多分今日はこれ以上の更新はしませんのでご了承ください。
この話から一応オリキャラが登場します。
転生オリ主ではないので大丈夫だよね…?
────海鳴市海岸近郊────
情報収集やアリス捜索のため周辺を奔走してもう一週間という時が過ぎていた。
金銭を獲得するための情報を調べた際、私の外見年齢では就労不可という事が分かり、
仕方なしに近隣の山や海などで食料を確保しつつ、極力人と関わらないように行動した。
人と関わらないようにする理由としては、極力体力の消費を少なくするためである。
金銭が獲得できない以上、食料などは自分で獲得するしかない。
しかし時期が悪かったのか野山で取れる物は木の実など極僅かであり、
海にでて釣りや素潜りで魚を取ろうとしても取れるのは小振りの魚ばかり。
まぁ異世界である以上どれが食用可能で食用不可能か判断がつかない。
おかげで食べられると判断できたのは、獲得できた食料の内のほんの僅かだった。
「うぁー…、これはほんとヤバイ…。
これ以上の日数がかかると、私の体力が先に限界を迎えるわ…」
暗殺者として数日は食べなくても大丈夫なように訓練してはいたが、
見知らぬ土地でなおかつ情報収集とアリスの捜索。
おまけに原因不明の幼女化による体力の低下に食料不足。
これだけの悪条件で今日まで生き存えたのはある意味奇跡に等しいかもしれない。
「正直これ以上は限界…だなぁ、仮拠点の食料備蓄ももうないし。
最悪、食料や金銭を盗む事も考えなきゃダメかな…」
未だに魚のかかる気配を見せない急拵えの竿を持ちながら空に浮かぶ雲を眺める。
先ほどからお腹はキュルルとなり続け、思考能力も絶賛低下中。
しまいには空に浮かぶ雲が美味しそうな食べ物に見えてくる始末。
あぁ…あの雲の形なんだかタンの盛り合わせに見えてきた…。
「ねぇお嬢ちゃんもしかしてお腹空いてるの?」
「はぇ…? えっと貴女はどちら様です…か?」
一応暗殺者として人の接近には敏感な方だけどこれは流石に油断しすぎた。
この女性に話しかけられるまで接近にまったく気がつかないなんて…。
いよいよもって私の体力も限界を迎えてるってことかもしれない。
「あぁごめんね、私は八神ツバメって言うの。
さっきからずっと魚釣りしてたみたいだけどご飯はちゃんと食べたの?」
ツバメってカタカナで書くから変な名前でしょ?と戯ける女性を注意深く観察する。
そんな私の姿を首をかしげながら優しそうな笑みで見つめる女性。
まぁこの世界で暗殺者や間者みたいなのはあまり居ないみたいだし、
この女性もこの辺りに住む一般女性なんだろうな。
雰囲気的に暗殺者や間者といった独特の雰囲気は出してないし。
女性の観察を終えた私は、ある程度ごまかしつつ現状を語ることにした。
「んっと、お魚いっぱい釣ろうと思ってたからご飯食べてません」
「あらそうなの? でもこの時期だとあまりおっきなお魚は釣れないよ?
沖の方に出ればお魚はいっぱいいるだろうけど…」
そう言いながら一応彼女の一挙一動を注視しながら話を進める。
「そうなんですか、じゃあそろそろ釣りも切り上げようかな」
「そう? だったら今から私と一緒にご飯食べない?」
「はぃ? いやそんな見知らぬ他人とご飯って何言ってるんですか?」
この女性の脳内は大丈夫か?
見知らぬ他人でしかも子供の私に一緒にご飯食べようとか、優しいを通り越して逆に不気味だ。
こんな甘言に騙されるほど私は甘くはない。
この女性に対する警戒レベルを引き上げながら、いつでも離脱または排除できるようにしておかなければ。
「んー、でもお嬢ちゃんご飯食べてないんでしょ?
さっきからすごいお腹の音聞こえてるし…」
「う…それは確かにそうですけど、それだけで一緒にご飯食べようってならないでしょ。」
この女性は超がつくお人好しなのだろうか。
それとも逆に凄腕の手練で、この街に現れた私に対しての警戒からの行動なのか?
あぁ…お腹がすきすぎて思考を纏めるのが難しくなってきた…。
私とツバメと名乗る女性がそのような会話を永遠と続けていると、
遠くから荷物を持ちながらこちらに走り寄ってくる女性が見えてきた。
走ってくるその女性を見て私は驚愕した。
こちらに向かって走ってくる女性は、この一週間私が探し続けた『アリス』だったのだから。
探していたアリスが突然現れた事に対して驚愕する私を他所に、
アリスは息を切らしながらツバメと名乗る女性に話しかけていた。
「もぅツバメ様! 身重のお身体なんですからフラフラと何処かへ行かないでくださいよー!
