魔法少女と異世界の暗殺者   作:繊月紅

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取り敢えず区切りのいいとこまで投稿。


─第一話─[飛ばされた先は見知らぬ土地…ですか?]

 

 

 

 

 

 

─────○○市郊外山中─────

 

 

 

 

 

 

[アオイside]

 

 

 

「うぅ…、んぁ? あれ…ここ何処?」

 

 

どれくらい気を失っていたのか定かでなはないが、

少なくともここは私の記憶にある場所ではないことは確かだった。

それに一緒にいたはずのペットのアリスまで近くにいない。

自分は兎も角、ペットのアリスはモンスターのアリスと違い戦闘能力は皆無だ。

私とはぐれてしまったのはアリスとってかなり危険なことなのだが、

現状周囲をグルッと見渡してもアリスらしき姿はおろか、人っ子一人いない真っ暗な森の中である。

ここは一先ず自分の現状把握を優先させることにしましょうか。

流石にアリスも私とはぐれた事が分かっていれば下手なことはしないでしょうし…。

 

 

「さて、それじゃまず、私は魔王モロク封印に関する事についての調査の過程で、

 ギルドマスターからの命令をリーンとキドの二人に伝えられて、

 モロク西部で発生していた魔力異常を調べに行ったのよね…」

 

 

その時の事をなんとか詳細に思い出そうと、未だ朦朧とする頭で必死に考えを纏める。

あの時、現場付近まで到着したと思ったら急に周囲の景色が変貌したんだっけ?

その後暫くして周囲の魔力が急激に高まって…。

 

 

「あ、その魔力の集中している中心部に謎の黒い穴が出来たんだっけ?」

 

 

あの黒い穴が出てきたと思ったら暫くして、

黒い穴を中心に周辺の物があの中にどんどん吸い込まれていって、

なんとか脱出しようとして蝶かハエの羽を使おうとしたら、私の愛用の武器が吸い込まれていって…。

 

 

「あぁ…、私が半狂乱になったと同時に私とアリス二人共あの穴に吸い込まれたのか」

 

 

取り敢えずは現状把握完了っと…。

こうして冷静になって考えてみると、この場所に飛ばされたのはあの黒い穴が原因か…。

結局あの黒い穴はなんだったのかしら?

吸い込まれた後に別の土地に跳ばされた事から考えれば、

アコライト達が使うワープポータルに近いものだとは思うのだけれど…。

 

正直今思い返してもあの黒い穴からは嫌な予感をビシビシ感じてたのよねぇ。

となると十中八九あれは普通に誰かを何処かへ跳ばすためのモノじゃないって事になるんだけど…。

よくよく周囲を見渡してみてもあの時吸い込まれたであろう岩とか草とかが一切無い。

もちろん私の愛用である錐とかダマスカスとかも…無い…。

はぁ…昔からずっと使ってきた武器だから大事にしてたのになぁ…。

錐に至っては冒険を引退した仲良しの人から譲り受けたある意味形見の品でもあるし。

 

あぁーマジでこの先どうしよう…?

魔力異常についてとかあの黒い穴の調査とかしなきゃなんないのに、

こんな訳の分かんない場所に跳ばされるし。

てか最後にリーンとキドに連絡したのって確か砂漠地帯直前だったよねぇ…?

現状私が現場からいなくなってるから、あの二人に私が調査放棄したとか思われたくないよ!?

 

 

「うぅー…あぁー…、ダメダメこーいう頭使う事はあんまり得意じゃないのよね私。

 取り敢えずここがミッドガッツのどの辺りなのか把握することが先決かしら?」

 

 

大体私の頭でこれ以上考えても原因であるあの黒い穴はもう無いし、

調査しようにもここがどこなのかもまるで解らない。

そんな事に貴重な時間を割いてまで頭を使うぐらいなら、ここが何処なのか調べる方がよっぽど建設的だ。

…取り敢えず場所の把握さえできてしまえば、そこから帰る手段を模索してすぐにモロクに帰れば、

あの二人に私の身に起きたことを話して調査放棄してないよ!って伝えられるしね。

てかマジであの二人が勘違いして調査放棄したとかギルドマスターに伝えてなければいいけど…。

 

なんにせよ方針が決まったなら一先ずこの森を抜け出す事が先決ね。

 

