスじゃないか」

 

 

まったく噛み合わない会話を続ける私達の傍に、後方で待機していた金髪少女がやってきた。

金髪少女は私が手に持つダマスカスを見て、オレンジ髪の女性と同じ事を言ってきた。

金髪少女のその発言に私は更に激しく混乱する。

 

そもそも私が持っていたのはダマスカスであり、こんなメカメカしい感じじゃなかった。

鍔の部分には見に覚えのない紫色の宝石みたいなのが付いていて、

柄の部分は持ってた時よりも若干太く大きくなっている…。

刀身には金属特有の鋭さはなく、なんか機械を刀身の形に作りましたって感じになっていた。

 

しかしこの刀身部分には私が使っていたダマスカスと同じく、

このダマスカスを作った人の名前が彫り込まれているため、

これは確実に私が使っていたダマスカス…なのだろう。

なんでこんな変な物に変わってしまったのかは疑問ではあるが…。

 

 

《我が主、少しよろしいか?》

 

 

私が考え込んでいると手に持っていたダマスカス…らしきものから声が聞こえた。

なのはちゃんや真人君、それに金髪少女が持っているデバイスと同じく音声機能があるらしい…。

 

 

「えっと、主ってのは私の事でいいのか…な?

 うーん…君は私の武器だったダマスカスで間違いない?」

 

《肯定します。 私は我が主が使用していたダマスカスで間違いありません。

 なお私が何故こうなったのか、私にも不明です》

 

「あー…、うん分かった。 取り敢えず君は私のダマスカスだったっていうのは信じる」

 

《では我が主、私の名称登録をしてください。

 その後、我が主に相応しき騎士甲冑の設定をお願いします》

 

「名称は兎も角…、騎士甲冑ってなによ?」

 

《騎士甲冑は我が主を守護する防護服です。

 身に纏うことで魔法によるダメージの軽減、または物理ダメージを軽減させます》

 

 

その後、このダマスカス…っぽいデバイスの言う通り名称と騎士甲冑の登録を行った。

名称はそのまま『ダマスカス』略称は『ダマ』で、

騎士甲冑に関しては元の世界で身につけていた服装にしておいた。

…別に服装を考えるのがめんどくさかった訳ではないよ?

 

その後、取り敢えず分かる範囲で金髪少女とオレンジ髪の女性にデバイスの扱い方などを教えてもらい、

後日改めて話し合いの場を設けることで話は纏まった…。

 

デバイスがあれば念話をスムーズに飛ばせるらしく、

話し合いの場が整ったら改めて念話で知らせてくれるとの事。

 

 

 

地震が起こって周囲を見回ってみれば被害が尋常じゃないわ、

金髪少女に襲われるわ、ジュエルシードが暴走?するわ、あの黒い穴が現れるわ…。

おまけにその黒い穴からは私の武器であるダマスカスが出てくるわ、

出てきたダマスカスがなんかデバイスになってしまってる等…、

今日一日でなんか色々起こりすぎだわ…ほんと。

 

取り敢えず話し合いの場ができればジュエルシードの事とか、

この世界の魔法についてとか色々教えてもらおう。

 

 

 

こうして私の濃い一日は終わりを告げた…。

帰宅後、腕にナイフを突き刺していた事をすっかり忘れ、

腕に刺さったままのナイフを見たはやてが烈火の如く怒ったのは言うまでもない…。

 

 

 

…あれ、なんか私…はやてのお姉ちゃんとしての威厳無くなってない…?

…いやきっと気のせいだ、そうに決まってる…うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────ヴァルハラ・ヴァルキリー神殿────

 

 

 

 

 

 

「なんとか…、あの者に新たな力を授けることが出来ましたか…」

 

 

 

誰もいない神殿の内部でそう呟く一人の女性がいた。

彼女はヴァルキリーと呼ばれる天使の一人であり、英雄の魂をヴァルハラに迎える役目を負っていた。

しかしそんな彼女は悲痛の面持ちで遥か虚空を見つめ続けていた。

 

 

「魔王モロク復活に伴い、一人の英雄が異世界へと飛ばされてしまった…。

 こちらからそこへ行く事はできますが、戻ってくることは不可能でしょう…。

 次元の狭間を操る魔王モロクを除いては…」

 

 

彼女は深いため息を一つつき下界の様子を伺いみる。

そこでは崩壊したモロクの都市で、人間達が力を合わせ魔王モロクの討伐隊を結成している最中だった。

その討伐隊の中にはヴァルキリーの祝福を受けた人間…のちに英雄と呼ばれる魂を持つ者たちもいた。

そんな下界の様子を伺いながら彼女は別の場所を伺う。

 

そこはモロクの都市より少し離れた砂漠地帯…。

しかしその砂漠地帯も今は見る影もなく、岩肌が露出し辺り一面様変わりした場所になっていた。

その元砂漠地帯の中心部に巨大な影とそれに付き従う数個の影が見える。

 

その影の正体は、アオイを異世界へと飛ばした原因である『魔王モロク』だった。

そしてその魔王モロクに付き従う数個の影は、魔王モロクの忠実なる配下…。

 

 

「恐らく魔王モロクは彼女が飛ばされた異世界について探っているのでしょう…。

 次元を操る力を持つ魔王モロクならば、行き方については分かっているはず。

 まだその異世界に行こうとしないのは…、恐らく行くための力が足りていないか…。

 もしくはその異世界へ行くための次元の狭間をまだ開けないかのどちらかでしょうね」

 

 

魔王モロクの様子を伺いながら彼女はそう呟く。

彼女の言葉はまさに的を得ていた。

魔王モロクは未だアオイの飛んだ先である次元の狭間を開くことができないのだ。

しかしその問題は魔王モロクの配下によってすでに楔を打ち込まれていた。

別の異世界の人間の魂を捕まえあの異世界に転生させる事によって、

こちらの世界とあの異世界を繋ぐ、限りなく細い道を作ることができたのだ。

 

この事については彼女も分かってはいたが、彼女自身は次元を渡る力を持っていない。

精々できるのは次元に干渉し僅かに結果を変えることぐらいなのだ。

 

 

「魔王モロクの狙いはかの異世界の滅亡。

 それだけは何としても防がなくてはなりません…。

 私にできるのは次元に干渉し彼女に僅かではありますが力を与える事のみ。

 故に勝手ではありますが…、後の事は頼みましたよ『アオイ』…」

 

 

そう呟いた彼女は再び虚空を見つめ続ける。

 

 

 

異世界に飛ばされたアオイの事を考えるその顔からは、優しげな笑みが浮かんでいた。

 

ヴァルキリーである彼女の力によって次元の狭間に取り残されたアオイの武器…、

ダマスカスはアオイがいる異世界に合わせてデバイスとなってアオイの手に渡った。

例え極僅かな力ではあるが…、それでもその力はきっとアオイの手助けになるであろう。

 

 

 

魔王モロクとその配下、そして巻き込まれた人間とヴァルキリーに祝福されし人間。

次元を超えやがて訪れるその時まで、彼らがどう動くのかはまだ誰にも分からない…。

 

 

 

 




ここまでの読了お疲れ様でした。

今回はフェイトちゃんとの戦闘及びアオイの武器獲得でした。
どうやってアオイにデバイスを渡そうか悩んだ末に、
アオイの元の世界から干渉させればいいやと軽く考えた結果がこれです(笑)

デバイスはアームドデバイスですが、アームドってここまで喋れたっけ…?
簡単な意思疎通はシグナムとレヴァンティンがしてたからある程度はあるんだろうけど。
…この小説ではある程度の意思疎通はできるという事にしておいてください。
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