アラシ様からツバメ様に大事がないよう言われているんですからね!」
「んもぅアリスちゃんはまたそんな固っ苦しい喋り方するー。
それに身体の方も私とお腹の子供の健康のために歩いてるんだから問題ないわよ」
仲良さげに話をする二人を他所に私は呆然とアリスを見つめ続ける。
あれだけ探し回って情報の一つも出てこなかったアリスが目の前にいる。
だがアリスはこちらに気がついていないのか、ツバメと名乗る女性と話を続けていた。
「まったく、ああ言えばこう言う! ほら早くお買い物をすませますよ!」
「あー、待ってアリスちゃん。 実はこの子にご飯一緒に食べようって誘っててね」
「この子? おやツバメ様の影になって気が付きませんでした…。
はじめまして私は八神家でメイドをしておりますアリスと…んぅ?」
アリスはツバメの後ろで見えなかった私を見ると自己紹介をはじめたが、
その自己紹介の言葉は最後まで続かなかった。
私を見つめながら首を捻りつつブツブツと何かを呟いている。
「あれぇ…? どこかで見たような姿とお顔ですねぇ…?
どこで見たんでしょうか…、どことなくご主人様に似てる気がしますし」
どうやら幼児化した私に気がついていないようだった。
まぁそりゃ人がいきなり幼児化するなどと、考え付きもしないだろうし仕方ないか…。
ため息をつきながら私はアリスに言葉をかける。
「久しぶりだねアリス、こんな姿だけど私はアオイだよ」
「…ご、ご主人様なん…ですか? ほんとのほんとに?」
やっぱり信じられないんだろうアリスは、何度も何度も私がアオイなのかどうか確かめてきた。
その度に私は私しか知りえない情報やアリスの情報を提示し続け、
ようやくアリスは私だと確信したのだろう。
アリスの顔には喜びや嬉しさで溢れていて見てるこっちがちょっと恥ずかしい…。
「ご主人様ーーー!! やっとやっと見つけたのですよーーーー!!」
「あぁー…、はいはいわかったから、暑苦しいから、って鼻水出したまま顔を近づけるな!」
嬉し涙でグシャグシャな顔で私に抱きつくアリスをあやしながらふとツバメの方を見る。
…なんか微笑ましい物を見たって顔でこっちを見ていた。
流石に恥ずかしくなったのでアリスにはちょっと離れてもらい、再びツバメと話をする事にする。
べ、別に恥ずかしすぎたから話題を逸らすためにやってるんじゃないよ?
ほんとだから!お互いの状況も確認しないといけないしね!
────海鳴市内・ファミリーレストラン内────
まぁ取り敢えず手近な飲食できるお店に寄り、ご飯をご馳走してもらいながら話を続けていた。
なるべく周りに聞こえないようにしながら、ひたすら出されるご飯を口に運ぶ。
一週間ぶりのまともな食事になるため食べる私の勢いはそれは凄まじく、
その光景を見ているアリスとツバメは呆然としながらも話を続けてくれた。
聞いた話を纏めるとこの異世界に飛ばされたアリスが目を覚ましたのが八神家の家の中だったそうだ。
ベランダに倒れていたアリスをツバメが見つけ、目覚めるまで介抱してくれてたらしく、
アリスが目覚めてから詳しい事情をアリスから聞いたらしい。
その際にアリスは私たちの世界の話もしており、ツバメはそれを信じてくれた…そうだ。
どんだけお人好しなんだこの女性は…、私たちの世界なら下手すりゃ真っ先に死ぬタイプだぞ…。
まぁそれは兎も角、ツバメはアリスの話を信じて私が見つかるまで八神家に滞在してもいいと言ったらしく、
アリスもそれを快諾して八神家のメイドとして生活することにしたと。
もちろんツバメの旦那のアラシと言う人も仕事から帰ってきてから話を聞いて、
アリスの滞在を許可したらしいからこの夫婦はよっぽどのお人好しなんだと確信した。
そして私自身に起こった幼女化現象や、
ここ一週間の行動などを聞いた二人の反応は正直思い出したくない。
あの二人の目は『なにこの野生児?』って感じだった。
仕方ないじゃないか…、この幼児姿で出来る仕事はこの世界にはなくて、
おまけにアリスの様に他人の家で倒れてた訳でもないんだから…。
『だから私は悪くない!』と声を高らかに叫びたいがそれは自重した。
私の話も大体終わって八神家での生活などをアリスから聞いて、
その待遇の良さにちょっと泣きそうになったけどそこは我慢。
幼児化したとはいえこれでも一応十九歳だ、アリスにも無様な姿を見せるわけにもいかない。
なんたってアリスの主人は私なんだから、主人の無様な姿を他人に見せるのは…ね?