 

「ここが何処かなのも大事だけど、アリスの事も心配だし…。

 ほんと、なるべく早くあの子の事見つけてあげないとなぁ…」

 

 

そう呟きながら私はこの鬱蒼と木々が生い茂る森を抜けることにした。

しかしこの時点で私は自分に起こったことなどが重なり気がつけないでいたのである。

自分の目線が黒い穴に吸い込まれる前より低くなっていることと、

言葉を発していた私の声が明らかに高くなっている事に…。

 

 

 

 

 

 

─────○○市住宅街─────

 

 

 

 

 

 

「ここ本当に何処よ?」

 

 

山から抜け出した私が放った第一声はこれである。

それもそうだろう、ざっと周囲を見渡せば今までに見たことのない建物が所狭しと建っており、

おまけに訳の分からない鉄で出来ているであろう謎の動く箱が、時たま私の横を通りすぎて行ってるのだから。

 

こんな街は私が知る限りミッドガッツには絶対に無かった。

宗教的な国であるアルナベルツ教国方面だとしたら、

あんな鉄の箱みたいなのがある事自体おかしいだろうし…、

あり得るとしたなら科学技術の発展したシュバルツバルド共和国が妥当な所だろうかしら?

でも少なくとも私が行ったことのあるシュバルツバルドの街や都市とは全く違う事だけは確かよね…。

こんな感じの建物なんて私の知る限りではどこの国にも無かった訳だし。

 

 

「取り敢えず、もしかしたらまだ誰も来た事のない街かもしれないし、

 まずはこの街の人への聞き込みから始めるべきかしら…?」

 

 

その際にカプラサービスやジョンダサービスがあれば、

それを利用しつつミッドガッツまで帰ればいいだろうし。

まぁまだ誰も来た事のない街だったらカプラやジョンダサービスがあるとは思えないけど…。

とにかく、そうと決まればまずは聞き込みから始めるとしますか!

 

そう決めた私は早速人が居るであろう場所に向けて歩こうとした…のだが、

一瞬視界の端に映った鉄でできた棒を眺める。

棒は細長くその上部には若干湾曲した鏡と思われ得る物が取り付けられている。

それはどの様な用途で使用されるのかは解らないが一先ずこれの用途は置いておくとしよう。

 

そんな事よりも…だ。

 

鏡に映っている今の自分の姿を確認する。

母親譲りの銀髪のロングヘアーで頭にはお気に入りの装備品である『天使の忘れ物』が装着してある。

だがそれも今は置いておいていいだろう。

湾曲した鏡のためかよくは分からないが明らかに自分の今の姿に違和感を感じる…。

なんかこう…、自分の姿があの黒い穴に吸い込まれる前と比べて…、

その、なんだ、すこーし…、いやかなり小さく見えるのは気のせいだろうか…?

 

 

「いや…、いやいやいや、おかしいでしょ?身体が縮むとか無いってマジで。

 冗談がキツいですよ、かーみーさーまー? ほんと…ハハハハハ…」

 

 

とにかく、あの鏡では自分の今の姿の詳細が確認できないため何処か川なり海なり、

自分の全体が見渡せる鏡なりが置いてある場所を見つけないと…。

 

だから、今チラッと見えた手の大きさとか服が若干…てかかなりブカブカだなぁーとか、

そういえば首に巻いてあるマフラーがやたら地面を擦ってるなぁーとかそれは全部幻だから!

きっとホロンとかが使う幻覚攻撃をどこかで受けちゃって幻覚状態になっちゃってるだけだから!

ほんと、マジで魔王モロクの調査依頼の段階で嫌な予感がビンビンしてましたけど、

これはマジで洒落にならないでしょう!?

 

てか嫌な予感の正体ってもしかして今の私のこの現状の事に対してだったのですかーーー!!??!?

神は私を見捨てたもうた!こんな勘の良さなんていらないよ!!ファッキン!!!

お前なんてリバースオーキッシュでも受けてオーク顔になってしまえーーー!!!

 

と、兎に角早急かつ迅速に私の今の姿を確認しないと!

このままだと私の精神がバーサークしてしまいまふぅぅぅぅぅぅぅ!???!??!??

 

混乱する頭を両手で掻き毟りながら私はその場を走り抜け、

自分の姿が確認できる場所まで突っ走っていった。

その時の私はきっと速度増加を受けたペコペコに乗った騎士の速度を超えていたに違いない…。

 

 

 

 

 

─────○○市中心部─────

 

 

 

 

 

息を切らせながら人々の雑踏の中を走り抜ける。

どこか自分の姿を確認できる物はないかと周囲を見渡しながらようやくその場所へと到着。

大きく息を整えてから建物に取り付けられている大きなガラス窓に映る自分の姿を見て呆然とする。

 

 

「あ、あは、あはははは…、これなんて冗談…、な訳ないか。

 現実を見ろアオイ…、これが…この姿が今のわた…私の現実…なんだよぉぉぉぉ…」

 

 

建物に取り付けられている大きなガラス窓に写っていたのは、

黒い穴に吸い込まれる以前と比べて明らかに身体が縮んだ私の姿が写っていた。

年齢的に見ればおよそ五歳前後ぐらいまで縮んでいるのだろうか?

その姿を見て私は真っ白な灰となってしまった…。

 

 

「い、今までにそりゃ色んなことあったけど…さ。

 これは…、これは正直ないわー…、いやマジでないわー…」

 

 

私の今のこの状況を嘲笑うかのように頭に装備している天使の忘れ物がピコピコと動いている。

それが無性に腹立たしいのだが、

お気に入りの装備に八つ当たりしたところでこの状況が変わるわけでもない。

そんな私の姿を見て周囲を歩く人たちが私を不思議な目で見ていることに私は気がつかなかった。

 

 

「いやマジでこれからどうしよう?

 私がこの状態なら下手すればアリスもこんな状態になってるってことでしょ?

 それ以前にこんな状態でもしモンスターとの戦闘にでもなれば、

 身体能力も下がってるだろうし確実に負ける…かも?

 ってそーいえば戦う以前に今の私武器が無いんでしたね…ハァ…」

 

 

あーうー、と唸りながら頭を掻き毟りこれからについて考えを早急に纏める。

 

 

「兎に角、現状私は身体が縮んでいて武器すらない状態。

 もしかしたらアリスも私と同じく縮んでいる可能性があるけど…、今は置いておくとしますか。

 となると今の時刻は…、空を見た感じそこそこ夜も深まってる…かな?

 てかこの街明るすぎて大まかな時刻の推測ができないんだけど…。

 まぁ取り敢えずこの身体の私だとこの時刻にふらついてるのは不味いわね…」

 

 

そこまでブツブツと呟きながら無い知恵を絞って考えをまとめ、

一先ず一晩だけでも過ごせる場所を見つけるために、私は再びこの街を走り回ることにした。

 

そう言えば走り回る直前に濃い青色の服と帽子を被った変な奴らに声かけられて、

無視して走ったらなんでか追いかけられたんだけど…。

正直あのぐらいの速さならこの身体でも追いつかれることはなかった。

追いかけてくるって事は恐らくこの街の警備兵の人だと思うんだけど、

きっとこの時間にふらついてる私を見て保護しようとしたんだろうね。

 

 

 

…まさか変な趣味をお持ちの殿方って事はないよね?

 

 

 

…………ほんとマジでないよね?

 

 

 

 

 

 

─────○○市街外れの廃墟─────

 

 

 

 

 

 

街の中を走り回ること数時間、私は街外れにあるまだ原型を留めた廃墟を見つけることができた。

走り回ってる間にあの青服の警備の人達にかなり追い掛け回されたけど、

こっちは現役のアサシンクロスなんだからそう簡単に捕まるわけもない。

途中から赤い光を放つ白と黒の色をした鉄の箱に乗って追い掛け回されたけど…。

まぁ何にせよ警備の人達は撒いてなんとかこの廃墟を見つけられたのは僥倖だね。

 

 

「んー…、ざっと確認した感じだと造りもしっかりしてるし…。

 これだったら一晩と言わず暫くの間の仮拠点にもできる…かな?」

 

 

自分の身体が縮んでしまった事には少し…、いやかなりショックであったがなってしまったものは仕方ない。

そうでもして割り切らなければ私の精神がほんと崩壊しかねない。

兎に角ここを仮拠点として現在行方不明のアリスの捜索とこの街の調査、

それからこの街がミッドガッツからどれだけ離れているか調べるのが目下の優先事項かしらね。

その過程でこの身体の変化について解かればいいだろうし、

解らなかったとしてもミッドガッツにさえ戻れればギルドのメンバーとかに調べてもらえばいいでしょ。

 