「まぁ取り敢えずアオイちゃんの話は分かったわ、
アリスちゃんと合流もできた訳だけどこれからどうするの?」
「ん、そうだね一先ず仮拠点に移動してから元の世界に戻る方法を探す。
…問題は本当に元の世界に戻れるかどうかなんだけど…ね」
ツバメの問いかけにそう答える私は元の世界に戻るための考えを纏める。
取り敢えずは私たちが飛ばされた場所には何も無かったわけだし、
次元の狭間に関する研究などがあればそれを調べるのがいいだろうか?
だけど図書館で書物を調べた限りではその様な内容が記載された書物はなかった。
そういう事に関する技術に特化した研究所とかあれば、もしかするかもしれないが…。
私が顎に手を当てながら考えてると突然ツバメが手を叩いて話しかけてきた。
「仮拠点って郊外にある廃墟よね?
そこに戻るくらいならいっその事、アリスちゃんと二人で家に来ていいわよ?」
オイィ…、この人の脳内はお花畑にでもなってるのか?
異世界の得体の知れない人間を自分の家に住ませるとか正気の沙汰じゃないぞ…。
その事を直接的でないにしろツバメに指摘するとツバメはこう言った。
「だってこの世界では二人の住む家がないんでしょ? その仮拠点を中心に動くにしても、
このご時勢、食料確保とかの難しさはアオイちゃんは身をもって体験したと思うけど?」
たしかにツバメの言う通り食料確保もままならず、下手すれば餓死していたかもしれない。
例えアリスと一緒に行動したとしても難しいかもしれない…か。
「それなら家に来てそこを足がかりに、
元の世界に戻る方法を考えた方が精神的にもいいんじゃないかしら?
八神家に居候するならもちろん家の手伝いとか色々してもらうけどね」
家に住ませる代わりに対価として労働を要求するのは普通だね。
…しかしツバメの事はイマイチ信用ならない。
ツバメの為人は話してみて大体は理解できてはいるが、それでもやっぱり信用ならない。
暗殺者として生きてきた私が人を簡単に信じられなくなってるって理由もあるけど…。
普通の家の一般人ならご飯を食べさせることぐらいはするだろうけど、
流石に家に住まわせるなんてことは絶対にしない。
そんな私の様子にツバメは少しだけ苦笑しつつ話を続けた。
「アオイちゃんからすれば私の話なんて信用できないだろうけど、これだけは絶対に誓えるわ。
私はアオイちゃんやアリスちゃんをどうこうするつもりは一切無い。
…それに私の性格で困ってる人はほっとけないのよ」
『困った性格よね』と言いながら頬をかくアオイの姿を見てしばらく考えてみる。
アリスはそんな私とツバメの姿を見ながらただ静かに私の決断を待っているようだった。
「…家事手伝いだけで家に住まわせるなんてのは、私の性格と職業的に納得できない。
だからと言ってツバメはそれじゃ納得しないんでしょ?」
私の言葉に静かに頷くツバメを見て少しばかり苦笑する。
ここまで難儀な性格をした人に出会ったのはいつ以来だろう。
まぁツバメが納得しないならしないだけ別の妥協案を出すとしますか。
「だったら妥協案として、ツバメが私に依頼としてお願いしてちょうだい。
ツバメとしては納得できないかもしれないけれども、
これでも私は暗殺者…、アサシンとして生きてきた矜持もある。
依頼であるなら私も納得して二人で八神家にお世話になるわ」
私の言葉に少しだけ考えながらもツバメは頷いた。
「オッケー、なら依頼としてツバメの提案を受けることにするわ。
依頼内容の詳細について納得できるとこまで話し合うとしましょうか」
こうして私は八神ツバメと依頼内容を纏めることにした。
まぁ正直、暗殺者として幼い頃から生きてきた私は、
こういう打算も悪感情も無い、人の無償の愛ってやつに飢えていたんだと思う。
暗殺者一家の自分の両親には別に怨みなど無いし、むしろ感謝しているぐらいだが、
それでもやっぱり私は人の優しさには触れたかったんだろう。
それを知ってか知らずかアリスはなんかムカつくぐらいいい笑顔でこっち見てるし。
ムカつくから後でお仕置きしておこう、そうしよう。
まぁ何にせよ当面の住居と食事は確保できたと思っていいだろう。
どんな依頼内容になるかはまだ分からないけど、ここを起点に元の世界に戻れたらいいな…。
八神ツバメの手記
アリスちゃんが八神家に来てから一週間ぐらい経過したのかしらね?