 

「…、とりあえず今日のところはこれで終わりにして明日から本格的な調査開始としましょ…。

 今日は色んな事があったおかげで大分疲れてるしね…」

 

 

そう考えを纏めた私は身につけている長さが有り余っているマフラーを布団替わりに、

部屋の隅の方でマフラーに包まって朝まで眠ることにした。

 

 

 

 

 

できれば朝になってこの身体が元の身体に戻ってればいいなぁ…と淡い期待を込めて…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある若手警察官の手記

 

 

 

その日も一日特に問題もなく平穏に終わろうとしていた。

 

この海鳴市に赴任することになった時は一体どんな街なんだろうと年甲斐にもなくワクワクしたものだ。

街の人達は大らかで優しく、赴任当初の僕は警察官なのに逆に街の人達に助けられる事が多かった。

まぁそれも今となってはいい思い出になってるし、

むしろこんなに優しい人達の住む街を絶対守ろうって心に誓ったんだ。

 

で、その日の僕と先輩は二人で街中を巡回しつつ、

派出所に戻って業務を引き継いで終わるはずだった…。

あの茶色っぽい不思議な服を着て赤いマフラーを靡かせるあの小さな悪魔に出会うまでは…。

 

最初にその子を見つけたのは先輩だった。

こんな時間に一人でガラス窓を見つめ続けて呆然としてるその子を見て、

先輩は迷子にでもなったかなと思ったみたい。

そして先輩が声をかけようとゆっくり近づいた瞬間、

僕の全身は金縛りにあったかの様に凍りついたんだ…。

先輩が声をかける前にこちらに振り向いたその子は、

銀髪の髪を靡かせて突き刺すような赤い目で僕たちを見つめていたんだ…。

その目に見つめ続けられてる僕も先輩も声が出なかった。

まるで蛇に睨まれた蛙のようにただただその子に見つめ続けられてた。

 

しばらく見つめ続けられてた先輩が意を決してその子に声をかけたんだけど、

その子は何も言わずに足早にその場を去ろうとしてたんだ。

それを見た先輩は必死に声をかけながらその子を追いかけたんだけど、

次の瞬間その子はすごい速さで街中を走り抜けて行ったんだ。

慌てて僕と先輩の二人でその子を追いかけながら付近の警邏中の同僚に応援を要請。

 

夜とはいっても街中だと人通りも多いし僕も先輩もなんとかその子についていくので精一杯だった。

応援要請を受けた同僚がパトカーの出動要請も出してくれたみたいで、

なんとかその子を保護しようと追いかけてたんだけど、

結局その子はありえない程の速さで僕たちの目の前から姿を消しちゃった…。

パトカーのスピードすら振り切るとか正直悪い夢だと思いたいよ…。

 

そのあと色々と上司に事情を説明しつつ、その夜パトカー数台で警邏してもらったんだけど、

結局明け方まで続いた警邏は身を結ばず、その子は見つからず終いで終わったそうだ。

 

本当にあの子はなんだったんだろうか…。

子供にもかかわらず大人の走る速さはおろかパトカーのスピードすら振り切るとか…。

うん、多分あれは蒸し暑かったあの夜が見せた幻覚だったのかもしれない…。

そうだと思わなければ僕も先輩も頭がおかしくなりそうだ…。

 

あの日以来先輩は子供の姿を見るたびにビクビクしてるし、

そういう僕だって似たような背丈の子供を見るだけで今でも背中に脂汗が出るしね…。

 

そうさあれはタチの悪い悪夢だったんだよ!

アハ…、アハハ…、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!

 

 

 

日記はここで終わっている……。

 

 

 




ここまでの読了お疲れ様でした。
今回は区切りのいいここまでとさせていただきます。

次回以降はおよそ二週間感覚で投稿できればいいなと考えておりますが、
小説のネタ集めなどでラグナロクオンラインのプレイや、
仕事の都合上などで一ヶ月感覚での投稿になるかもしれません。
お待たせするのは心苦しいのですが、
ご理解いただけますようよろしくお願いいたします。
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