八神家のメイドさんとして毎日楽しく過ごしてるアリスちゃんを見てると、
なんだかこっちも元気をもらってるみたいでとても感謝してる。
身重な身体としては家事手伝いしてくれているアリスちゃんには感謝してもしきれない。
私やアラシさんには近隣に住む親戚も居らず、お互いの両親は早くに亡くなった。
お腹にいる赤ちゃんに気をつけながら毎日の家事は大変だったが、
頼れる人間が近くにいないのならそれも仕方ないしね。
何よりこれからママになるんだからちょっとした事でへこたれてなんかいられないわ。
まぁ頼れる旦那様であるアラシさんも家事手伝いはしてくれるし…、ほんと私は恵まれてるわね。
そして今日は外にご飯を食べようとアリスちゃんを誘って外出したんだけど、
海鳴臨海公園の魚釣りが出来るスペースで私は一人の少女に出会った。
少し濃い目の茶色く露出がちょっと多めの衣装と首に赤いマフラーを身につけた、
銀髪のロングヘアーの少女が一人で釣竿らしき棒を持って静かに空を見上げていた。
その少女はボーッと雲の流れを見ながら何かブツブツと呟いていて、
それに興味をもった私はアリスちゃんを置いてその子に近づいてみたの。
太陽の光を銀髪が反射してとても綺麗だったんだけど、
その子のお腹から可愛らしい音が聞こえてちょっと笑っちゃったわね。
私の笑い声にも気がつかないから話しかけてみたんだけれど、
ちょっと急すぎたかしら? 警戒心を顕にして私を見てたからちょっぴり反省。
しばらく話しているとアリスちゃんがこっちに来て、少しだけお説教されちゃった。
お説教されるなんて両親が生きてた頃以来だからちょっと懐かしく思えちゃったな。
それから暫くするとどうやらアリスちゃんが探していた、ご主人様っていうのがこの子だと分かったわ。
正直こんな小さな子がご主人様だなんてもしかしてこの子お嬢様なんじゃ?って思ったわね。
結局その考えはまったく違ったわけなんだけれども。
近くのファミレスでアリスちゃんのご主人様であるアオイちゃんとお話をしてたんだけれども…、
正直アオイちゃんの食べっぷりにはびっくりしちゃったわね。
話を聞いてみたら一週間近くまともなご飯も食べずに、ずっとアリスちゃんを探し続けてたらしい。
それを聞いたアリスちゃんは感動で目がウルウルしてたっけ。
それにしてもアリスちゃんから話は聞いてたけど、本当に異世界なんてものがあったのね。
アオイちゃん達からすればこの世界が異世界なんだろうけども。
それから話を続けていくうちに私は、アオイちゃんの事がほっておけなくなってしまった。
幼児化したと本人が言っても今の見た目は五歳児に近いし何よりこの一週間、
野生児みたいな生活を続けていたアオイちゃんをこのままほっておくなんて、
私の性格上できるはずもない。
だからアオイちゃんに元の世界に帰るまで家に住まないかと提案したんだけど…。
なんだかアオイちゃんにものすごく警戒されちゃったみたい。
別にやましい気持ちもないから信じてもらいたいんだけど、
よくよく考えれば暗殺者として生活していたアオイちゃんに、
私からいきなりこんな事聞かされればそりゃ疑ってくるわよね。
こればっかりは反省しないと、またアラシさんに呆れられちゃうわ。
それからアオイちゃんと私の二人でずっと話し合ってて、
私が折れないと理解したアオイちゃんは妥協案として、
依頼としてアオイちゃんにお願いしろって言われちゃった。
そんな風にお願いはしたくなかったんだけれど、
このままじゃどっちも折れないままだと思って私は渋々頷いた。
依頼内容を考えているアオイちゃんの顔を見て私は思う。
アオイちゃんは否定するかもしれないけど、
人の優しさや愛情にアオイちゃんは飢えていたんじゃないだろうかと。
なぜそんな事がわかるかと言えば私自身もそうだったから。
両親が亡くなってから親戚に預けられることもなく施設をたらい回しにされ、
何処へ行っても私に愛情を注いでくれた人はいなかった。
だからこそ誰よりも私は人の優しさや愛情に飢えていたんだろう。
アラシさんと出会ってからは彼の優しさと愛情と…、色々彼からもらった。
だから私は思う、アオイちゃんに私ができる範囲でいいから、
人の優しさや愛情を注いであげようと…。
手記はここで終わっている。
という訳でここまでの読了お疲れまさでした。
今回登場したオリキャラは原作キャラ、八神はやてのお母さんです。
会話の中でしか出てませんがお父さんも登場。
一応公式設定では両親の名前なんか出てませんでしたよね…?
まぁ仮に何処かで明記されててもこの小説ではツバメさん・アラシさんとしておきます。